井上ボーリングさんの工場見学会レポート第二弾。
技師さんにバルブガイド交換の注意点を教わりました。
力任せに外そうとして破損する人が多いそうです。
とくに旧車の場合、壊しちゃうと高くついてしまいますね。
実際、壊して「なんとかしてください」という依頼が増えているそうです。
ご自分でやる人は参考にしていただければと思います。
ステップ1:シリンダーヘッドを熱する
温度はだいたい200℃以下ぐらい。
この事自体、古いバイクのサービスマニュアルには記載されていないそうです。
もともとサービスマニュアルはプロの整備士向けに作られているので、古いサービスマニュアルには書かれていません。というよりむかしのサービスマニュアルって、メーカーを問わず、全体的にざっくりとしか書かれていないです。
ちなみに私の最終型CB125Tのサービスマニュアル(2000年頃)には「100℃〜200℃」と記載されています。
また
「ガスバーナーで、一部分だけを熱すると歪みが生じるおそれがあるため、注意するように」
という注意書きがあります。
iBさんではガスコンロみたいなものでシリンダー全体を温めていました。

ステップ2:潤滑油をバルブガイド周辺に行き渡らせる
潤滑油はエンジンオイルでも、機械油でも良いそうです。

ステップ3:ハンマーで叩く


素人はいきなりここから始めて壊しちゃうそうです。
熱して、潤滑油をかけた上で、最初は軽くハンマーで叩きます。
(力一杯、一気にやるのはNG)
コン、コン、コン…という感じで、同じ力で叩きます。
そうすることで、少しずつ潤滑油がバルブガイドに浸透していきます。「焦らない、慌てない」これが上手に外す秘訣のようです。

取り外したバルブガイド。
取り外す作業自体は5分もかかりませんが、壊さず、華麗にバルブガイドを抜くのはまさに匠の技といったところでしょうか。鮮やかです。
バルブガイド交換を自分でやるには
液体窒素が必要になります。
ただ、個人で揃えるのはむずかしいと思います。
・液体窒素の専用保存容器
・液体窒素
2つが必要です。
保存容器は中古でも入手できますが、液体窒素の販売事業者に、液体窒素の販売を断られることがあります。
「自社の販売している保存容器をご使用の方以外には液体窒素を売りません」
ということですね。
もし、売ってくれたとしても割高になったりします。
(結局、新品の保存容器と液体窒素を同じ会社から買った方が安い)
このような経緯があったため、一度だけのバルブガイド交換のために液体窒素を揃えるのはあまりお勧めしません。
仮にバルブガイドを打ち込めたとして、ガイドのボーリング工具などをそろえると、けっこうな費用が必要になりますし、もし失敗した時のことを考慮すると、ハイリスクですからね。
代わりと言っては何ですが、バルブガイドの交換やガイド製作をしてくれるショップを紹介しておきます。
