「タイヤはバイクのあらゆるネガを消してくれる」
ある世界グランプリライダーの言葉です。
それぐらい、タイヤはバイクの運動性能に大きく影響します。CB125Tに適合するタイヤは比較的、価格がおさえめのバイアスタイヤになります。
それほど、価格差も大きくないので、せっかくなら、いつもとちがう銘柄を試してみるのもいいと思います。
CB125T(JC06)タイヤサイズ
※諸元はJC06-160〜
フロント:3.00-18 47P(90/90-18相当)
荷重指数47=175kg
リア:3.25-18 52P(110/80/18〜120/80/18相当)
荷重指数52=200kg
速度記号P=150km/h
バイアス:チューブレスタイヤ
荷重指数(ロードインデックス)はメーカーが定める使用条件で、タイヤに負荷できる最大荷重を示す記号のこと。
わかりやすく言うと、メーカー推奨の空気圧でタイヤを使用した場合「このぐらいの重量までなら耐えられますよ」という事を現すための目安となる数値です。
CB125Tタイヤ空気圧
フロント:175kPa(1.75kgf/㎠)
リア:200kPa(2.00kgf/㎠)1名乗車時
225kPa(2.25kgf/㎠)2名乗車時
掲載の基準
執筆時点で各メーカー公式サイトを確認し、適合サイズや製品情報が確認できたタイヤを紹介しています。
またサイズが適合していても
・公式サイトでタイヤ情報が掲載されておらず、素性がわからない
・廃番・カタログ落ちしている
・サーキット向けで公道での使用に適さない
これらに該当するタイヤは割愛しています。
チューブレス(TL)タイヤ、オンロードタイヤのみ掲載、*マークは装着確認できた事を意味します。
なお、こちらでも注意して掲載しておりますが、実際に装着可能かどうかにつきましては、必ずご自身でタイヤサイズや、メーカー型番を確認の上、判断してください。
メーカー・タイヤサイズと特徴
それほど数が出ないであろうサイズにも関わらず、継続して製造・販売してくださっているメーカーさんに感謝します。
ミシュラン
PILOT ACTIV
耐摩耗性と高いグリップ性を両立させたスポーツ ツーリングタイヤ。
CB125T適合フロントタイヤでは、筆者一番のお気に入りです。
30,000kmを超えても、なおグリップ感が持続するタイヤでした。トータルバランスで、バイアス最強タイヤだと思います。
ROAD CLASSIC
前モデル「PILOT ACTIV」もかなり優秀ですが、さらに性能がUPされています。
ウェットグリップの更なる向上を実現
シリカ・レイン・テクノロジー (SRT)を採用したコンパウンドと26%のボイドレシオを可能とした新設計のトレッドデザインが、前モデルと比較して50%ウェットグリップ性能向上を実現しました*
https://www.michelin.co.jp/motorbike/tyres/michelin-road-classic?tyreSize=18
直進時とコーナーリング時の安定性を向上し安心感を追求
ベルテッドバイアステクノロジーと2枚のクラウンプライで形成されたケーシング構造により、前モデルと比較してコーナリング時の安定性が50%、直進時の安定性が40%向上しています**
https://www.michelin.co.jp/motorbike/tyres/michelin-road-classic?tyreSize=18
フロント適合サイズ
リア適合サイズ
残念ながら今のところ、適合サイズは「フロント用」のみです。
ブリヂストン
BATTLAX BT-45
BT45はバイアスタイヤの中ではメジャーなツーリングタイヤ。
CB125Tユーザー(というか排気量を問わず18インチ車)の間で、装着率の高いタイヤです。
以下はメーカー公式情報。
ユーザーニーズに合致したトータル性能の高さでロングセールスを誇るツーリングバイアスの決定版!!
コンパウンド:シリカ配合コンパウンド
ウェット性能を高めるシリカ配合のコンパウンドを採用。
パターン:
トレッドパタンはお気に入りのマシンの足元を彩る重要な要素。オーソドックスでありながら斬新な感覚のトレッドパタンは、様々なマシンによくマッチし、もちろん高い排水性も実現。
構造:スポーツサクトを採用。(リア)
ワインディングを楽しくさせる高いグリップ力とロングツーリングで真価を発揮する耐久性を高いレベルで調和させた。
形状:GUTT自動進化設計法の採用。
バイアスでありながら、ソフトで安定感の高いライディングフィールを実現。荒れた路面、ロングツーリングでライダーの疲労を軽減する。https://www.bridgestone.co.jp/products/tire/mc/
こんなお客様におすすめ
●タウンユースからロングツーリングやワインディングまでオールラウンドで楽しみたいお客様
特筆すべき印象こそ薄いものの、メーカーの説明どおり季節や天候を問わず、オールラウンドに使えるタイヤです。
ストリート・ツーリングユースにお勧め。
BATTLAX BT-46
前モデルBT-45同様、ゼファー、Z400FX、GPz750F、CB750Fなど、18インチ旧車の装着率が高いタイヤです。
ツーリングバイアスの新基準
ロングセールスを誇るBT-45が満を持してバージョンアップ!ユーザーニーズに合致したトータル性能の高さでお客様から圧倒的な支持を得ていたBT-45がBT46としてバージョンアップした。
ウェット性能向上によりツーリング先で突然の雨でも安心感を持って走ることができる。幅広い車種・お客様に適合し、走る喜びを提供するBT46はツーリングバイアスの新定番となる。
https://www.bridgestone.co.jp/products/tire/mc/products/detail/pr176/
フロント 90/90-18 51H TL
リア 110/80-18 M/C 58H TL
ダンロップ(住友ゴム工業)
執筆時点で、もっともCB125T適合サイズが多いメーカーです。
TT100GP
ビンテージスポーツタイヤ。メーカーサイトを見ると「クラシカルなトレッドパターンのスポーツタイヤ」という位置づけのようです。
スポーツ指向だからなのか、装着した方の話を聞くかぎりでは耐摩耗性に優れているわけでもなく、ほかのタイヤと比較して、価格が特別、安いわけでもありません。
あえて選ぶ理由があるとすれば、クラシカルなトレッドパターンが好きな方向けでしょうか。
フロント 90/90-18
リア 110/90-18 MC 61H T/L
TT900GP
バイアスタイヤの中では「最高」と言われるハイグリップタイヤ。
ストリートでも使用可能ですが、メーカーの位置づけとしては「レース用」タイヤに分類されています。
ダンロップの最高峰スポーツバイアス。
https://dunlop-motorcycletyres.com/
強力なドライグリップとアグレッシブなハンドリング。
サーキットでも高いポテンシャルを発揮するハイグリップタイヤ。
実際に装着して走ると、路面に吸い付くようなグリップ感があります。ただし、ハイグリップタイヤの宿命で、グリップ感は長続きしません。
筆者の場合、いわゆる「おいしいところ」は8,000kmから9,000kmぐらいまで。
走行距離14,000kmに達する頃には、明らかなグリップ感の低下を感じました。まだ溝が残っていても「タイヤがグリップしている」という感覚が掴みづらいんですね。
デメリットを踏まえた上でいうと、
・年間の走行距離が少ない方
・走り重視でタイヤを頻繁に交換してもいいという方
に向いているタイヤだと思います。
交換してしばらくは、おもしろいんですけどね。(と言いつつLEO120SEのフロントで使ってます)
峠を攻めたり、ペースを上げて走らなければ1万kmを超えても、ストリートでは十分、使えます。
あくまで一例ですが、15,000km前後が寿命と考えておいたほうがいいでしょう。
せいぜい持たせて2万kmと言ったところでしょうか。
フロント 90/90-18 M/C 51H
リア 100/90-18 M/C 56H TL
ARROWMAX GT601
耐摩耗性に優れたツーリングタイヤ。
CB125Tに装着可能なタイヤの中では、ブリヂストンBT-45(現BT-46)と対をなす存在。走行フィーリングも、グリップ感も大きな差は感じられませんでした。
強いて言うなら、BT-45のほうがリヤタイヤのグリップ感が掴みやすいため、筆者はBT-45を使っていました。
フロント 90/90-18 M/C 51H
リア 110/80-18 58H
その他のタイヤ
SHINKO(シンコー)
シンコーは大阪府八尾市に拠点をおくメーカー。
バイクより自転車タイヤのほうが有名かもしれません。中国に製造工場があり、日本で広く知られる自転車メーカーやショップにタイヤを供給しています。
ガレージ湘南では「攻めない」お客さんに勧めているタイヤがシンコーで、そのお客さんいわく「雨の日もとくに問題なく走れる」との事でした。
※フロントは適合サイズなし
SR610
クラシックとモダンを融合させたトレッドパターンは、クラシックから最新モデルまで、幅広い車種にマッチする飽きのこないパターンを採用。直進安定性・乗り心地・コントロール性能・ロングライフ性能・排水性能などあらゆるニーズに対しバランスのとれた性能を合わせ持つオールラウンダータイヤ。
http://www.shinko-ltd.co.jp/motorcycle/tire/610.html
リア適合サイズ 3.50-18 M/C 56H TL
今回紹介した以外にも、オフィシャル情報が少なく、あえて紹介しなかったタイヤ・メーカー(たとえば台湾を拠点とするKENDA、ダンロップと技術提携しているDURO)、それなりに知名度はあるけど、雨の日にグリップせず、転倒者が続出した危険な韓国製の某タイヤが存在します。
ともあれ、主要なタイヤはひととおり掲載したつもりです。
【初心者向け】失敗しないタイヤ選び
1,自分の使い方に合ったタイヤを選択する
自分のバイクや走行シーンに合ったタイヤを選ぶ事が大事。タイヤとの相性や好みもあるので、最終的に自分で使ってみないとわからないと思います。
ただ、以下のポイントを抑えておくと、タイヤ選びで大きく失敗することはないと思います。
2,メーカー公式サイトで詳細情報を見る
興味のあるタイヤを見つけたら、公式サイトで製品の狙い(どんな意図で開発したか)や、ほかの製品と比べると特徴が掴みやすくなる。
グリップ重視か?ロングライフ重視か?
・ハイグリップタイヤ(グリップ力に優れるがタイヤ寿命は短い)
・ツーリングタイヤ(タイヤ寿命は長いが、ハイグリップタイヤよりグリップ力は劣る)
一般にロングライフタイヤほど、グリップ力は劣る傾向にあります。逆にグリップ力が高くなるほど、ライフは短くなります。
雨天時に走行するかどうか?
雨天走行が多い場合、排水性のあるトレッドパターンのタイヤを選択する。
(今回、紹介したタイヤならいずれも問題ないと思います)
3,タイヤをよく理解している人にアドバイスを求める
これが一番、失敗しない方法です。ただし相手を選ぶこと。
多くの場合、人に聞くと、自分好みの銘柄を教えてくれるに留まります。ただ、最初にお伝えしたようにライダーの好みや、走り方はそれぞれ異なりますし、バイクが異なれば尚更です。
たとえ同じバイクに乗っていても、走り方まであなたと一緒とはかぎらないですからね。
タイヤ選びが上手な人は、先にお伝えしたとおり、あなたのバイクの使い方や走り方などをしっかりヒアリングした上で「これがいいよ」と勧めてくれます。
4,管理をする
タイヤの管理? と思うかもしれませんね。
ご存じかと思いますが、タイヤは使っているうちに摩耗して、消しゴムのように減っていきます。
また公道を走っていると、不意に釘などが刺さってしまうこともあります。
ですので「タイヤを新品に交換して、あとはほったらかし」・・・ではなく、溝の状態(偏摩耗していないかどうか)や、釘などの異物が刺さっていないかどうか、日頃から確認することが大事です。
とくに多くのライダーが見落としなのが、タイヤの空気圧。
新品タイヤでも空気は自然に抜けていくので、せめて1ヶ月に1回くらいはタイヤの空気圧を点検しましょう。
チューブレスタイヤの場合、空気が抜けていても(空気圧0でも)気づかない人が多いです。
もし、既定値よりも低い空気圧のまま、走行を続けていると、タイヤの発熱によりバースト(破裂)するおそれがあります。
燃費もハンドリングも悪くなりますし、良いことは一つもないです。
ちなみにタイヤの交換直後は、タイヤの表面についているシリコンで、とても滑りやすくなっています。
「タイヤの慣らし」といわれるように、タイヤ表面のシリコンが落ちるまでは、アクセル操作、バイクの倒し込み、ブレーキングなど、操作は慎重におこなってください。
よくあるタイヤの質問と回答
以下、公道を走る前提の回答です。
Q.前後で異なる銘柄のタイヤを履いてもいい?
「前後、異なる銘柄のタイヤを履いてもいいのでしょうか?」
よくある質問ですが、全く問題ないです。逆にいうと、同じにしなければならない理由はありません。
私のCB150Tもフロントがパイロットアクティブ、リアがBT-45ですし、LEO120SEはフロントがTT900GP(レース用ハイグリップ)で、リアはパイロットストリート(ツーリングタイヤ)です。
強いて言うなら、フロントは滑ると即転倒に至るケースが多いため、グリップの良いタイヤを選択します。
リアはそこまで高いグリップ力を必要としないので、それほど神経質にならなくてもいいです。
Q.フロント用タイヤをリアに履いてもいいですか?
タイヤサイズがない場合、「フロント用をリアに装着したり、リア用をフロントに装着できないか?」
という主旨の質問だと思います。
同じ銘柄の前後タイヤを見比べてもらうとわかると思いますが、フロント用とリア用でタイヤパターン(溝の形状)が異なっています。
つまり、排水性が前後タイヤで異なっているわけです。ほかにもタイヤの構造や、形状の違いによって、ハンドリングや安定性に影響が出ることがあります。
ですので基本、フロント用はフロントのみ、リア用はリアに装着するものと考えたほうがいいでしょう。
例外として、前後タイヤ共通で使用できるタイヤもあります。(前出のDUNLOP TT100GPなど)
Q.タイヤの空気圧はタイヤ銘柄で変わりますか?
タイヤの空気圧は、バイクの生産メーカーの指定空気圧に従います。
Q.タイヤサイズを太くすれば、グリップ力が良くなる?
「タイヤサイズを太くすれば、接地面が増える。だからグリップ力が良くなる」
これは都市伝説です。
極端にタイヤが太くなると、タイヤが潰れにくくなるため、旋回性能が下がります。
多くの人が(中型・大型バイクでも)よくやるミステークですが、グリップが良くなるどころか、曲がりにくくなるため、やらないほうがいいです。
そもそも、バイクを開発しているメーカーが、テストした上でタイヤサイズを決めていますからね。太くした方がメリットが大きければ、最初から太くして発売します。
「旋回力はどうでもいい。見た目重視!」という場合を除けば、太くするメリットは少ないと思います。
Q.タイヤの寿命はどうやって決まりますか?
3つあります。
1,道路交通法上、交換が必要なケース
一般公道を走行する場合、溝がなくなったタイヤ、もしくは摩耗限界に達しているタイヤで走行すると、違反になります。(もちろん安全上も危険です)
写真を見ていただくと、タイヤが摩耗して中の繊維が見えています。完全にアウトです。
ここまで酷くなくても、スリップサインが出たら要交換です。
スリップサイン
タイヤの摩耗限界を知らせてくれる表示。タイヤのサイドにある△のマークや、タイヤの溝に目印が入っているものもあります。
2,走行が不可能な場合
たとえばパンクして修理不可能な場合や、タイヤが経年劣化して、朽ちている場合。
タイヤは、新品の状態から徐々に劣化して、ゴムが硬くなります。
すこしずつタイヤにひび割れが発生し、さらに時間の経過などで、ひび割れが大きくなる事があります。写真のタイヤがまさにその状態です。
洗剤を薄めた液体をタイヤにかけて、エア漏れを確認したところ、漏れていたので要交換となりました。
ただ、エア漏れしていなくても、経過年数を考えると、問答無用で交換するのが賢明です。
保管状況や状態、車種やライダーにもよりますが、タイヤは製造から長くて5年以内が限度だと個人的には思います。
まだタイヤの溝が残っていたとしても、時間の経過とともにゴムは硬くなっていくわけですから、肝心のグリップ力(路面への粘着力)が低下します。
極端にいうと、タイヤが、カチカチのプラスチックになったような感じです。
そうすると、ちょっとしたきっかけで急にタイヤが滑ることがあります。実際、古くなったタイヤを履いていて転倒したり、骨折した方もいます。
「あまりにも急すぎて、なぜ転んだのかわからない」
とおっしゃってました。
以上をまとめると、摩耗状態と製造年数の両方で判断すると、いいと思います。
メーカー別タイヤ表記の見方
MICHELIN
https://www.michelin.co.jp/motorbike/advice-motorbike/tyre-basics/tyre-basics/motorcycle-tyre-size
BRIDGESTONE
https://www.bridgestone.co.jp/products/tire/mc/howto/tire_size.html
DUNLOP
https://dunlop-motorcycletyres.com/dictionary/size/
SHINKO
http://www.shinko-ltd.co.jp/motorcycle/products/teinfo.html