CB125Tシリーズの年式とスペックをメインに紹介します。
タイトルの車名をクリックすると、メーカー公式サイトを見ることができます。
(サイトが存在する車両のみ)
■ベンリイ C90
1958年発売
エンジン:空冷4サイクル前傾並列2気筒OHC
排気量:125cm3
最高出力:11.5PS/9,500rpm
最大トルク:0.91kg-m/8,200rpm
最高速度:115km/h
車両重量:115kg
始動方式:キック
CBシリーズの元祖CB92のエンジンベースになったモデル。
名前こそ「CB」が入っていないが外すわけにはいかないでしょう。
■ベンリィ スーパースポーツ CB92
1959年発売
エンジン:空冷4サイクル2気筒OHCチェーン駆動
排気量:124.67cm3
最高出力:15.0PS/10,500rpm
最大トルク:1.06kg-m/9,000rpm
最高速度:130km/h
車両重量:110kg
始動方式:セル&キック
変速機:4速リターン
販売価格:155,000円
第1部で紹介したとおり、市販車としてCBの名を冠した最初のモデル。
名前が示すようにレースで勝つためのマシン。
*再生すると音声が出ます。音量にご注意ください
Honda Collection Hall 収蔵車両走行ビデオ Benly CB92 Super Sport(1963年)
北野元 CB92を駆り浅間火山レースで優勝
CB92と言えば、外せないのが北野元(きたの もと)さん。
1959年8月22日 浅間で開催された第2回全日本クラブマンレース(アマチュアが参加対象)に出場。
125ccクラス CB92 優勝
250ccクラス CR71 優勝
エンジン種類 空冷 4ストローク 2気筒 OHC 2バルブ ギヤ駆動
https://apps.mobilityland.co.jp/hch/search/products/375
排気量 247cc
最高出力 24PS以上 / 8,800rpm
最高速度 150km/h
重量 135kg
変速機 4段変速
サスペンション(前) リーディングボトムリンク
サスペンション(後) スイングアーム
両クラスで優勝という快挙を成し遂げました。さらにすごいのは、ここから。
翌日、併催されていた第3回浅間火山レース(各バイクメーカーによるワークスチームが参加対象)125ccクラスに招待され、市販車CB92で出場。
結果は見事、優勝。
つまり、2日間で3つのカテゴリーに参戦し、3勝を挙げたわけです。
市販マシンのCB92で、しかもアマチュアライダーがホンダのワークス勢を打ち負かしたため、一躍、注目されるようになりました。
現在は東京都板橋区で二輪タイヤショップを経営されています。
■ベンリィ CB125(CB93)
1964年発売
エンジン:空冷4ストロークOHC2バルブ2気筒124cc
排気量:124.6cc
最高出力:15ps/10,500rpm
最大トルク:1.07kg-m/9,200rpm
車両重量:127kg
価格:165,000円
世界GPに参戦したレーシングマシンの技術を投入したCB92の後継モデル。
パイプフレームが使われ、フロントフォークがテレスコピックになった。CB92のようなスーパースポーツではなく、公道での扱いやすさを重視したスポーティーモデル。
■ベンリィCB125(1968年8月発売)
エンジン:空冷4ストロークOHC2バルブ2気筒
排気量:124cc
最高出力:15ps/11,000rpm
最大トルク:1.05kg-m/9,000rpm
最高速度:130km/h
車両重量:116kg
始動方式:セル&キック
価格:147,000円
フルモデルチェンジ。カラーリングが変更され5速ミッションを採用。
デザイン面でも進化し、スポーティーな走りを実現した。
■ベンリィCB125(1969年5月発売)
マイナーチェンジ。ポジションランプ、フロントブレーキスイッチ、サイドリフレクターなどの安全装備が追加された。
ハンドル切れ角の変更など熟成が進められている。車両重量は5kg増の121kgになった。
■ベンリィCB125(1972年8月)
エンジン:空冷4サイクルOHC2バルブ2気筒
排気量:124cc
最高出力:14.0PS/10,500rpm
最大トルク:1.0kg-m/9,000rpm
最高速度:125km/h
車両重量:125kg
始動方式:セル&キック
変速機:5速リターン
販売価格:155,000円
月間生産計画:2,000台
全面的にモデルチェンジされた。
ギヤレシオが見直され加速性能が向上、エンジンはバフ仕上げ、シリンダーヘッドやクランクケースカバーのデザインも刷新。フロントブレーキにはディスクブレーキが採用された。
メーターやハンドルの高さ、ステップ位置が変更になりロングツーリングでも疲れにくいよう細やかな部分が熟成された。
余談だが同時期にCB125JXが発売。JXは単気筒モデルだが、2気筒のCBと混同されているのをしばしば見かける。
■ベンリイ CB125T-Ⅰ
発売時期:1977年
エンジン:空冷4サイクルOHC2バルブ2気筒
排気量:124cc
最高出力:16PS/11,500rpm
最大トルク:1.0kg-m/10,500rpm
最高速度:120km/h
車両重量:124kg
始動方式:ブライマリーキック式
変速機:5速リターン
販売価格:198,000円
月間生産計画:4,000台
新設計されたスポーティーモデル。
初めて「T」の名が追加された。
Iはアルファベットの「アイ」ではなくローマ数字の「Ⅰ (イチ)」である。
スペックが示すように歴代CB125ccクラスのなかでも、かなり高回転型エンジンになっている事がわかる。
これはCB125T-Ⅰが、CB125JX(単気筒)の高回転型エンジンに対抗する形で開発されたためだ。
(「絶版車カタログCB大図鑑」より)
ベンリイ CB125T 1978
ベンリイ CB125T-Ⅰの姉妹車として、コムスターホイルや、フロントディスクブレーキを採用。
スポーツ走行が楽しめる設計となっている。なお、車両重量は126kgになった。
■ベンリイ CB125T-Ⅱ(1979年)
エンジン:空冷4サイクルOHC2バルブ2気筒
排気量:124cc
最高出力:15PS/11,000rpm
最大トルク:1.0kg-m/9,500rpm
内径×行程(mm):44.0×41.0
圧縮比:9.4
車両重量:127kg
始動方式:ブライマリーキック式
変速機:5速リターン
販売価格:225,000円
マイナーチェンジモデル。
サイドスタンドとリアキャリアを装備。
それにともなって車両重量は1kg増えている。エンジンは市街地での乗りやすさを考慮して中低速重視となった。
公認レーサー CB125シリーズ
MFJ(一般財団法人 日本モーターサイクルスポーツ協会)1979年の競技規則。市販車の公認車両 125ccクラスにCB125シリーズが掲載されている。
OVER RACING(株式会社オーヴァーレーシングプロジェクツ)の創業者 佐藤健正氏が、モリワキエンジニアリング社員時代にCB125のレーサーを造っていた事がインタビューで語られている。
■CB125T(JC06)
発売時期:1982年5月
エンジン:空冷4サイクルOHC2バルブ2気筒
排気量:124cc
最高出力:16PS/10,500rpm
最大トルク:1.2kg-m/9,000rpm
内径×行程(mm):44.0×41.0
圧縮比:9.4
車両重量:136kg
始動方式:セルフ
変速機:5速リターン
販売価格:255,000円
型式:CB125T F
車体番号:JC06-1100001~1103901
年間販売計画台数:6,000台(国内のみ/予定)
前モデルからフルモデルチェンジ。
車名から「ベンリィ」の名称が無くなった。
本モデルから生産終了までJC06(ジェイシー ゼロ ロク)と呼ばれる。型式はそれぞれ記載しているので、参照してもらいたい。
前年の1981年に発売されたCBX400Fのデザインが踏襲されている。
始動方式はキックが廃止されセルフに変更、リアサスはプロリンク式が採用されて、ホイールも変更となった。
CB125Tはスーパースポーツであることがホンダの公式サイトで確認できる
■CB125T(1984年)
エンジン:空冷4サイクルOHC2バルブ2気筒
排気量:124cc
最高出力:16PS/10,500rpm
最大トルク:1.2kg-m/9,000rpm
内径×行程(mm):44.0×41.0
圧縮比:9.4
車両重量:137kg
始動方式:セルフ
変速機:5速リターン販売価格:279,000円
型式:CB125T F
車体番号:JC06-1100001~1103901
年間販売計画台数:3,000台(国内のみ/予定)
早くもマイナーチェンジがおこなわれた。
・60W/55Wのハロゲンヘッドライト
・音色の良いダブルホーン
・ラバーマウントのフレキシブルタイプ・ウインカー
・トリップメーター付スピードメーター
・ツーリングなどに便利なリアキャリアを標準装備
主に装備面の充実が計られた。エンジン特性は低回転寄りになっている。
シルバーとブルーのストライプカラーは「スペンサーカラー」と呼ばれた。
※フレディ・スペンサー
アメリカ出身の元オートバイロードレーサー。WGP500ccクラス(現Moto-GPクラス)で1983年・1985年の世界チャンピオン。1982年デイトナ100マイルレースで優勝。
当時乗っていたCB750Fのカラーリングがスペンサーカラーと呼ばれるようになった。
後にメモリアルカラーとして、CB400SFやCB750でも同マシンをイメージしたカラーリングを纏った市販車がメーカーから販売されている。
■CB125T(1987年)
車両重量:139kg
販売価格:289,000円
型式:CB125T J
車体番号:JC06-1200001~1211578
年間販売計画台数:1,500台(国内のみ/予定)
マイナーチェンジが施された。型式は「J」になる。
ホイルがアルミ製キャストになり、キャブレターが負圧式に変更されたほか、細やかな部分が見直されている。
■CB125T(1991年)
販売価格:299,000円
型式:CB125T M
車体番号:JC06-1300001~1312302
年間販売計画台数:7,000台(国内のみ/予定)
型式が「M」に変わった。主だった変更はカラーリング。
■CB125T(1993年)
販売価格:339,000円
型式:CB125T P
車体番号:JC06-1400001~
年間販売計画台数:7,000台(国内のみ/予定)
型式が「P」になった。バブルの影響か販売価格が一気に4万円高くなっている。主だった変更はカラーリングのみ。
■CB125T(1998年)
型式:CB125T W
車体番号:JC06-1500001~
年間販売計画台数:600台(国内のみ/予定)
カラーリングが変更され型式が「W」となった。価格はPモデルと据え置き。
バブルの崩壊、バイクブームの下火によって年間の販売計画台数が7,000台から600台まで急落した。
(ちなみに2輪の販売統計を見るかぎり、バイク全体の販売台数のピークは1988年である)
■CB125T(2001年〜2003年生産終了)
エンジン:空冷4サイクルOHC2バルブ2気筒
排気量:124cc
最高出力:15PS/11,000rpm
最大トルク:1.0kg-m/8,000rpm
内径×行程(mm):44.0×41.0
圧縮比:9.4
車両重量:139kg
始動方式:セルフ
変速機:5速リターン
販売価格:369,000円
型式:CB125T 1
車体番号:JC06-1600001~
年間販売計画台数:350台(国内のみ/予定)
CB125Tの最終モデルで型式は1(イチ)
排ガス規制に対応するためエア インジェクション システム(二次空気導入装置)を採用、キャブレターのセッティングが変更された。
パーツリストで確認するかぎりキャブ本体も前型のWとは仕様が異なっており、ジェットニードルの形状が太くなっていたり、エアスクリュー調整ネジがD型に変更されている。
外観上のカラーリングはWと一緒だが、エンジンで見分けることができる。
マフラー取り付け部分の上にパイプがあるのが最終型エンジンの特徴。
(筆者のCB125Tもこの最終型)
排ガス規制に対応したためか、ノーマルではキャブが薄めにセッティングされていて、8,000rpmで頭打ちした。
メインジェットを変更すれば走りが激変する。
CB125Tの官能的なサウンド
*再生すると音声が出ます。音量にご注意ください
そのほかのCB125Tモデル
・レッドバロン社が輸入販売していた逆輸入モデルが存在する(シンガポール、マレーシア仕様)
・逆輸入車はブローバイガス還元装置が装備されている
(最終型CB125Tにも還元装置が装備されているが、外観上は大きく異なる)
ほかにも、逆輸入モデルには、国内仕様にはない部品が付いていたりします。
・ヨーロッパやスリランカなどへの輸出モデル(CB125TD Super Dream)が存在する
・現在は販売されていないがコピーバイクが存在した
・小型限定免許の教習車として長く使用されてきた
・中国で生産されている単気筒モデルに同名のCB125Tがある
2018年現在も運用している教習所がある。そのため教習車が市場に出回ることがある。
教習車はハンドルがアップハンになっていて、ワイヤーケーブルやブレーキホースの長さ、スプロケットの丁数、キャブセッティングが一般モデルと異なる(スプリングの長さなど部品も一部、異なる)。
また教習車用のパーツリストが存在する(らしい)
■CB125Tシリーズ名称変更の歴史
1:ベンリィCB125(1964年-)
2:ベンリィCB125T(1977年-)
3:CB125T(1982年-2003年 生産終了)
■純正パーツ/社外パーツ
純正パーツは、型式を調べて、部品番号をウェビックで検索すれば在庫の有無がわかります。
(ディーラー系のバイクショップや、バイク用品店などで調べてもらう事も可能)
生産終了から18年以上が経過しているため年々、純正パーツは入手しにくくなっています。
ただ、中国の現地法人が生産をおこなっていたためタオバオで部品が入手できたり、ヤフオクで新品・中古部品が調達できます。
中華部品は当たり外れがありますが、販売ショップによっては不良品は無償で交換してくれます。
(一度、中華製フロントフォークを交換してもらったことがあります。)
比較的、車種専用の社外部品は少ないですが、リアサスはつくりました。
インテークマニーホールド(インシュレーター)
純正部品は(再販されていない限り)廃番のため、社外品を使う事になります。
数年前、同ショップから購入したインマニが、取り付けできない事例がありました。
2019年に同ショップで購入した製品は、CB125T W(教習車仕様)に難なく取り付けできました。
寸法・形状も同じ。
ところが、JC06-120xx番台の車体(CB125T J 国内仕様)や逆輸入車に取り付けようとしたところ、いずれも形状と長さが異なるため合いませんでした。
(パーツリスト上は「J ・M・ P・ W」の4モデルは、インシュレーターが共通のため互換性があるはず)
なにか、製造元で仕様変更があったのでしょうか?
購入される方は、事前に販売元に確認したほうがいいかもしれません。
海外でのCB125T
CB125Tおすすめオイル
筆者が6万km以上走行テストをおこなった上で、おすすめのオイルです。
耐熱性・コストパフォーマンスに優れたZZシリーズ
全日本ロードレース選手権で使用されている高性能オイル
ボアアップした筆者のCB150Tで、真夏の高速道路を走行する時や、ロングツーリングで使用していました。
オイルの耐久性は、ZZシリーズより持ちがいいと思います。
参考記事
これから購入する人へ
年々、悪質なケースが増えているので、個人売買で購入する人は注意してください。
とくに高校生とか、若い人、バイクに詳しくないリターンライダーは要注意です。
個人売買でよくあるトラブルや、バイクの価格はどうやって決まっているかなど、くわしく書きました。
年々、キャブ車を修理しない(or できない)バイクショップが増えているので、修理難民になりたくない人は、こちらの記事が参考になると思います。