秋の夜長におすすめの本を紹介します。冨樫ヨーコさんの「選ばれしGPライダー」です。

選ばれしGPライダー―世界チャンピオンの告白
1999/12/1 講談社
概要:
世界チャンピオンは、どうバイクに乗るのか。
レイニー、ドゥーハン、原田哲也、坂田和人ほか90年代の世界GPチャンピオンは、何を考えて、どうバイクを操ってきたのか。素顔の世界チャンピオンに肉迫する。
・世界チャンピオンの常人とは異なる「独自の感覚」を描く
・チームメイトの死をどう感じ、レースに臨んだのか
・彼らは事故、死への恐怖をどう捉え、克服したのか
・緊張の糸が切れたとき、彼らは何を思ったのか
・生い立ちから性格まで素顔のチャンピオン像を明らかに
1999年12月は、WGP500ccクラス5年連続(1994-1998)チャンピオン「ミック・ドゥーハン」氏の引退、HONDAの2ストバイクの生産終了が発表された月だと記憶しています。


「選ばれしGPライダー」は、いわゆるライディング本ではなく、レースへの考え方とか、向き合い方とか、世界観といった精神性が掘り下げられている本です。
まさに、当時の私にとっては知りたいことばかり。
いわゆるハウツー(方法論や手順)は、前提となる条件が合わないと役に立たない事が多いですが、ハウツーの元になる考え方、判断プロセスに興味がありました。
みずからテクニックや応用するためのマインドセットですね。
各ライダーのバックグラウンド、生い立ちが出てくるのですが、けっこう衝撃だったのは、坂田和人さん。
坂田 和人(さかた かずと)
東京都江東区出身。1994年、1998年ロードレース世界選手権(WGP)125ccクラス シリーズチャンピオン。
公式ブログ
https://profile.ameba.jp/ameba/kazuto-sakata/
プライベーターとして世界GPを転戦。
シーズンオフ中は、大型トラックドライバーとして、レースの軍資金を稼いでいたそうです。(世界チャンピオンになってからも)
プライベーターとは?
いわゆるメーカーのワークスチームとちがい、自ら活動資金を出資したり、スポンサーを探さなければならない個人チーム。(日本でよく知られる「ヨシムラ」もプライベーターです)
バイクレースの場合、親がお金を出すケースが多いので、坂田さんのエピソードを知った時は
「何回も世界一になるためには、ここまでやらないといけないのか」
感銘を受けたものです。
もちろん、与えられた環境やチャンスを生かすことも大事ですが、みずから環境をつくって、チャンスを手にすることも大事ですからね。どちらかというと、人生では後者のほうが多いと思います。
当時、自分には足りないものだらけだなと思いました。いま振り返ってみても、若いうちに読んでよかったと思います。
だれの言葉だったか覚えてないですが、
「人生がレースかどうかはわからないが、レースで起きる事は人生でも起こる」
そのとおりだと実感しています。
レースを通じて、本質的なことが書かれている本ですね。
余談になりますが、私は本に書かれていることを受験や仕事に応用して、人生が変わるレベルの結果を手にすることができました。
バイクやレースという枠にとらわれず、生き方とか人生のヒントになる普遍的な事が学べる本だと思います。
