テスト費用ウン十万円。4ストバイクのエンジンオイルを試した中で、良いと思ったオイルを紹介します。
一般的なオイルの選び方ではなく、エンジンオイル開発に関わった方々から教わった裏話、意外な落とし穴をシェアします。
空冷バイクはもちろん、旧車・絶版車、ハーレーや大型バイクに乗っている方の参考になると思います。
筆者自身、自分のバイクがオーバーヒート気味になるのがきっかけで、オイルについて学んだり教わったり、自分でテストするようになりました。
本記事では、できるだけ専門的でこむずかしい話は抜きにして、バイク初心者の方が要点を理解できるようにしています。そのため一般公道での走行・使用が前提となっています。
2ストオイルは以下の記事で紹介しています。

はじめに大事なこと
目的や用途によってオイルの選び方や、良いオイルは異なります。
・使用環境(どこでどういう走り方をするか)
・マシンとの相性
・予算
これらのマッチングだからです。
「絶対的にこのオイルがいい!」といった正解はないと思っています。
ブランドやイメージで選ぶのもありだと思います。
いろんな考え方や、意見を踏まえた上で、実際に自分自身で試して検証し、正しいと思った考え方、良いと思ったオイルを紹介しているので、そのつもりで参考にしてもらえたらと思います。
あなたは大丈夫?エンジンオイルの都市伝説
よく「空冷エンジンには鉱物油がいい。化学合成油はダメ」と言われています。
ところが具体的な根拠や、情報のネタ元を尋ねると、
SNSで聞いた
先輩が言ってた
インターネットに書いてあった
あいまいな答えが返ってきます。
「空冷エンジンには鉱物油がいい。化学合成油はダメ」という考え方は、オイルメーカーの方いわく、大昔の考え方らしいです。
なぜ、大昔の考え方が、令和になった現在も、まるで真実のように語られているのか?
筆者が調べたところ、20年以上も前のまちがった情報がインターネットによって拡散されてしまい、令和になった現在もそれを鵜呑みにしている人が多いことが判明しました。
(雑誌を読んだ読者が、解説をまちがって解釈。その内容を掲示板に投稿し、広まった。伝言ゲームの要領と同じ)
×「空冷エンジンはクリアランスが大きい」
○「水冷エンジンと比較した場合、空冷エンジンのほうがクリアランスが大きい」
あくまで両者を比較した場合の話であって空冷エンジンが特別、クリアランスが大きいわけではない。
ちょっとした言葉のちがい、解釈のちがいで全然、意味がちがってきます。
くわしく知りたい方は以下のページをご覧ください。
「エンジンオイルの常識は非常識、古い空冷エンジンだからこそ、合成油」
https://garage-shonan.wixsite.com/info/engineoil002
エンジンオイル6つの基本性能
1、潤滑性能(金属同士が焼き付かないよう潤滑して、エンジン内部の動きを滑らかにする)2、密閉性能(油膜でピストンとピストンリングの隙間を埋めるなど、エンジン内の機密性を保つ)
3、清浄分散性能(エンジン内部にカーボンやスラッジなどの汚れが固着するのを防止する)
4、応力分散性能(一部分にかかる強い力を広い範囲に分散させる)
5、冷却性能(エンジン内部を冷却してオーバーヒートさせない)
6、防錆性能(金属表面に付着してエンジン内のサビの発生を防ぐ)
https://garage-shonan.wixsite.com/info/engineoil002
テスト車両の使用環境と計測方法
計測方法やテストのやり方など、諸条件で結果はおおきく違ってきます。そのため、できるだけ詳細を記載しておきます。

HONDA CB125T改 2001年式(142cc化・軽二輪登録済み)
空冷SOHC 2気筒 高回転型エンジン(オイルクーラー、オイルフィルター無し)
オイルテストする時の注意点
「それはオイル交換の効果か、それともオイル自体が良いのか?」
という話があります。
よくエンジンオイルのレビューってありますよね。筆者の記事もそうですが。
劣化したエンジンオイルを、新しいオイルに交換すれば、調子が良くなるのは当たり前です。それを「どこどこのメーカーのオイルに交換したせいだ」と思ってしまうと、的外れなレビューになりかねません。
だから筆者がオイルをテストする際は、500kmでオイル交換したり、1000kmで交換したりします。(もちろん使用するオイル銘柄や、オイル粘度は固定します)
ちょっともったいない気もしますが、オイルメーカーのテストのように、走行した後のオイルを計測器にかけて分析する事はできませんからね。
せめて、できるだけいろんな角度から検証しています。
もし、短い距離でエンジンオイルを交換して調子が良くなるなら、オイルが劣化している事になります。
逆に、3000km、4000kmでオイル交換しても、それほど大きな違いが感じられない場合、あまりオイルは劣化していないと推定できます。
あくまで体感レベルのテストの話なので、実際はわかりませんけどね。
ただ、筆者はそのようにテストして判断しています。
ほとんどの人が知らないオイル交換時期の秘密
じつは、メーカーや巷で言われているエンジンオイルの交換時期は、正確ではないそうです。
「でも、3000km走行ごとに交換って、マニュアルに書いてますよ?」
そうですよね。筆者も最初に聞いた時はそう思いました。
ただ、理由を知って納得しました。
バイクごとにメーカー指定の交換サイクルがありますが、どういう基準で決めているのか、不思議に思いませんか。たとえば3000kmごとに交換が推奨されている場合、なぜ、2500kmでも3500kmでもなく、3000kmなのか?
理由まで書かれていないですよね。
実際のところどうなのか?という話をします。
結論から言うと、メーカーが「○○○○km走行ごとに交換」という書き方をしてるのは、そのほうが分かりやすいからです。
ライダーによって乗る頻度や距離、走り方、環境が違いますから、エンジンオイルが劣化するスピードや、劣化具合も異なります。ですので、実際のエンジンオイルの状態で、交換すべきかどうか判断するのが本音。
ただこの方法だと、広く一般の人には不向きですね。
人によって、かなり判断にバラツキが出てきます。エンジンオイルに精通してるプロなら的確に判断できるかもしれませんが、ほとんどのライダーには真似できません。
だから老若男女、世界各国で、誰にでもわかりやすい指標として、「○○○○km走行ごとに交換」といった、数字で計測可能な交換時期を設けているのです。
この時、皆が皆、決められたタイミングでオイル交換するとは限りませんし、通常、想定したよりも劣悪な使用環境でオイル(エンジン)が酷使されていることも十分、考えられます。
(信じられないかもしれませんが、オイルを交換することを知らないで乗ってるライダーもいます)
だから若干、余裕を持った交換時期(距離)が設定されているそうです。
しかし逆にいうと、想定外の使用では、通常よりオイルの劣化スピードが早くなる事もゼロではありません。
例:毎日、暖機運転で60分間アイドリングしっぱなし、サーキットで全開走行
できれば目視したり、匂いをかいだり、触ったりしつつ、走行距離と合わせて判断するのがいいでしょうね。
それが面倒だという人は走行距離を目安にして、オイル交換すればいいと思います。
ほかの記事にも書いていますが、とにかくエンジンオイルの交換だけは怠らないようにしてください。オーバーホールに持ち込まれるエンジンの大半が、定期的にオイル交換されていなかった形跡があります。
あまり距離を走らない方でも最低、年に2回はオイル交換することをお勧めします。結露などでエンジンオイルに水分が含まれて、オイルが乳化するからです。

白くなっているのはエンジンオイル。バイクを保管している環境にもよりますが、しばらく乗らなかったり、短い距離(油温が低いままエンジンを切る)しか走らないと、オイルの中に水分がたまって乳化します。
ちなみにこれ、冬に撮影した写真です。夏場はエンジンオイルに意識が向きがちですが、じつは冬場のほうが(気にする人が少ないため)注意したほうがいいです。
事例:4ストエンジンの焼き付き
筆者が見ているかぎり、オーバーホールで持ち込まれたエンジン60基のうち、焼き付きは3基。
いずれもクランクシャフトでした。


オイルによって摩擦を減らし、摩擦熱をおさえたり、金属の摩耗を防いでいます。
金属と金属の間の油膜が、クッションになっているわけですね。
ところが、適切なオイルを使わなかったり、劣化したオイルを使い続けると、これらの役目が果たせなくなります。結果、潤滑不良となり、徐々にエンジンにダメージが蓄積し、焼き付きに至ります。
お勧めのエンジンオイル
真夏にオーバーヒートの症状が出たため、有名メーカーのいわゆる「良いオイル」を複数、試しました。
(自分で選んだオイルもあれば、バイクを購入したショップが奨めてくれたオイルもあります)
結局のところ、どれも満足いく結果は得られずじまい。
そんな時、やっと満足できた最初のオイルがニューテックでした。
■NUTEC(ニューテック)
ニューテックはLONDON ENGLANDに本社を持つ潤滑油メーカー。
鈴鹿8耐でおなじみレーシングチーム「F.C.C. TSR Honda」のスポンサーです(※執筆時)。
同チームは2017-2018 FIM世界耐久ロードレース選手権シリーズ(EWC)シリーズチャンピオン獲得。
ル・マン24時間耐久レースでは日本チームとして初の優勝を飾り、鈴鹿8時間耐久ロードレースでも2011年、2012年続けて優勝する好成績を残しています。
私が最も長く使用しているのが、ニューテック社のインターセプターZZシリーズです。
メーカー技術者の方にブレンド比率をアドバイスしてもらい、自分でブレンドしてオイル粘度を調整しています。

ニューテックオイルを使い続けて、29,298km走行したCB125Tの142cc中華製シリンダー。
エンジンのオーバーホールを1,080基以上、手がけてきたメカニックから「走行距離のわりに綺麗な状態」との評価をもらいました。
その後、ピストンリングすら交換しないまま47,968kmを突破しましたが、最後まで白煙を吹くことなく走行できました。

ニューテックオイルの原産国は販売ページに記載されています。(執筆時点の)原産国は日本と記載されています。
ニューテックオイルの特徴
一番の特徴としては、オイルが自由にブレンドできること。
メーカーの方いわく「ベースオイルが共通のため、ブレンドしても大丈夫」とのことです。
ニューテック社には複数のエンジンオイルがラインナップされていますが、異なる銘柄同士をブレンドしても問題ないそうです。
ただ「より性能を引き出すためには同じ銘柄のオイルをブレンドする方が望ましい」というお話でした。
例:
◎ インターセプター ZZシリーズ同士のブレンド
○ インターセプター ZZシリーズとEster Racing(NC-50/NC-51)のブレンド
念のためにいっておくと、粘度に関係なく、異なるメーカーのオイルを混ぜ合わせるのはやめたほうが無難です。エンジンオイルは化学物質なので、下手に混ぜると性能が低下するおそれがあるからです。
(そもそも他社のオイルと混ぜ合わせて使用する前提で、オイルをつくっていません)
例:ニューテックオイル+C社
どうしてもという場合、非常手段と考えたほうがいいでしょう。
ニューテックオイルのメリット
- 高性能オイルの中で価格が手ごろなのに違いが体感できる
- 冬など低い油温でもレスポンスがいい
- 真夏で100℃を超えてもオーバーヒートしない(空冷エンジン)
- 3,000km毎に交換しているが、距離が伸びても大きな劣化を感じない
- オイル寿命が長く走行距離を重ねても、油温が高くても、ギアのシフトフィーリングが良い
- 比較的、走行時の油温が下がりやすい(真夏の高速で100℃以下)
ニューテックオイルのデメリット
強いて言うなら、バイク用品店に置いてないので入手しづらいことでしょうか。徐々に取り扱うバイクショップが増えてはいるようですが。
※オンラインショップの取り扱い店が増えて、購入しやすくなりました。
2016年からブログでニューテックオイルをレポートしてきましたが、年々、バイク業界でもユーザーが増えていると実感してます。
■インターセプター ZZシリーズ
インターセプターZZシリーズは、ニューテックエンジンオイルの中で入門的な位置づけになるオイル。
にも関わらず、高性能・高耐久性。純正オイルから変えると、違いが実感しやすいと思います。
エステルが含まれた化学合成油です。
ストリートやライトチューニング用に開発されたエンジンオイルで、強靭な極薄の油膜がエンジン性能の高効率化を実現します。ワイドレンジをカバーする粘度を新たに設定し、手軽に幅広くニューテックテクノロジーを感じていただける製品に仕上げました。
http://nutec.jp
ZZ-01 5W-35 化学合成(エステル系)
ZZ-02 10W-45 化学合成(エステル系)
ZZ-03 10W-40 水素化精製ミネラル(API分類上は鉱物油)
10W-40にする場合
ジョッキや、メスシリンダーなどを使って、下記のように混ぜ合わせます。
ZZ-01 5W-35 40%(400ml)+ZZ-02 10W-45 60%(600ml)=1000ml(1リットル)
■Ester Racing NC-50/NC-51
同じくニューテック社のオイル。大型バイクやスーパースポーツ、チューニングエンジン向け。
ZZシリーズよりワンランク上のグレードになります。
ZZシリーズとの大きな違いは、エステル成分の含有量。インターセプターよりも、NC−50/51の方がエステルが多く含まれているそうです。
私も真夏の長距離ツーリングなどの際は、CB125T改にNC50/51をブレンドしたものを使用しています。
このオイルもニューテックオイル同士ならブレンドしてOKです。
NC-50 0W-30 化学合成(エステル系)
NC-51 10W-50 化学合成(エステル系)
NC50シリーズとインターセプターZZシリーズとの違いは、実際に走っているとあまり分からないです。
逆に言えば、それだけZZシリーズが高性能なのかもしれません。
NC50シリーズを使用中、意図的に油温120℃を超えさせた事がありますが、体感できるレベルでは性能低下は見られませんでした。コスパは極めて高いオイルだと思います。
大型バイクはもちろん、ミドルクラスのバイクならこのグレードがいいでしょうね。
もうワンランク上の高性能オイルもあります。
世界一になったオイル
主にレース用として開発されたオイルです(ストリートでの使用も可)
※これはまだ試したことはありません

さきほどお伝えしたとおり、テクニカルスポーツレーシング率いる「F.C.C. TSR Honda France」は、2017-2018年 FIM 世界耐久ロードレース選手権シリーズで、年間チャンピオンに輝いています。
その耐久レースで実際に使用されているオイルがNC-40/41です。
「市販されているオイルと、レースで使用されているオイルは別物」
というのが通例ですので、ニューテック社の市販オイルのクオリティがいかに高いか、うかがい知ることができます。
サーキット走行や最新のスーパースポーツバイクであれば、これを試してみたいところです。
表記から読み解く、ほかのオイルとのちがい
NC40/NC41に「100%化学合成(エステル系)」と記載されていることから、NC50/NC51やインターセプターシリーズは、ベースオイルに鉱物油を使用し、エステルなどの化学合成油をブレンドした「部分合成油」だと思われます。
部分合成油とは?
セミシンセティック、半化学合成油、半合成油とも呼ばれています。エンジンオイルは、ベースオイルにさまざまな添加剤を加えてつくられます。ベースオイルに鉱物油を用い、補完的にさまざまな合成油を添加したものを「部分合成油」といいます。鉱物油をベースとすることで、コストが抑えられるメリットがあります。
NC-40 5W-30 100%化学合成(エステル系)
NC-41 10W-50 100%化学合成(エステル系)
エンジンオイルNC-40/NC-41について
レース用として開発しました!
通常レース用エンジンオイルは寿命が短いが、NUTEC OILはロングライフ化を図りチューニング車両一般車両用としても使用出来るよう開発しました。
ロングライフテストを実施(チューニング車両 12台)全車1万km走行オイルの耐久性はクリアーしています。オイル交換時期は5000Kmを目安として下さい。
NCシリーズオイルは、外気温25度程度であればエンジン始動後EXパイプより水分が出てきます。これはエンジンの燃焼状態が良好なことをあらわしています。
本来のオイル性能が発揮されるのは下記を目安にして下さい。
実車走行 100Km程度
ベンチテスト 2,500~3000rpm/1時間 5%負荷程度ベンチテスト.シャシダイナモテストの結果、車種.仕様によって出力に変化のないことがあります。これはオイルの効果によって圧縮圧力.吸入空気量等に変化があり要求A/Fが変化することがあります。
http://nutec.jp/
走行インプレッション
テスト車両:
HONDA CB150T(CB125T改)
空冷4サイクル並列2気筒
※オイルクーラーなし
計測方法:
コールドスタート後、油温が80℃を超えた状態から計測して、上限と下限を複数回テスト。(基本的に渋滞など特殊な環境はカウントしない)走行シーンはストリート、峠、ツーリング、有料道路のすべて。
以下、私が過去ブログに掲載したインプレッションです。
まずはZZシリーズから。
■テスト銘柄1
期間:2015年
・ZZ-01 5W-35
・ZZ-02 10W-45
単品、もしくは上記2つをブレンド
2016/1/17
約8000km走行後のレビュー
使用銘柄:ZZ-01(5W-30)、ZZ-02(10W-45)
ノーマル車両:6000km
142ccボアアップ後:2000km
当初は02を使っていたが、秋以降になって01を使っている。メーカーに問い合わせたところ 「01でも大丈夫」とのことだったが夏場は念のため02を使っていた。
今回、CB125Tをボアアップして高速を走行するために 事前にオイル交換。01を使用した。
冬とはいえ8000〜10000rpmの連続走行。湘南から鈴鹿までの道のりは長い。
しかし予想に反してトラブルの予兆すら無かった。1050km走行後のオイル交換ではボアアップ直後ということもあって若干、オイルに金属粉が混じっていたが性能面の低下は感じられなかった。
念のためメーカーにボアアップした旨を告げると 上級銘柄のNC-50、51を薦めていただいた。
(ブレンド比率も教えてくれた)
こうしたきめ細やかなサービスにニューテック社の姿勢が現れているといえる。 良い製品をつくる事は大事だが、それ以上にきちんと使い方を教える事も同じように大切なことだと思う。
4/15 外気温23℃ 晴れのち曇り
最高油温95℃
走行時85℃〜90℃
4/28 外気温20℃ 晴れ
最高油温102℃
走行時85℃〜95℃
■テスト銘柄2
期間:2016年1月〜12月
チューニングマシン/スポーツ走行用
・NC51(0-30W)
・NC50(10-50W)
単品、もしくは上記2つをブレンド
5月上旬 平均気温20℃度半ば
ストリートでは最高で瞬間油温101℃をマーク。60km/h、スムーズな流れで数百メートル走行すると油温は5℃下がる。
やや冷たい風の吹く海沿いや、スムーズに数キロ続けて走行すると10℃ぐらい下がる。
最低 78℃~最高101℃
信号待ち平均 90℃~95℃
2016/6/2
ペースダウンした峠道で最高104℃をマーク。走行になんら支障なし。
夏場の渋滞(信号待ち)で120℃を越えたことがありますが、体感レベルの性能低下はありませんでした。
油温はご使用のバイク、走り方によって変わります。

旧車・外車・大型バイクお勧めのエンジンオイル
16年間、鈴鹿8時間耐久ロードレースに参戦し、ワコーズのオイル開発を手がけた国際A級ライダーがお勧めするオイルを紹介します。
三和化成工業のVerity(ベリティ)です。
ベリティは三和化成工業株式会社のオイルブランドで日本製のオイル。ベリティブランドはロードレーサー加賀山 就臣(かがやま ゆきお)選手率いる「Team KAGAYAMA」のスポンサーとしても知られています。
三和化成工業は国内最大手の自動車メーカーや、バイクメーカーの純正オイルをつくっている潤滑油会社。自社で原油を精製して、オイルをつくっています。
私がベリティを知ったのは、このブログでおなじみガレージ湘南の代表 日向社長。
お店でベリティのエンジンオイルを使っていたのがきっかけです。日向社長は、ワコーズのオイル開発ライダーを務めた経験があり、ふだん整備で使うグリスも独自にブレンドして作られています。

日向社長はこれまで1080基以上のエンジンをオーバーホールされたそうですが、「カワサキ車はとくにエンジンオイルが重要だ」と仰っていました。
いいオイルを使わないと、すぐ音がするようになるのだとか。
国内外のさまざまなメーカーのオイルを、鈴鹿8耐という厳しい環境で使用してきた日向社長がお勧めするエンジンオイルということもあって、私も何度かCB150Tでベリティをテストしてみました。
BIKE FS HR VER3 10W-40 MA
BIKE FS HR VER3は、ベリティブランドの中で最上グレードオイルです。
価格面で比較すると、ニューテックのNC40/41に相当するかと思います。
BIKE FS HR VER3はニューテックのNC40/41と同様、市販オイルでありながら、実際に鈴鹿8耐で使用されているオイルです。(もちろん公道走行OK)
使用した感想としては、ニューテックのZZシリーズやNC50シリーズと甲乙付けがたい印象です。
油温を比較しても大差はありませんでした。
あえて言うなら、エンジンのレスポンスは、ニューテック(インターセプターシリーズ/NC50・51)に軍配が上がります。ニューテックオイルが低温時でも鋭いレスポンスなのに対し、BIKE FS HR VER3は冷えていると(適正油温になるまでの間)若干、もっさり感があるからです。
このもっさり感は日向社長も、お店の軽トラに入れて走った時に感じたそうで、以来、軽トラには別のオイルを使用するようになったとか。
といっても、適正油温まで達したらニューテックオイルも、ベリティも変わらないですけどね。
オイルの耐久性はBIKE FS HR VER3に軍配が上がると思います。
BIKE FS HR VER3は4,000km走行しても、ほとんど性能低下が体感できませんでした。
筆者のCB150Tのエンジンオイルは指定の交換サイクル3000km毎に交換している。油温計が付いてない車両の場合、シフトギアの入り具合でエンジンオイルの劣化具合を判断しやすい。
オイルの劣化が進むと、ギアチェンジの際、ギアが入りづらくなってくる。
筆者のCB150Tは小排気量ながら高回転型エンジンであること、さらに私自身、アクセルを開けた時のレスポンスを重視するため、ニューテックのオイルを使っています。
このあたりはライダーの好みでしょうね。
レスポンス重視?エンジン保護? オイル粘度のえらびかた
かんたんにオイル粘度について触れておきます。
鈴鹿8耐など耐久レースは、エンジン保護性能を重視するため油膜を厚くする。反面、抵抗が増えるためエンジンのレスポンスは落ちる。
スプリントレース(比較的、短い距離で競うレース)の場合は、レスポンスを重視し、耐久レースほど厚い油膜を必要としない。
用途がちがえば、重視するポイントも異なる。
比較した場合
・油膜が厚い(粘度が高い)=抵抗が増える=レスポンスは鈍くなる、燃費は落ちる
・油膜が薄い(粘度が低い)=抵抗が減る=レスポンスが良くなる、燃費は向上する
近年の自動車やバイクで、オイル低粘度化がブーム?になっているのは「燃費」を重視しているため。
エンジン保護を第一に考えた場合、下手にオイル粘度を下げないほうが無難です。
低粘度オイルはエンジン停止後、シリンダー(壁面)に付着したオイルが下に落ちやすくなります。そりゃそうですよね、柔らかいわけですから。
ということは、頻繁にバイクに乗らない人の場合、エンジン始動の際、エンジンを痛めることも起こりうるわけです。
低粘度オイルには、こういった隠れたデメリットもあります。(一般的には知られていませんが、エンジンは走行中よりも、コールドスタート時にダメージを受けるという話があります)
そのため、某潤滑油メーカーでは意図的に「10W-30」など低粘度オイルがラインナップされていないそうです。
「わざわざダメなオイルをつくってどうするんだ?」という方針だそうで・・・。
メリット・デメリットを踏まえた上で、どう選べばいいか?
バイクメーカーの指定粘度以上のオイルを使用することです。
たとえば指定粘度「10W-40」の場合、「30」や「35」以下のオイルを使用しない。
ちなみにWはウィンターの略。つまり低温時のオイル粘度のことです。

ですから指定粘度が「10W-40」でも、「5W-40」のオイルを使う分には問題ありません。
高温粘度をメーカー指定よりも低くしないほうがいいよ、という話です。
ただし、例外があります。
メーカー指定粘度は、あくまで「新車時」の話。走行距離を重ねると、エンジン内部のパーツがすり減ってきます。ようするに、新車よりも部品と部品のすき間(クリアランス)が広くなるわけです。

いっぽうエンジンオイルには、油膜ですき間を埋める「密閉性」という役割があります。
極端にいうと、「新車の時は10W-40でちょうどよかったけど、走行距離が伸びてしまい、40だと密閉できなくなった」ということが発生するんですね。
ということは、オイル粘度を下げる? 高くする?
そうですね。一般的にオイル粘度を高くします。
たとえばガレージ湘南では、CB750FourやZ1、Z2といった1970年代のバイク、CB750Fや空冷Z・GPZなど1980年代のバイク、ゼファーやZRXなど1990年-2000年のバイク、最新のリッタースーパースポーツ、ハーレーにBIKE FS HR VER3(10W-40)を使用しています。
エンジンオイルが原因で起きたトラブルは皆無だそうです。
わざわざ潤滑性能に劣る鉱物油を使うより、多少、オイルが滲んだとしても、潤滑性能の良いオイルを使用したほうがいい
という理由で現行車・旧車を問わず、空冷エンジンにも100%化学合成油を使用されています。
筆者もこの考え方に賛成です。
旧車など部品が出なくて、壊せない絶版バイクや、ハーレーの場合、耐熱性に優れるBIKE FS HR VER3を使用するのが賢明だと思います。
ここまで読むと、「走行距離がどのぐらいになったら、粘度を高くすればいいんだ?」疑問が出てくるかもしれません。
エンジンというものは実際、乗り手(歴代オーナーを含む)次第で、状態はおおきく変わります。つまり、走行距離はたんなる目安のひとつで、走行距離だけで判断することはできないという事です。
人間だってそうでしょう? 年齢と健康状態が、かならずしも一致しないのと同じです。
ですから指定粘度のオイルを、きちんと定期交換する。
その上で、いつもと調子がちがうと思ったら、オイル銘柄を換えたり、粘度を高くしてみるといいでしょう。
(筆者は自分で判断せず、速攻でメカニックに診断してもらいます)
鈴鹿8耐 VS ル・マン24時間耐久ロードレース エンジンに厳しいのはどっち?
オイルメーカーの方いわく、よりエンジン(オイル)に厳しいコンディションは、鈴鹿8耐だそうです。理由は、真夏の灼熱地獄でおこなわれる鈴鹿8耐に対して、ル・マンは気温が低いから(高くても30℃ぐらい)。
タイヤでもそうですが、より過酷な環境でテストされた製品ほど、限界も高くなります。「日本は高温多湿だから、日本で開発・テストされたオイルがいい」という意見もあります。
オイル業界の裏側
あくまで筆者の考えですが、鉱物油のメリットは価格が安いぐらいしかないと思います。
メーカーさんとかは、商品を売らないといけないんで本音は言わない(言えない)ですけど。
やたら鉱物油推しとか、「空冷エンジン用」「ハーレー用」みたいな車種限定のオイルって、はっきり言って販売戦略です。
筆者も最初は知りませんでしたが、オイル業界の中の人からオイルをつくる過程を聞いて、「どの業界も似たようなものだな」と思ったものです。
サプリメントとか、化粧品とかもラベルやパッケージが違うだけで、中身の成分はほとんど同じですからね。
「○○専用」と言ったほうが売れるんで、そういった謳い文句を使ってるだけです。
(各メーカーのフォーミュラを手がけている方が言ってました)
良い商品が売れる→×
(粗悪品でないかぎり)宣伝上手な商品が売れる→○
いつの時代も、どの分野も似たようなものです。
いわゆる「売れているオイル」を見ると大抵、「マーケティングがうまいな」と思います。実際に使ってみると、中身は大したことないというか、平凡だったりしますけどね。
その逆で世の中には製品は良くても、宣伝下手な製品も多いです。(もったいないなぁ〜と いつも思います)
バイクに関しては、あまり低粘度オイルを使うメリットはあんまりないと思います。筆者の場合、指定オイルが30でも40を使うでしょうね。それこそ、よっぽど短い距離しか走らないなら別ですが。
ちなみに他社のエンジンオイルを機械で分析すると、成分がわかるそうです。
昔からホンダが他社のバイクを購入して調べたり、他のメーカーが同じ事をやったり、という話がありますが、どこも似たようなものですね。
素人にはオイルの良し悪しがわからない?
こんな事を言うとクレームが来そうですが、深く知れば知るほど、筆者は実感しています。
自分にとってフィーリングが良いオイルかどうかはある程度、判断できても、オイルメーカーのように走行後、オイルを分析しているわけじゃないからです。
ほかにも理由があります。
通算16年間、鈴鹿8耐に参戦していたライダー(有限会社ガレージ湘南 代表 日向社長)に
いろんなメーカーのオイルを実際に使ってみて、印象に残っているオイルはありますか?
と聞いたことがあります。
しかし、返ってきた答えは意外なものでした。
レースの場合、チェッカーを受けるまでエンジンが壊れないことが重要。
だからエンジンが壊れなければ、とりあえずそのオイルは合格という考え方。オイルだけが原因でエンジンが壊れたことがないから、特別に良いオイルはないね。
でも、あるメーカーのオイルは、明らかにエンジンの音が大きくて、ペアライダーと「壊れるんじゃないか」って、ヒヤヒヤしながら走行していたよ。
※メーカー名は伏せておきます
「エンジンが壊れないオイルがいいオイル」という考え方は、TSRの過去のインタビューでも語られていました。
だったら一体、どういう基準で使用するオイルを選んでいるのでしょうか?
私は、続けて質問しました。
レースの場合、オイルメーカーから依頼されて使用することが多い。
チームやライダーの成績が良ければね。
メーカーから「ウチのオイルを試してほしい」と売り込んでくる。いくらかお金を払うから、ぜひ使ってほしいと。それで使用するケースが多かった。
あとは、自分のレースチームのスポンサーに、関係のあるオイルメーカーが居る場合、そのメーカーのオイルを使う事になるね。
日向社長は雑誌でテストライダー務めたり、記事を書いていた事もあるそうですが、雑誌社にもよく、オイルメーカーから売り込みがあったそうです。
また、こんな話もあります。
レースで勝利しても、エンジンオイルが良かったから勝てた、という事を証明する事は極めて困難だ。
自動車メーカーのエンジニアたちは、自分たちが開発したパーツのおかげで勝利したと主張するだろう。自分たちがやっている事を否定することになりかねないので、「オイルのおかげで勝てた」とは決して認めたがらない。
某自動車メーカーの開発担当者
そもそも、レース活動には多額のお金がかかります。
「サーキット使用料、交通費やガソリン代、タイヤにパーツ。だからエンジンオイルまでお金をかけられないし、そこまでオイルは重要視されていない」という話もあります。
以上の話を踏まえると、
レースで採用されている=宣伝費を払ってバイクメーカーや、レースチームに宣伝してもらっている
レースで実績がある=オイルのおかげで勝てたかどうかわからないが、少なくともエンジンが壊れないオイルである
と推定することができます。
単純に、高いオイルや有名なオイル=高性能ではないという点に注意ですね。
あと「メーカー純正オイルがいい」というのも、バイアスや擦り込みによる洗脳であって、事実ではなかったりします。実際のところ、メーカー側もコストダウンとか、いろいろな制約がありますからね。
でも、純正オイルが必ずしもダメかというと、そうは言い切れません。
このあたりの事情は、こちらの記事で話しています。(2ストメインですが、4ストにも共通する話)

純正オイル VS 社外オイル
純正オイル至上主義の人は、読まないほうがいいです。
ベリティのBIKE FS HR VER3で、5,000kmほど走行した後、某メーカーの純正オイルに交換した時の話。
「!?」
オイル交換後、あきらかな性能低下を感じました。あまりの劣化ぶりに驚愕したほどです。
信じられますか?
通常、オイル交換したら少しは調子が良くなりますよね。それがまったく逆の現象が起きたわけです。
まず油温が60℃ぐらいなのに明らかにミッションが入りにくい。すごく固いんですね、ギアチェンジでイライラするほど。エンジンのレスポンスも、もっさり感がすごい。
CB150Tでは初めての経験です。
「一体、何事か?! ついにエンジンの寿命か?」
本当に驚きました。それが油温90℃以上(適正油温の範囲)になっても同じでした。
念のため言っておくと、交換した某純正オイルの粘度はBIKE FS HR VER3と同じ10W-40。オイル量も適正です。気候など、ほかの理由も考えましたが、ちがう様子。
もともと、空冷エンジンのCB150Tは、夏場にオーバーヒート気味だったため、純正オイルは使用せず、さまざまなメーカーのオイルをテストしていました。
その中でニューテックや、ベリティといったオイルに出会ったわけですが、純正オイルと高性能オイルでは、ここまで圧倒的な差があるとは・・・
当たりのオイルに出会ってから随分と時間が経過してたので、今まで気がつきませんでした。
いつの間にか良いオイルに慣れすぎていたんですね。
BIKE FS HR VER3の高耐久性と高性能を実感したエピソードでもありました。その後、純正オイルから高性能オイルに交換したのですが、明らかに調子が良くなりました。
(エンジンオイル以外は一切、変更なし。季節も同じなので気温による影響も考えにくい)
あえてBIKE FS HR VER3のデメリットを挙げるなら、価格でしょうか。
いくらボアアップしてると言っても、6,000円の中華シリンダーを装着しているCBTにはオーバースペック過ぎます。ストリートメインで、都心みたいな大渋滞がなければ、もう少し低いグレードでも大丈夫そうです。
真夏にエンジンを高回転キープで走るとか、ロングツーリングに行くなら、CBTみたいな小排気量バイクにもお勧めですけどね。
まとめると、BIKE FS HR VER3は
・都市部など渋滞が多い
・サーキット走行
・高回転を多用して走行するバイク
・真夏の長距離ツーリング
・旧車や空冷エンジン
・スーパースポーツ、リッターバイクなど発熱量の大きいバイク
にお勧めのオイルだと思います。
エンジンオイルの選びまとめ
どのオイルを選んでもいいと思いますが、
1,適切な粘度のオイルを選ぶ(原則はメーカー指定粘度以上)
2,バイク用オイルを選ぶ(4輪用オイルの場合クラッチがすべる事があります)
3,オイル量は適切にする(入れすぎ、少なすぎはダメ)
4,目的に合ったオイルを選ぶ
5,純正オイルを下回るオイルは使わない
こうした基本は守ったほうがいいですね。
とくにオイルは目的(使用用途)に合ったブレンドでつくられます。
わかりやすい例が、レース専用とストリート用です。
とくに鈴鹿8耐で使用されるオイルは、アクセル全開の連続走行で最高のポテンシャルが発揮できるように設計されています。
いっぽう市街地を走るスクーターの場合、そこまで過酷な走行はしませんね。
むしろ短い距離しか走らない(エンジン油温がそれほど高くならない)事も多々、あります。
そうなると、高回転や高温での走行を前提に設計したオイルだと、かえってバイクや走行シーンと合わなくなるのが想像できると思います。
・高回転を多用するライダー、低回転までしか回さないライダー
・チョイ乗りする人、ある程度距離を走る人
・発熱量の多いバイク、そうでないバイク
いろんなシチュエーションがありますからね。
オイルメーカーはバイクや目的に応じたオイルを開発するわけです。なので特別な走り方をしないのであれば、予算の許す限り、用途に合ったオイルを選べば大きな失敗はないと思います。
ただ、純正指定オイルが高いからと言って、低品質なオイルを使うのはやめたほうがいいと思います。
粗悪なオイルを使い続けると、エンジンへのダメージが通常より大きくなるからです。今日明日、エンジンが壊れることはないかもしれませんが、ダメージは蓄積します。
はっきりとわかる症状が起きた時は、もう手遅れです。(要修理レベル)
日頃から、定期的にオイル交換したり、せめて月に1回はオイル量や汚れ具合をチェックすることも大事です。
・目的や用途によって良いオイルの基準は変わる
どこでどういう走り方をするか、マシンとの相性、予算など
・空冷エンジンにこそ化学合成油を使う
「空冷エンジンはクリアランスが広いから鉱物油がいい」は都市伝説
・原則として異なるエンジンオイルを混ぜない
同一メーカーのオイルなら混ぜて大丈夫なものもある
・オイル交換時、異なる銘柄のオイルが多少混ざるのは許容範囲
・メーカー指定の粘度と同じバイク用エンジンオイルを選ぶ
過走行車などエンジンのクリアランス(隙間)が広いバイクは指定粘度より低いオイルを入れない
・継続的に自分が購入できるオイルを選ぶ
・メーカー指定のオイル交換サイクルを守る
・日頃からオイル量や状態を確認する
ものすごく重要!
学者さんの研究によると、使用するエンジンオイルが、エンジン内のカーボン蓄積の決定要因になります。
詳細はこちらの記事で話しています
【衝撃の検証結果!】ガソリン添加剤の効果 テスト期間6年11ヶ月
もし、オイル選びに迷ったら?
ニューテックのZZシリーズかNC50シリーズ、予算に余裕があればベリティ BIKE FS HR VER3をお勧めします。
無理して高いオイルを入れなくてもいいと思います。ちょっと試してみて、「変化があるかどうか」そういうのもバイクの楽しみの一つですからね。
ちなみにラインナップが多すぎて選べない場合、オイルメーカーさんに直接、聞くのが早いです。
・車種
・改造の有無
・どういう使い方をするか
・どこに住んでいるか
・悩みや問題(例:オーバーヒート)
判断材料となる情報を伝えれば、「このオイルがお勧めです」と教えてくれます。
私が新しいオイルを試す時はそうしています。
なんの情報もなく「どのオイルがお勧めですか」といった漠然とした質問は、相手の時間を奪うだけになってしまうので注意しましょう。
筆者おすすめ
参考例のまとめとして、ご紹介します。
ハイグレードオイル
熱的にきびしい大排気量バイクや、高回転での連続走行を多用する人、旧車、空冷バイク、ボアアップなどチューニングエンジンにおすすめ。
予算に余裕があれば、イチオシです。
特に耐熱性に優れ、スラッジの発生が少なくエンジン内が汚れ難い
バイクレースの高回転高負荷による過酷なせん断力を受けて粘度低下する事を防ぐ為、敢えてエステル+PAOの設計で5Wではなく10W-40 とし、シャープなレスポンスを実現
耐久レース等、各種レースに使用可能
殆どの一般4サイクルバイクに使用可(MB適合車を除く)
https://verityoil.com/products/motorcycle/bike-fs-hr-ver3-10w-40-ma/

入門モデル
初めて純正指定オイル以外を使う方向けにおすすめなオイル。
インターセプター
ストリートやライトチューニング用に開発されたエンジンオイルで、強靭な極薄の油膜がエンジン性能の高効率化を実現します。
ワイドレンジをカバーする粘度を新たに設定し、手軽に幅広くニューテックテクノロジーを感じていただける製品に仕上げました。
https://nutec.jp/products/engineoil/zz01-zz02-zz03.html
インターセプターシリーズは、小排気量バイクのほか、CBX400FやFJ1000Rなど、設計の古い空冷エンジン(いわゆる旧車)で使用されているようです。
(エイプ100については「NC40 NC41」か「NC50 NC51」の30番がメーカー推奨)
一部例外を除けば、日本メーカーの250cc以上なら、おおむね「NC40/NC41」(ミドルグレード)か、「NC50/ NC51」(ハイグレード)がメーカー推奨のようです。
ZZ-03 10w40(水素化精製ミネラル) スクーター向け
ZZ-03よりワンランク上のオイル
ZZ-01 5w35(化学合成 エステル系)
ZZ-02 10w45(化学合成 エステル系)
ブレンドするのが面倒な方、むずかしいと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、メスシリンダーなどの計量器さえあれば簡単ですし、自分でオイル粘度を自由に調整できるのは、とても便利です。
筆者が気になっているオイル
まだテストしていませんが、気になっているオイルを紹介します。
株式会社トライボジャパンの「モティーズオイル」です。ここ数年、バイクや、車のロードレース界で知名度を上げている会社です。
社名の由来は「トライボロジー(摩擦学)」から来ているのだとか。
今回、ご紹介したオイル以外で、ほかとは違うオイルを試してみたい人は、いいかもしれませんね。
(2スト用もあるので、そっちを先に試そうかな)
あると便利な廃油パック。
混ざっても大丈夫?エンジンオイルを変える時の注意点
「いつもと違うオイルを使ってみたい」
「でも、いま入ってるオイルと混ざっても大丈夫かな?」
心配するライダーもいるかもしれませんが、多少なら大丈夫です。
さきほど少しだけ触れましたが、エンジンオイルは基礎となるベースオイルと、さまざまな添加剤によって構成されています。
たとえば、同じようにエステルを使ったエンジンオイルでも、エステルの含有量がちがったり、使っている添加剤の種類や分量が、メーカー各社で異なるわけです。
(同じラーメンでも、お店によって味が違うのと同じですね)
エンジンオイルの場合、できれば他社と他社のオイルを混ぜて使用することは避けた方がいいです。
まず第一にメーカーがエンジンオイルを設計する上で、他社のオイルとブレンドして使用する事を想定していないからです。
オイルは様々な添加剤が使われている化学製品です。むやみに混ぜてしまうと、変質して本来の性能が発揮できなくなる恐れがあります。性能低下を招く可能性があるわけですね。
とは言っても、
入っているオイルを完全に抜くのは少々、手間がかかります。
現実的な方法はフラッシングオイルを使うことです。くわしい方法はこちらの記事で解説しています。

マニアックな世界
「少しでも油温を下げてエンジン寿命を延ばしたい!」
という方は、オイル添加剤の使用を検討するのもいいと思います。

摩擦によって、どれだけエンジンパワーが失われているかは、科学的データをもとにこちらの記事で解説しています。

実験結果を公開!
本ブログで紹介している方法やオイルを使用し、筆者自身が実践したテスト結果をレポートしています。
走り方によっても、油温の変化や、エンジンへのダメージは変わります。




