乾ヤスタカ|コアなバイクブログ

旧車・空冷・大型バイク 熱ダレに強いお勧めエンジンオイル

4st オイル おすすめ

筆者みずからテスト費用ウン十万円、6万km以上のテスト走行を実施。

4ストバイクのエンジンオイルを試した中で、良いと思ったオイルを紹介します。

一般的なオイルの選び方ではなく、エンジンオイル開発に関わった方々から教わった裏話、オイルメーカーの方に直接うかがった意外な落とし穴、最新情報をシェアします。

空冷バイクはもちろん、旧車・絶版車、ハーレーや大型バイクに乗っている方の参考になればと思います。

自分のバイクがオーバーヒート気味になるのがきっかけで、オイルについて学んだり教わったり、自分でテストするようになりました。

(非売品のオイルをテストさせて頂いたことも)

また旧車やスーパースポーツを含む60基以上のエンジンオーバーホールの現場に立ち会い、エンジンオイルがどれだけ重要かを目の当たりにしています。

本記事では、できるだけ専門的でこむずかしい話は抜きにして、バイク初心者の方が要点を理解できるように順を追って話しています。

そのため一般公道での走行・使用が前提となっています。

本記事の閲覧数が4.2万人を突破しました。ありがとうございます。(記事は随時、更新中)

本ブログでは、春夏秋冬で使えるオイル選びや、油温管理、暖機運転など、日常でのバイクの扱い方をプロから学んで、みずから実践。検証した結果をお伝えしています。

2ストオイルは以下の記事で紹介しています。

目次

エンジンオイルは宗教

エンジンオイルは、私たち一般のライダーにとって、良し悪しの判断基準がわかりにくいため、「エンジンオイルなんて宗教だよ」みたいな事を言われがちです。

果たして、本当にそうでしょうか?

実際にはエンジンオイルは、「トライボロジー」(tribology)という学問に基づいて、つくられています。

トライボロジーは造語で、「摩擦学」や「潤滑学」と訳されます。

たとえば、エンジンという機械と、オイルはそれぞれ組み合わさって機能します。つまりエンジン単体、オイル単体の理屈で考えてもダメで、両方セットでどんな働きをするのか?

それを探求する学問です。

ただ、私たち一般のライダーのほとんどは、トライボロジーの名前すら聞いたことがなかったりします。

その結果、有名メディアなど、(一見すると)信憑性のありそうな情報を鵜呑みにしたり、SNSにある根拠のない情報を信じたり、なんとなくのイメージ(思い込み)でオイルを判断したりします。

ところが(真っ当な)エンジンオイルをつくっているメーカー側からすると、ちゃんとした理論、基礎的な学問の上でオイルを研究したり、開発しているわけです。

ですので、製品の良し悪しも科学的な根拠に基づいて、検証しています。

メーカーさんは決して、感覚的にオイルをつくっているわけではないんですね。

だから消費者である私たちライダーは、「よくわからない」で終わらせるのではなく、素人なりにポイントを抑えた上で、判断する知識を身につければいいと思います。

そのための知識を、本記事でお伝えしていきます。

なぜ、エンジンオイルは重要なのか?

基本的なことですが、エンジン寿命を左右するかなり重要なテーマなので、念のため解説します。

もし、エンジンオイルが無かったら?

エンジンオイルは、その名のとおりエンジン内部を潤滑することで摩擦抵抗を減らし、摩擦熱をおさえたり、金属の摩耗を防いでいます。

エンジンがエンジンとして機能せず、焼き付きます。

金属と金属が摩擦すると、高温の熱が発生します。その熱によって、焼き付くわけです。実例を見てみましょう。

バイクエンジンオイル潤滑
エンジン内部

エンジン各部を潤滑しているエンジンオイル。4ストロークエンジンで多いのが、クランクシャフトの焼き付き。

クランクシャフトは、自転車で例えると、ペダルの軸の部分にあたります。いくら足でペダルをこいでも、全く動かなければ、チェーンが回らず、前に進めませんよね。

クランクが焼き付くと、それと同じような状態です。がっつりロックされているので、エンジンはかかりません。

GSX400E クランク焼き付き
GSX400Eのクランクシャフト

黒っぽく変色し、筋が入っているのがわかるかと思います。クランクシャフトは要交換です。

GSX400E メタル焼き付き
GSX400Eのコンロッドメタル

クランクシャフトに接しているコンロッドメタルが変形していました。

GSX400E コンロッド焼き付き
GSX400Eのコンロッド

左側は正常なコンロッド。右側の焼き付いたコンロッドは内側が傷だらけになっています。

ZX10R クランク焼き付き
ZX-10R

走行距離1万8000kmで焼き付いたZX-10Rのクランクシャフト。こちらもクランクシャフトは要交換となりました。

焼き付いたクランクシャフトの中には、だ円に変形していたクランクシャフトもあります。

どうして、クランクが焼き付いたのか?

さまざまなケースがありますが、

  • エンジンオイルを交換していない
  • エンジンオイルの量が不適切
  • オイルポンプの故障(旧車に多い)

よく見られるのは、これらに起因するものです。

オイルポンプによってオイルがエンジンの中を循環しています。人間の血液が、心臓によって全身を循環しているのと同じですね。旧車の場合、オイルポンプが故障して、潤滑不良でエンジンが焼き付くことがあります。

ただ、それよりもはるかに多いのは、エンジンオイル管理を怠った事による焼き付きです。

オイルが劣化するということは、本来の性能が発揮できていないわけですからね。

筆者が見ているかぎり、オーバーホールで持ち込まれた(4スト)エンジン70基のうち、焼き付きは6基。

いずれもクランクシャフトでした。

焼き付きに至らなくても、クランクシャフト・コンロッドにダメージが見受けられるケースがほとんどです。オイルは、潤滑することで摩擦抵抗を減らし、摩擦熱をおさえたり、金属の摩耗を防いでいます。

金属と金属の間の油膜が、クッションになっているわけですね。

適切なオイルを使わなかったり、劣化したオイルを使い続けると、潤滑不良となり、徐々にエンジンにダメージが蓄積し、焼き付きに至ります。

エンジンの故障実例

リトルカブ ピストン焼き付き

「壊れない」と言われるカブのエンジンも、オイル交換しなければ焼き付く。長持ちするのは、あくまできちんとメンテナンスをおこなった場合の話。

CB125Tロッカーアーム

オイルが入っていない状態で走行し、メーター走行19,000kmでエンジン不動になったCB125T。ロッカーアームが損傷している。

4スト シリンダー焼き付き
純正シリンダー

2番にも傷は見られるが、とくに1番シリンダーの損傷が激しく、縦傷が入っている。

CB125T 142ccボアアップシリンダー
142cc 中華製シリンダー

筆者のCB125T用142cc中華製シリンダー。走行距離は47,968kmだが、シリンダーに目立った傷はなく、まだまだ使える状態だった。

4スト ピストン焼き付き
1番純正ピストン

さきほどの深い傷が入っていた1番シリンダー(CB125T)のピストン。焼き付いていると言っていいほどの損傷。

4スト ピストン焼き付き
2番純正ピストン

2番ピストンも走行距離のわりに傷が多い。

CB125T ボアアップ用ピストン
142cc 中華製ピストン

筆者のCB125T用142cc中華製ピストン。さきほどのシリンダーと同じく走行距離は47,968km。多少の傷はあるものの、使用可能な状態。

このように比較すると、

走行距離が19,000kmと短くても、エンジンオイルが入っていなければ焼きつく

・走行距離が47,968kmでも、オイル交換・油温管理を徹底すればエンジンは長持ちする

エンジンオイルの重要性がわかると思います。

もしエンジンが壊れた場合、いくらかかる?

クランクシャフトや、ピストンなどを交換する場合、エンジンのオーバーホール(全分解・組み立て)が必要です。

400cc四気筒の場合、クランクシャフトだけで部品代が10万円以上と、かなり高額です。ただ、いわゆる旧車は、純正部品が廃番となっているケースがほとんど。

(とくにクランクシャフトは入手困難)

つまり、車種によっては修理不可能なこともめずらしくありません。

もし、修理可能の場合でも、ちゃんと修理するなら、4気筒で最低80万円(税別。部品代と工賃を含む)以上は覚悟しておいた方がいいでしょう。

「エンジンオイルなんて、どれも同じだろう」

軽く考えていると、時間が経ってから、大きなトラブルに発展し、あとで後悔する事になります。それが数々のエンジンを観察してきた筆者の感想です。

音で比較 エンジン音のちがい

前出のクランクが焼き付いたGSX400E。

焼き付いたクランクシャフトを修正して再利用した音と、新品のクランクシャフトを組んだエンジン音との比較動画。

摩擦の影響がいかに大きいか、よくわかると思います。

ビフォー・アフターのいずれも、ピストンにWPC処理+モリブデンショットのコーティングをおこなっている。使用したクランクシャフト以外に違いはない。

いかに摩擦抵抗を減らすか、金属を保護して摩耗を遅らせるか、エンジンオイルの重要な役割です。

小排気量ビジネスバイク専門のバイク屋さんとの会話

「(ショップ側が)指定したメーカー、指定粘度とちがうオイルを使うお客さんがいるんですね。すると、エンジンの寿命が早く来てしまう。6万km持つエンジンが、3万kmで壊れたりします。

それで『なんでこんなに早くエンジンが壊れるんだ!』ってお客さんに言われる。でも、説明しても理解してもらえないんですね」

とおっしゃっていました。

まったく同じことが、中〜大排気量のバイクにも言えます。意味があって指定しているので、よっぽどの事がないかぎり、やみくもに変えないほうがいいと思います。

それでは、エンジンオイルの基本をおさえておきましょう。

エンジンオイル6つの基本性能

「こういう指標があるんだな」ぐらいに理解しておけばOKです。

1,潤滑

流体潤滑作用・弾性潤滑作用・境界潤滑作用によって、金属同士の摩擦を軽減して、エンジン内部を潤滑する。わかりやすくいうと、ローションみたいなものです。

2,冷却

エンジンオイルがエンジン内部を循環する際、発生した熱を奪って、エンジンを冷却しています。

オイルは、オイルクーラーや、オイルパン(エンジン下にあるオイルが溜まるところ)などで冷却されます。オイルパンで冷却されたオイルは、オイルポンプでエンジン各部に送られます。

3,気密

シリンダーと、ピストンリングの間には適度なクリアランス(すき間)があります。エンジンオイルの油膜がクリアランスに入り込むことで、気密性を高めています。

ピストンリング

ピストンリングや、シリンダーの摩耗が進むと、気密性が保てなくなります。すると、エンジン本来の出力を得ることができなくなる。パワーロスや、燃焼ガス漏れにつながります。

4,清浄分散

燃料の燃焼過程でカーボンや、スラッジなどの汚れが発生します。これらの汚れがエンジンにたまると、故障の原因になったり、エンジン寿命を短くする引き金になります。

それらを防ぐため、エンジン内で発生した汚れをオイルに取り込んだり、オイルの酸化を中和したりします。

エンジンオイルが使用とともに汚れていくのは、エンジン内の汚れをオイルに取り込んでいるためです。オイルが黒っぽくなるのは、燃焼で発生したカーボンを取り込むから。

ですので、「オイルの色が黒くなるほど劣化している」というのは誤解です。

オイル汚れと、オイル性能の低下は、かならずしも比例しないという事ですね。

5,応力分散

一部分に強い力がかかる際、エンジンオイルがクッションの役割をして、ショックを吸収し、力を分散します。

6,防錆

オイルが金属表面に付着して、錆の発生を防ぎます。

以上、

6つの性能ができるだけ持続するオイルが良いオイルという事になります。

逆に考えると、エンジンオイルが本来の性能を発揮できなくなる時は、これら6つの性能が損なわれた時です。

つまり、金属同士の摩擦を減らし、少しでも金属部品が減っていくのを抑えることで、結果的にエンジンを長持ちさせることにつながります。

このように考えると、けっこうエンジンオイルは重要な役割を占めることが、わかると思います。

実際には、7つめの要素として「価格」が加わります。いくら6つの性能が高くても、あまりにも高額で、手に入らなければ意味ないですからね。例:1リットル/100万円

エンジンオイルのウソ・ホント

ちょっとエンジンオイル業界の闇というか、私たちライダーが知っておいた方がいい話をシェアします。

おそらく、この話を知らないと、巷の広告宣伝に振り回されることになると思います。逆に、エンジンオイルがどうやって作られているかを知ることで、情報を自分で見極められるようになります。

まず最初に「エンジンオイル=ベースオイル+添加剤」です。

エンジンオイル

ベースオイル80%〜90%に対して、添加剤10%〜20%を加えたものがエンジンオイルです。

配分に幅があるのは、エンジンオイルによって異なるからです。

ちなみに、使用される添加剤の種類、使用量についてはメーカーの企業秘密ですので、私たち一般の消費者が知る余地はありません。メーカーが公表している情報を信用する以外ないのが現状です。

ベースオイルとは?

市販されているエンジンオイルに記載されているのは大きく3種類です。

  • 鉱物油
  • 合成油
  • 100%化学合成油

エンジンオイルの容器や、バイク用品店で目にした事があると思います。ただ、これは販売上の表記で、けっこうアバウトだったりします。というのも表示に法律上の規制や、明確な定義が存在しないからです。

(どういう問題が起きているかは、のちほど紹介します)

いっぽうアメリカ石油協会では、ベースオイルを5つのグループで明確に定義しています。

アメリカ石油協会:通称API(American Petroleum Institute)

APIによるベースオイルの定義

グループⅠ
基油:鉱物油(ミネラル)
粘度指数:80〜120
飽和分:90%未満
硫黄分:0.03%以上
精製方法:溶剤精製
市場でもっとも安価なベースオイル。

グループⅡ
基油:鉱物油(ミネラル)
粘度指数:80〜120
飽和分:90%以上
硫黄分:0.03%以下
精製方法:水素化分解処理
グループⅠより複雑なプロセスである水素化分解処理によってつくられる。グループⅠの基油と比較して、より優れた抗酸化特性を備えている。

グループⅢ
高度水素化分解基油(鉱物油)

粘度指数:120以上
飽和分:90%以上
硫黄分:0.03%以下
精製方法:水素化分解処理
グループⅡの基油よりもさらに精製されている。VHVI(Very High Viscosity Index)と呼ばれることもある。

グループⅣ
化学合成油
PAO(ポリ・アルファ・オレフィン)
原油の蒸留と精製によってつくられるⅠ〜Ⅲのグループと異なり、化学プラントによってつくられる化学物質。製造には高度な処理をおこなう設備が必要で、グループⅢの基油よりはるかにコストが高くなる。

グループⅤ
上記グループⅠからⅣに属さないもの
例:各種合成エステル、植物油、ナフテン系基油、リン酸エステル、シリコーン油、ポリブデンほか
化学合成油

簡単にまとめると、グループ1から3までが鉱物油、グループ4が化学合成油、グループ5がそれ以外です。

また同じ鉱物油でも、精製方法によってグレードが異なるという事です。

ここまでだと話は簡単なのですが、さきほどお伝えしたように、実際に販売されているエンジンオイルの表示は、私たち消費者にとってわかりにくくなっています。

代表例がグループⅢです。

厳密には原油から精製するため鉱物油なのですが、マーケティング(販売戦略)上、グループⅢの基油を使ったエンジンオイルを「化学合成油」、「合成油」と称して販売するメーカーが存在します。

もし、オイルに詳しくなければグループⅣや、Ⅴと同じ化学合成油だと思っちゃいますよね。

それでいて価格は化学合成油100%より安いので、ぱっと見よさそうに思えてしまう。個人的には「優良誤認」じゃないの?と思ってしまいます。

優良誤認とは

景品表示法第5条第1号は、事業者が、自己の供給する商品・サービスの取引において、その品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、

(1)実際のものよりも著しく優良であると示すもの

(2)事実に相違して競争関係にある事業者に係るものよりも著しく優良であると示すもの

であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示を禁止しています(優良誤認表示の禁止)。

具体的には、商品・サービスの品質を、実際よりも優れていると偽って宣伝したり、競争業者が販売する商品・サービスよりも特に優れているわけではないのに、あたかも優れているかのように偽って宣伝する行為が優良誤認表示に該当します。

出典:消費者庁 優良誤認とは

実際、アメリカでは表示をめぐって訴訟になりました。

カストロールが、グループⅢのオイルを「化学合成油」として販売したため、モービルが「不当表示だ!」と訴えを起こして、裁判で争われたのです。

結果として、モービルが敗訴。法律上「グループⅢを化学合成油と称して販売してOK」という事になりました。

つまりグレーな表示が公認されてしまったわけです。

どうやってエンジンオイル表示を読み解くか?

さて、ここまでの経緯を踏まえた上でいうと、

  • 合成油
  • 100%化学合成油
  • 半合成油

これらの表示方法について、(今のところ)日本では統一された定義もなければ、法的な規制もない状態。

オイルメーカーの良心だけが頼り、みたいな状況です。

良心的なメーカーであれば、化学合成油(エステル系)・100%化学合成油(エステル系)・水素化精製ミネラル(グループⅢ)といった、消費者側にわかりやすい製品表示をしています。

わかりにく表示や、あいまいな表示で販売しているか、できるだけ根拠を明示して販売しているか、メーカーの姿勢も判断材料になると思います。

あと、明らかに安い「化学合成油」は疑ったほうがいいでしょう。

気になっているオイルメーカーの考え方や、表示における基準を調べたり、質問してみるといいですね。

エンジンオイル添加剤

ベースオイルの話が長くなったので、サラッとお伝えします。

ここでいうエンジンオイル添加剤とは、バイク用品店などで販売されている後入れの添加剤ではなくて、エンジンオイルをつくる際、ベースオイルに添加するものをいいます。

  • 摩擦調整剤
  • 極圧剤
  • 粘度指数向上剤
  • 清浄分散剤
  • 酸化防止剤
  • 消泡剤
  • 防錆剤
  • 着色剤

以上が主要なエンジンオイル添加剤です。

添加剤にも鉱物油ベース、化学合成油ベースがあり、グレードも様々です。相性の良いもの、悪いものがあります。

また「○○剤」と書いていますが、実際には1つの添加剤で複数の効果がある添加剤もあります。ですので、「8種類の添加剤をベースオイルに混ぜれば、だれでもエンジンオイルがつくれる」というほど、簡単ではありません。

ベースオイル同様、クオリティの高い添加剤は価格も高価なため、エンジンオイル(製品)の販売価格も高くなります。

「エンジンオイルにどのような機能を持たせるか?」

「添加剤をいかに効果的にブレンドするか?」

オイルメーカー各社の腕の見せどころです。

世界のエンジンオイル添加剤事情

オイルメーカーの方いわく、ロシアのウクライナ侵略により、良質な添加剤が入手しづらくなっているそうです。良いものは中国が買い占めているとか。

あなたは大丈夫?エンジンオイルの都市伝説

筆者の考え方、前提条件を共有しておきたいので、あえてタブー?に触れておきます。

よく「空冷エンジンには鉱物油がいい。化学合成油はダメ」と言われています。

ところが具体的な根拠や、情報のネタ元を尋ねると、

SNSで聞いた

先輩が言ってた

インターネットに書いてあった

あいまいな答えが返ってきます。

「空冷エンジンには鉱物油がいい。化学合成油はダメ」という考え方は、オイルメーカーの方いわく、大昔の考え方だそうです。

なぜ、大昔の考え方が、令和になった現在も、まるで真実のように語られているのか?

筆者が調べたところ、20年以上も前のまちがった情報がインターネットによって拡散されてしまい、令和になった現在もそれを鵜呑みにしている人が多いことが判明しました。

(あるバイク雑誌を読んだ一般の読者が、記事の解説をまちがって解釈。その内容をインターネットの掲示板に投稿し、広まった。伝言ゲームの要領と同じ)

×「空冷エンジンはクリアランスが大きい」

○「水冷エンジンと比較した場合、空冷エンジンのほうがクリアランスが大きい」
あくまで両者を比較した場合の話であって空冷エンジンが特別、クリアランスが大きいわけではない。

ちょっとした言葉のちがい、解釈のちがいで全然、意味がちがってきます。

「なぜなのか?」「どういう原理や理論で、そういう結論に至ったのか?」きちんとした背景や、前提条件をおさえておかないと、情報に振り回されます。

なぜ、七面鳥の足を折るのか?

10歳の少女が、母親から感謝祭の七面鳥の調理方法を教わっていた。オーブンに七面鳥を入れる際、母親は七面鳥の足を折った。少女は尋ねた。「お母さん、どうして七面鳥の足を折るの?」

母親は少し驚いた様子を見せると、「どうしてかしらね。お母さんも、お母さんにそう教わったのよ」と答えた。

後日、理由が判明した。

少女の母親が子どもの頃に過ごした家のオーブンは小さく、七面鳥の足を折らなければ収まらなかったのだ。現在住んでいる家のオーブンは大きく、七面鳥の足を折る必要はない。少女の母親は、習慣として必要のないことをやっていたのである。

https://inuiyasutaka.net/bikeblog/front220713fork/

空冷エンジンに鉱物油は逆効果

化学合成油を使うと、オイルがにじんだり、漏れるから鉱物油がいい

これも鉱物油に関する都市伝説です。

筆者自身、ライダーですからエンジンオイルが漏れたり、にじんだりすると嫌なのは理解できます。ただ、オイルメーカーや、エンジンのプロに意見をうかがうと、全くちがった考え方になってきます。

オイルがにじむから鉱物油がいい、という理屈だと

「そもそも、エンジンオイルの目的ってなに?」

「にじまないオイルが良いオイル? にじまなければエンジンが壊れてもいいの?」

という話になってくるんですね。

というのは鉱物油の優位性って、コストが安い以外にほぼ無いからです。エンジン保護、つまり「できるだけ長くバイクを持たせたい」と考えた場合、必然的に化学合成油になります。

知らないんですか? オイルメーカーが空冷用エンジンオイルとして、鉱物油を売ってますよ!

反論があるかもしれないので言いますが、じゃあどうして鉱物油を売ってると思います?

答えは「売れるから」です。

「空冷用エンジンオイル」というコンセプトの高粘度 鉱物油オイルって売れ筋商品です。売れるから販売する。

(慈善事業ではなく、あくまでビジネスですからね)

じゃあ、性能的にどうなのかというと・・・メーカーさんの立場からすると声を大にして言えないそうですが、「いや、どう考えても化学合成油でしょ」というのが本音だそうです。

つまり何が言いたいかというと、それだけエンジンオイルがにじむ事が悪であり、オイルが悪いと信じ切っている人、オイル漏れを敵視しているライダーが多いという事です。

ところが事実をよく見ていくと、実際はちがうわけです。

たしかに古い年式の空冷エンジンに化学合成油を使用すると、オイルが滴り落ちたり、より顕著にオイルがにじんだりすることがあります。

だから「化学合成油が悪い」ではなく、オイルが漏れるのはエンジンが熱で歪(ひず)んでいたり、ガスケットが減っていることが根本的な原因です。

つまり、本来はエンジンを修理すべきで、オイルに責任転嫁したり、鉱物油でごまかすのは本質ではないですね。

わざわざ潤滑性能に劣る鉱物油を使うより、多少、オイルが滲んだとしても、潤滑性能の良いオイルを使用したほうがいい

という理由で、エンジンオーバーホール実績1,080基以上のガレージ湘南でも、現行車・旧車を問わず、空冷エンジンに100%化学合成油を使用されています。

エンジンを長く持たせることを優先する場合、筆者もこの考え方に賛成です。

ここまで言うと、鉱物油派の人たちが怒り狂いそうですが、鉱物油にもメリットはあります。コスト面です。

世界的に見ると、発展途上国とか、日本よりも所得基準が低い国もあります。化学合成油だけだと、定期的にオイル交換できなくなってしまうかもしれません。

それはそれで、本末転倒ですからね。

コスト優先の人や、「どうしても鉱物油がいい!」という人はそれでいいと思います。

パラフィン系基油とナフテン系基油のちがい

おなじ鉱物油でも「パラフィン系基油」と「ナフテン系基油」に区別されます。広告宣伝上では「パラフィン系は高級品で良質。ナフテン系は安価」と言われています。ところが・・

・芳香族系炭化水素(CA
・ナフテン系炭化水素(CN
・パラフィン系炭化水素(CP

実際にはパラフィン系基油、ナフテン系基油のいずれにも、それぞれ上記3つの成分が入っていて、便宜上、成分の割合によって区別されているだけです。(参考

バイク用品店のオイル販売事情

どうやって仕入れする(店頭に並ぶ)オイルの銘柄を決めているのか? 各店舗の担当者の好みだったり、本社の判断で決められています。

レスポンス重視?エンジン保護? オイル粘度のえらびかた

これまでお伝えした以外にも、JASO規格や、API規格など、エンジンオイルの品質を示す指標があります。

ただ、こうした規格を取得するためにはコストがかかります。

そのため、あえて上記の規格を取得していないエンジンオイルも多々、あります。じゃあ、粗悪な製品なのか?というと、規格を取得した製品に勝るとも劣らなかったりします。

むしろ、大事なのはオイル粘度です。

https://www.nks-ris.co.jp/knowledge/oil/product.html

SAE粘度は、米国自動車技術者協会が定めた粘度規格。Wは「Winter」の略で、対応する外気温を示す数字です。

数字が低いほど、低温での始動性に優れます。

例:
10W-40 (外気温 -25℃まで対応)
5W-35(外気温 -30℃まで対応)

5Wのほうがオイル粘度が低い(抵抗が少ない)ため、低温始動性に優れている。

次に高温時の粘度。

10W-40の「40」は、エンジンオイルが100℃の時の動粘度です。数字が高くなるほど、粘度が高くなり、油膜切れしにくくなります。

反面、抵抗が増えるため燃費が悪くなります。

オイル粘度は、低温と高温の2種類がある。新車や、新車に近いコンディションなら、車種ごとに指定されている高温時のオイル粘度を選ぶのが原則となる。

変化するエンジンオイルの常識

ベースオイルが鉱物油全盛だった時代は、「粘度の高いオイルのほうが油膜が強い。高い油温でも潤滑性能が維持できる」というのが一般的な考え方でした。

粘度が高い=油膜が厚い=抵抗が増える=レスポンスは鈍くなる、燃費は落ちる

粘度が低い=油膜が薄い=抵抗が減る=レスポンスが良くなる、燃費は向上する

時代の流れとして、エンジンは空冷から水冷になり、性能が上がるにつれて油温が上昇していきました。(自動車だとターボ化、高出力化)

油温が一定以上まであがると、エンジンオイルに含まれる粘度指数向上剤(ポリマー)が劣化して、オイル自体が劣化。高温時のオイル粘度が低下したり、油膜の強度が低下したり、シフトフィーリングが劣化するという問題がありました。

とくにレースの場合、少しでもフリクションロス(エンジンパワーのロス)を減らすため、できるだけオイル粘度を低くしたいわけですが、そうすると潤滑不良や、油膜切れの心配があったわけです。

そこでノンポリマーの鉱物油や、植物油を試すなど試行錯誤が繰り返されたのち、航空機エンジンで使用されている化学合成油へと、時代はシフトしていきました。

石油精製 エンジンオイル
石油の精製イメージ

残油の不純物を取り除いて精製したものが鉱物油。上部の赤枠がガソリンや、石油製品の基礎原料になる。

精製にあたっては、上に行くほど、より高度な設備が必要になるそうです。(生産コストがかかる)

時代は変わり、ベースオイルに化学合成油が使われるようになって、粘度を上げることなく油膜が保持できるようになっていきました。

(環境に配慮した低燃費化、エンジン性能の進歩、オイルの進歩いろんな要因があると思います)

「化学合成油」にもさまざまあります。さきほど紹介したとおりPAOや、エステルがあったり、同じエステルでも複数の種類があったりします。だから本当は「エステル」とか「化学合成油」でひとくくりにできないんですね。

オイル粘度を上げると油温が上がる

同じエンジンで異なる粘度のオイルを比較した場合、粘度を高くすると摩擦抵抗が増える事によって熱が出るため、かえって油温が上昇することがわかっています。

つまり、オーバーヒートを避けるためにオイル粘度を上げて、逆に油温が上昇するわけです。本末転倒ですね。

粘度と油膜の関係性

10W-40と、5W-30のオイルを比較した場合、相対的に10W-40のほうが粘度が高いといえます。

SAEオイル粘度で解説したとおり、10W-40と、5W-30を比較する場合、40と30の部分を比較します。(10W、5Wではありません。念のため)

また、一般的に低粘度オイルほどエンジン停止後、シリンダー(壁面)に付着したオイルが下に落ちやすくなります。そりゃそうですよね、柔らかいわけですから。

月に1回だけしかバイクに乗らない人の場合、低粘度オイルを使用していると、エンジン始動(コールドスタート)の際、エンジンを痛めることも起こりうるわけです。

ただ、これはあくまで一般論。

実際はエンジンオイルごとに油膜の強度は異なります。

つまり、おなじ10W-40のエンジンオイルでも、油膜の強度が同じわけではないという事です。

同じ粘度でもエンジンフィーリングが異なる

同じ10W-40の化学合成油でも、オイルによってエンジンフィーリングや、シフトタッチが異なります。使用されている添加剤の種類やグレード、配分などが異なるからでしょう。

4ストエンジンで違いを体感するのはむずかしいかもしれませんが、筆者はたまたま、2ストのギアオイルで複数の4スト用エンジンオイルをテストし、シフトタッチの明らかな違いを体感しました。

一番、シフトフィーリングがよかった非売品オイルを現在も使用しています。

600℃に耐えるエンジンオイル

一般的に「エンジンオイルの油温は120℃ぐらいが上限」とされています。

ところがオイルメーカーのエンジニアいわく、現在は技術の進歩によって200℃どころか、600℃に耐えるオイル(100%化学合成油)をつくることも可能だそうです。

ただ、現実的な話、600℃になるとエンジンのほうが先に音を上げてしまいます。

なのでエンジンを含めて考えると、120℃ぐらいが限度のようです。(バイクの適正油温

現代の鈴鹿8時間耐久ロードレース

鈴鹿8耐など耐久レースは、エンジン保護性能を重視するため油膜を厚くする。反面、抵抗が増えるためエンジンのレスポンスは落ちる。(といっても公道ではほぼ、わからないレベル)

スプリントレース(比較的、短い距離で競うレース)の場合、レスポンスを重視するので、耐久レースほど厚い油膜を必要としない。

用途がちがえば、重視するポイントも異なる。

ちなみに鈴鹿8耐で使用される(100%化学合成油の)オイル粘度は10W-40。公道と変わらないぐらいだ。

旧車・過走行バイクのエンジンオイル

旧車や絶版車、車種や排気量にもよりますが30,000km〜50,000km以上走行しているバイクの話。

さきほどお伝えしたように本来、バイクメーカーの「指定粘度」オイルを使用することが基本ですが、メーカー指定粘度は、あくまで「新車時」の話。

走行距離を重ねると、エンジン内部のパーツがすり減ってきます。

ようするに、新車の時と比較して、部品と部品のすき間(クリアランス)が広くなるわけです。

熱膨張とは
例として、ピストンリングやシリンダー摩耗による圧縮の低下

いっぽうエンジンオイルには、油膜ですき間を埋める「気密性」という役割があります。

(前出:オイル6つの基本性能のうちの3)

たとえば、「新車の時は10W-40でよかったけど、走行距離が伸びてしまい、40だと密閉できなくなった」ということが発生するんですね。

ということは、オイル粘度を下げる? 高くする?

そうですね。一般的にオイル粘度を高くします。

たとえば、ガレージ湘南では、CB750FourやZ1、Z2といった1970年代のバイク、CB750Fや空冷Z・GPZなど1980年代のバイク、ゼファーやZRXなど1990年-2000年のバイク、最新のリッタースーパースポーツや、ハーレーにベリティのBIKE FS HR VER3(10W-40)を使用しています。

エンジンオイルが原因で起きたトラブルは皆無だそうです。

ある時、同社のお客さんがZ系空冷エンジンに低粘度オイルを使い、「エンジンの音が大きくなった」と言ってきたことがありました。

わざわざ気密性を下げるようなことをしているわけですから、音が大きくなるのは当然ですね。

あらためて理由説明して、指定粘度オイルを入れてもらったところ、音がしなくなったというエピソードがあります。

気密性(シール性)を高めるための考え方、手法はオイルメーカーによって各社各様のようです。

お勧めのエンジンオイル

筆者がCB125Tを納車された際、ちょうど真夏でオーバーヒートの症状が出ました。

そこで誰もが知っている有名メーカーのグレードの高いオイルを複数、試しました。(自分で選んだオイルもあれば、バイクを購入したショップが奨めてくれたオイルもあります)

が、結局のところ、どれも満足いく結果は得られずじまい。

「自分で見つけるしかない」

そうやって試行錯誤した結果、やっと満足できた最初のオイルがニューテックでした。

冬場のコールドスタート(冷間始動)

オーバーヒートがエンジンにダメージを与えることは、よくご存じだと思います。おなじく冬場、エンジンが完全に冷えている時の始動も、(状況次第では)エンジンにダメージを与えると言われています。

本記事では「オーバーヒート対策」をメインに取り上げていますが、あくまで「春夏秋冬を通して、エンジンを長持ちさせる」ことをメインテーマとしてます。

そのためここで紹介しているオイルは当然、冬場での使用にも適しています。
(粘度は状況に応じて調整してください)

NUTEC(ニューテック)

ニューテックはLONDON ENGLANDに本社を持つ潤滑油メーカー。

フランスのオイルメーカーelf(エルフ)のレース部門ゼネラルマネージャーと、数人のエンジニアが独立して創設。

一般的な潤滑油メーカーと、ニューテック社のちがいは、NUTEC Japanの代表 鳩谷(はとや)氏が、トヨタワークスの元レーシングエンジニアで、エンジンチューナーであること。

カローラや、ツーリングカーなど市販車から、世界スポーツカー選手権、世界ラリー選手権シリーズ(WRC)、アメリカIMSAシリーズなどを手がけた、生粋のエンジン屋さん。

「エンジンオイルは、エンジンオイルの一部である」

という考えのもと、エンジンパフォーマンスをアップするオイルをコンセプトに開発されています。

(以下、鳩谷氏の経歴の一部)

市販車エンジンのチューニングから始め、競技用のエンジンではトヨタ1600GTの<9R>のチューニングに携わったのが最初だった。

年間に100基以上のペースでチューニングし、カム、ピストン、ポートの形状に至るまで独自のアイデアを盛り込み性能を向上させ、経験を積んだ。

1970年代にモータースポーツで世界的に名機となった2T-Gの競技用コードネーム100Eの開発に参加。

そのトヨタ自工とヤマハ発動機の共同開発グループに加わった鳩谷のアイデアがカムやピストン、その他の部品にも採用された。この頃にはエンジンのみならず、車両の開発にも携わることとなる。やがて鳩谷のもとに出向辞令が出た。

それは、トヨタが世界選手権ラリーシリーズに挑戦した初代セリカ1600GTの開発メンバーとしてトヨタ自工技術部へというものだった。

用意されていたのは<技術員>のポジション。汚れるのも厭わず、若きメカニックの時代と同じように自ら手を下すこともあったが、競技車両開発を統轄する<エンジニア>としてのキャリアがこの時スタートした。

その頃、機械的に性能向上させるだけでなく、それを補い、なおかつそれ自体の性能を最大限に引き出すことが出来るオイルの存在、性能が鳩谷には気になり始めていた。

引用元:https://nutec.jp/nutec-story/the-stories-behaind-nutec/003547.html

「オイルメーカーは自前の研究設備や自動車メーカーとの協同作業で、エンジンにマッチした製品を開発しているが、必ずしもオイルメーカー側がエンジンに精通しているわけではないのが現状」

ニューテックオイル開発にあたっては、鳩谷氏の豊富なノウハウがフィードバックされています。

じつは、他メーカーの元レーシングエンジニアの方も鳩谷氏とまったく同じことを言ってました。

「エンジン屋はオイルを知らない。オイルメーカーはエンジンを知らない」

理論と実地の両方を知らないと、本当の意味で良いオイルはつくれないと言う事だと思います。

ニューテックオイル分子
https://nutec.jp/

ニューテックオイルの分子は、一般的な化学合成油の1/10以下とひじょうに微粒化されているのが特徴。これがフリクションロスの軽減、油膜切れの抑制、油膜保持による密閉性(圧縮)の向上につながっている。

ニューテック エンジンオイル 比較
イメージ

さて、話を戻しますが、

ニューテックオイルは、4輪ではF-1やフォーミュラニッポン。

バイクではWSBK(スーパーバイク世界選手権)、WGP(2ストローク時代のロードレース世界選手権 現在のMoto-GPにあたる)、鈴鹿8耐でおなじみレーシングチーム「F.C.C. TSR Honda」(執筆時)、全日本ロードレース選手権で供給実績があります。

また、TSR(テクニカルスポーツレーシング)は、2017-2018 FIM世界耐久ロードレース選手権シリーズ(EWC)シリーズチャンピオン獲得。

ル・マン24時間耐久レースでは日本チームとして初の優勝を飾り、鈴鹿8時間耐久ロードレースでも2011年、2012年続けて優勝する好成績を残しています。

私が最も長く使用しているのが、ニューテック社のインターセプターZZシリーズです。

メーカー技術者の方にブレンド比率をアドバイスしてもらい、自分でブレンドしてオイル粘度を調整しています。

CB125T シリンダー

ニューテックオイルを使い続けて、29,298km走行したCB125Tの142cc中華製シリンダー。

エンジンのオーバーホールを1,080基以上、手がけてきたメカニックから「走行距離のわりに綺麗な状態」との評価をもらいました。

その後、ピストンリングすら交換しないまま47,968kmを突破しましたが、最後まで白煙を吹くことなく走行できました。(オイルの減りもなし)

筆者はオーバーホールに持ち込まれるバイクエンジンを70基以上、さらにCB125Tのエンジンを3基見ていますが、(自分で言うのもなんですが)数字が示すとおりエンジンの状態は良いほうだったと思います。

ニューテックオイルの特徴

一番の特徴としては、オイルが自由にブレンドできること。

メーカーの方いわく「ベースオイルが共通のため、ブレンドしても大丈夫」とのことです。

ニューテック社には複数のエンジンオイルがラインナップされていますが、異なる銘柄同士をブレンドしても問題ないそうです。

ただ「より性能を引き出すためには同じ銘柄のオイルをブレンドする方が望ましい」というお話でした。

例:
◎ インターセプター ZZシリーズ同士のブレンド

○ インターセプター ZZシリーズとEster Racing(NC-50/NC-51)のブレンド

念のためにいっておくと、異なるメーカーのオイルを混ぜ合わせるのはやめたほうが無難です。エンジンオイルは化学物質なので、下手に混ぜると性能が低下するおそれがあるからです。
(くわしくはのちほど)

ニューテックオイルのメリット

・柔らかいオイルのわりに油膜が強力

・オイル分子が通常のエンジンオイルの10分の1と細かいため、高い油膜保持性能、高シール性によりオイルが燃焼しにくい

・高性能オイルの中で価格が手ごろなのに違いが体感できる

・冬など低い油温でもレスポンスがいい

・真夏で100℃を超えてもオーバーヒートしない(空冷エンジン)

・3,000km毎に交換しているが、距離が伸びても大きな劣化を感じない

・オイル寿命が長く走行距離を重ねても、油温が高くても、ギアのシフトフィーリングが良い

・比較的、走行時の油温が下がりやすい(真夏の高速で100℃以下)

ニューテックオイルのデメリット

強いて言うなら、バイク用品店(量販店)に置いてないので入手しづらいこと。というのは、

「理解不足によって、持てる性能を最大限に引き出さないと無駄になってしまう。結果、ユーザーが快適にクルマやバイクを走らせることが出来ない=ユーザーにとって不利益になる」

という鳩谷氏のこだわりから、ニューテック製品を取り扱う販売会社の営業担当者には講習、トレーニングをおこなっているそうです。

つまり「販売してくれるならどんなショップでもいい」という考え方ではないんですね。

広告を出さないことも同社のこだわり。

そのせいか、筆者が旧ブログで紹介した2016年当時、ネット上にあったニューテックオイルの情報は、クルマがほとんど。バイクでのアマゾンレビューは、わずか2,3つだけでした。

その後、年々、取扱い販売店が増えたり、オンラインショップで購入可能になったり、わたしの周囲でも、バイクにニューテックオイルを使う人が増えてきました。

ちなみに筆者は、ニューテックオイルについて前情報なしで使用。

良い製品にも関わらず、2輪での知名度はイマイチだったので、ブログで紹介するようになりました。(販売し続けてほしいですからね)

■インターセプター ZZシリーズ

インターセプターZZシリーズは、ニューテックエンジンオイルの中で入門的な位置づけになるオイル。

にも関わらず、高性能かつ高耐久性。純正オイルから変えると、違いが実感しやすいと思います。

ZZ-01/ZZ-02は、エステルが含まれた化学合成油(95%エステル系+5%ミネラル)です。

ストリートやライトチューニング用に開発されたエンジンオイルで、強靭な極薄の油膜がエンジン性能の高効率化を実現します。ワイドレンジをカバーする粘度を新たに設定し、手軽に幅広くニューテックテクノロジーを感じていただける製品に仕上げました。

http://nutec.jp

化学合成油

ZZ-01 5W-35 化学合成(エステル系)

ZZ-02 10W-45 化学合成(エステル系)

スクーター向け

ZZ-03 10W-40 水素化精製ミネラル(API分類上はグループⅢ 鉱物油)

ZZ-04 5W-30 水素化精製ミネラル(API分類上はグループⅢ 鉱物油)

10W-40にする場合

ジョッキや、メスシリンダーなどを使って、下記のように混ぜ合わせます。
ZZ-01 5W-35:40%(400ml)+ ZZ-02 10W-45:60%(600ml)=1000ml(1リットル)

■Ester Racing NC-50/NC-51

同じくニューテック社のオイル。大型バイクやスーパースポーツ、チューニングエンジン向け。

油温135℃という高油温でも油膜切れが発生せず、全日本ロードレース選手権JSB1000クラスで使用されているオイル。レースはもちろん、ストリートでも使えます。

ZZシリーズよりワンランク上のグレードになります。

ZZシリーズとの大きな違いは、エステル成分の含有量。インターセプターよりも、NC−50/51の方がエステルが多く含まれているそうです。

私も真夏の長距離ツーリングなどの際は、CB125T改にNC50/51をブレンドしたものを使用しています。

このオイルもニューテックオイル同士ならブレンドしてOKです。

NC-50 10W-50 化学合成(エステル系)

NC-51 0W-30 化学合成(エステル系)

NC50シリーズとインターセプターZZシリーズとの違いは、実際に走っているとあまり分からないです。

逆に言えば、それだけZZシリーズが高性能なのかもしれません。

NC50シリーズを使用中、意図的に油温120℃を超えさせた事がありますが、体感できるレベルでは性能低下は見られませんでした。コスパは極めて高いオイルだと思います。

大型バイクはもちろん、ミドルクラスのバイクならこのグレードがいいでしょうね。

もうワンランク上の高性能オイルもあります。

世界一になったオイル

主にレース用として開発されたオイルです(ストリートでの使用も可)

※これはまだ試したことはありません

さきほどお伝えしたとおり、テクニカルスポーツレーシング率いる「F.C.C. TSR Honda France」は、2017-2018年 FIM 世界耐久ロードレース選手権シリーズで、年間チャンピオンに輝いています。

その耐久レースで実際に使用されているオイルがNC-40/41(100%化学合成油)。

「市販されているオイルと、レースで使用されているオイルはまったく別物」

というのがオイル業界の通例ですので、ニューテック社の市販オイルのクオリティがいかに高いか、うかがい知ることができます。

鳩谷社長いわく、公道走行だとほぼオーバースペックとなるため、NC50/51を使用したほうが経済的です。

NC-40 5W-30 100%化学合成(エステル系)

NC-41 10W-50 100%化学合成(エステル系)

エンジンオイルNC-40/NC-41について

レース用として開発しました!

通常レース用エンジンオイルは寿命が短いが、NUTEC OILはロングライフ化を図りチューニング車両一般車両用としても使用出来るよう開発しました。

ロングライフテストを実施(チューニング車両 12台)全車1万km走行オイルの耐久性はクリアーしています。オイル交換時期は5000Kmを目安として下さい。

NCシリーズオイルは、外気温25度程度であればエンジン始動後EXパイプより水分が出てきます。これはエンジンの燃焼状態が良好なことをあらわしています。

本来のオイル性能が発揮されるのは下記を目安にして下さい。

実車走行    100Km程度
ベンチテスト  2,500~3000rpm/1時間 5%負荷程度

ベンチテスト.シャシダイナモテストの結果、車種.仕様によって出力に変化のないことがあります。これはオイルの効果によって圧縮圧力.吸入空気量等に変化があり要求A/Fが変化することがあります。

http://nutec.jp/

テスト車両の使用環境と計測方法

計測方法やテストのやり方など、諸条件で結果はおおきく違ってきます。そのため、できるだけ詳細を記載しておきます。

cb125t

HONDA CB125T改 2001年式(142cc化・軽二輪登録済み)

空冷SOHC 2気筒 高回転型エンジン(オイルクーラー、オイルフィルター無し)

・バイクの仕様上、冬場は油温が上がりにくい
→暖機走行60分でやっと油温70℃〜80℃

・夏場はオーバーヒート気味(だった)
→某有名メーカーのオイルをいくつか試すも歯が立たず

・オールシーズン、高速を使ったツーリング、市街地や峠道での走行、チョイノリもする

・基本的にエンジンをよく回して走行することが多い(6000rpm以上)

テスト方法:
デイトナ製デジタル油温メーターを装着して通年、油温のモニタリングを実施。オイルパンで計測しているため、表示油温より+5℃してカウント。(より詳細な計測方法は「インプレッション」の項に掲載)

なお、ほぼレストア状態でテストしているため、バイク自体による不具合の影響はかぎりなく低いと考えられる。

オイルテストする時の注意点

「それはオイル交換の効果か、それともオイル自体が良いのか?」

という話があります。

よくエンジンオイルのレビューってありますよね。筆者の記事もそうですが。

劣化したエンジンオイルを、新しいオイルに交換すれば、調子が良くなるのは当たり前です。それを「どこどこのメーカーのオイルに交換したせいだ」と思ってしまうと、的外れなレビューになりかねません。

だから筆者がオイルをテストする際は、500kmでオイル交換したり、1000kmで交換したりします。(もちろん使用するオイル銘柄や、オイル粘度は固定します)

ちょっともったいない気もしますが、オイルメーカーのテストのように、走行した後のオイルを計測器にかけて分析する事はできませんからね。

せめて、できるだけいろんな角度から検証しています。

もし、短い距離でエンジンオイルを交換して調子が良くなるなら、オイルが劣化している事になります。

逆に、メーカー指定距離でオイル交換しても、それほど大きな違いが感じられない場合、あまりオイルは劣化していないと推定できます。

あくまで体感レベルのテストの話なので、実際はわかりませんけどね。

ただ、筆者はそのようにテストして判断しています。

走行インプレッション

計測方法
コールドスタート後、油温が80℃を超えた状態から計測して、上限と下限を複数回テスト。(基本的に渋滞など特殊な環境はカウントしない)走行シーンはストリート、峠、ツーリング、有料道路のすべて。

以下、私が旧ブログに掲載したインプレッションです。

まずはZZシリーズから。

■テスト銘柄1
期間:2015年
・ZZ-01 5W-35
・ZZ-02 10W-45
単品、もしくは上記2つをブレンド

2016年1月17日
約8000km走行後のレビュー
使用銘柄:ZZ-01(5W-30)、ZZ-02(10W-45)
ノーマル車両:6000km
142ccボアアップ後:2000km

当初は02を使っていたが、秋以降になって01を使っている。メーカーに問い合わせたところ 「ZZ-01 5W-35でも大丈夫」とのことだったが、夏場は念のためZZ-02 10W-45を使っていた。

今回、CB125Tをボアアップして高速を走行するために 事前にオイル交換。ZZ-01 5W-35を使用した。

冬とはいえ8000〜10000rpmの連続走行。湘南から鈴鹿までの道のりは長い。

しかし予想に反してトラブルの予兆すら無かった。1050km走行後のオイル交換ではボアアップ直後ということもあって若干、オイルに金属粉が混じっていたが性能面の低下は感じられなかった。

念のためメーカーにボアアップした旨を告げると 上級銘柄のNC-50、51を薦めていただいた。

(ブレンド比率も教えてくれた)

こうしたきめ細やかなサービスにニューテック社の姿勢が現れているといえる。 良い製品をつくる事は大事だが、それ以上にきちんと使い方を教える事も同じように大切なことだと思う。

4/15 外気温23℃ 晴れのち曇り
最高油温95℃
走行時85℃〜90℃

4/28 外気温20℃ 晴れ
最高油温102℃
走行時85℃〜95℃

■テスト銘柄2
期間:2016年1月〜12月
チューニングマシン/スポーツ走行用
・NC51(0-30W)
・NC50(10-50W)
単品、もしくは上記2つをブレンド

5月上旬 平均気温20℃度半ば
ストリートでは最高で瞬間油温101℃をマーク。60km/h、スムーズな流れで数百メートル走行すると油温は5℃下がる。

やや冷たい風の吹く海沿いや、スムーズに数キロ続けて走行すると10℃ぐらい下がる。

最低78℃~最高101℃
信号待ち平均90℃~95℃

2016/6/2
渋滞の峠道で最高104℃をマーク。走行になんら支障なし。

夏場の渋滞(信号待ち)で120℃を越えたことがありますが、体感レベルの性能低下はありませんでした。

油温はご使用のバイク、走り方によって変わります。

旧車・外車・大型バイクお勧めのエンジンオイル

16年間、鈴鹿8時間耐久ロードレースに参戦し、ワコーズのオイル開発を手がけた国際A級ライダーがお勧めするオイルを紹介します。

三和化成工業のVerity(ベリティ)です。

ベリティは三和化成工業株式会社のオイルブランドで日本製のオイル。ベリティブランドはロードレーサー加賀山 就臣(かがやま ゆきお)選手率いる「Team KAGAYAMA」のスポンサーとしても知られています。

三和化成工業は、国内大手の自動車メーカーや、バイクメーカーの純正オイルをつくっている(OEM)潤滑油会社。自社で原油を精製して、オイルをつくっています。

メイドインジャパンのオイルです。

数多くのOEMをやっているということは、裏を返せば、それだけ多くのノウハウやデータを蓄積しているという事です。(機密事項が多すぎて、表には出せないそうですが)

私がベリティを知ったのは、前出のエンジンオーバーホール専門店 有限会社ガレージ湘南の代表 日向社長。

お店でベリティのエンジンオイルを使っていたのがきっかけです。

さきほどお伝えしたとおり、同社ではカワサキ空冷Z系エンジン、空冷CBシリーズ、空冷GS系などの旧車はもちろん、ハーレー、1980年代から現行モデルの水冷車まで、ベリティオイルを使用されています。

日向社長は、ワコーズのオイル開発ライダーを務めた経験があり、エンジンオーバーホールで使うグリスも独自にブレンドして作られています。

日向正篤 ワコーズ
鈴鹿8時間耐久ロードレース(油令GSX-R750)

日向社長はこれまで1080基以上のエンジンをオーバーホールされたそうですが、「カワサキ車はとくにエンジンオイルが重要だ」と仰っていました。

いいオイルを使わないと、すぐ音がするようになるのだとか。

国内外のさまざまなメーカーのオイルを、鈴鹿8耐という厳しい環境で使用してきた日向社長がお勧めするエンジンオイルということもあって、私も何度かCB150Tでベリティをテストしてみました。

BIKE FS HR VER3 10W-40 MA

ベリティオイル インプレッション
1L缶×2

BIKE FS HR VER3は、ベリティブランドの中で最上グレードオイルです。

価格面で比較すると、ニューテックのNC40/41に相当するかと思います。

BIKE FS HR VER3はニューテックのNC40/41と同様、市販オイルでありながら、実際に鈴鹿8耐で使用されているオイルです。(もちろん公道走行OK)

使用した感想としては、ニューテックのZZシリーズやNC50シリーズと甲乙付けがたい印象です。

油温を比較しても大差ありませんでした。

オイルの耐久性はBIKE FS HR VER3に軍配が上がると思います。BIKE FS HR VER3は、4,000km走行しても、ほとんど性能低下が体感できませんでした。

筆者のCB150Tのエンジンオイルは、指定の交換サイクル3000km毎に交換している。油温計が付いてない車両の場合、シフトギアの入り具合でエンジンオイルの劣化具合を判断しやすい。

オイルの劣化が進むと、ギアチェンジの際、ギアが入りづらくなってくる。

のちに、BIKE FS HR VER3に交換後、夏・秋・冬・春で5,000kmほど走行したVT250SPADA(水冷V型二気筒)に試乗しました。

完全にエンジンが暖まった状態でも、シフトフィーリングは新車のようにスムーズそのもの。あらためて劣化しにくいオイルだと感じました。

純正オイル VS 社外オイル

純正オイル至上主義の人は、読まないほうがいいです。

ある時、筆者のCB150TにベリティBIKE FS HR VER3を使用し、5,000kmほど走行した後、某バイクメーカーの純正オイルに交換しました。

オイル交換後、あきらかな性能低下を感じました。あまりの劣化ぶりに驚愕したほどです。

信じられますか?

通常、オイル交換したら少しは調子が良くなりますよね。それがまったく逆の現象が起きたわけです。

まず油温が60℃ぐらいなのに明らかにミッションが入りにくい。すごく固いんですね、ギアチェンジでイライラするほど。エンジンのレスポンスも、もっさり感がすごい。

CB150Tでは初めての経験です。

「一体、何事か?! ついにエンジンの寿命か?」

本当に驚きました。それが油温90℃以上(適正油温の範囲)になっても同じでした。

もともと、空冷エンジンのCB150Tは、納車された夏場にオーバーヒート気味だったため、純正オイルは使用せず、さまざまなメーカーのオイルをテストしていました。

その中でニューテックや、ベリティといったオイルに出会ったわけですが、純正オイルと高性能オイルでは、ここまで圧倒的な差があるとは・・・

当たりのオイルに出会ってから随分と時間が経過してたので、今まで気がつきませんでした。

いつの間にか良いオイルに慣れすぎていたんですね。

BIKE FS HR VER3の高耐久性と高性能を実感したエピソードでもありました。その後、純正オイルから高性能オイルに交換したのですが、明らかに調子が良くなりました。

念のため言っておくと、交換した某純正オイルの粘度はBIKE FS HR VER3と同じ10W-40。エンジンオイル以外、一切変更なし。オイル量も適正です。気候など、ほかの理由も考えましたが、ちがう様子。

あえてBIKE FS HR VER3のデメリットを挙げるなら、価格でしょうか。

いくらボアアップしてると言っても、6,000円の中華シリンダーを装着している筆者のCB150Tにはオーバースペック気味。ストリートメインで、都心みたいな大渋滞がなければ、もう少し低いグレードのオイルでも大丈夫そうです。

サーキット走行や、真夏にエンジンを高回転キープで走るとか、ロングツーリングに行くなら、CB150T(CB125T)みたいな小排気量バイクにもお勧めですけどね。

まとめると、BIKE FS HR VER3は

・都市部など渋滞が多い
サーキット走行
高回転を多用して走行するバイク
真夏の長距離ツーリング
旧車や空冷エンジン
・スーパースポーツ、リッターバイクなど発熱量の大きいバイク

にお勧めのオイルだと思います。

レースではどうやってオイルを選んでる?

少しだけ余談です。

ワコーズオイルの開発に携わり、鈴鹿8耐に15年連続参戦していたライダー(有限会社ガレージ湘南 代表 日向社長)に

いろんなメーカーのオイルを実際に使ってみて、印象に残っているオイルはありますか?

と聞いたことがあります。

しかし、返ってきた答えは意外なものでした。

レースの場合、チェッカーを受けるまでエンジンが壊れないことが重要。

だからエンジンが壊れなければ、とりあえずそのオイルは合格という考え方。オイルだけが原因でエンジンが壊れたことがないから、特別に良いオイルはないね。

でも、あるメーカーのオイルは、明らかにエンジンの音が大きくて、ペアライダーと「壊れるんじゃないか」って、ヒヤヒヤしながら走行していたよ。

※メーカー名は伏せておきます笑

「エンジンが壊れないオイルがいいオイル」という考え方は、TSR(テクニカルスポーツレーシング)の過去のインタビューでも語られていました。(エンジンオイルにとって一番大切なのは壊れないという信頼

だったら一体、どういう基準で使用するオイルを選んでいるのでしょうか?

私は、続けて質問しました。

レースの場合、オイルメーカーから依頼されて使用することが多い。

チームやライダーの成績が良ければね。

オイルメーカーが「ウチのオイルを試してほしい」と売り込んでくる。いくらかお金を払うから、ぜひ使ってほしいと。それで使用するケースが多かった。

あとは、自分のレースチームのスポンサーに、関係のあるオイルメーカーが居る場合、そのメーカーのオイルを使う事になるね。

日向社長は1980年代後半から1990年代前半にかけて、雑誌でテストライダー務めたり、記事を書いていた事もあるそうですが、雑誌社にもよく、オイルメーカーから売り込みがあったそうです。

また、こんな話もあります。

レースで勝利しても、エンジンオイルが良かったから勝てた、という事を証明する事は極めて困難だ。

自動車メーカーのエンジニアたちは、自分たちが開発したパーツのおかげで勝利したと主張するだろう。自分たちがやっている事を否定することになりかねないので、「オイルのおかげで勝てた」とは決して認めたがらない。

元 某自動車メーカーのエンジン開発担当者

そもそも、レース活動には多額のお金がかかります。

「サーキット使用料、交通費やガソリン代、タイヤにパーツ。だからエンジンオイルまでお金をかけられないし、そこまでオイルは重要視されていない」という話もあります。

以上の話を踏まえると、

レースで採用されている=宣伝費を払ってバイクメーカーや、レースチームに宣伝してもらっている

レースで実績がある=少なくともエンジンが壊れないオイル

と推定することができます。

単純に有名メーカー、高いオイルや、有名なオイル=高性能ではないという点に注意ですね。あと、ベリティやニューテックなど一部を除いて、レース用オイルと市販オイルは別物だったりします。

なので超有名メーカーのオイルでも、プロの立場からすれば全然ダメなものもあります。

(当記事を読んでいて、だれもが知ってる有名メーカーの名前が登場しない理由は、筆者が自分で使って、良いと思うオイルだけ紹介しているからです)

あと「メーカー純正オイルがいい」というのも、人間のだれもが持つバイアス(無意識におこなっている10種類以上の偏見)や、擦り込みによる洗脳であって、事実ではなかったりします。

実際のところ、メーカー側もコストダウンとか、いろいろな制約がありますからね。

でも、純正オイルが必ずしもダメかというと、そうは言い切れません。

このあたりの事情は、こちらの記事で話しています。(2ストメインですが、4ストにも共通する話

鈴鹿8耐 VS ル・マン24時間耐久ロードレース
エンジンに厳しいのはどっち?

オイルメーカーの方いわく、よりエンジン(オイル)に厳しいコンディションは、鈴鹿8耐だそうです。理由は、真夏の灼熱地獄でおこなわれる鈴鹿8耐に対して、ル・マンは気温が低いから(高くても30℃ぐらい)。

タイヤでもそうですが、より過酷な環境でテストされた製品ほど、限界も高くなります。「日本は高温多湿だから、日本で開発・テストされたオイルがいい」という意見もあります。

エンジンオイル選び まとめ

どのオイルを選んでもいいと思いますが、

1,適切な粘度のオイルを選ぶ(原則はメーカー指定粘度以上)

2,バイク用オイルを選ぶ(4輪用オイルの場合クラッチがすべる事があります)

3,オイル量は適切にする(入れすぎ、少なすぎはダメ)

4,目的に合ったオイルを選ぶ


5,純正オイルを下回るオイルは使わない

こうした基本は守ったほうがいいですね。

オイルメーカーは目的に応じたオイル(製品)を開発します。特別な走り方をしないのであれば、予算の許す限り、用途に合ったオイルを選べば、大きな失敗はないと思います。

ただ、純正指定オイルが高いからと言って、低品質なオイルを使うのはやめたほうがいいと思います。

粗悪なオイルを使い続けると、エンジンへのダメージが通常より大きくなるからです。今日明日、エンジンが壊れることはないかもしれませんが、ダメージは蓄積します。

はっきりとわかる症状が起きた時は、もう手遅れです。(要修理レベル)

日頃から、定期的にオイル交換したり、せめて月に1回はオイル量や汚れ具合をチェックすることも大事です。

・目的や用途によって良いオイルの基準は変わる
どこでどういう走り方をするか、マシンとの相性、予算など

・空冷エンジンにこそ化学合成油を使う
「空冷エンジンはクリアランスが広いから鉱物油がいい」は都市伝説

・原則として異なるエンジンオイルを混ぜない
同一メーカーのオイルなら混ぜて大丈夫なものもある

・オイル交換時、異なる銘柄のオイルが多少混ざるのは許容範囲

・メーカー指定の粘度と同じバイク用エンジンオイルを選ぶ
過走行車などエンジンのクリアランス(隙間)が広いバイクは指定粘度より低いオイルを入れない

継続的に自分が購入できるオイルを選ぶ

・メーカー指定のオイル交換サイクルを守る

・日頃からオイル量や、オイルの状態を確認する
ものすごく重要!

オイル選びに迷ったら?

ニューテックのZZシリーズかNC50シリーズ、予算に余裕があればベリティ BIKE FS HR VER3をお勧めします。

とくに、バイクを長持ちさせたい場合や、純正部品が手に入らなくて修理できないバイクは、ベリティBIKE FS HR VER3を使ったほうが良いと思います。

平均的な寿命でいいなら純正オイル、平均より長持ちさせるならよりグレードの高いオイル、という感じですね。

あまり予算が出せない場合、ニューテックのZZシリーズか、NC50シリーズを試してみるといいでしょう。ちょっと試してみて、「変化があるかどうか」そういうのもバイクの楽しみの一つですからね。

筆者おすすめ 目的別

旧車・チューニングエンジン・大排気量バイク・サーキット走行

熱的にきびしい大排気量バイクや、4気筒エンジン、高回転での連続走行を多用する人、旧車、空冷バイク、ボアアップなどチューニングエンジンにおすすめ。

とくに真夏など、オイルが高温になった時に油膜切れを防ぐ成分が入っています。

予算に余裕があれば、イチオシです。

・特に耐熱性に優れ、スラッジの発生が少なくエンジン内が汚れ難い

・バイクレースの高回転高負荷による過酷なせん断力を受けて粘度低下する事を防ぐ為、敢えてエステル+PAOの設計で5Wではなく10W-40 とし、シャープなレスポンスを実現

・耐久レース等、各種レースに使用可能

・殆どの一般4サイクルバイクに使用可(MB適合車を除く)

https://verityoil.com/products/motorcycle/bike-fs-hr-ver3-10w-40-ma/
BIKE FS HR VER3 スペック
出典:https://verityoil.com/products/motorcycle/bike-fs-hr-ver3-10w-40-ma/

ガレージ湘南のお店の方いわく、サーキット走行しているライダーが、BIKE FS HR Ver3 10W-40を買いに来ることが増えているそうです。(量り売り化。要予約)

Verity FS HR Ver.3 15W-50

公式サイトには書かれていませんが、基本性能はVer.3 10W-40と同じで、より極圧性能(耐摩擦性能)を高めたグレードです。

走行距離の多い過走行車や、10W-40では熱的に厳しいバイク、空冷エンジンのハーレーなどにお勧めです。

コストパフォーマンス重視

「ハイグレードオイルは予算が厳しい。でも、良いオイルを使いたい」という方向け。大型バイクや、スーパースポーツ、チューニングエンジンのほか、VT250SPADAにお勧めのオイルです。

NC-50 10W-50 化学合成(エステル系)

NC-51 0W-30 化学合成(エステル系)

入門モデル

初めて純正指定オイル以外を使う方向けにおすすめなオイル。

インターセプター

ストリートやライトチューニング用に開発されたエンジンオイルで、強靭な極薄の油膜がエンジン性能の高効率化を実現します。

ワイドレンジをカバーする粘度を新たに設定し、手軽に幅広くニューテックテクノロジーを感じていただける製品に仕上げました。

https://nutec.jp/products/engineoil/zz01-zz02-zz03.html

インターセプターシリーズは、小排気量バイクのほか、CBX400FやFJ1000Rなど、設計の古い空冷エンジン(いわゆる旧車)で使用されているようです。

(エイプ100については「NC40 NC41」か「NC50 NC51」の30番がメーカー推奨)

一部例外を除けば、日本メーカーの250cc以上なら、おおむね「NC40/NC41」(ミドルグレード)か、「NC50/ NC51」(ハイグレード)がメーカー推奨です。

ZZ-03 10w-40(水素化精製ミネラル) スクーター向け

ZZ-04 5w-30(水素化精製ミネラル) スクーター向け

ZZ-01 5w-35 化学合成(エステル系)

ZZ-02 10W-45 化学合成(エステル系)

ブレンドするのが面倒な方、むずかしいと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、メスシリンダーなどの計量器があれば簡単ですし、自分でオイル粘度を自由に調整できるのは、とても便利です。

レギュラーガソリン VS ハイオク

学者さんの研究によると、レギュラーガソリンとハイオクで大きな差はなく、使用するエンジンオイルが、エンジン内のカーボン蓄積の決定要因になるようです。

便利グッズ

あると便利な廃油パック

廃油処理の注意点

本記事の読者さんの中にはいないと思いますが、もし、廃油を下水や、自宅の排水溝に流すと、不法投棄になります。(5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金)
廃油はお住まいの地域で定められた方法で処分するようにしてください。

樹脂製のメスシリンダー

フタが付いているので便利です。

混ざっても大丈夫?エンジンオイルを変える時の注意点

「いつもと違うオイルを使ってみたい」

「でも、いま入ってるオイルと混ざっても大丈夫かな?」

心配するライダーもいるかもしれませんが、多少なら大丈夫です。

さきほど少しだけ触れましたが、エンジンオイルは基礎となるベースオイルと、さまざまな添加剤によって構成されています。

たとえば、同じようにエステルを使ったエンジンオイルでも、エステルの含有量がちがったり、使っている添加剤の種類や分量が、メーカー各社で異なるわけです。

(同じラーメンでも、お店によって味が違うのと同じですね)

エンジンオイルの場合、できれば他社と他社のオイルを混ぜて使用することは避けた方がいいです。

まず第一にメーカーがエンジンオイルを設計する上で、他社のオイルとブレンドして使用する事を想定していないからです。

オイルは様々な添加剤が使われている化学製品です。むやみに混ぜてしまうと、変質して本来の性能が発揮できなくなる恐れがあります。性能低下を招く可能性があるわけですね。

とは言っても、

入っているオイルを完全に抜くのは少々、手間がかかります。

抜けきれないオイルと混ざる程度なら大丈夫ですが、より万全を期すならフラッシングオイルを使うのも手です。

くわしい方法はこちらの記事で解説しています。

エンジンオイルを交換する際、よく振ってからオイルを注ぐようにしてください。オイル成分が底に沈殿(ちんでん)していることがあります。

少しでも油温を下げてエンジン寿命を延ばすには?

オイル添加剤の使用を検討するのもいいと思います。

摩擦によって、どれだけエンジンパワーが失われているかは、科学的データをもとにこちらの記事で解説しています。

実験結果を公開

本ブログで紹介している方法やオイルを使用し、筆者自身が実践したテスト結果をレポートしています。

走り方によっても、油温の変化や、エンジンへのダメージは変わります。

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