乾ヤスタカ|コアなバイクブログ

バイクの暖機運転 プロから教わった方法を4年間テスト

バイク暖機運転

プロが教えるエンジンを長持ちさせる方法シリーズ【2】バイクの暖機運転 必要性と具体的なアプローチを紹介

※本記事は2016年11月8日にブログで公開した内容を再構築しています。

バイクのエンジンオーバーホールを1080基以上手がけている有限会社ガレージ湘南の日向社長に、4ストバイクの暖機運転について伺いました。

ガレージ湘南では年間、数十基ものエンジン修理をおこなっていて、ありとあらゆるバイクのエンジンを日々、目の当たりにされています。

つまり、どうすればエンジンが長持ちするか、どうすればエンジンの寿命が縮むかを熟知しているプロです。

そんな日向社長に伺った内容を、筆者自身が47,968km実践してみました。

2ストの暖機運転については、下記の記事を参照してください。

目次

なぜ、暖機運転が必要なのか

暖機運転をおこたると、最悪の場合エンジンが焼き付きます。

とくに「インジェクション車は暖機運転しなくていい」と考えている人は要注意です。

4ストバイクは、冷えた状態でエンジンをかけて走り出し、一気に高回転まで回したときに焼きつきやすい。

エンジンが冷えているときはエンジンオイルも冷えています。

オイルが冷えた状態だと、固くてすみずみまで潤滑しません。例えるならオイルポンプがオイルを送ろうとしても、固くて、空気を送っているようなものです。

油温が上昇することで、オイルがやわらかくなって、エンジン各部に行き届くようになります。 レース(レーシングマシン)の場合、暖めすぎても焼き付くそうです。理由はピットから出て、走り出すと一気に油温が下がるから。

油温が下がるという事は、膨張していた金属が縮みます。(風船がしぼむイメージ)

ほどほどに暖機して、走りながら、じわじわ回転数を上げていくのがエンジンにとって優しい方法です。

オイルの固さを実感できる方法があります。オイル交換の際、ためしにストローを使って、新しいオイルを吸い込んでみてください。水とちがって、なかなか吸い込めないことがわかると思います。(口に入らないようにしてください)

暖機運転でよくある間違い

エンジンをかけて

「すぐ走行できるから暖機運転は必要ない」

「エンジンが暖まらないと走行できないから暖機運転が必要」

という考え方です。

ここまで読んでくださった方はお分かりだと思いますが、暖機運転で大事なのは、走り出せるかどうかではありません。

エンジンオイルの油温を適正な温度にすることです。

(その結果、エンジンの隅々にオイルを行き渡らせる事)

たとえインジェクション車でも、冬場にコールドスタート直後で、いきなり高回転までエンジンを回せば焼き付いたり、ダメージを与えてしまいます。

実際、冬場になると、この手のエンジン焼き付きによる修理依頼が増えるそうです。

ちなみに暖機運転による誤解は、メーカーやメディアに原因があると個人的には実感しています。

キャブレターを採用しているバイク(または車)が、エンジン始動後、エンジンが冷えた状態だとエンストしてしまうため、アクセルを開けるなどしてエンジンを暖める

この一部分だけを切り取って「暖機運転」と伝えた結果、

インジェクション車=始動後、すぐ走行可能=暖機運転不要

誤って理解してしまう人が多いからです。

言葉の意味や定義をきちんと伝える事は、重要ですね。

余談になりますが、始動性だけを切り取って話すと、筆者のCB150T(4スト空冷二気筒)はキャブ車ですが、真冬でもコールドスタート直後に、走り出せてしまいます。

(暖機時間は5秒以下)

キャブセッティングが濃いからです。

しかし、走り出せるからといって、すぐ高回転までエンジンを回すと、間違いなくエンジン寿命が縮むか、エンジンが壊れてしまいます。

走り出した後、エンジンがしっかり暖まるまで、暖機走行が必要です。

暖機
機械を動かし始めた時に、一定の時間だけ負荷の低い運転をすること。暖機運転ともいう。

weblio辞書

油温が何度になるまで暖機運転したほうがいい?

多くの方が、暖機運転の時間を知りたいようです。しかし大事なのは時間ではなく、油温。

車種によりますが、適正油温はおおむね80℃から100℃です。

つまりエンジンをかけて、油温が80℃ぐらいになるまでは、エンジンを高回転まで回さず、油温に応じて徐々に回す、という事です。

油温の上昇は、カップラーメンみたいに「3分経ったからOK」、といった画一的なものではありません。車種や、気温など状況に応じて変わります。

次に重要なのは、どのようなプロセスを経て適正油温にするか?です。

暖機運転のやり方 キャブ車

メーカーの説明書がある場合、それを参考にしてください。

1,必要に応じてチョークを引き、エンジンを始動する

チョーク使用時はアクセルを開けないこと。全閉にします。

チョーク使用時にアクセルを開けると、空気の量が増えてしまい、チョークでガソリン量を増やしてる意味がなくなってしまいます。エンジン始動後も、基本的にチョークを使用している間はアクセルを開けないようにします。

チョークに対するよくある誤解

手動でチョークを引くバイクは、冷間時「チョークを引いて始動する」ようにつくられています。

(スクーターなど、オートチョークのバイクもあります)

夏場など、気温が高い場合や、エンジンが暖かい場合を除いて、チョークを引かないとエンジンがかからないのは正常

「俺のバイク、チョーク引かなくてもエンジンがかかるんだぜ」

「チョーク引かないと、エンジンがかからないんです」

あたかも、チョークを使ってエンジンを始動することが悪いとか、使わずに始動できると調子がいい、みたいな捉えをされている方がいらっしゃいますが、誤解です。

例:
真冬にチョークを引かなくても、すぐエンジンがかかる(オートチョーク車を除く)
→キャブセッティングが濃すぎる

真夏など気温が高い時、エンジンが暖まっていてもチョークを引かないと始動できない
→キャブセッティングが薄すぎる

古いバイク、走行距離を重ねた車両などは、ノーマルであっても新車時と比較して、キャブセッティングが濃くなる傾向があります。

たとえば筆者のCB125Tは、2001年(排ガス規制対応)モデルのため、極端に薄いセッティングになっていました。

8000回転で、エンジンが頭うちするぐらいです。

夏場に納車されましたが、真夏でもチョークを引かないとエンジンがかからない状態でした。

その後、キャブセッティングをやり直すと、正常になりました。さらに走行距離が伸びていくと、だんだん濃くなってきて、最終的に真冬でも、チョークなしで一発始動して、走り出せる状態になっていました。

※CB125Tは冬場、暖機しないと走り出せないことで有名

つまり、濃すぎる状態になっていたのです。

このように、そもそもの仕様にもよりますが、エンジンの始動性はバイクの状態によって、おおきく左右されます。

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2,エンジンが始動したら20秒〜30秒ほど待って、ゆっくりチョークを戻す

チョークを戻す際、「ゆっくり」操作することがポイントです。

この時、(エンストしそうになるなど)バイクの状態によっては、少しずつアクセルを開けてエンジン回転数を上げます。

目安として20秒から30秒としていますが、実際はバイクや、気温によって変わります。ポイントは、エンジンがかかっても急にチョークを戻さないこと、長々とチョークを引きっぱなしにしないことです。

「エンジンの調子が悪い」と思ったら、原因はチョークの戻し忘れだったという話を、1年に1回は耳にします。

チョークにまつわるトラブル事例

チョークワイヤーの動作不良で、チョークが引けていない、あるいはチョークを戻しているのに、引いた状態のままになっている(完全に戻りきっていない)というトラブルがあります。

3,アクセルを開ける

チョークをもどしつつ、ゆっくりアクセル(スロットル)を開けていきます。

まずは上限を〜3,000rpmぐらいまでにして、むやみに空ぶかししないようにします。

チョークを完全に戻し、アクセルを完全に閉じた状態でエンストしないようなら、ゆっくり走り出します。

近隣への騒音対策や、忙しくて時間がない場合、エンジンを始動して、短時間ならアイドリング状態のまま放置する方法もありです。(アイドリング時はチョークを戻します)

ただし、バイクを盗難されないよう、注意してください。

たまに5分〜10分以上、アイドリング状態で放置する人がいますが、ダラダラとエンジンをかけっぱなしにしていると、逆にエンジンにダメージを与える要因になります。

状況にもよりますが、北海道や東北など寒冷地をのぞいて、長くて5分から3分ぐらいが限度かと思います。

暖機運転のやり方 インジェクション車

始動してすぐ発進できるかと思いますが、徐々にエンジンの回転数を上げるようにして走るのは、キャブ車と同じです。

油温計(または水温計)があればそれを参考にして、なければエンジンが暖まるにつれて少しずつ、回転を上げて走るようにしてください。

長時間、アイドリング状態で放置しないほうがいいのも、キャブ車と同じです。

筆者の場合(冷間時の始動)

最後に筆者自身がおこなっている暖機の手順を紹介しておきます。

CB125T最終型
CB125T改

CB150T 空冷4サイクル OHC2気筒 142cc

1,チョークを引いて、エンジンを始動する

2,エンジンの状態を見ながら、ゆっくりチョークを戻す

気温が低い時や、エンジンが完全に冷えている時ほど、必然的にチョークを引いている時間が長くなります。戻しても大丈夫そうだなと思ったら、チョークを戻しながら、少しずつアクセルを開けます。

3,油温(水温)を見ながら、少しずつアクセルの回転を上げる

1400rpm(アイドリング)→2000、3000、4000という具合に、ミリ単位でアクセルを開けるイメージ。チョークを戻した状態で、アイドリングのまま放置する、という方法はほとんどやらないです。

4,走りながら暖機する

さきほどお伝えしたように、バイクを停車させた状態で、エンジンを暖機しつづけるのは現実的に、むずかしい面もあるかと思います。

(筆者の場合、単純に気が短いという事もあります)

なので私の場合、停車した状態で暖気運転を続けたり、長々とアイドリング状態で放置することはせず、あるていど暖機したら走り出すようにしています。

冬場、コールドスタートから発進するまでの暖機運転は、だいたい油温20℃ぐらい。

油温が20℃ぐらいになったところで、走り出します。

適正油温に達するまで、エンジンの回転数は3,000〜4,000rpmぐらいに抑えて走行します。この時、真冬など寒い時期は、とにかく、一気に高回転まで回さないことが大事です。

CB400SF(キャブ最終型) VS CB125T 油温上昇テスト

冬場、エンジンが完全に冷えた状態でテストを実施。同時にエンジンをスタートさせ、それぞれ油温計で、油温の上がりぐあいをモニタリング。

エンジンスタート後、数十秒で40℃まで上昇するSFに対して、CB125Tは10℃から20℃までなかなか到達しない。

また同じく冬場にCB125Tで、適正油温までの到達時間をテスト。エンジンを始動して暖気後、20℃で走行。油温に合わせて、徐々にエンジンの回転を上げていくと、およそ30分間の走行で75〜80℃に到達。

(外気温が低い場合や、雨天時はそれ以上かかることも)

通年、油温をモニタリングした結論として、CB125Tはオーバーヒートよりも、オーバークールに注意すべきだと思う。

なかなか適正油温まで上がらない=「オイルが冷えて固い状態でいる時間が長い」ということ。ついエンジンを高回転まで回したくなっても、(エンジンを長持ちさせることを考えると)グッと我慢しなくてはならない時間も長くなる。

https://inuiyasutaka.net/bikeblog/jc06_211027/

「私のバイクには油温計がついてません!」

という方は、必要に応じて後付けするか、油温計をつけなくてもいいので、本記事に書かれている事を心がけながら始動・走行するようにしてください。

それだけでもエンジン寿命が変わります。

とくに寒い時期はタイヤが冷えていたり、路面が凍結していることがありますので、エンジンだけでなく周囲の環境にも注意して、運転してください。

CB1100Rのエンジンスタート

参考までに、冷間時スタートの暖機の様子がわかる動画を掲載しておきます。

※暖機のデモンストレーション動画ではないので、エンジンスタート後、「アクセルの開け方、開け具合」に注目してください。

47,968km暖機運転を続けた結果

ここまでお伝えした内容を、筆者自身が4年間、自分のバイクで実際に試してみました。

(90%以上の精度でオールシーズン取り組みました)

47,968kmテスト走行した結果、おどろくべき検証結果が出ました。

詳細はこちらの記事に掲載しています

バイク暖機運転

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