CBR250RR MC22用 YSSリアサスペンション ME302を購入してくださった方向けに、リアサス交換の手順と注意点を解説しています。
結論から言うと、「シート」と「ガソリンタンク」を取り外せば、リアサスペンションの取り外し・交換ができます。
ただし、いくつか注意点があります。
以下、プロがおこなう交換作業の流れをそのまま、写真付きで解説します。
同じ手順で3台以上、MC22のリアサス交換をおこなっています。
準備するもの
・ジャッキや、メンテナンススタンドなど、車体を安定させるもの
・トルクレンチ、メガネレンチ(インパクトドライバーがあればなお良い)
・マルチグリス
・長めのプラスドライバー
注意点
本製品はバイクメーカー出荷時の車両への取り付けが前提となっています。
いわゆるノーマル車両です。
カスタム・改造によりディメンション(バイクの操作性に関するパーツ)が変更されている場合、正常に取り付けられなかったり、取り付けられても走行中の破損等により、重大事故につながる恐れがあります。
不適切な取り付けをおこなった場合も同様です。ご注意ください。
中古車の場合、歴代オーナーによって改造されている可能性があります。
オーバーホールや、整備に持ち込まれる車両を見ていても、現在の所有者が「改造されていることを知らなかった」というケースは五万とあります。
とくに大きな問題になるのは
本来、あるはずの部品が付いていない
でたらめな部品が使用されている
取り付け箇所が破損されている
・・・というケースです。
修理の現場ではごく日常的にあることです。
できるかぎりパーツリスト等を用意して、必要な部品が適切に取り付けられているかどうかをチェックしながら、交換作業をおこなうことを強くおすすめします。
シートの取り外し
1,まずはガソリンタンクを取り外すため、シートを取り外します。(写真はシートを外した状態)
シート下、赤丸の部分のネジを外せば、シートを取り外すことができます。
2,シートが外せたら、ガソリンタンク(後部)のボルトを外します。
シートカウルは取り外さなくて大丈夫です
ガソリンタンクを取り外す
1,ガソリンタンク(ハンドル側)のボルトを外します。
2,ガソリンタンクの下、フューエルコックに2本ホースが付いています。
太めのホースがガソリン、細めのホースが負圧ホースです。ホースを2本とも、取り外します。
ホースからガソリンが漏れると思いますので、ウエスなどを用意しておくといいでしょう。
3,続いて、フューエルコックを操作するノブを取り外します。
※長めのプラスドライバーを使用します
ガソリンタンクを取り外したら、安全な場所に保管してください。
ガソリンタンクとフューエルコック(燃料コック)のつなぎ目の部分は、シールの劣化などにより、ガソリンが漏れやすい箇所です。せっかくなので目視で、ガソリンが滲んだりしていないか、確認してみてください。
純正リアサスペンションの取り外し
1,いよいよ純正リアサスペンションを取り外すわけですが、その前に、リアタイヤとリアシートの間にジャッキを挟んでおきます。
リアサスを取り外すと、シートが「ガシャン!」と下に下がってしまうからです。
準備ができたら、リアサスを取り外します。
今回の作業ではレーシングスタンドを利用しています。
なお、エンジンにジャッキを掛けた場合、車体を安定させることはできても、スイングアームの角度を変える事は難しいかと思います。
ですので、もう一つジャッキを用意して、上記の写真のようにシートとタイヤの間にセットしてください。そうすることで、ジャッキの調整を通じて、スイングアームの角度を調整することができ、リアサス(下側)のボルトを入れやすくなります。
逆に言うと、ジャッキをシートとタイヤの間にセットしなければ、スイングアームの角度が調整できないため、リアサスをとめるためのボルトを入れる事が非常に困難になります。
2,車体の左側から、下側のボルトを外します。
3,続いて、上側のボルトを外します。
抜けにくい場合、反対側から叩くと、抜き出すことができます。
もし、ボルトが固着していて動かない場合、業務用ラスペネなどを使って取り外します。
4,あとは、純正リアサスに付いてる水抜き用のホースを、クランプ(車体右側の下に、いくつかホースがまとめてある箇所のこと)から外します。
ホースをクランプから抜き出せば、リアサスを取り外すことができます。
リアサスペンションの取り付け
1,赤く囲んである箇所にグリスアップしておきましょう。(モリブデングリス推奨)
2,上下や、裏表の向きを確認してから、取り付けましょう。
赤丸で囲んでるネジの部分が上を向くようにします。
3,上側のボルトは、完全に締めない状態で、下側のボルトを入れる作業に移ります。
ここが、MC22のリアサス交換で、一番の難所かもしれません。
スイングアームの位置(角度)がピッタリ合わないと、ボルトが入らないからです。位置合わせは、ジャッキを調整しながらおこないます。
整備や工具の扱いに慣れている方は1人でも大丈夫かと思いますが、そうでない方は、手伝ってくれる人がいたほうが、スムーズに取り付けられると思います。
車体右側から見た様子。
4,下側のボルトがしっかり締まったのを確認してから、上側のボルトを締めます。
以上で、取り付け作業は終了です。
あとは、ガソリンタンクとシートを元どおりに取り付けるだけです。
スムーズに取り付けられない場合
イレギュラーケース
ごくまれにフレームの仕上げによって取り付けにくいケースがあります。
砂型でアルミフレームをつくる際、ボルトを通す穴が歪んだことが原因かと思われます。
矢印の箇所が示すように、ボルトが左側に寄っていて、右側にすき間ができています。つまり、斜めになっているわけです。
ボルトが干渉して、奥まで入らないとのことです。(解決済み)
MC22用は60本以上出荷していますが、初めてのケースです。
純正のリアサスはゴムブッシュのため多少、フレーム側が歪んでいても、たわみで取り付けられます。
上記以外のケース
上記のような事例を除き、取り付け方法が適切なら、干渉したり、ボルトが入りにくい、といった事はないはずです。
上手く行かない場合は、もう一度、最初から本記事の手順を確認してください。
必要な手順を飛ばしていたり、方法をアレンジしたり、重要な部分を見落としているケースがよくあります。
ボルトやサスペンション本体が、まっすぐ取り付けられていること、上下がボルトで固定されていることを確認してください。
上記写真のように斜めに取り付けられていたり、上下の部分がボルトで固定されず、動いてしまう場合、リアサスの破損や、事故につながります。
何らかのカスタムが行われている場合、取り付け不良になる事があるので注意してください。
ガレージ湘南でYSS ME302をご購入のお客さまへ
もし、本記事の手順で取り付けられなかった場合は自己判断せず、ガレージ湘南までお問い合わせください。その際、状況が確認できるような写真をメールに添付してもらえると、回答しやすいです。
※直接、ご購入頂いたお客さま以外からの取り付けの相談は、回答致しかねます。ご了承ください。
(リアサスペンション取り付けのご依頼はメーカー不問です)