インターネット上に、バイクのレビューがほぼ、存在しない頃にニューテックオイルを使い始めました。
エンジンにとって過酷な環境でニューテックオイルを使用し、エンジンのプロ立ち会いの下、2回エンジンを分解して、検証しました。
その結果と、油温変化や、オイル寿命をまとめたインプレッションです。
ニューテックオイルを使用する前
HONDA CB125T改 2001年式(142cc化・軽二輪登録済み)
空冷SOHC 2バルブ2気筒 高回転型エンジン(オイルクーラー、オイルフィルター無し)
筆者がCB125Tを納車された際、ちょうど真夏でオーバーヒートの症状が出ました。
だれもが知っているワコーズや、モチュールなど、有名メーカーのハイグレードオイルを試しました。
(バイクを購入したショップお奨めのオイル)
結果は、全然ダメ。
次によくある「空冷用」エンジンオイルをいくつか試しましたが、どれも満足いく結果は得られずじまい。
そこで有名・無名、知名度に関係なく、片っ端からオイルをテスト。
やっと満足できたオイルがニューテックでした。
ニューテックは名前だけは昔から知ってましたが、どんなオイルか知らないし、現在のようにインターネット上に、レビューが無い状態でした。
(4輪はたくさんありましたが)
問題点
・夏場はオーバーヒート気味
→有名メーカーオイルをいくつか試すも歯が立たず
・バイクの仕様上、冬場は油温が上がりにくい
→暖機走行60分でやっと油温70℃〜80℃
使用環境
・オールシーズン、高速を使ったツーリング、市街地や峠道での走行、チョイノリもする
・エンジンをよく回して走行することが多い(一般道6000rpm以上、高速道路は9000rpm以上で5,7時間連続走行)
ニューテック使用時の油温データ
CB125T改でテストした結果をシェアします。
計測方法やテストのやり方など、諸条件で結果はおおきく違ってきます。
そのため、できるだけ詳細を記載しておきます。
・デイトナ製デジタル油温メーターを装着して通年、油温のモニタリングを実施。
・オイルパンで計測しているため、表示油温より+5℃してカウント。
・コールドスタート後、油温が80℃を超えた状態から計測して、上限と下限を複数回テスト。
(基本的に渋滞の信号待ちなど、特殊な環境による一時的な油温上昇はカウントしない)
・走行シーンはストリート、峠、ツーリング、有料道路のすべて(オールシーズン)
なお、ほぼレストア状態でテストしているため、バイクの不具合による影響はかぎりなく低いと思います。
ちなみに、バイクの適正油温は以下のとおりです。
バイクの適正油温は80℃〜100℃、MAXで120℃ほど
バイクエンジンの適正油温をプロに聞きました「エンジンを壊すライダー、壊さないライダーの違いは?」
計測した油温データ
まずはZZシリーズから。
■テスト銘柄1
期間:2015年から開始
・ZZ-01 5W-35
・ZZ-02 10W-45
単品、もしくは上記2つをブレンド
2016年1月17日
約8000km走行後のレビュー
使用銘柄:ZZ-01(5W-30)、ZZ-02(10W-45)
ノーマル車両:6000km
142ccボアアップ後:2000km
当初はZZ-02を使っていたが、秋以降になってZZ-01を使っている。
メーカーに問い合わせたところ 「ZZ-01 5W-35でも大丈夫」とのことだったが、夏場は念のためZZ-02 10W-45を使っていた。
今回、CB125Tをボアアップして高速を走行するために 事前にオイル交換。ZZ-01 5W-35を使用した。12月とはいえ8000〜10000rpmの連続走行。
湘南から鈴鹿までの道のりは長い。
しかし予想に反してトラブルの予兆すら無かった。1050km走行後のオイル交換ではボアアップ直後ということもあって若干、オイルに金属粉が混じっていたが性能面の低下は感じられなかった。
念のためメーカーにボアアップした旨を告げると 上級銘柄のNC-50、51を薦めていただいた。
(ブレンド比率も教えてくれた)
こうしたきめ細やかなサービスにニューテック社の姿勢が現れているといえる。 良い製品をつくる事は大事だが、それ以上にきちんと使い方を教える事も同じように大切なことだと思う。
4/15 外気温23℃ 晴れのち曇り
最高油温95℃
走行時85℃〜90℃
4/28 外気温20℃ 晴れ
最高油温102℃
走行時85℃〜95℃
■テスト銘柄2
期間:2016年1月〜12月
チューニングマシン/スポーツ走行用
・NC51(0-30W)
・NC50(10-50W)
単品、もしくは上記2つをブレンド
5月上旬 平均気温20℃度半ば
ストリートでは最高で瞬間油温101℃をマーク。60km/h、スムーズな流れで数百メートル走行すると油温は5℃下がる。
やや冷たい風の吹く海沿いや、スムーズに数キロ続けて走行すると10℃ぐらい下がる。
最低78℃~最高101℃
信号待ち平均90℃~95℃
2016/6/2
渋滞の峠道で最高104℃をマーク。走行になんら支障なし。
夏場の渋滞(信号待ち。大阪の万博周辺の大渋滞)で120℃を越えたが、体感レベルの性能低下は認められず。
走行後のインプレッション
まず油温が下がりやすくて、オーバーヒートしなくなった。
冬場のコールドスタート直後や、真夏でもエンジンのレスポンスがすごく軽やか。
オイルが冷えていても、もっさり感がないし、高温時でも以前のように「エンジン大丈夫かな」みたいな挙動が感じられない。信号待ちとか停車中のアイドリングも安定している。
エンジンオイルをテストする時の注意点
「それはオイル交換の効果か、それともオイルの性能か?」
という話があります。
よくエンジンオイルのレビューってありますよね。
筆者の記事もそうですが。
劣化したエンジンオイルを、新しいオイルに交換すれば、調子が良くなるのは当たり前です。
それを「どこどこのメーカーのオイルに交換したせいだ」と思ってしまうと、的外れなレビューになりかねません。
筆者がオイルをテストする際は、同じオイルを500kmで交換したり、1000kmで交換したりします。
(もちろん使用するオイル粘度は固定。オイル添加剤は使用しません)
ちょっともったいない気もしますが、オイルメーカーのテストのように、走行した後のオイルを計測器にかけて分析する事はできませんからね。
まずは、以前に使っていた銘柄のオイルが抜けきれるまで、走る&オイル交換を繰り返します。
完全に入れ替わったところで、やっと本格的なテスト開始です。
「A社のオイルからB社のオイルに1回だけ交換して、ちょっと走って、レビュー」
みたいなのは、個人的にはなんの参考にもならないと思ってます。
オイル交換後の評価と考えかた
上記の準備期間後、もし、短い距離でエンジンオイルを交換して、調子が良くなるなら、オイルが劣化している事になります。
逆に、メーカー指定距離でオイル交換しても、それほど大きな変化が感じられない場合、あまりオイルは劣化していないと推定できます。
あくまで体感レベルのテストの話なので、実際はわかりませんけどね。
ただ、筆者はできるだけ緻密にテストして、判断しています。
テスト車両のエンジンを分解
エンジンオイルは、金属同士が摩擦しないよう、クッションの役割も果たしています。
エンジン焼き付きを防止する4つのポイント
【初心者向け】WPC処理のメリット・デメリットと耐久性 ~ピストンコーティングの種類と効果~
1,金属表面の仕上げ(面粗度)
2,メタルクリアランス
3,エンジン回転数
4,エンジンオイル
29,298km走行後
ニューテックオイルを使い続けて、29,298km走行した筆者CB125T改のエンジンを分解しました。
シリンダー、ピストン、ピストンリング、ピストンピン、ピストンクリップはすべて中華製
(キットで当時価格 約6,000円)
エンジンのオーバーホールを1,100基以上、手がけてきたメカニックから「走行距離のわりに綺麗な状態」との評価をもらいました。
47,968km走行後
ピストンリング交換なしで、47,968kmを突破。
白煙を吹くことなく走行できました。もちろん、オイルの減りもありません。
ピストンは、「ピストンリングを交換すればまだまだ使える」というプロのお墨付きをもらいました。
85,494km走行後
筆者のCB125T改。トータル走行距離85,494kmで、エンジンパーツを計測しました。
カムシャフトを含め、多くのパーツが再利用可能な状態でした。
クランクシャフトもガタの発生なし。
ニューテックオイルに向く人、向かない人
価格優先の人や、バイクを消耗品と考える方には、向かないかもしれません。
逆に「愛車を長持ちさせたい」と考える方には、車種を問わずお勧めです。
オイル寿命も市販オイルを使って、ル・マン24時間耐久レースや、鈴鹿8時間耐久ロードレースで優勝するぐらい耐久性がありますからね。
・令和版 エンジンオイル選びの考え方
・ニューテックオイルとほかのオイルの違い
・車種別おすすめ銘柄
・エンジンオイル表示のウソ
を以下の記事で解説しています。外車や、水冷バイクにも対応しています。
エンジンを長持ちさせる方法や、よくある失敗事例などを記事に掲載しています。
もしよかったら、チェックしてみてください。