2ストオイルの「都市伝説」をプロと検証。焼き付きエンジンの分解写真が語る「オイル選びの真実」

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バイク用 お勧めの2ストオイル

この記事では、単なるカタログスペックの比較はしません。

2ストオイルにまつわる都市伝説を検証すべく、潤滑油メーカーのオイルテストを500以上、経験したテストライダーにインタビュー。実際に私の車両で検証しました。

焼き付いたエンジンや、オーバーホールで分解したエンジン写真も掲載しています。

その上で、用途や車種に応じたおすすめオイルを紹介しています。

本記事のトピック

一般的なバイクコラムや、雑誌には書かれていないエンジンオイルの裏話

オイルの選びの失敗事例

本当は逆効果 焼き付きや不調の原因になるよくあるミステーク

詐欺まがいのオイルを見破る方法

最強の2ストオイル

追記:アクセルを開けたらバックして衝突事故

当記事の閲覧数が6万を超えました。ありがとうございます。

年々、純正部品も、2ストを扱うショップも減るいっぽうですが、少しでも長く乗り続けられるよう、本記事が役に立てばさいわいです。

お知らせ

2021年5月8日に本記事を公開して、5年半が過ぎました。

その間、少しずつ推敲を重ねてきましたが、そろそろ独自研究して蓄積した内容を踏まえて、「2026年版」を執筆中です。

うわさ話や、都市伝説ではなく、エンジン工学、トライボロジー(潤滑学)といった物理的な検証を交えて、より的確なオイル選択ができる記事になると思います。(1月末または2月に公開予定)

目次

テスト車両

LEO120 SE KAWASAKI
LEO120SE

空冷2ストローク クランクケースリードバルブ単気筒
排気量:118.6cc
最高出力:22.5ps/8500rpm
ボアストローク:54×51.8mm
車重:97kg
エンジン潤滑方式:分離給油
製造国:タイカワサキ
製造年:1998-2003

走行シーンは市街地走行、たまにツーリング。

できるだけイコールコンディションになるように、キャブレターの分解清掃はもちろん、プロのメカニックによりセッティングが出ている状態でテストしています。

※メインジェットなど、キャブパーツの変更なし

2ストエンジン寿命

追記:当ブログでお伝えしている内容を実践して、LEOのエンジンが走行距離48,033kmまで持ちました。

(エンジンオーバーホール、修理歴なし)

2ストマフラーのオイル飛び

「2ストのマフラーからオイルが垂れるのは仕方がない」

そう思っている方も多いと思いますが、必ずしもそうとは限りません。

Before

2ストマフラーのオイル飛び
LEO120SE 純正サイレンサー

筆者がLEOに乗った当初のサイレンサー。テールパイプにびっしりカーボンが溜まっています。

接合部分にもカーボンが溜まっていました。

音がうるさすぎることもあって、汎用サイレンサーに交換。

After

2ストマフラーのオイル飛び
汎用サイレンサー

サイレンサーを交換後、筆者が19,914km走行(メーター走行距離35,500km)して撮影。

ご覧のとおり、走行距離が多いにも関わらず、カーボンは少ないですし、オイルが垂れていません。ナンバープレートの裏が、オイルまみれになることもないです。

そもそもオイルが飛ばないので。

シリンダーや、ピストンリングの摩耗など、圧縮不良が原因の場合を除けば、使用するオイルでカーボンの付き具合を減らす事ができます。

※仕様として、オイルポンプ吐出量が多すぎる車種を除く

ちなみに

汎用サイレンサーのほうが抜けが悪いので「サイレンサーを交換したからカーボンが溜まらない」わけではありません。もともと入っていたホームセンターの激安オイルが、カーボンが溜まった大きな要因と思われます。

筆者がテストしたところ、微妙なオイルは、みるみるうちにテールパイプにカーボンが溜まっていきました。

テストしたエンジンオイル

2ストの生産終了が発表された2000年ぐらいまで、ホンダ・ヤマハの純正オイル、カストロール、エルフ、レプソル・・・いろいろ使用してました。

(あとは忘れました)

バイク用2ストオイル
2000年ごろの雑誌に掲載されていた2ストオイルの一部

2020年から新たに比較したオイルを紹介します。

テスト順

1,ホームセンター激安オイル
2,POWER1 2T(カストロール)
3,POWER1 RACING 2T(カストロール)
4,ESTER TECH RS 959(ピュートライン)
5,ウルトラスーパーファイン(ホンダ)
6,MOTO2 OFF ROAD(エルフ)
7,MOTO2 TECH(エルフ)
8,ウルトラGR2(ホンダ)
9,CROSS POWER 2T(モトレックス)
10,POWER1 2T(カストロール)
11,MOTO2 OFF ROAD(エルフ)

今後も増えるかもしれません。

カストロール テスト結果

2020年

当初、LEOに入っていたのはホームセンターの激安オイル。

プラグの焼けだけを見れば悪くありませんでしたが、トルクは細く、振動が気になる。

(なによりカーボン蓄積が多すぎる)

空冷エンジンで真夏の走行は不安すぎるため、まずは入手しやすいカストロールから試すことにしました。

CASTROL POWER1 ULTIMATE 2T(旧称 POWER1 RACING 2T)500ml

結果:
データ上は「POWER1 2T」(引火点119℃)、「POWER1 RACING 2T」(引火点73℃)なので、カーボン蓄積が減るかと期待していた。実際に走行してみると、プラグのカーボン蓄積がひどくなった。

(のちにエルフ、モトレックスを使用すると顕著に改善された。くわしくはのちほど)

CASTROL POWER1 2T 500ml

結果:
匂いは少し甘めで悪くはなかったが、「POWER1 RACING 2T」と同じくカーボン蓄積が顕著だった。2023年夏、あらためてテストしたが、結果は同じ。

(いずれも、あくまで筆者がLEOで試した場合の結果)

オイルのにおい

カストロール(植物油のひまし油)の社名が示すとおり、ひまし油がベースオイルとして使用されていた同社のオイルは、「焼けたオイルの匂いが甘い」ことで知られていました。

ただし、あくまで昔の話。

上記2種類のオイルは、かつてのオイルとは全く別物。「強いていうなら、ほんのり甘めかな」という程度です。過剰な期待をして買うと、がっかりすると思います。

ちなみに2022年時点で、サーキットではかつての世界GPと同様、強烈な甘い香を放つ2ストが走っていました。(オイルメーカーは不明。レース専用オイルかな)

再検証の結果

キャブレターを再セッティングして、POWER1 RACING 2Tの再検証をおこないました。

セッティングの方向性としては若干、薄めになっています。

秋・冬で、ほかのオイル同様、市街地走行メイン。しっかり回して走ると、プラグの焼け具合は良好。つまり比較的、「濃く」なるオイルのようです。

(かなり意識的に高回転を使って、走った場合の話。いつもどおりに走るとかぶり気味になります)

都市部など渋滞の多いところや、あまりエンジンを回さない人は、カーボンがたまりやすくなるため、不向きかもしれません。

再検証の結果を踏まえても、「(回せば)悪くはないけど・・・すごく良いわけでもない」という感じでした。

1本500mlなので割高感があります。

POWER1 RACING 2Tはホームセンターや、バイク用品店で置いてある確率が高いため比較的、入手しやすい、容量が小さく携行しやすい、という利点があります。

総合的に考えた場合、あえてカストロールを選ぶ理由は少ないと個人的には思います。

あとでくわしくお伝えしますが「合成油=100%化学合成油」ではないので、ご注意ください。

アプリリアRS250の指定オイル

POWER1 RACING 2Tは、アプリリアRS250のメーカー指定オイルです。

ただ個人的には、公道メイン使用で、アクセル全開で連続走行をしない場合、スズキ純正オイルのほうがいいと思います。

(もっと良いのはモトレックス)

根拠はのちほど解説。

よくある2ストオイルの選び方

一般的によく知られている選び方だと、

・メーカーやブランドなどイメージで選ぶ

・ランキングで選ぶ

・オイルグレードで選ぶ

・やっぱり純正オイルが一番!

こんなところでしょうか。

オイルに関する基本的な知識は以下の記事をご覧頂くとして

基本を踏まえた上で、オイルのテストや開発をしていたプロから教わった、2ストオイルの選び方や、判断基準をお伝えします。

ここだけの話、超有名オンラインショップでも、誤った情報が書かれていたり、販売されていたりします。

(法律的にアウトなレベル。2スト・4ストオイル両方で発見しました)

「大手だから大丈夫」と鵜呑みにせず、消費者側が知識をつけた上で、判断したほうがいいと思います。

オイル選びでよくある2つの誤解

失敗しないオイル選びに入る前に、巷でよく言われている意見や、考え方について検証します。

「メーカー純正オイルが一番、良い」

半分正しくて、半分まちがっています。

理由を説明する前に、オイル業界の仕組みについて解説します。

まず、純正オイルをつくっているのはバイクメーカーではなく、潤滑油会社です。OEMですね。

OEM(オーイーエム、英: original equipment manufacturer)は、他社ブランドの製品を製造すること、またはその企業である。

Wikipedia

イメージとしては、バイクメーカーが潤滑油会社に対し

「こういうエンジンオイルをつくってくれ」

依頼して、潤滑油会社はリクエストに沿った仕様のエンジンオイルをつくって、メーカーに納入。

納入したオイルは「バイクメーカー純正オイル」(いわゆるPB(プライベートブランド)商品)として流通します。

ホームセンターなどが販売している激安PB2ストオイルも、これと同じ仕組みで生産されています。

(工業製品にかぎらず、飲料品や食品、化粧品やサプリなど多くがOEMで販売されてます)

では、いわゆる社外オイルはどうなっているのか?

大きく2つあります。

潤滑油会社(いわゆるオイルメーカー)

A.自社に工場を持っていてオイルの製造・開発すべてをおこなっている(原油を仕入れて自社で精製する)

B.自社に工場を持たないブレンダー(OEM会社とも言います)

どちらかです。

いわゆるメーカー純正オイルは、Aの潤滑油会社が製造します。潤滑油会社は、ほかのメーカーのオイルもつくりますし、自社ブランドのオイルも製造・販売します。

有名なのは三和化成工業です。(残念ながら2ストオイルは生産終了)

三和化成工業株式会社 1947年設立 横浜市

鈴鹿8耐 Team KAGAYAMAの使用オイル「ベリティ」ブランドで知られる。日本の大手自動車メーカーや、バイクメーカーの純正オイルを手がけているメイド・イン・ジャパンの老舗潤滑油会社。

同社は自社に工場を持ち、原油の精製から開発まで一貫して、おこなっています。

(すべてを自社でおこなっている会社は日本に数社しかないそうです)

いっぽう、ブレンダー(B)は自社工場を持たないため、自社ブランドの開発・販売をおこない、オイル製造は工場を持つ潤滑油会社に委託します。

で、純正オイルの話に戻しますが、性能を突き詰めた場合、純正オイルでは限界があるそうです。

コストの限界ですね。

いまやバイクのメイン市場は、日本以外のアジア圏にシフトしています。

日本国内であれば比較的、流通がしっかりしてるので純正オイルなら大抵、どの地域でも入手できると思います。ところが、発展途上国など、海外だと日本の当たり前が通用しません。

オンラインショップで注文すれば、どの地域でも配達してくれるとはかぎらないですし、日本みたいにあちこちバイクショップがあったり、バイク用品店があるわけじゃないですからね。

販売価格の面でも日本と比較して、所得の低い国や、地域もあります。

つまり日本だけじゃなく、輸出先の事情も考慮した上で、価格設定する必要があるわけです。

ところが、オイルは性能を追いかければ追いかけるほど、ごく一部の人にしか手の届かない価格になってしまいます。

メーカー純正オイルが高額だと、さすがにまずいですよね。肝心のバイクが売れなくなります。

なので、コストを重視せざるを得なくなります。

だから新車や、エンジンが新車に近い状態で、一般的な(メーカーが想定する範囲内の)走り方、使い方をする人にとっては、純正オイルで十分です。

それ以外の人には「純正オイルではもの足りない」という事になります。

もし純正オイルが、自社のバイクに最も良いのであれば、MotoGPを初めとする全てのレースで、ホンダ車はホンダのオイル、ヤマハ車はヤマハの純正オイルを使っているはずですからね。

でも、過去(世界グランプリが2ストロークだった時代)も現在も、そうじゃないでしょう?

具体的に、どんな場合に純正オイルが良くて、どんな場合に社外オイルがいいのかは、あとでお伝えします。

バイクもオイルも変化している

4ストオイルの記事にも書きましたが、新車と生産から何十年も経過した現在では、エンジン含めバイクの状態はかなり異なっています。

たとえば4ストロークの指定粘度は、新車 or 新車から1年程度を前提にしています。

(油冷GSXR750Rのサービスマニュアルにその旨が書かれています)

走行距離を考慮すると、粘度を変えたり、より高性能な社外オイルのほうが良かったりします。

また純正・社外オイルも不変ではなく、中身やラインナップが変化しています。

もはや「純正オイルとは?」と言ったところです。

2,「高いオイル=高性能」

ここで取り上げる「高いオイル」とは、いわゆる社外オイルになります。

KTMやハスクバーナ、ドカティやハーレーなどの外車は、日本車みたいなバイクメーカー純正オイルがありません。

メーカー推奨オイルは、いわゆる社外オイルになります。

日本車も(4ストの場合)1980年ごろの旧車・絶版車は、粘度の指定や、規格の指定があるだけで、純正オイルが存在しないバイクもあります。

では、社外オイルの価格を大きく左右する要因は、なんだと思いますか?

これ、私の知るかぎり、インターネット上で取り上げている人を見た事がないです。

答えは、原油の仕入れ量です。どの潤滑油メーカーも原油(石油)は国外から仕入れるのですが、たくさん仕入れるほど、コストが安くなります。

仕入れが安くなるという事は、製品にコストをかけることができるわけです。

市販エンジンオイルの価格って、ある程度、市場価格がありますから、あまりにも市場価格から逸脱してしまうと、売れなくなります。

だからメーカー純正オイルほどではなくても、市販の社外オイルも(販売戦略上は)コストの制限があります。

たとえば1ℓ/3500円で販売するオイルをつくるとして

1,原価1ℓ/1600円−3500円=1900円(開発予算)
2,原価1ℓ/2000円−3500円=1500円(開発予算)

ドラム缶1本が200ℓですから、換算すると

1,38万円
2,30万円

かなりシンプルに計算していますが、8万円も開発予算に差が出ることになります。

どちらがより高品質なオイルをつくることができるか、一目瞭然ですね。

ある中小潤滑油会社の方が「(某大手のフラッグシップオイルと)同じ性能のオイルを私たちがつくろうと思ったら、価格を上げないと無理。原価がぜんぜん違う」と仰っていました。

もちろん、実際の製品コストは原油の仕入れ価格だけではなく、使用する添加剤や製品パッケージ、広告宣伝費などの営業経費、人件費その他、もろもろの経費が関わってきます。

その中でも原油価格は、かなり大きなウエイトを占めるそうです。

このように考えると、今までとは異なる視点でエンジンオイルの価格を見ることができます。

A.販売価格 1ℓ/1000円のオイル
B.販売価格 1ℓ/3000円のオイル

シンプルに考えると、Bの3000円オイルのほうが高性能といえます。

(自分のバイクに合うかどうかは別ですが、その話はまた後で)

では、次です。

C.販売価格 1ℓ/3300円のオイル
D.販売価格 1ℓ/3500円のオイル

あるいは

E.販売価格 1ℓ/2000円のオイル
F.販売価格 1ℓ/2200円のオイル

同じ価格帯のエンジンオイルの場合、どのように判断できるでしょうか?

そうです、原油の調達コストですね。

といっても、原価は製品パッケージには書いてありませんから、エンジンオイルの販売メーカーの規模で推察することになります。

大量販売している比較的、中堅から大手のオイルメーカーなら、ロット数が多いためコストが抑えられます。

いっぽう、中小のオイルメーカーは小ロットのため、調達コスト(原価)が高くなる傾向にあると考えられます。

ちなみに、以上の話は2ストにかぎらず、4ストにも共通する話です。

例外もある

あえて名前は出しませんが、大手や、有名オイルメーカーのなかには、広告宣伝費をかけすぎていたり、ブランドイメージだけが先行しているものもあります。

1つの考え方に固執すると、ほかを見失う

ここまで読んでくださっている読者の方に筆者がお伝えしたいのは、「あまりバイクメディアや、販売店、広告、うわさ話を鵜呑みにしすぎないほうがいい」という事です。

答え(に見えるもの)を信じすぎないほうがいいというか、結論だけを追いかけないほうがいい。

というのは、物事にはいろんな角度があって、いろんな考え方があるからです。答えは1つではなく、時と場合によって、つねに変化します。

1つの視点、1つの考え方に執着すると、ほかのことが見えなくなって、大きな失敗をする事になりかねないからです。

本記事や、ブログでお伝えしていることも、複数の視点の一部です。ただ、ご自身にとって最適な判断をするための考え方を伝えているつもりです。

記事を読む前と今では、オイルに対するとらえ方が変わったでしょう?

値上がりするエンジンオイル事情

(エンジンオイルや、潤滑剤だけではありませんが)コロナ禍や、ウクライナとロシアの戦争以降、輸送コストがおおきく上昇しています。

オイルを製造する際に使用する添加剤も、入手しづらくなっているようです。

食品など、ほかの分野と同様、今後も値上がりする可能性は否定できないと思います。

実際の販売価格がどれだけ上昇するかはわからないですが、すでにお気に入りのオイルがある場合、まとめ買いしたほうがいいかもしれません。

2023年の値上げ

2023年2月1日からホンダ、ヤマハのオイルが値上げするとの発表がありました。

ほかにも10%から30%値上げしたメーカーがあるほか、なかには仕入れ価格が50%アップしたエンジンオイルもあります。

エンジンオイルにかぎらず、潤滑油製品が全体的に値上げ傾向にあります。

https://inuiyasutaka.net/bikeblog/engineoil/

2025年も相変わらず値上げラッシュが続いています。

自分に合うオイル選び3つのポイント

「どういう基準でオイルを選べばいいのか?」

「自分のバイクにはどのオイルが適してるのか?」

いよいよ、総まとめに入ります。

結論から言うと、

自分のバイクの状態、走行シーン、走り方に合ったエンジンオイルを選ぶ

ということになります。

まぁ、4スト用エンジンオイルと考え方は同じです。べつに好きなブランドで選んでもいいし、純正オイルでもいいと思います。

ただ、ここだけは抑えておいた方がいいと思う3つのポイントをお伝えします。

一般公道での走行、ノーマル車両を前提とした話です。

ポイント1:マッチング

たとえば、スポーツ走行・レース向けにつくられたオイルは

「エンジンを高回転まで回した状態で連続走行」

を想定して、設計されています。

(さきほどの例でいうと、濃い目のオイル)

にもかかわらず、ストップ&ゴーの多い市街地での走行がメインだと、私の例(カストロ)のようにプラグがかぶりやすくなったり、エンジンや、マフラーにカーボンが溜まりやすくなります。

ただでさえ、低回転での走行が多かったり、短い距離しか走行しない人、高回転まで回さない乗り方をする人のバイクは、カーボンが溜まる傾向にあります。

とくに250cc以上の2ストバイクだと、一般道で高回転を維持して、走行するのは現実的に不可能だと思います。

ですから、あまりエンジンを回さない(回せない)人や、都市部など信号待ちや渋滞が多く、アイドリング時間が長い場合、メーカー純正オイルか、社外のストリート向けを入れた方が無難です。

ちなみに、ここでいう「高回転」は、ほぼアクセル全開のことを指しています。

失敗事例:用途と走り方のミスマッチ

筆者が仕事で2ストのジャイロキャノピー(スクーター)に乗っていた頃、こっそり社外オイルを入れて走っていたら、決まってマフラーにカーボンが詰まってしまい、バイクショップのオヤジさんに「社外品はダメ、純正オイルにしときなさい」と叱られたものです。

「スクーター用なら社外オイルでもいいだろう」

試しにカストロのスクーター用オイルを入れてみましたが、やっぱり詰まってしまい、また叱られるという結果になりました。素直に純正オイルを使ったら、詰まらなくなりました。

※全開走行がほぼ皆無で、渋滞が多く、信号待ちが多いことも影響していたと思います。

「スクーター用のオイル」は、さきほどのレース用オイルなどと逆で、あまりエンジンを回さない使用環境を想定して、つくられたオイルです。

(オイルによっては注意書きに「高回転での連続走行には向きません」みたいな事が書かれています)

ですが、ミッション車に使用できないという意味ではありません。

むしろ高回転まで回さない方、回せない方に合ったオイルです。

ホームセンターなどで販売されているスクーター用 激安オイルはおすすめしません。

rzv500 エンジンオイル
RZV500R

ちなみに筆者がRZV500Rに乗っていた時、やはり購入したYSP店で「ヤマハ純正オイル(青缶)にしたほうがいい」と言われました。

渋滞の多い大阪市内ではとても回せないし、信号待ちが多く、アイドリング状態が長いですからね。

たしか2速6000rpmで、80km/hほど出たかな。オイルが垂れたり、かぶらないように回して走るのがむずかしかった記憶があります。

一般道だと、道が空いてる時で回せて、せいぜい8000rpmぐらい。

それ以上回そうと思ったら、かなり場所が限定されていました。(舞洲とか南港とか)

2ストチャンバー オイル垂れる
オイルの垂れたチャンバー GT750

ありがちな失敗事例

どちらかといえばレースや、スポーツ走行向けのオイルを入れる

→エンジン(ピストン、ピストンリング)や、チャンバーにカーボンが溜まる→焼きつきを含むマシントラブルが起きやすくなる

「高性能オイル=良いオイル」と思い込んでる人に多い

アプリリアRS250 チャンバーに溜まったカーボン
純正チャンバー

走行距離 約16,000kmのアプリリアRS250。

キャブセッティングや、使用している燃料にもよると思いますが、メーカー指定オイルを使っていても、乗り方・使用環境が合っていないと、カーボンがたまりやすくなります。

たとえば、サービスマニュアル上、RS250の推奨オイルはカストロール TTS(現行製品だと POWER1 RACING 2T または POWER1 2T)ですが、低回転走行を強いられる市街地では不向きかと思います。

アプリリアRS250 排気バルブ
排気バルブ
カーボンが溜まった2ストエンジン
マフラーを外した状態。排気側にカーボンが溜まっている

カーボンが原因でありえない事故発生

ある時、青信号でアクセルを開けたら突然、バイクがバックして、後続車に激突!

という事故がありました。

ゴールドウイングなど、バック機能が付いてるバイクじゃなくて、2ストロークの話です。

原因はピストンの頭にたまったカーボン。

ピストンが上死点に到達する前にカーボンが燃えてしまい、エンジンが逆回転してバックしたそうです。

例:ランディ(スズキ FM50)、バンバンなど

ほかにも、GT380で点火タイミングを間違えると、やはりエンジンが逆回転するとか。

現代なら間違いなくリコールだと思いますが、昔なので、それほど大きな騒ぎにならなかったのでしょう。

もしかしたら、スズキ車以外でも、こうしたケースが発生していたかもしれませんが、筆者が聞いたのはいずれもスズキ車だった、ということです。

50ccから125ccの2ストバイクの場合

基本的な考え方はこれまでお伝えしたとおりです。

ただ、原付クラスのミッション車は、250cc以上とちがって非力なため比較的、エンジンを高回転まで回して乗る人が多いと思います。

高回転を多用する前提でいうと

・スクーター用オイルではないメーカー純正オイル

・純正の上位ランクオイル

・社外オイル

いずれかを試してみるのもいいと思います。

4ストみたいに低回転(6000rpm以下)でノロノロ運転することが少なく、しっかりパワーバンドを使って走る方や、チャンバー交換をしている場合ですね。

250cc以上の場合

250cc以上の2ストになると、速度が出すぎるため、公道で高回転を多用するのは現実的ではないです。

高速をほとんど走らず、下道メインなら比較的、燃焼しやすいオイルがいいと思います。

国産車なら基本は純正オイル。

社外オイルなら、たとえばモトレックスや、エルフのオフロード向けオイルですね。

ポイント2:分離給油用オイルを使う

念のために書いておきますが、2サイクルエンジンは分離給油と混合があります。

https://autos.goo.ne.jp/column/1034722/

ガソリンとエンジンオイルを一定の割合で混ぜて、ガソリンタンクに注ぐのが混合。

混合はレース車両や、一部の市販車(ベスパ、モペットなど)に採用されている方式です。

それに対して、公道走行用の2スト バイクのほとんどに採用されているのが分離給油方式。

エンジンオイルを入れるタンクから、ポンプでオイルを送ってガソリンと混ぜています。混合仕様のように、自分で混ぜる必要がない代わりに、エンジンオイルを切らさないよう、継ぎ足す必要があります。

で、注意していただきたいのは、分離給油のバイクには、かならず分離給油用のオイルを使うこと。

混合専用エンジンオイルを使用しないことです。

もし、混合専用の2ストエンジンオイルを分離給油のバイクに入れた場合、オイル粘度が高すぎて(オイルが硬すぎて)、ポンプで必要量のオイルを送ることができず、最悪の場合、エンジンが焼き付くことになります。

例外として、分離給油のバイクを混合仕様(オイルポンプをキャンセル)にしている場合は、混合専用オイルを使用できます。

分離給油と混合給油を比較した場合、耐焼き付き性に優れるのは混合です。

ただし混合だと、給油の度に混合ガソリンを作る手間がかかります。また、混合仕様はスロットル全開時にちょうど良いオイル量に設定するため、アイドリング時など、スロットル全閉状態では被ります。

サーキットでは基本、全開走行なので問題ありませんが、ストップ&ゴーの多い市街地には不向きです。

(信号待でスロットルを煽らなければなりません)

分離給油は「アイドリング時はオイル供給量を減らす」「スロットル開度に応じてオイル供給量を増やす」という補正機能があるため、公道用バイクのスタンダードになりました。

粘度指数(Viscosity Index = VI)

もう一つ、オイル選びの指標として「粘度指数」があります。

一般的にオイルは、高温時には粘度が下がり、低温時は粘度が高くなります。ここで大事なのは「温度による粘度変化の大きさ」です。

粘度変化が小さいほど、粘度指数が高い=優れたオイルである、とされています。

ただし、2ストロークの場合、潤滑性能だけではなく、「カーボンが溜まりにくい」ことも重要です。(カーボン蓄積に起因するエンジン焼き付きがあるため)

つまり、「粘度指数が高いオイルを選べばいい」そう簡単な話じゃないんですね。

最終的な判断は、実際に走ってみないとわからないです。

その意味で、あまりデータとか、数値にとらわれすぎると、頭でっかちになると思います。

それと、走った後に毎回、エンジンを分解するわけにいきませんから、自分の感覚やプラグの焼けなどから、どのように判断するか?

それによって、評価が変わると思います。

感覚やフィーリング、結果をロジカルと物理(実物を見て)で検証することが大事だと思います。

(私たちには常にバイアスがかかっています)

バイアス=無意識におこなっている偏った思考、物事のとらえ方。その数は30種類以上ある。

「なにが正解かは時と場合によって変わる」

(アインシュタインの相対性理論)

同じバイクに乗っているほかのライダーの意見でも、全く同じ状態のマシンで、全く同じ条件でテストしない限り、ちがって当然ですし、人によって重要視するポイントも違います。

そういった意味でキャブセッティングも、オイル選びも、人によって「最適」が変わるのは当然だし、時と場合によって違ってくるものです。

オイルの話に戻ると、価格を最優先する人がいてもいいし、純正至上主義でもいいと思います。

以上を踏まえた上で、続きを読み進めてください。

筆者のオイル選び基準

用途:主に市街地走行、たまにツーリング走行

価格:お買い物バイクなのでオイル単体でリッター3000円は高い。1500円から2000円ぐらいまでなら許容範囲

オイルに求める要素(優先順位の高い順)
・とにかくエンジンを壊さない(カーボンが溜まらない)
・適度に高回転走行しても安心感がある
・刺激臭がしないこと
・極端に煙が多くなければOK

・・・でしたが、走行距離も伸びてきたので、高級オイルもテストしようかな?

と思いつつ、キャブセッティングとの相性を考えると、現状のままがいい気もします笑

ショップも購入者も知らないオイル表示の闇

4ストオイルの記事でくわしく解説していますが、

2ストオイルも表示方法が統一されておらず、私たち消費者にとってわかりづらい状況になってます。

さらにいうと、

オイルを販売しているネットショップ(超有名な大手)も、商品説明を間違って販売しています。

実例

「100%化学合成油です!!」
→オイルメーカーに確認したところ、実際は半化学合成油(API グループⅢとⅣの合成油)だった

オイルの製品ラベルには「合成油」とだけ、書かれていた。

おそらくネットショップも、故意ではなく、知識不足が原因だと思います。

複数のサイトで、こうしたミスを確認しました。

消費者側が知識をつけて、しっかり見極める目を持つ事が大事だと思います。そこで、一般的に知られているオイルのベースオイルの種類と、実際の中身を解説します。

100%化学合成油

たんに「合成油」と呼ぶこともあります。

エンジンオイルをつくる際、ベースオイルというものがあります。ベースオイルを5種類にわけたものがAPI(アメリカ石油協会による定義)です。

通常、「100%化学合成油」として販売されているオイルは、API分類グループⅣ、Ⅴになります。

(例外あり)

例:PAO(ポリ・アルファ・オレフィン)、各種合成エステル、植物油、ナフテン系基油、リン酸エステル、シリコーン油、ポリブデンほか

鉱物油

APIでは3種類あります。(グループⅠ、Ⅱ、Ⅲ)

じつはこのうちグループⅢ(高度水素化分解基油)が、鉱物油なのに「合成油」(または全合成油、化学合成油、フルシンセティック)と表示して、販売されています。

前出の「100%化学合成油」と勘ちがいしそうですよね。

実際に「全合成油」を「100%化学合成油」と表示して、販売しているネットショップがあります。

(2スト・4ストの両方で)

お客さんが「100%化学合成油」と勘違いして、商品レビューを投稿しているケースも多々、あります。

見分けるポイント

1,ほかの「100%化学合成油」と表示されているオイルと比較して、極端に価格が安い。

2,化学合成油、全合成油、合成油、フルシンセティックなどの表示はあるのに「100%」と書かれていない製品は

  • グループⅢに該当する鉱物油(高度水素化分解基油)
  • グループⅢと、ⅠかⅡの鉱物油を混ぜ合わせたオイル
  • 鉱物油(グループⅠ、Ⅱ、Ⅲ)と化学合成油(グループⅣ、Ⅴ)を混ぜ合わせたオイル

どれかである可能性が高いです。

激安オイルに注意!

ひどい例だと、グループⅢ「高度水素化分解基油(鉱物油)」にもかかわらず、「100%化学合成油」と称して、販売している製品があります。個人的には悪質だと思います。

「なんちゃって100%化学合成油」製品に、だまされないようにしましょう。

部分合成油

主に化学合成油と鉱物油(グループⅠ、Ⅱ、Ⅲ)を混ぜ合わせた製品です。

「半化学合成油」、「半合成油」、「合成油」、「セミシンセティック」などと表示されていることがあります。性能的には「100%化学合成油と鉱物油の中間」といわれています。

ただし、鉱物油と化学合成油の割合はほぼ、記載されていないため、化学合成油が何パーセント入っているのかは不明です。

2ストロークオイルならではの事情

分離給油対応のオイルは、ガソリンと混ざりやすくするため、あるいはオイルポンプでの圧送をスムーズにするために、「希釈剤(ソルベント)」と呼ばれる溶剤が含まれています。

(オイル粘度が高いと、とくに寒い時期にオイルがスムーズに送れなくなります。つまり、エンジン焼き付きに直結します)

この希釈剤には、一般的に鉱物油由来の成分(灯油やナフサに近い成分)が使用されます。

たとえば、SDS(安全データシート)に「xx%の鉱油」と記載されている場合、潤滑を行うための「ベースオイル」としてではなく、この「希釈剤」として配合されていると推測されます。

つまり、「ベースオイル」+「希釈剤」+「添加剤」=分離給油用エンジンオイルです。

「混合専用」オイルは、希釈剤が入っていない(入れる必要がない)ためオイルが硬いのです。

2ストオイルの規格

表示の話ついでに、よく目にする「規格」について、簡単に説明します。

オイル選びで重要なのはこの2つだけです。

JASO規格

公益社団法人自動車技術会が制定する工業規格「日本自動車技術会規格」のこと。

Japanese Automotive Standards Organizationの頭文字をとってJASO、またはJASO規格といいます。

実質的にホンダが主導し、ヤマハ・スズキ・カワサキによって1994年に誕生しました。

当時、世界中の2ストオイル基準はアメリカの「API TC規格」でした。これはアメリカで主流だった「大排気量の空冷エンジン(チェーンソーや芝刈り機など)」を想定して作られていました 。

「煙」と「詰まり」の問題が発生

API規格のオイルを、精密で高回転な日本のバイク(特にスクーターやレプリカ車)に使うと、「排気煙が凄まじい」「マフラー(チャンバー)がすぐに詰まる」という問題が多発しました。

1990年代には、日本国内でも排ガス規制が強化され、触媒(キャタライザー)の搭載が検討され始めました。

すると、従来のオイルでは灰分(Ash)が多く、触媒をすぐに傷めてしまうリスクがあったのです。

「スモークレス」の追求

世界に先駆けて「煙の出ないオイル」の指標(スモーク指数)を設けたのも、日本の住宅密集地におけるバイク利用を考慮した、日本メーカーならではの配慮でした。

JASO規格が世界標準へ

JASO規格が発表されると、その「清浄性」と「スモークレス性能」の高さが世界中で認められるようになりました。

FA:潤滑性の最低基準(現在は廃止)。

FB:潤滑性とスモーク低減のバランス。

FC:高いスモークレス性能と清浄性。

FD:最高峰の清浄性(エンジンの汚れにくさ)。過酷な条件下でのリング固着防止を最優先。

現在、ヨーロッパの最高規格である「ISO L-EGD規格」も、このJASO規格をベースに作られています。

つまり、日本メーカーが自分たちのバイクを守るために作った基準が、結果として「世界で最も信頼される2ストオイルの指標」になったのです。

ちなみにFDとFCの差は「清浄性」だけです。

ISO L-EGD規格

日本のJASO規格の試験項目を継承しつつ、清浄性(エンジンの汚れにくさ)の要求値をさらに引き上げたものです。

試験の焦点具体的な内容工学的メリット
清浄性 (Detergency)燃焼室・排気ポートの堆積物抑制 パワー維持・リング固着防止
極圧性 (EP特性)ASTM D3233 (Falex試験) 等での限界荷重測定境界潤滑域(TDC/BDC)での焼き付き防止
熱安定性クランク1回転1燃焼の熱負荷への耐性 過酷なスポーツ走行時の保護性能維持

3つの地獄試験

ISO 13738規格(L-EGD)をパスするためには、主にホンダ、ヤマハ、スズキのエンジンを使用した過酷なベンチテストをクリアしなければなりません。

ホンダ・デタージェンシー試験(清浄性試験)

内容:50ccエンジン(空冷)を使用し、極めて過酷な熱負荷条件下で3時間連続運転を行います 。(もちろん実走行ではなく、ベンチテストです)

過酷さのポイント: 2ストロークエンジンは4ストロークに比べ熱負荷が2倍であるため 、この短時間でどれだけピストンやリングが汚れるかを厳密に測定します。

ヤマハ・潤滑性試験

内容:オイル供給量を極限まで絞り、エンジンをわざと焼き付く寸前の状態まで追い込みます 。

評価:境界潤滑(金属同士が直接触れる状態)領域での保護能力を数値化します 。

スズキ・排気系閉塞試験

内容:燃焼ガスが直接吹き抜ける500℃〜800℃の排気ポート周辺の汚れをチェックします 。

評価:オイルが燃えた後の「灰(Ash)」や、カーボンがポートを塞がないかを測定します 。

JASO FDが「非常に優れた清浄性」を保証するのに対し、ISO L-EGDはそれに加えて「極限状態での持続的な清浄維持能力」を証明する試験を課していると言えます 。

最強の2ストオイル

冒頭で紹介した、オイルテスト500以上を経験した元国際A級オフロードレーサーの方に、2ストオイルについて話をうかがいました。

元国際A級オフロードレーサー H氏

世界GPライダー 平 忠彦氏を輩出した野口モータースからロードレースデビュー。

ノービスでありながら、野口モータースの先輩であり、すでに有名だった鈴木 忠男氏(SP忠男)や、菅家 安智氏(エスアールエス・スガヤ創業者)を破り、注目される。

KM90A、GT80ミニトレ、RDシリーズ、RZ350​、カワサキ750SS H1、SR400、TZ350、TZR250、XJ750E、CB750F、RZV500R、YZF-R1(初期型を公道テスト)などに乗り、愛車はセロー。

レース引退後は、Y社を中心に修理を手がけた。2022年現在、お客さま相談室で回答できない質問が来るたび、Y社の偉いさんから連絡があり、渋々レクチャーしているとか。

オンロード、オフロード、さまざまなレースで2ストオイルを使ってきたと思います。もっとも良かったオイルについて教えてください。

私が使っていたオイルは、潤滑油メーカーがコースに合わせて、つくってきたオイル。

本当にすぐれたオイルは、タイムが圧倒的に速くなる。それこそ、Y社の担当者がおどろいて「一体、どうやったんですか?」と聞きに来るほどね。

だれでも乗れば一瞬で体感できるぐらい激変する。

そういうオイルを作っていたよ。混合・分離給油の両方に使えるオイルだった。

2スト車が生産終了になって、メーカーが製造をやめてしまったけどね。

現在は2ストオイルの銘柄も、20年前と比較して圧倒的に少なくなりました。市販オイルで、良いオイルを見つけるポイントはありますか?

むずかしいね。私たちが使っていたオイルと同性能のオイルは、市販ではまず手に入らないと思う。

筆者のリアクション

・・・そんなわけで、「最強の2ストオイル」は幻になってしまいました。

ですが現状、わたしたち一般ユーザーが入手できる範囲で、良いオイルのポイントを教わりました。

以下を参考にしてください。

【用途別】500種のテストから導き出した「最強の2ストオイル」結論

ごく一部をのぞいて、積極的に2ストオイルを開発するメリットが潤滑油メーカー側にないため、

「現在進行系で、アップデートされているオイルかどうか?」がポイントです。

バイクを長持ちさせることを目的とするなら、以下の中から合うオイルをお勧めします。

もし、私だったら「どのオイルをどういう基準で選ぶか?」という視点で挙げています。

公道走行を前提とした場合

結論からいうと、1980年代から2000年に生産された、排気デバイス付きの車種はFD規格(100%化学合成油)がお勧め。(排気デバイスの固着防止)

1970年代の旧車や、空冷エンジンはFD規格の100%化学合成油よりも、部分合成油(半化学合成油)が無難です。

モトクロス レースにおける2ストオイルの使い方


「キャブセッティングで詰め切れない部分を、2ストオイルでおぎなう」


たとえば、筆者が公道を走った時の話ですが、夏場の気温35℃以上での渋滞走行や、標高が高い場所を低速で走る時に、オイル燃焼のちがいによるアクセレーションの違いを実感しました。

LEO120で実験したところ、カストロールでは、スロットル開け始めにもたつきます。

スロットルを開けて加速するまで、わずかにタイムラグがあるんですね。

ところがモトレックスのオイルだと、もたつきがなくて、瞬時に加速します。

2スト バイクのQ&A キャブセッティング、プラグ、レギュラー or ハイオク

現在、わたしが独断と偏見で推奨する最強のオイル トップ3は以下の通りです。

前提条件:2サイクル空冷118.6ccエンジンでストリート走行した結果

お勧めランキング1位

MOTOREX(モトレックス) CROSS POWER 2T

1,始動性
ホンダ ウルトラGR2からクロスパワーに交換直後、始動性の良さにおどろかされました。

これまでにテストしたオイルの中で、圧倒的にいい。気温15℃のコールドスタートでもキック一発始動。(かつてのLEOでは無かったことです)

2,ゼロスタートからの加速
トルク感はエルフと同様、走るのが楽しくなるフィーリング。

エルフと異なるのは、アクセルを開けた際のトルクの谷が若干、改善されたこと。アクセル全開域では、エルフMOTO2 TECHのほうが伸びがあります。ゼロ発進からの低中速トルク感は、CROSS POWER 2Tに分があるように思います。

3,市街地での使いやすさ
アクセルのオン・オフが多いため、オフロード用オイルは適していると思います。

CROSS POWER 2Tと、エルフ MOTO2 OFF ROADの走行フィーリングは似ていて、どちらもかぶりにくいです。CROSS POWER 2Tで、わざと真夏の渋滞(ノロノロ運転)を複数回、走ってもプラグの焼けは悪くありませんでした。アクセルのツキも、カストロのようにゴボゴボともたつくことはなかったです。

elf(エルフ) MOTO2 OFF ROADとの比較

渋滞のノロノロ運転では、CROSS POWER 2Tのほうが終始、スムーズです。

さらに通常、かぶりがちな標高の高い場所での走行も、アクセルオンと同時にキビキビ加速してくれます。

ほかの特徴として、低回転から高回転まで、全域でCROSS POWER 2Tのほうがエンジンがスムーズに回っている感があります。

追記:
最初に本記事を公開した2021年5月8日時点では、「CROSS POWER 2T」は世間的に注目されていないオイルで、レビューもほとんど見当たらない状態でした。

2025年3月時点では、某オンラインショップ 2スト売れ筋ランキング1位になっていたり、レビューの数も増えているようです。

唯一の欠点は、高騰する価格でしょうか。(いまならロイヤルパープルを選ぶかなぁ)

お勧めランキング2位

elf(エルフ)MOTO2 OFF ROAD

「エルフのイメージが変わった」

「MOTO2 OFF ROAD」を5,100kmほどテストした感じでは、ピュートライン(putoline)のRS959と同等以上のフィーリング。

カストロのPOWER1 RACING 2Tよりも断然、良かったです。POWER1 RACING 2Tと比較して、まずエンジンの振動が減り、回転がスムーズになりました。

MOTO2 OFF ROADテスト前は「大して変わらないだろう」と思っていました。

1990年代にエルフを使った時、あまり好印象ではなかったからです。(その時の印象は普通レベル)

だから今回、使ってみて変化を感じたときは最初、勘違いじゃないか?と疑いました。

ただ、走れば走るほど、低回転から高回転までスムーズで、トルク感も全然ちがう。

POWER1 RACING 2Tや、ホンダ ウルトラスーパーファインをテストした時も、外気温は同じく20℃ほど。MOTO2 OFF ROADに交換した時期が特別、気温が高い(濃くなった)わけではないので、気温による変化ではないと考えられます。

多くのメーカーが2ストオイルを製造中止したり、縮小していく中、エルフは進化してるんだなと感じました。「もっと走りたい」と思わせてくれるオイルです。

比較的、入手しやすく、価格帯が手頃なので使用頻度の多いオイルでもあります。

追記:
35℃を超える真夏の炎天下における連続走行でも、難なく走れています。(冒頭のとおり4.7万km超え)

追記2:
テスト11回目、POWER1 2Tの後にMOTO2 OFF ROADを使用。入れた直後から、「ああ、やっぱりトルク感が全然、ちがうな」と感じました。

渋滞の低速走行で、もたつくPOWER1 2Tに対し、MOTO2 OFF ROADはアクセル開け始めで、リニアに加速してくれます。

お勧めランキング3位

elf(エルフ)MOTO2 TECH

5,000kmほどテストした結果では、MOTO2 OFF ROADと比較して、市街地走行ではやや、かぶりがち(濃い)になりました。

峠道とか、渋滞のない所を8,000rpm以上回して走り続けると、かぶらないし、MOTO2 OFF ROADよりトルクがあって面白いんですけどね。

若干、キャブが薄めだったり、全開走行する方、しっかり回して乗れる人におすすめ。

MOTO2 OFF ROADと同様、比較的、入手しやすい価格帯です。

モトレックス MOTOREX

モトレックス(スイス)は1917年設立、1974年からオートバイ用オイルを生産開始。

日本国内でも40年以上前から定評のあるメーカーです。

長年にわたりKTMとタッグを組んで開発をおこなってきました。

2024年現在も2ストロークエンジンの公道用バイクを販売するKTMや、ハスクバーナ(現在はKTM、ガスガス、とおなじくPierer Industrie AG傘下)の指定オイルメーカー。

・オンロード向け POWER SYNT 2T(100%化学合成油)

・オフロード向け CROSS POWER 2T(100%化学合成油)

・オン/オフ向け FORMULA 2T(部分合成油)

スクーター用

・MOTOREX SCOOTER FORZA 2T(100%化学合成油)

・MOTOREX SCOOTER 2T(部分合成油)

5種類あります。

POWER SYNT 2T 100%化学合成油

チャンバー交換やボアアップ車、高速道路などスポーツ走行メインの方向け。

2ストロークスーパースポーツバイク用の高性能全合成エンジンオイル。最適な性能と最大限の保護性能に加え、極めてクリーンな燃焼を実現。

・100%化学合成油(キャタライザーテスト済)

・分離、混合両用

・推奨混合比:25:1~100:3

・JASO規格:FD
・API規格:TC
・ISO規格:ISO-L-EGD

・用途:オートバイ用 2サイクル ガソリンエンジンオイル

・粘度指数:164

・引火点:100℃

モトレックス デイトナ公式およびモトレックス公式

それにしても、令和の時代にインジェクションの2ストローク公道マシンを生産するKTM・ハスクバーナは熱いですね。

さきほどの元国際A級モトクロスレーサーいわく、1970年代の時点で4ストのほうが、タイム的に速いことはわかっていたそうです。

ただ2スト好きなライダーが少なくないため、メーカーも生産し続けたのだとか。

海外にも2ストフリークが多いので、KTM・ハスクバーナも生産し続けているのでしょう。

ほかにはBETA(ベータ)や、tmレーシングなどのイタリアメーカー、ガスガス(スペイン創業。現在はKTM傘下)が、現行モデルで公道走行可能な2ストを販売しています。

CROSS POWER 2T 100%化学合成油

ストップ・アンド・ゴー(アクセルオン・オフ)の多い市街地走行がメインの人向け。

100%化学合成油でスロットルの開閉が激しいオフロード車用に開発されたオイル

・分離、混合両用

・推奨混合比:100:1まで

・JASO規格:FD

・API規格:TC

・ISO規格:ISO-L-EGD

・用途:オートバイ用 2サイクル ガソリンエンジンオイル

・粘度指数:156

・引火点:90℃

モトレックス デイトナ公式およびモトレックス公式

FORMULA 2T 部分合成油

バイクメーカーが100%化学合成油を指定していない旧車(たとえば1980年代以前)の2ストや、市街地走行向け。

鉱物油に化学合成油を配合し両方の長所を活かした部分合成油。あらゆる2サイクル車に対応するハイグレードオイル。

・部分合成油

・分離、混合両用

・推奨混合比:25:1〜50:1

・JASO規格:FD

・API規格:TC

・ISO規格:ISO-L-EGC

・用途:オートバイ用 2サイクル ガソリンエンジンオイル

・粘度指数:143

・引火点:100℃

モトレックス デイトナ公式およびモトレックス公式

SCOOTER FORZA 2T 100%化学合成油

街乗り特有の頻繁な発進、停止に対応するために開発された2ストスクーター用オイル。

インジェクション車対応。

100%化学合成油にこだわるスクーターオーナーさん向け。

街乗り特有の頻繁な発進、停止に対応するために開発された、2ストロークスポーツスクーター用オイル。

・100%化学合成油

・分離、混合両用

・推奨混合比:車両メーカーの推奨に従ってご使用ください。

・JASO規格:FD

・API規格:TC

・ISO規格:ISO-L-EGC

・分離給油式(混合使用も可能、推奨混合比25:1~50:1)

・用途:オートバイ用 2サイクル ガソリンエンジンオイル

・粘度指数:164

・引火点:108℃

モトレックス デイトナ公式およびモトレックス公式

SCOOTER 2T 部分合成油

街乗り特有の頻繁な発進、停止に対応するために開発された2ストロークスクーター用オイル。

バイクメーカーが100%化学合成油を指定していない旧車2スト向け。

鉱物油に化学合成油を配合し、両方の長所を生かした部分合成油。街乗り特有の頻繁な発進、停止に対応するために開発された2ストロークスクーター用オイルす。

・部分合成油

・分離、混合両用

・推奨混合比:車両メーカーの推奨に従ってご使用ください。

・JASO規格:FD

・API規格:TC

・ISO規格:ISO-L-EGC

・用途:オートバイ用 2サイクル ガソリンエンジンオイル

・粘度指数:143

・引火点:100℃

エルフ elf

エルフはフランスの元国営石油会社。

のちに民営化され、現在はTotalEnergies社の主要ブランドとなっています。エルフは、モトレックスとならんで、むかしから定評のあるオイルブランドです。

かつては独自に製作したマシンで、二輪ロードレース世界選手権(2ストローク)に参戦していました。

2ストオイル エルフ
1986年 elf-3(ロン・ハスラム) エンジンはNS500

またホンダ(HRC)とオイルを共同開発したり、ホンダ向けにレース用ガソリンを供給していました。

現在、4ストだと、カワサキの純正ハイグレードオイル「KAWASAKI Elf Vent Vert」冴速と、冴強を供給しています。

NSR500 ロスマンズホンダ ミック・ドゥーハン
ロスマンズホンダ NSR500

エルフの一般公道用(分離給油用)2ストオイルは2種類です。

MOTO2 TECH 100%化学合成油

オンロードでのスポーツ走行重視の方や、チャンバー交換している人向け。

ノーマル車両でストリートで使用する場合、(キャブセッティングにもよりますが)ある程度、高回転までエンジンを回して連続運転するシチュエーションに向いてると思います。

たとえば高速道路を走ったり、信号や渋滞がほとんどない環境で走る場合ですね。

このオイルにオススメの車両(メーカーサイトより)

ホンダ:NSR250R

スズキ:RGV250Γ

アプリリア:RS125

ジレラ:各モデル

・100%化学合成油
・分離・混合両用
・推奨混合比:50:1〜25:1
・SAE粘度規格:30
・JASO規格:FD
・API規格:TC
・ISO規格:L-EGD
・粘度指数 非公開/引火点108℃

レーサーレプリカ、モトクロッサー、スクーター、高回転エンジン、高回転を多用するライディングにお奨め。

化学合成油の採用と硬めの粘度設定により、優れた潤滑性と油膜形成を実現し、低温時のドライバビリティと耐摩耗性を強化。クリーンな燃焼特性によりデポジットの発生を抑制し、優れた潤滑性によりパワーロスを抑えます。

優れた化学合成油と添加剤の採用により、各規格のもっとも厳しい性能規格を余裕をもってクリアする最高水準の清浄性と摩耗防止性能を発揮。高油温の過酷な条件下においてもデポジットの発生を抑制。エンジン内をクリーンに保ち、各エンジンパーツを保護。

エルフ・ジャパン公式

始動性:
保護性能:
パワー:
※評価はメーカーサイトより。

メーカー評価はあくまでエルフ社の、ほかの2ストローク用エンジンオイルと比較した場合の指標だと思います。

始動性はMOTO2 OFF ROADとあまり違いは感じられませんでした。パワー(トルク感)はたしかにMOTO2 TECHが上だと感じました。

MOTO2 OFF ROAD 部分合成油

市街地走行メインで、たまにツーリング・スポーツ走行する方向け。

ふだんストップ・アンド・ゴーの多い市街地を走っていて、たまに回して走りたい人にお勧め。社外オイルを使用したい方で、多くの方にフィットすると思います。

1980年代以前の、基本設計が古いエンジンにもいいと思います。

個人的には価格・性能・入手しやすさのバランスが良いオイルだと感じています。とくにキツい臭いもないし、比較的、煙も少なめだと思います。

筆者がふだん使いしている多いオイルです。

このオイルにオススメの車両(メーカーサイトより)

ヤマハ:JOGシリーズ

カワサキ:マッハ・KHシリーズ(250/350/400/500/750)、KDX250SR/KDX200SR/KDX125SR

アプリリア:SR50 Purejet

・部分合成油
・分離・混合両用
・推奨混合比:50:1〜25:1
・SAE粘度規格:30
・JASO規格:FD
・API規格:TC
・ISO規格:L-EGD
・粘度指数:非公開/引火点120℃

50cc〜250cc、オンロード・オフロードを問わず、スクーターからスポーツバイクまで幅広く対応。

化学合成油の添加と適正な粘度設定により、優れた潤滑性を発揮すると同時に、安定した油膜形成を実現。低温から高温時まで優れた耐摩耗性によりエンジンを保護。

各規格のもっとも厳しい性能規格をクリア。優れた清浄能力と燃焼特性により、スタート時の黒煙と排気ガス中の有毒物質を抑え、安定した出力を引き出します。

エルフ・ジャパン公式

始動性:
保護性能:
パワー:
※評価はメーカーサイトより。

以上、エルフかモトレックス、どちらかのメーカーを選んでおけば間違いないと思います。

売れている=良い製品とはかぎらない理由

ビジネスの世界では「マーケティング(宣伝)上手で売れているだけ」という事がよくあります。

少なくともエルフや、モトレックスに関しては、そういう心配がないと思います。

しかし大手メーカー、有名メーカーのオイルがすべて良いかというと、4ストオイルの記事にも書きましたが、ダメなオイルもあります。

レース用と市販オイルが別物だったり、昔は良かったけど、会社が買収されて今は名前だけ・・・とかですね。訴えられたら嫌なので具体名は書かないけど、いろいろあります。

(広告宣伝費、営業経費がかさむと当然、販売価格に反映されます)

BEL-RAY(ベルレイ)

現在、ベルレイは、アメリカを本拠とするCalumet(カルメット)社が展開する潤滑油ブランド。

1946年にニュージャージー州で創業したベルレイは2013年、カルメットに買収されました。

1919年に創業したカルメットは潤滑油、溶剤、ワックス、パッケージ化および合成特殊製品、燃料および燃料関連製品の製造を専門とする上場企業。

Calumet社は宇宙航空、自動車、鉄鋼、鉱業、繊維産業向けの潤滑剤や、オートバイ、ATV、UTV、その他のパワースポーツ車両用の高性能潤滑剤などを製造していて、その一つがベルレイです。

またロイヤルパープル(2012年)など、ほかの潤滑油企業をいくつも買収しています。

ベルレイは全製品をアメリカ国内で製造していて、潜水艦の整備に使用されたり、北極の極寒や、砂漠の過酷な暑さと砂塵(さじん)に耐えたり、レースで優勝を目指したり、月旅行へ行ったそうです。

ベルレイ最初の製品
革新的な起業家であり化学技術者であるウィリアム (ビル) キーファーは、家族が所有するニュージャージー州郊外のガレージで、ベーカリー用 高温潤滑油を専門とする会社を設立しました。

かつてはハスクバーナの指定オイル。

現在でも、海外製2スト オフロードマシンに乗るライダーの間で支持されているようです。

テストしてみたいオイルの一つです。

Bel-Ray Si-7 100%化学合成油

あらゆる2ストロークエンジンに最高レベルの保護性能を提供しながら、煙やカーボン残留物を低減するよう設計された100%化学合成油。

JASO FD および ISO-L-EGD 評価を満たしており、最高レベルの洗浄力を保証し、エンジンの性能を向上させ、より長く稼働させることができます。

・100%化学合成油

・分離・混合両用(インジェクション対応)

・推奨混合比:50:1まで

・JASO規格:FD

・API規格:TC

・ISO規格:L-EGD

・粘度指数:140

・引火点:106℃

ベルレイ アメリカ公式およびTRISTAR International LTD.

Bel-Ray SL-2 部分合成油

排気ガス中の煙を低減し、カーボン堆積物の蓄積を防ぎ、エンジンの長寿命化と高性能化を実現します。JASO FDおよびISO-L-EGD規格に適合し、最高レベルの清浄性能を発揮することで、エンジンの性能向上と長寿命化を実現します。

・分離給油/混合対応(インジェクション対応)

・推奨混合比:バイクメーカーが推奨する混合比(20:1〜50:1)で使用

・JASO規格:FD

・API規格:TC

・ISO規格:L-EGD

・粘度指数:148

・引火点:106℃

ベルレイ アメリカ公式

Bel-Ray 2T 鉱物油

小型モーターサイクル、原付、スクーター用として開発された高品質オイル。

ベル・レイ2Tはスモーク・エンジンデポジットを減らし、ピストンリングの固着や、スパークプラグのかぶりを防ぎ、安定した走行をサポートします。

・独特の耐摩耗化学技術によりエンジン寿命を延ばします。

・分離給油/混合対応(インジェクション対応)

・推奨混合比:バイクメーカーが推奨する混合比(20:1〜50:1)で使用

・JASO規格:FB

・API規格:TC

・粘度指数:108

・引火点:148℃

ベルレイ アメリカ公式

MOTUL(モチュール)

モチュールはフランスに本社をおく潤滑油メーカー。

日本では古くからヨシムラが使用し、長くレースをスポンサードしてきたこともあって、2スト・4ストともに知名度は高め。

人によって、けっこう評価の分かれるメーカーだと思います。

510 2T

100%の記載がないため、部分合成油と思われます。

(2026年1月現在、日本法人ではカタログ落ちしています)

高回転で動作する高性能2ストロークエンジンを搭載した、あらゆる種類のバイクに適合(トレイル、オフロードバイク、エンデューロ、原付)。

・触媒付きマフラー(キャタライザー)対応

・対応燃料:有鉛/無鉛ガソリン、エタノール混合燃料、バイオ燃料

・分離給油/混合対応(インジェクション対応)

・推奨混合比:(25:1〜50:1)バイクメーカーが推奨する混合比で使用

・JASO規格:FD

・API規格:TC

・ISO規格:L-EGD

・粘度指数:132

・引火点:144℃

モチュール公式

710 2T 100%化学合成油

イタリアのバイクメーカーBeta(ベータ)の推奨エンジンオイル。

Betaは、KTMやハスクバーナ、tm Racingとならんでトライアルや、エンデューロ ユーザーの間で知られるメーカーの一つです。

Beta 2スト 純正オイル
Beta

「オンロード/オフロードを問わず、高回転のスポーツモーターサイクルからスクーターまで多くの2ストローク・モーターサイクルに幅広く適応したオイル」

と公式サイトに書かれていますが、引火点の高さからして、ストリート走行メインの方には不向きかも知れません。

800 2Tの油膜特性をそのままに、ガソリンとの混合性能を向上させ、分離給油型エンジンの為に開発された100%化学合成オイル。エステル配合により、燃焼時のスモークを抑え、デポジットの発生を最小限に抑えます。

・分離給油/混合対応(インジェクション対応)

・推奨混合比:バイクメーカーが推奨する混合比(20:1〜50:1)で使用

・JASO規格:FD

・API規格:TC

・ISO規格:L-EGD

・粘度指数:148

・引火点:154℃

モチュール公式

ブレインズ BRAINS

ブレインズブランドを展開するアッド ブレインズ ジャパン株式会社は、ワコーズ(和光ケミカル)の元社員が2007年に設立した潤滑油会社。

・KTMの現行2ストローク(250/300EXC TPIなど)インジェクション分離給油モデル

・キャブレターの国産クラシック スーパースポーツモデル

に対応すべく開発されたオイルがB2 SPORTSです。一部のエンデューロレーサーの間で好評のようです。

2ストオイル最新

BRAINS B2 SPORTS【B2S】は、競技用でありながら最新の分離給油システムを搭載したエンジンをターゲットに開発した分離給油用2サイクル エンジンオイルです。

2サイクルエンジンオイルを機械的に吐出混合させる分離給油システムでは、燃料との高い混合性能を有していなけれ ばなりませんが、競技用オイルが要求する耐焼付き性能とはトレードオフの関係にあり、【B2S】はその性能を高い次元でクリアして製品化して います。

特に高回転における耐焼き付き性及び耐摩耗性を重視して製品化しており、フューエルインジェクション搭載の分離給油型エンデュー ロレーサーや、クラシカルな国産スーパースポーツにも使用可能です。

清浄性はJASO:FDレベルをクリアしており、燃焼室やエキゾーストへの カーボン付着を最小限に抑えます。(本製品はJASO取得申請はしておりません)

粘度指数140/引火点104℃

アッド ブレインズ ジャパン公式

Moty’s(モティーズ)

OEMをやっている東京都 株式会社トライボジャパンの潤滑油ブランド。

ここ数年、四輪・二輪レースを中心にSNSで目にするようになりました。

M171

テスト候補のオイルの一つです。

一般走行用に開発されたMoty’sのスタンダード2ストロークエンジンオイルです。
高い混和性と燃焼性能があり、排気煙を最小限に抑え燃焼室をクリーンに保ちます。

粘度指数175/引火点 非公開

トライボジャパン公式

M181/M182

これらの製品は、ミニバイク・モトクロス・エンデューロ・水上バイク及びチューンドエンジン搭載ロードレース等、高温・高負荷条件下においてエンジン性能を最大限発揮すべく開発された製品で生分解性を有する低粘度タイプとしてM181、高粘度タイプとしてM182 ( 生分解性ではない ) のラインナップとなります。

M181 粘度指数158/引火点 非公開

M182 粘度指数143/引火点 非公開

トライボジャパン公式

ニッチなオイル

ちょっとユニークなオイルを紹介。

「ニッチ」はマーケティング用語で、よく「すき間」と解説されます。正確には「消費者がまだ満たされていない欲求を満たすもの」をニッチといいます。

(例:ニッチ市場、ニッチ商品など)

Royal Purple(ロイヤルパープル)

1986年、潤滑油の専門家であるジョン・ウィリアムズによって設立。

2012年に「ベルレイ」ブランドのCalumet(カルメット)に買収されました。しかし、名ばかりのブランドではなく棲み分けされ、現在に至ります。

Royal Purple:究極のハイパフォーマンス、四輪用プレミアム。

Bel-Ray:タフなパワースポーツ(オフロード、ATV)、鉱山、海事などの過酷な現場用。

ロイヤルパープルの代名詞とも言えるのが、独自技術「Synerlec®(シナーレック)」です。

シナーレックの特徴

金属表面の改質:金属表面を極めて滑らかにし、摩擦を劇的に低減。

強靭な油膜:同等の粘度を持つオイルの3〜4倍まで油膜強度(Film Strength)を高め、焼き付きを防止。

合成油の着色:オイルが紫色なのは、独自の染料によるもの。

灰を一切出さないアッシュレスと

「金属入りオイルを超える強靭な油膜」を両立したオイル

  • アッシュレス(無灰型)処方
    燃焼時に燃えカス(灰分)を残さない処方により、スパークプラグの汚れや排気ポートの閉塞を極限まで抑制します。
  • 圧倒的な耐摩耗性能
    シナーレックの働きにより、特にピストンとシリンダーの接触が激しい高回転域において、他の合成油を凌駕する保護性能を発揮します。
  • 錆・腐食の防止
    オフシーズンや長期保管時の内部サビ防止性能にも優れており、マリンエンジンやスノーモービル、旧車の保護にも適しています。

以下の数値は、米国本社の製品データシート(PDS)に基づいています。

項目スペック値
製品名Royal Purple HP 2-C
ベース成分100%化学合成 (シナーレック配合)
JASO規格FD (認証取得済み)
動粘度 (40°C)50.0 mm2/s
動粘度 (100°C)9.0 mm2/s
引火点113°C
流動点-42°C
推奨用途分離給油・混合給油 両用

一般的なオイルとのちがいを纏めました。

特性一般的なオイルHP 2-C(アッシュレス)
保護性能金属成分により高い(焼き付きに強い)Synerlecにより、金属なしで同等以上
燃焼室の汚れ灰分が堆積し、プラグ汚損の可能性あり灰が出ないため、極めてクリーン
排気デバイス定期的な分解清掃が必須固着リスクが低く、メンテナンスが楽

解説:結論から言うと、多くの「陸上用2ストロークオイル」は完全なアッシュレスではなく、「ローアッシュ(低灰分)」です。

強力な油膜を形成し、エンジンの焼き付きを防ぐためには、亜鉛(Zn)や、リン(P)を含む「ZDDP」や、金属系清浄剤(カルシウム等)など、「金属系添加剤」非常に効果的です 。

しかし、これらは燃焼後に必ず「灰」を残します 。たとえば、JASO規格(FC/FDなど)の陸上用バイク向けオイルは、保護性能を重視するため、少量の灰分を許容する「ローアッシュ」が一般的です 。

A.S.H(アッシュオイル)

株式会社ジェイシーディプロダクツが開発・製造をおこなっているオイルブランド。

市街地走行やツーリングなど、公道走行メインのライダー向け。分離給油用。

煙を抑えつつ、潤滑性能を備えた製品

鉱物油+ポリブデンを使用した部分化学合成油です。分子量の極端に大きくないポリブデンを多く使用することにより、安定した油膜とスモークレスの性能のバランスの良い2サイクル専用オイルです。

ジェイシーディプロダクツ公式

AMSOIL(アムズオイル)

AMSOILは、1972年にアメリカで創業した家族経営の潤滑油メーカー。

「ピストンリングと排気パワーバルブの固着を防止」というユニークなコンセプトでつくられたオイルが、インターセプターです。

排気バルブの例:
ホンダATAC、RCバルブ、ヤマハY.P.V.S.、スズキSAEC、AETC、カワサキKIPSなど。

もし、宣伝どおりの性能なら、上記の排気バルブを持つバイクにはいいかもしれません。

北米ユーザーのレビュー:KTMやハスクバーナなど最新2ストオーナーのフィードバックが多い傾向です。KTM 300 XC-W TPIなどの最新モデルに使用しているユーザーは、純正指定オイル(Motorex等)の代替として「エンジン保護性能に優れ、かつ安価」である点を高く評価しています。

混合比の柔軟性:エンデューロやシングルコースを走るライダーの間では、50:1や65:1の混合比で使用しても、プラグの汚れ(カブリ)がなく、吹け上がりが鋭いという評判です。レース用の「ドミネーター」と比較して、エンジン内部が汚れにくい、との意見もあります。

始動性と煙:「低速域でも煙が非常に少なく、匂いも気にならない」「冷間時の流動性が良いため、冬場の始動性が向上した」という声が、2025年1月の最新レビューでも散見されます。

海外の直近の評価によると、「とにかくエンジン内部を綺麗に保ちたい」「排気バルブのメンテナンス頻度を下げたい」「分離給油車で安心して使いたい」というバイクユーザーにとって、インターセプターは不動のベストセラーとしての地位を築いているようです。

日本では、世界GP 250ccクラスの元メカニックお気に入りのオイルということで、一部2ストユーザーの間でコアなファンがいるようです。

主な特徴

・JASO FDオイルが指定されているすべての2ストローク スノーモービル、オートバイ、ATV、PWC で使用可能

・ピストンリングと排気パワーバルブの固着を防止

・キャブレター、インジェクション車に対応

・摩耗から保護します

・煙や臭いが少ない

・プラグの汚れ防止に役立ちます

  • 粘度指数172
  • 引火点102℃
  • 動粘度:40°C 30.7 mm2/s / 100°C 6.5 mm2/s
  • 流動点:-53℃

(アメリカ公式サイト)

転用はエンジン焼き付きの元

一般的に「スノーモービル」、「カート」、「チェーンソーなど農機具」用オイルは、使用環境がまったく異なるため、オートバイ用とは、別物の設計になっています。

インターセプターは対応車種に「オートバイ」とあるので大丈夫だと思いますが、原則としてオイルの転用は避けたほうが無難です。

純正オイル ストリート走行・スクーター向け

サービスマニュアルで確認できたものは、車種名を掲載しています。

各社、値上がりが著しいため、バイクメーカー純正以外のオイルを検討する人が増えている印象です。

スクーター向けオイルのえらび方

チャンバー交換したり、エンジンを改造していなければ基本、純正を推奨します。メーカーによっては「スクーター用」でも、カーボンの溜まりやすいオイルがあるからです。

(筆者は2ストジャイロで嫌になるほど経験しました)

どうしても社外オイルにしたい場合、モトレックスのスクーター用を試してみるといいでしょう。

ヤマハ オートルーブ スーパー

スクーターはもちろん、ミッション車にもお勧め。

筆者はRZV500Rで使用。真夏の高速道路で、10,000rpm以上で連続走行しましたが問題なし。

(人間は手が痺れました…)

市街地走行メインの方や、250cc以上のマシンにおすすめ。筆者は2ストジャイロにも使用していました。

・JASO規格:FD

・部分合成油

Pro Honda SUPER FINE(ウルトラスーパーファイン)

スクーター、ストリート走行向けに設計されたオイル。

主な特徴:低排煙性(Low Smoke)。燃焼温度が上がりにくい街乗り使用において、未燃焼オイルがマフラー内に蓄積するのを防ぐため、ポリブテンなどの無灰系添加剤(Ashless Dispersant)や、引火点の調整が行われていると推測される。

125cc以下のミッション車で、あまり回さない人に最適。

筆者はリミッターカット済み・ノーマルチャンバーのNS-1(新車購入後からチャンバー交換するまで)に入れてました。

バイクに不具合がない前提でいうと、真夏にアクセル全開で連続走行し続けても焼き付かず。

(のちに分解してシリンダーをチェックしましたが問題なし)

JASO規格:FC

一部の販売サイトで「100%化学合成油」と書かれているが、おそらく全合成油の意味を勘違いしたものだと思われる。

Pro Honda 2 SUPER(ウルトラ2スーパー)

耐焼き付き性と清浄性がバランスよく備わったベーシックオイル。

主な特徴:「クリーン&スムーズな走りを追求」との記述から、低温・低負荷時でも完全燃焼を促す添加剤配合(排気管閉塞防止)が継続採用されていることが物理的に示唆される。

Dio、MBX50、CRM50/80、NSR50/80、NS-1、NS400R、NSR250R指定オイル。

そのほか、空冷スクーター、ビジネスバイク向け。公式サイトに表記はないが、部分合成油(半合成油)と思われる。

サーキット、高速道路メインの人以外はGR2より、こっちのほうがいいかもしれません。(理由は後述)

JASO規格:FC

スズキ CCISオイルスーパー

昭和シェル石油(現RSエナジー株式会社)製。RGV250Γ、GT750指定オイル。

市街地走行がメインの場合や、回して乗らない人はアプリリアRS250にもお勧めです。

2サイクル特有の臭いや排気煙を抑えた、スモークレスタイプ。すぐれた清浄でエンジンの内部をクリーンに保ち、快適な走りを約束します。

スズキ公式

ツーリングメイン、たまにスポーツ走行の方向け

ツーリングや峠、高速道路での使用など、スポーツ志向なグレードのオイルです。

公道で頻繁にエンジンを回せない250cc以上のバイク、もしくはチャンバー交換など、ライトチューンした125cc以下のバイクにおすすめ。

ヤマハ オートルーブ スーパーRS

通称「赤缶」

公式サイトには「100%化学合成油]」ではなく、「化学合成油」と書かれています。

その理由はSDS(安全データシート)上、わずかな「鉱油」が含まれているから。ただし実質、「100%化学合成油」と言っても差し支えないオイルです。

JASO規格 が「FD」(FCよりも清浄性が上)ではなく、あえて「FC」なのは、「街乗りでのエンジンの綺麗さ(FD)」よりも「全開走行時のエンジンの保護(化学合成+FC)」を優先した設計であると推測されます。

小排気量でしっかり上まで回して乗る人や、スポーツ走行する人ならスーパーRS。

市街地走行メインの人、スクーターは青缶(オートルーブスーパー)がお勧めです。

引火点:95℃以上

流動点:−45℃ 2

高回転・高出力エンジンの性能を最大限に引き出す最高級オイル。

ヤマハオートルーブ・スーパーRSは、潤滑性と燃焼性を高次元でクリアする化学合成オイルです。

高性能2ストロークスーパースポーツ車に最適で、高回転・高出力エンジンの性能を最大限に引き出す最高級オイルです。

JASO規格:FC

ワイズギア公式

Pro Honda GR 2(ウルトラGR2)

NSR250R、NS400Rの純正指定オイル。

スポーツ走行向け。

主な特徴:高い粘度指数(温度変化による粘度変化が少ない)と、高耐熱性。排気デバイス(RCバルブ)へのカーボン付着を最小限に抑えるため、金属系清浄分散剤の配合比率が厳密に制御されている。

エルフのMOTO2 TECH(100%化学合成油)、モトレックス CROSS POWER 2Tと比較した場合、始動性・トルク感は劣ります。(※リニューアル前の製品)

※2025年4月、ホンダオイルのパッケージデザインがリニューアルされました。「エンジン性能を最大限に引き出す」というGR2コンセプトは継承されているようです。

GR2 旧製品の総評

アクセルをいっぱいまで開けて走るぶんには悪くないです。

ただし、渋滞やノロノロ運転の多い街乗りだと、かぶりやすい印象。ウルトラ スーパーファインのほうがかぶりにくいです。

250cc以上で、市街地走行メインなら、Pro Honda 2 SUPER(ウルトラ2スーパー)がおすすめです。

ウルトラGR2 プラグ焼け
複数の角度から撮影 5月

エルフ、モトレックスと比較すると、燃えにくい印象。始動性が劣るのもその影響か?(※旧製品)

スズキ CCISオイルスーパー TYPE02

JX日鉱日石エネルギー(現ENEOS株式会社)製オイル。

主な特徴:耐摩耗性、耐焼き付き性に加えて、「酸化安定性」をうたっている。

一般的に分離給油式は、オイルがタンク内で長期間、空気に触れた状態で保管されることが多い。酸化安定性が低いオイルは、長期間の放置により化学反応し、スラッジ(泥)化して、オイルフィルターや配管を詰まらせるリスクがある。

スズキは極限性能(レース)よりも、日常の使用環境におけるトラブルフリー(配管詰まり防止、始動性確保)に重点を置いた配合と推定できる。

JASO規格:不明

部分合成油だと思われます。

オーバーサイズピストンを組んだGT750で使用。RGV250Γ指定オイル。

2ストオイルQ&A

500以上のオイルテストを手がける2ストのエキスパートに教わった内容や、よくある疑問の検証結果をシェアします。

オイルが焼けた時の匂いとオイル性能は関係ありますか?

昔はストロベリーなど、匂いを売りにしたエンジンオイルが、ホームセンターなどで販売されていました。(現在もあるかもしれません)

植物油(ひまし油)など、もともと甘い香りがするものを除けば、意図的に匂いが付けられているオイルは香料が入っている、と言うことになります。

性能を追求した場合、余計なものですね。

煙の量とオイルの良し悪しは関係しますか?

バイクごとに設定されたオイルポンプの吐出量が違うため、煙の多い・少ないだけでエンジンオイルの性能を評価できない。

花火の煙幕みたいに、黄色くしたり、赤色にしたり・・・という話を過去、オイルメーカーの開発担当に提案したけど、煙に色をつけるのはメーカーが難色を示していた。

エンジン不調が原因の場合も

ある程度、走行距離を走っていたり、なんらかの理由でエンジンのダメージが大きい場合、圧縮不良によって燃焼温度が低下し、白煙が増えているケースがあります。

チャンバー内部にエンジンオイルが溜まっていた、という事例もありました。

オイル粘度とオイル消費量の関係性

※推敲しました。

「高い化学合成オイルを入れたら、なんとなく減りが早い気がする…」

2ストオーナーの間で、よくある話題です。

これに対し、ネット上の掲示板やSNSでは、こう語られます。

「オイルポンプはエンジンの回転数や開度に連動して機械的に計量しているから、粘度で消費量は変わらないよ。気のせいだよ」

「電子制御のバイクならECUが決めているから粘度は関係ない」

筆者も、「明確な差を体感するほど、おおきな違いはない」と思っていました。

ただし、工学的な観点(流体力学・トライボロジー)から見ると、この説は「半分間違い」であり、非常に危険な誤解を含んでいます。

そこで改めて、解説し直すことにしました。

今回は、エンジニアの視点で「粘度と吐出量の本当の関係」と「メカニズムの誤解」について、技術検証報告書に基づき徹底解説します。

流体力学で見る「粘度と吐出量」の関係

まず、「オイルポンプが動けば、粘度に関係なく一定量が送られる」というのは誤解です。

これを理解するには、「容積効率(Volumetric Efficiency)」「内部リーク(Internal Leakage)」という概念が必要です。

エンジン稼働中の「スリップ」現象

多くの2ストローク車(スズキCCIや、ヤマハオートルーブなど)が採用しているのは、プランジャーポンプと呼ばれる形式です。

ピストンが往復してオイルを押し出す仕組みですが、ポンプのピストンと、シリンダーの間には、動作のためにミクロン単位の「隙間(クリアランス)」が存在します。

ここで流体力学の法則が働きます。

  • 高粘度オイル(鉱物油など): ドロっとしているため、隙間から漏れにくい。ピストンが押した分だけしっかり吐出される。
  • 低粘度オイル(高性能化学合成油など): サラサラしているため、圧力がかかるとすき間から、元の部屋へ逆流しやすい。

この逆流現象を「スリップ」と呼びます。

低粘度オイルはポンプの容積効率を下げ、実吐出量を減少させます。つまり、エンジンが高回転で唸っている時、サラサラの高級オイルはポンプ内部でスリップを起こし、設計値よりも「少ない」量しか送られていないリスクがあるのです。

停車中の「ウェットサンプ」現象

一方で、皮肉なことに「停車中」は逆のことが起きます。

オイルポンプには、重力でオイルがエンジン内に落ちないよう「チェックバルブ(逆止弁)」がついています。しかし、低粘度オイルはこのバルブの微細なすき間すら、通り抜けやすい性質があります。

その結果、長期間止めておくとオイルがクランクケース内に滴下する「ウェットサンプ(Wet Sump)」を引き起こしやすくなります。

  • 走っている時: 内部スリップで吐出量が減る可能性がある。
  • 止まっている時: チェックバルブを抜けて勝手に減る(漏れる)。

「良いオイルを入れると減りが早い」と感じるのは、心理的な要因だけでなく、この「静的リーク」が物理的に起きている可能性が高いです。

事例で見る潤滑メカニズムの進化

次に歴史的な名車を例にして、オイルシステム構造の違いを見ていきましょう。

ケース1 スズキ GT750(純機械式・CCI)

2ストオイル消費量
GT750 オイルポンプ

これは非常に分かりやすい例です。

スロットルワイヤーの分岐でポンプのレバーを引き、クランク軸からの動力でポンプを回します。

完全に物理的な隙間とストローク量で制御されているため、オイルの粘度が変われば、前述の「スリップ」や「抵抗」の影響をダイレクトに受けます。「粘度は関係ない」が通用しない典型的な例です。

ケース2 ヤマハ TZR250 3MA(過渡期のハイブリッド・YCLS)

TZR250 3MA YCLS解説

後方排気で有名な3MAには「YCLS(Yamaha Computerized Lubrication System)」という電子制御システムが搭載されています。

3MAのYCLSは、あくまで「機械式ポンプ」が主役です。

  • 基本構造: クランク動力で回る機械式ポンプ。
  • 電子制御の役割: 経路上にあるソレノイドバルブを使って、低負荷時などに過剰なオイルを「カット(減量)」するための補正装置。

機械式ポンプである以上、ワイヤー調整や、ポンプ自体の摩耗状態が適切でなければ、いくらECUが正常でも適正なオイルは供給されません。ワイヤー調整を怠ると、焼き付きの原因になります。

ECUとは

エンジンの運転制御を電気的に制御するマイクロコントローラー(マイコン)。

ほかにも、エンジンコンピューター/エンジン・コントロール・ユニット/エレクトロニックコントロールユニットとも呼ばれます。

YCLSとYPVSの違いは?

YPVS(Yamaha Power Valve System)=ヤマハ・パワー・バルブ・システムの役割は、排気タイミング(出力特性)」の制御です。

シリンダーの排気ポート付近に設けられた鼓型のバルブをモーターで回転させ、排気タイミングを可変させるシステムです。

YCLS(Yamaha Computerized Lubrication System)=ヤマハ・コンピューター・ルブリケーション・システムの役割は、「潤滑(オイル供給)」の制御です。

機械式オイルポンプが苦手とする低回転・低負荷領域において、ECUが制御するソレノイドバルブを使ってオイルの供給量を「間引く(減らす)」システム。主な目的は、渋滞路やアイドリング時のオイル消費を抑え、マフラーからの白煙や、未燃焼オイルの飛散を低減することにあります。

TZR250 (3MA) における関係

TZR250 (3MA) では、YCLS(オイル制御)とYPVS(排気制御)の両方が搭載されており、どちらもエンジンの回転数などの情報を基に同じCDIユニット(コントローラー)によって制御されています。

しかし、物理的には、YCLSは「オイルホースの途中のバルブ」、YPVSは「シリンダー排気口のバルブ」という全く別の場所に付いてる部品です。

比較検証:最新KTM TPIとの決定的違い

KTM 250EXC TPI
2024 KTM 250 EXC

TPIからTBIへと刷新されました。(後日、解説予定)

オイルポンプでよくあるトラブル

4スト同様、2ストもオイルポンプにまつわるエンジントラブルがあります。

1つはオイルポンプの故障。これは経年劣化のため、仕方ない部分もあります。

もう一つは、自分でオイルポンプを調整して、壊してしまうケース。

オイル吐出量はなんらかの意図があってメーカーが設定しているため、やみくもに触らないほうがいいです。

即、エンジン焼き付き(故障)につながります。

よかれと思ってオイルポンプを自分で交換し、取り付けやエア抜きをミスして、焼き付くこともあります。

オイルポンプトラブル事例1
カワサキ KH400
空冷2ストローク ピストンバルブ並列3気筒。生産:1975年-1982年

KH400オイルポンプ故障
オイルポンプ

前の所有者がオイルポンプを分解して、壊れたのを隠したまま、販売した痕跡があった。

オイルポンプが入手困難なためエンジンオーバーホールして、混合仕様に変更。

2ストピストン焼き付き KH400
焼きつく寸前だったKH400のピストン

オイルポンプトラブル事例2
スズキ GT750
水冷2ストローク ピストンバルブ並列3気筒。生産:1971年-1977年

焼きついて割れたGT750ピストン
GT750

エンジンオイルの潤滑不良で、2番シリンダーが焼き付いたGT750。ピストンが割れていた。

過去にエンジンを開けた形跡があり、正しくオイルポンプが取り付けられていなかったようだ。

個人売買などで入手したバイクだと、こうしたケースは日常茶飯事です。

個人売買で安く買う→想定外の修理代がかかる→最初から保証付きの車両をショップで買ったほうが安かった

数え切れないほど、このパターンを目の当たりにしています。

2ストエンジンの寿命

排気量とエンジン寿命の関係

一般的には小排気量ほど、高い回転数で走るため、エンジンへの負担は大きいです。

50cc→125cc→250cc→500cc→750cc

排気量が大きくなるにつれて、エンジン寿命は長くなる傾向にあります。

たとえば原付で60km/h出す場合、けっこう頑張らないといけませんが、250ccだとそんなにエンジンを回さなくても60km/h出せますね。

おなじ60km/hの速度でも、排気量でエンジンへの負担が違ってくるわけです。

以上は4ストにも共通する話。

原付に乗っていて、通勤・通学などで、ふだんからアクセル全開(60km/h)で走る人のエンジン寿命は極端に短くなる傾向がある。

こういう方の場合、また50ccを買ってもすぐ壊れるので、125ccを購入した方が経済的だったりする。

というやりとりをバイクショップで度々、見かけます。(事実、結構な頻度でエンジン壊れてます)

走行距離

1,080基以上のエンジンをオーバーホールしている「エンジンオーバーホール専門店 有限会社ガレージ湘南」の代表 日向社長いわく、(統計的に見て)2スト250ccのエンジン寿命は20,000kmほどだそうです。

実際、走行距離20,000kmに満たない2ストのエンジン修理現場を、筆者はいくつも目撃しています。

もちろん「20,000kmを超えたらすぐ壊れる」というわけではありません。

筆者が乗っているLEO120は、オーバーホールなしで47,000kmを超えていますからね。

ですが、一般的に「もともと2ストエンジンはオーバーホールなしで5万キロ、10万キロ持つように作られていない」という話です。

扱い方によっては20,000km未満でも焼き付くことがありますし、40,000km、50,000kmで走れていることもあります。

ただ、「動く」からといって「エンジン快調」とは限らないです。

2ストに限らず、素人から見て快調に思えても(気がついていないだけで)、プロから見ると「ヤバいでしょ」という事がよくあります。

Q.2ストロークエンジンの寿命はどれくらいですか?

A.公道走行の場合、走行距離20,000kmごとが目安です。

たとえばNSR250Rだと、(エンジンオーバーホールなしで)20,000km以上走っているバイクで、完調なエンジンを見たことがないです。

NSR250Rにかぎらず、使用環境によって差はありますし、20,000kmを超えたからといって、すぐ走行不能になるわけではありません。

たとえば人間で言うと、病気じゃないから、生きてるから「健康的で元気」とはかぎらないですね。

それと同じで「動いている」「壊れていない」ことと、エンジンの状態が良いという事はまったく別の話です。「動けばいい」というレベルなら、20,000kmを超えても走ることは可能です。

ただ、​エンジン以外にキャブレターや、オイルポンプなども劣化が進みます。

エンジン焼き付きのリスクを考えると、20,000kmごとが目安というわけです。

https://garage-shonan.wixsite.com/info/2stengineoverhaul

TZ250、RS250など2ストロークレーサー全盛の時代は、走行ごとにエンジンを分解したり、ピストンリング交換が当たり前の時代でした。

(混合仕様で植物油を使っていたため、エンジン内を清掃しなければならないという理由もあります)

公道マシンの場合、そこまでシビアにしなくても走れますが、過信は禁物です。

4スト同様、エンジンオイルはエンジン寿命に大きく影響してきます。長持ちさせたいなら、オイルはケチらないほうがいいと実感しています。(激安オイルはおすすめしません)

あとは扱い方。

最近だと、わずか走行距離100km程度でエンジンが抱きついた(焼きつく手前)事例がありました。

2ストエンジン寿命
LEO120SE

走行距離48,033kmで焼きつき。空冷、排気量を考慮すると、かなり長持ちしました。

ガソリンタンクにオイルは逆効果

「万一の時の保険のため」などと、ガソリンタンク内にエンジンオイルを入れると逆効果。

分離給油の場合、トラブルを誘発することになります。

必要以上のオイルが燃焼することで、ピストンにカーボンが蓄積しやすくなるからです。

「素人にありがちで、余計な事をして、エンジンを壊してしまう」

2ストのエキスパートがおっしゃってました。

GT750 エンジンオイルのカーボン

カーボンが溜まった2ストのシリンダー
走行距離14,800km

カーボンがたまったGT750シリンダーヘッド
シリンダーヘッド(2番は清掃後)

分離給油のまま、混合ガソリンが使用されていたGT750のエンジン。

チャンバーの中にもエンジンオイルが溜まっていて、始動すると、おびただしい量の白煙を吹いていた。

(まともに走行できない状態)

煙の量は、火事とまちがえられて通報されそうなレベル。

例外

サーキット走行など、アクセル全開で連続走行する場合、ガソリンタンクにエンジンオイルを入れると、焼き付き抑制になります。

また、オイルポンプを交換してエア抜きした場合、エア噛みのリスクを考慮して、ガソリンタンクにオイルを入れることがあります。

2ストに最適な添加剤は?

私自身がテストして良いと感じているのは、昔から定評のある金属表面改質剤スーパーゾイルです。

クランクシャフトの振動が大きいLEOに使用すると、かなり静粛になりました。

こちらの記事でくわしく解説しています。

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