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豪雨の峠でテスト走行 ミシュラン シティエクストラ インプレッションMICHELIN City Extra

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MICHELIN City Extraインプレッション

MICHELIN CITY PRO(シティプロ)の後継モデル CITY EXTRA(シティー エクストラ)をレポートします。

おそらく、ほとんどの読者さんはカブシリーズに乗られている方だと思います。

今回、CITY EXTRAを装着したマシンは、カブの車体に2ストロークエンジンを載せたバイクです。

カワサキ レオ120 se
タイカワサキ 製造年1998-2003

2ストの生産中止が発表された頃に、タイから輸入されたバイクの一つがLEO。ほかにもKRR150やKH125、タイホンダ NSR150などが輸入されてました。

車両重量は(オイルや燃料を含むと)スーパーカブ110とおなじぐらいか、少し重め。

エンジンは22.5馬力とパワーがあるぶん、タイヤにも負担がかかります。

さらに(偶然にも)豪雨の峠道を2時間、小雨のなかを1時間、という劣悪な環境でテスト走行しました。

それも通常、誰もやらないようなハイペースでの走行です。

「のんびり走ったところで、大して参考にならないでしょう?」

豪雨のライディング
大雨の走行

とても写真を撮影している余裕はないので、イメージ画像ですが、本当にこんな感じでした。

峠道はほとんど川みたいな状態だし、平地は水の中を走行している状態。全身ずぶ濡れになるし、寒いし、靴の中は水がたまって重い(笑)

・・・過酷な環境でしたが、良いテストになったと思います。

目次

テスト条件

本題に入る前に、前提条件によって評価が変わるため、バイクの状態や、走行方法など、テスト条件をお伝えします。

バイクについて

フロントタイヤをDUNLOP TT900GPからCITY EXTRAに交換。

tt900gp 寿命

TT900GPはレース用(レース用ハイグリップタイヤ。公道走行可)なので、いわゆる「美味しいところ」は8,000kmぐらいまでの印象。

それ以降は、グリップ感があまり感じられなくなってきます。

と言いつつ、20,151km使用しました。

TT900GP 寿命とインプレッション
タイヤ交換直前

チューブも古くなっていたので、タイヤと同時に交換しました。

ミシュラン シティエキストラ インプレッション
CITY EXTRA 交換直後

見た目の印象は「ちょっとヒゲ、多くない?」という感じ。

ミシュラン パイロットストリート寿命
リアタイヤ
パイロットストリート寿命
リアタイヤ交換前に撮影

リアタイヤは、2万km超えのミシュラン パイロットストリート。写真より摩耗が進んだ状態。

ハイグリップのTT900GPと比較すると、耐久性を重視した実用タイヤなので若干、余裕があります。

そのほか、リアサスは1年前に交換、今回のタイヤ交換と同時にフロントフォークのオーバーホールをおこなっています。

整備不良の状態だと、テストになりませんからね。

で、「いよいよテスト走行だ」と遠方の山奥へ行ったら、豪雨の中を走る羽目になったわけです。

パイロットストリート

現在、メーカー廃番。後継モデルは「パイロットストリート2」。

パイロットストリート2はウエット性能、優れた耐久性を売りにしている全天候型 ストリートタイヤ。カタログ スペック上で比較すると、CITY EXTRAとの明確な違いがわかりづらい。

似た名称で「パイロットストリート ラジアル」(250cc以上)が存在する。

走行について

あっという間にずぶ濡れになって、妙なスイッチが入ってしまい、結構なペースで走りました。

「気力体力の残っているうちに距離を稼いでおこう(家に近づいておこう)」

という思惑もありました。

雨の中はペースダウンして走るのがセオリーですが、どうせなら徹底的にCITY EXTRAを試すことにしました。

(いつもですが、峠道はすべてフロントブレーキのみで走行)

雨の中をゆっくり走行しても、大したテストになりませんが、「豪雨」「ハイペース」での走行となると、タイヤにとっては悪条件もいいところ。

ライダーとして走るぶんには勘弁してほしいところですが、テスト走行には好条件です。

やるなら徹底的に

豪雨の峠で「どこまで攻めたら、滑るのか?」限界を確かめるぐらいのペースで走りました。

豪雨のブレーキングテスト

土砂や木が散乱している豪雨の峠では、落下物を避けつつ、川状態の中を強めにブレーキング。

バイクが立った状態だと、思ったより、しっかりタイヤがグリップしてくれました。通常、タイヤ交換直後は、表面に残っているシリコンがあるため、滑りやすくなっています。

次に、水たまり(というかほぼ、池)の中でもブレーキングを試しましたが、想像以上に止まりました。

CITY EXTRAウエット性能
ミシュラン・ウォーター・サイプ・テクノロジー

2023年3月に発売されたCITY EXTRA。発売が新しいという事は「最新技術で設計されている」という事です。

CITY EXTRAウエット走行 インプレッション
出典:ミシュラン公式

ご存じかもしれませんが、CITY EXTRAの特徴に「ウエットコンディションによる高いグリップ性能、ハンドリング性能」が謳(うた)われています。

前モデルCITY PROと比較して、ウェットグリップ性能が24%向上しているそうです。

CITY PROは履いたことがないのでわからないですが、CITY EXTRAは雨(というかほとんど水の中)の走行で、けっこうなペースで走っても、グリップしてくれるのは事実でした。

凹凸の激しい路面も走りましたが、とくに気になる挙動もないですし、たとえ豪雨の中でも、常識的なペースで走るぶんには、まったく問題のないタイヤだと思います。

もちろん、橋の継ぎ目など、鉄板の上を通過する場合は滑ります。(おそらくどのタイヤでも)

鉄板やマンホールを通過する場合は、車体を起こした状態(バイクが立った状態)で通過するなど、タイヤ性能を過信しすぎないことが大事だと思います。

ダートコース
オンロードタイヤではグリップしない砂地

「どんな豪雨でも、ダート(未舗装路)を走行するよりはマシ」

なんて事を考えながら、雨の中を走っていました。

3.3万km持ったミシュランタイヤ

筆者がCB150Tのフロントに履いていたバイアス スポーツツーリング タイヤ「PILOT ACTIV パイロットアクティブ」(ロードクラシックの前モデル)は、ドライはもちろん、ウエット性能も秀逸でした。

豪雨の中をCITY EXTRAで走りながら、それを思い出しました。初めてのミシュランタイヤでしたが、「タイヤでこんなに変わるものなのか」と感動したものです。

ドライ走行

ファーストインプレッション

まずタイヤ交換直後は、ブレーキの効きが良くなりました。

これはCITY EXTRAの性能というより、TT900GPが寿命だったからと言えます。どんなハイグリップタイヤでも、摩耗したり、古くなればグリップ性能は低下します。

タイヤのグリップ性能が低下すると、ブレーキの制動力も長くなる。直進安定性も落ちるし、悪路でハンドルもとられやすくなります。

その状態でタイヤ交換すれば、あらゆる面で良くなります。

・ブレーキがよく利いて制動力が短くなる

・直進安定性が向上する

・タイヤのグリップ感が良くなる

・悪路でハンドルがとられにくくなる

この点は、銘柄に関係なく、どのタイヤでも基本は同じだと思います。

例外:オンロード用からオフロードタイヤなど、極端にカテゴリーが異なるタイヤへの交換

タイヤ性能がどうのとか、インプレッションはそれ以外の要素についての話ですね。

劣化したタイヤと、新しく履いたタイヤの比較じゃなくて、ほかの新しいタイヤと比較した場合、CITY EXTRAはどうなのか?

筆者が最初に感じたのは「ふつうに走れるタイヤ」という印象です。

もともと、CITY EXTRAはサーキットを走ったり、峠を攻めたりするスポーツ用途ではなく、実用タイヤとして設計されています。

本製品は、MICHELIN CITY PROをさらに進化させ、より高い安全性と快適性を発揮し、経済性に優れたアーバンモビリティ用オンロードタイヤの新製品です。

斬新、かつ、機能的なトレッドデザインは、高い耐摩耗性、雨天時における高いグリップ性能、優れたハンドリング性能の実現を可能にしています。

また、タイヤの内部構造を改良することで、パンク等に対する耐久性の向上も図っています。これにより、日々のビジネスシーンから、ファンライディングまで、幅広い使用環境で、高い安心感と信頼を提供するユーティリティータイヤとなっています。

日本ミシュランタイヤ

グリップ性能の比較

たとえば、TT900GP(レース用 ハイグリップタイヤ)を履いた直後は、「路面に吸いつくような走り」を体感することができます。

逆にいうと、レース用なわけですから、そうじゃないと怖くて走れないですね。

峠道を走ると、少なからずハイグリップタイヤならではのフィーリングが楽しめます。

(ただしグリップ性能が高い反面、タイヤ寿命は短くなりますが)

CITY EXTRAはそこまで限界の走りを追求したタイヤではないので、特段、グリップ性能が高いという印象はありませんでした。

「じゃあ、グリップが悪いのか?」というと、そんな事はなくて、ドライでもごくふつうに走れます。

真夏の炎天下で、2時間、3時間とぶっ通しで走っていても、タイヤが滑る、ということはなかったです。

ブレーキング、倒し込み、旋回時のマシンの挙動はもちろん、直進しているときのタイヤの騒音も特別、気になりませんでした。

炎天下を4時間走ってみた

本格的にドライコンディションで走ってみました。

峠道では、ブレーキングからスッと寝かし込めて、切り返しの多いタイトコーナーも問題なし。

フロントが切れ込みやすいとか、変な癖がない印象でした。

縦型グルービング
縦型のグルービング

バイク乗りにとっては「天敵」であるグルービングの上も走りました。

直線とコーナーの両方です。

グルービングが施されていない路面と比較すると少々、ハンドルに手応え(わずかに震える)がありますが、特別、路面のギャップを拾うわけではないと思います。

グルービングが施された中速コーナーでは、ややペースを上げてみましたが、難なく旋回。

じっくり走った感想は、筆者がCB125T(142cc)のフロントに履いていたスポーツ ツーリングタイヤ「パイロット アクティブ」(バイアスタイヤ)と同等のグリップ感。

パイロット アクティブは3万kmを超えても、アクセル全開でコーナーを旋回できるほどの耐久性と、持続性のあるグリップ感が両立されたタイヤでした。

※注 現在は廃番。後継モデルは「クラシックスポーツ」

CITY EXTRAは、パイロット アクティブに近いグリップ感がありました。

あくまで筆者の推測ですが、「最新設計のCITY EXTRAは、一世代前のスポーツ ツーリングタイヤに匹敵するグリップ性能があるのでは?」と感じました。

ちなみに道路のグルービングは、以下の目的があるそうです。

なだらかな坂道、横風を受ける所、緩やかなカーブに有効で、次の特長があります。

  • 溝にくいこんだタイヤの持つ機械的作用により、コーナリング時の操縦性を安定させます。
  • タイヤと路面の間の水膜の除去し、ハイドロプレーニング現象を防止します。
  • 溝にくいこんだタイヤの持つ機械的作用により操縦性を確保し、横風による影響を防御します。
  • 溝にくいこんだタイヤの持つ機械的作用で急ブレーキ時の直進性を向上させます。
  • 凍結路面の氷膜を分断し、路面上の氷雪をすみやかに排除します。
  • 排水を促進し、早く路面を乾かします。
http://www.tosei-kensetsu.jp/doro.html

タイヤのヒゲは何のためにある?

CITY EXTRAで一つだけ、気になった事があります。

ドライ・ウエット走行ともに、ブレーキングからの倒し込みの際、一瞬、グニュッとするタイヤのフィーリングです。

タイヤが滑るとか、そういう大げさなものではないのですが、これまで経験したことがない挙動でした。

(通常の、タイヤがグリップする感覚とは別物)

「タイヤの表面に残っているシリコンのせい?」

調べてみると、4輪のプロレースドライバーが、やはり私と同じように違和感を感じて、メカニックにタイヤのヒゲを全部、取り除いてもらってるとの情報がありました。

この話を元オフロード国際A級ライダーの方にしたら

「俺も、タイヤの側面以外、全部取ってたよ」

とおっしゃっていました。

あながち、筆者の気のせいではなかったようです。

ちなみにタイヤを製造する際、空気を抜く穴があって、それがヒゲになるそうです。もとは長さ30cmほどあるヒゲを、タイヤ性能に支障がない程度まで短くして整えるようです。

ロードレース国際A級ライダーによると、タイヤのヒゲは、タイヤと路面の間でローラーの役目をするため、滑るそうです。

よほど無茶な乗り方をしないかぎり、転倒することはないと思いますが、もし乗ってみて気になるようなら、ヒゲをカットするのもありだと思います。

ミシュラン シティエキストラ レビュー
ヒゲをカットしてもらった後

フロントタイヤはヒゲが気になりましたが、リアは今のところ問題なしです。タイヤの真ん中にあるヒゲは、100kmも走行すればなくなってきます。

冬場での走行

ドライ走行/ウエット走行ともに、路面温度が低いからといって特別、不都合はありません。

ストリートで、通常走行するぶんには問題なしです。(ストリートユース用なので当然ですが)

リアタイヤ交換後のレビュー

シティエクストラタイヤ交換

前出のとおり、リアのパイロットストリートがそろそろ寿命だったので、シティエクストラに交換。

フロント(同じくシティエクストラ)交換後、3000km走行

冬場

ドライ走行

走り出して、すぐ明らかに体感したのは、コーナーでの、旋回性能の高さ。

なにしろ、パイロットストリートは(感覚的に)ずっと滑っている印象でした。わかりやすくいうと、ドライを走っていても、ウエットを走ってるようなイメージ。

だから走り出してすぐ、コーナー手前で減速、アクセルオンからの加速時に、ちゃんとリアタイヤが路面にグリップして、車体が前に進んでいる実感がありました。

比較的、コーナーリング速度を上げても、アウト側にふくらむことなく、スパッと曲がれますからね。

また夏場、路面温度が高くなってからテストしたいところですが、タイヤの慣らしを終えるまでもなく、好感触でした。

冬の峠で走行テスト

外気温13〜14℃ 晴れ
日当たりの良い場所で、ちょっとペースを上げて走行。グリップ感は十分。タイヤのヒゲが悪影響をおよぼしている、という感じはなかったです。

コーナーリング速度が速くても、なんの問題もなく旋回してくれます。

耐久性

CITY EXTRAの耐久性は今後、モニタリングしていきます。

【製品特徴】
・経済性に優れた高い耐摩耗性能
・雨天時でも安心なウェットハンドリング性能
・安心感をもたらす高い耐久性


【採用技術】
「ミシュラン・アダプティブ・デザイン」
最適化された新設計トレッドパターンが、優れた耐摩耗性を発揮します。MICHELIN CITY PROと比較して、マイレージが10%向上しています。

日本ミシュランタイヤ

タイヤ寿命の平均

どの状態を「タイヤ寿命」と判断するかによって変わると思いますが、個人的には125ccクラスのオンロードタイヤ寿命は、およそ1万km〜2万kmぐらいだと実感しています。

もちろん、走行する路面状態や、ライダーの重量(貨物を含む)によっても変わりますし、ハイグリップタイヤなど特殊用途のタイヤは、もっとライフが短くなる可能性があります。

あと、初心者・ベテランライダーを問わず多いのが、タイヤの空気圧不足。

ほぼ0なんてことも、めずらしくありません。

規定値よりも空気圧が低いと、タイヤの発熱が多くなり、早く摩耗します。つまり、タイヤの寿命が短くなるわけです。

できれば週に一回、少なくとも1ヶ月に1回は、空気圧チェックをしたほうがいいです。

「このタイヤは寿命が〜」「ロードノイズが〜」

言ってる人に限って、それ以前に空気圧、全然、足りてませんけど? って事もありますからね。

筆者はふだんから、最低、月2回以上はチェックしています。

チューブタイヤの場合、タイヤの空気圧が不足すると、チューブの傷みが早くなったり、パンクしたりします。

CITY EXTRAがお勧めな人、不向きな人

まず、雨の日でも乗らなければいけない方にお勧めです。

筆者は以前、通勤と仕事でカブ70に乗っていましたが、雨だろうと台風だろうと否応なく、乗らなければなりませんでした。

その点、CITY EXTRAのウエット性能は申しぶんありませんから、通学や通勤でも、初心者ライダーでも、安心して乗れるのではないかと思います。

あとは、ツーリングで使用される方。

長距離になればなるほど、急な雨に降られたときに困ります。雨の走行は、疲労のスピードも早くなりますからね。

(図らずも、筆者が身をもって体験することなったわけですが)

不向きな方は、タイヤのデザインが気に入らない、という人でしょうか。

おそらく、カブ主で「俺はハイグリップタイヤで峠を攻めるぜ!」という人は少ないと思います。どちらかといえば、そんなに飛ばさないというか、無茶な走りをしない人がほとんどだと思います。

であれば、ふだん使いの実用タイヤとして、CITY EXTRAは十分な性能があると断言できます。

個人的には、1回は試してもいいんじゃないかなーと思います。

車種別 CITY EXTRA適合サイズ

スーパーカブ50

旧カブを除いて、前後とも「60/100-17M/C 33P」が適合タイヤです。

シティエクストラの場合、以下のタイヤを2本購入して使用します。

旧車のスーパーカブ50
キャブ車の場合、フロント「2.25-17」、リア「2.50-17」のモデルがあります。
現在、履いているタイヤサイズを確認してみましょう。

スーパーカブ110

フロント「70/90-17M/C 38P」、リア「80/90-17M/C 50P」が適合タイヤです。

フロント

リア

クロスカブ110・CT125 ハンターカブ

前後とも「80/90-17M/C 44P」が適合タイヤです。

シティ エクストラ タイヤの向き

ミシュラン シティエキストラ前後向き
フロントタイヤの場合

タイヤの側面に表示があります。バイクの進行方向に矢印が向くようにします。

写真はフロントタイヤ。リヤに使用する場合、「REAR」の矢印が進行方向(フロントと逆)になるようにします。

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