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YSSリアサスペンションの耐久性 4年間18,770km走行して検証

YSS リアサス 評判

「YSSのリアサスが気になるけど、耐久性や品質が心配・・・」

という方向けに過酷な耐久テストの結果をシェアします。

目次

通常より厳しい環境で使用したら?

4年間、18,770km走行して検証をおこないました。

かんたんに自己紹介させていただくと、筆者は2017年に有限会社ガレージ湘南とYSSと共同で、CB125T用 YSSリアサスペンションの開発に携わり、テストライダーを務めました。

(撮影・サイト製作・集客・販売戦略・プロモーション・コンテンツ制作をワンオペで手がけています)

私自身、この時に初めてYSS社のリアサスペンションを使う事になりましたので、耐久性が気になっていました。

YSSは名前を聞いたことがあるけど、くわしく知らない状況。

ですので販売前のテストはもちろんのこと、販売を開始した後も、継続的に耐久テストをおこなっていました。

その後、同社からVT250SPADA用、CBR250RR MC22用のリアサスもリリースすることになり、3車種以外を含めて200名以上のお客さまに、YSSリアサスペンションを提供してきました。

購入者の方々からのフィードバックを蓄積し、私自身の4年におよぶテストが終了したため、ようやく検証結果をお伝えできるようになりました。

(リアサス分解写真あり)

本記事の内容はあくまで筆者個人の見解によるものです。YSSの公式見解によるものではありません。また内容は執筆時のものです。(随時、更新)

プロデュースや、記事の執筆にあたって報酬は一切、もらっていないことを明言しておきます。

バイク リアサスペンションの寿命って?

よく使われる言葉ですが、「リアサスの寿命」ってすごくあいまいな表現です。

なので、まずは「具体的にどういう状態がリアサスの寿命なのか?」を明確にしようと思います。

YSSの推奨は、フロント・リアサスペンションともに

(ストリート走行の場合)「10,000kmから20,000km走行、または2年に1度のオーバーホール(あるいは交換)」

YSSサスペンション取扱説明書

とされています。

(上記のメンテナンスサイクルは、オーリンズやWPなど、他の社外サスペンションや、純正サスペンションも基本的に同じです)

純正サスペンションだから特別、長持ちするというわけではないですし、高額なサスペンションだから耐久性も高い・・・というわけではありません。

また上記のメンテナンスサイクルが絶対というわけではなく、バイクやライダーの使用環境によって差があります。

それを踏まえた上で、「遅くても、これぐらいにはメンテナンスしたほうがいいよね」という目安が、上記のメンテナンスサイクルという事です。

中華製など、安いサスペンションの場合、上記より寿命は短くなります。

レースで使用した場合の寿命

一般公道ではなく、レースで使用した場合、「20時間走行ごと or 1シーズン」がオーバーホール(または交換)の推奨サイクルになっています。

YSSリアサスペンション分解
MG456モデル 別体タンク式

リアサスペンションは、おおまかにスプリングと、ダンパー(減衰装置)の2つで構成されています。

yss リアサス ダンパー
ME302ダンパー

ダンパーの中にはサスペンションオイルが入っていて、徐々に劣化していきます。

オイルが劣化すると、(エンジンオイルと同じように)粘度が低下して、シャバシャバになります。すると、ダンパー本来の仕事ができなくなる。

これがリアサスがへたった状態。リアサスの寿命です。

もちろんダンパーオイルの劣化だけでなく、内部部品も消耗します。

YSSリアサスペンション 分解
分解したMG456

つまり新品のサスペンションを100%とした場合、徐々にバイクの運動性能が低下していくわけです。

運動性能が低下するということは、コーナー(カーブ)で曲がりにくくなったり、路面の凹凸でバイクが跳ねたり、物理的な変化が出てきます。

安全・スムーズに走れなくなってくるわけですから、心理的にも怖い思いをしたり、不安を感じたり、ストレスを感じるようになります。

中古車の場合、初心者ライダー、ベテランライダーに関係なく、購入時からダンパーが抜けていても

「こんなものかな」

と思って乗っている人が多いです。(心理学的な理由はこちらの記事で解説)

ほかに見た目(外観)からリアサスの寿命を判断できるものとしては、オイル漏れです。

メンテナンスサイクルに関わらず、オイル漏れが発生したらオーバーホール or 交換になります。

(のちほど解説します)

別体タンク式もどきにご注意

ある別体タンク式 中華製サスペンションは、別体タンクがただの「飾り」という事例がありました。

別体タンクに見える部品をくっつけているだけで、ダンパー内部は構造的につながっていない状態。見た目だけのハッタリ製品です。どういうつもりで売ってるのでしょうね。

劣化したリアサスペンションの症状

乗っている時

  • コーナリング中、車体が跳ねて挙動が不安定になる
  • ​コーナーリングで思うように曲がらず、膨らんでしまう
  • 路面の凹凸や減速帯でバイクが跳ねてしまい、安心して走れない
  • ​高速コーナーや高速道路の継ぎ目で車体がヨレる感じがする
  • ​乗車時にシート高が下がりすぎる
  • ​ダンパー調整(リバウンドアジャスター)してもほとんど効果が感じられない

外観上

  • オイル漏れしている
  • ダンパーロッド(スピンドルロッド)に傷や錆がある

上記は一例です。

リアサスオーバーホールの真実

たとえばサスペンションをオーバーホール(分解・整備)する場合、劣化すればするほど、新品のコンディションに近づけるためには高額な費用が発生します。

たとえば、まったく同じ条件で

A 20,000km走行したリアサス
B 50,000km走行したリアサス

両者を比較した場合、5万キロ走行したリアサスのほうが、痛みが激しいことは想像できると思います。

そのぶん、交換する部品の数が増えて、部品代がかかります。

オーバーホール費用が高くなるわけです。

C 50,000km走行したリアサス(オーバーホール0回)
D 70,000km走行したリアサス(15,000kmごとにオーバーホール)

おなじく、同条件でCとDを比較した場合、こまめにメンテナンスしたDリアサスのほうが、(たとえ走行距離が長くても)状態は良いということが想像できますね。

(サスペンションだけでなく、この理論はエンジンや、バイクに関しても同じことが言えます)

ひとくちにオーバーホールといっても、実際はなにを? どこまでやるのか?によって、オーバーホール内容は異なります。当然、完了後の状態は大きく変わってきます。

サスペンションの状態が悪い場合、安い金額のオーバーホールだと、それなりにしかなりません。

オーバーホール費用の裏話

一般的に20,000円とか、30,000円といったオーバーホール料金が提示されています。

ただ、これはあくまでサスペンションの状態が良い場合の話。メンテナンスせず、何年も放置していた場合、それ以上かかると思ったほうがいいです。

なかには2、3万円で請け負うショップもあるようですが、金額に見合う作業しかできないので、痛んだサスペンションだと、新品とはほど遠い状態の仕上がりになります。

(ダンパーオイル交換しただけとか)

また本来、非分解式のリアサスを無理やりオーバーホールした場合、新品と同じ性能にはなりません。

根拠は、下記の記事で解説しています。

実験したサスペンション

ここからが本題。テストをおこなったのはモデルME302、非分解式のリアサスペンション。

イニシャル(プリロード)調整機能のみのシンプルなエントリーモデル。

CB125T YSSリアサスペンション
CB125T用 イニシャル調整機能付きサスペンションは世界初

走行距離

1本目:3,576km
2本目:15,194km

仕様の異なるリアサスを2本テスト。

テストをおこなったバイク

142ccボアアップしたCB125T

HONDA CB125T改 2001年式(142cc化して軽二輪登録済み)

エンジン:空冷4サイクルOHC2バルブ2気筒

排気量:124cc

最高出力:15PS/11,000rpm

最大トルク:1.0kg-m/8,000rpm

車両重量:139kg

変速機:5速リターン

型式:CB125T 1

車体番号:JC06-1600001~

https://inuiyasutaka.net/bikeblog/series-spec/

過酷な条件

市街地、バイパス、高速道路、峠道、未舗装路など、公道で考えられるすべてのシチュエーションを、オールシーズン走行。

最低走行時間を2時間以上とし、とくに熱的にサスペンションに厳しい夏場はあえて長時間の連続走行をおこなった。ダンパーオイルの油温をめいっぱい上昇させ、過酷な状況をつくることで通常よりもハードな負荷を与えるためだ。

多いときは、これを朝から夕方まで一週間、毎日おこなった。

加えて、10kg以上の重りを積んで走行したり、通常走行なら避ける路面のギャップを、あえて通過するようにしていた。(わざわざギャップのある箇所をめがけて走っていた)

サイトでくわしく話しているが、人間にとってもこの上なく過酷なテストだった。

リアサスペンションを分解

テストで使用した2本目(15,194km)のリアサスを、同製品の販売元である有限会社ガレージ湘南 日向社長に分解していただいた。

(日向社長は鈴鹿8時間耐久ロードレースに15年連続参戦。かつてはオーリンズサスペンションのプロショップをやっていた)

本来、非分解式のものを強引に分解しているため、金属片がついていたり、部品が一部、壊れているがご容赦願いたい。

サスペンションには窒素ガスが封入されているため、一般の方が自分で分解すると重大な事故につながる恐れがあります。分解しないことをおすすめします。

YSS リアサスペンション分解

メッキが施されたダンパー(減衰装置)ダンパーロッドはきれいなまま。オイル滲みもなかった。

あとでくわしくお伝えするが、劣悪な環境で保管(放置)していたにもかかわらず、少しもメッキにサビが発生していないのは優秀だと思う。

YSS リアサスペンション分解

写真左の穴は窒素ガスを注入するところ。写真右は内側から撮影したものだ。

YSS リアサスペンション分解

内部の壁面も大きな損傷は見られなかった。

YSS リアサスペンション分解

写真はダンパーの中の部品を上からと横から撮影したもの。

エンジンのシリンダー(筒)内をピストンが上下に往復するのと同じように、ダンパー内部でもピストンが動く。

ただ、エンジンとちがってダンパーのピストンには「オリフィス」と呼ばれる空洞がある(写真左)。空洞のなかをダンパーオイルがとおることで、ゆっくりと動くようになっている。

YSS リアサスペンション ダンパーオイル

左が1本目に分解したサスペンションで、今回分解したのは右側。

さきほど紹介したとおり、ストリート走行では10,000kmから20,000kmごと(または2年に1回)のオーバーホールが推奨メンテナンスサイクル。

そういった意味で15,194kmは、距離だけを考えると、まだ少し余裕がある。ただし、通常よりも過酷な条件で使用したことを考慮すると、数字以上に負担がかかっている。

それらを踏まえて言うと、ダンパーオイルの状態は妥当なところだった。

実際に走っている限りでは、体感レベルでリアサスのへたりを感じる事はなかった。

(高速道路で5速アクセル全開でコーナーリングした場合を含む)

すこし余談になるが、筆者はCB125Tに、新品の純正リアサスペンションを装着して走ったことがある。

CB125T純正リアサスペンション

抜けきった純正サスから新品に交換すると、しばらくは気持ちよく走れるが、15,000km走ったぐらいから顕著に柔らかく感じるようになった。

20,000kmに達する頃には、交換前の純正サスと同じで、ダンパーが抜けた状態になった。

CB125Tの純正リアサスはもともとの設計が柔らかすぎるのかもしれないが、体重50kg未満の筆者が乗ってこの有様なので、YSSのCB125T用リアサスは純正と比較して、スプリング・ダンパーともに硬めの方向に設計してある。

(あくまでストリート向けなので「本来このぐらいの硬さは必要だろう」という程度)

オイル漏れの判断基準

補足として、オイル漏れでありがちな勘違いについて解説する。

リアサスペンションオイル漏れ
オイル漏れした純正サスペンション

さきほどのCB125T純正サスペンション(使用後)と同じく、ダンパーロッドにオイルがべっとり付いている。

(ダンパーが下向きのサスペンション)

見た目だけの話ではなく、実際に走ると完全にダンパーが抜けきっている。

リアサスペンションオイル漏れ
新品 未使用
リアサスペンションオイル漏れ
新品 使用後

それぞれ異なる製品。新品でも使用すると、ダンパーロッドにうっすらオイルが付く。

ダンパーの中にはオイルが入っているわけだから、当然といえば当然。

この現象をオイル漏れと勘違いする人がたまにいる。しかし、フロントフォークを見ていただくとわかるように、この程度であれば正常だ。

耐候性は?

これは意図せず、結果的に「耐候テスト」になってしまったわけだが、1年6ヶ月もの間、バイクを放置した。

しかも、海まで徒歩10分のところに放置していたため、潮風や雨にさらされるというリアサスにとって劣悪な環境だ。(まったく磨いてさえいない)

中華製フロントフォークはすっかり錆びていた

フロントフォークや各部のサビをご覧いただくと、どれほど厳しい環境かお分かりいただけると思う。

YSSリアサスペンションのスプリング

YSSのスプリングにはパウダーコート(粉体塗装)が施されているが、さすがにところどころ錆が発生していた。

パウダーコートとは?

静電気の力を使って顔料を吹き付ける塗装のこと。バイクのフレームやホイル、身近なところでは自転車や洗濯機、ガードレールや信号機など、建築や工業用途でひろく使用されている。

ちなみに常時、海の近くに駐まっているバイクのリアサスをいくつも観察したが、これと同じような状態か、完全に錆びているものが多かった。

その点を考慮すると、パウダーコートの耐久性は純正のリアサスと遜色ないと思う。

(湘南を走るバイクのサスペンションスプリングは、けっこうな割合で錆びている)

筆者と同じような劣悪な環境で放置しないかぎり、そう簡単に錆びることはないはずだ。

YSS リアサス分解 ダンパーロッド
リアサスのダンパーロッド

フロントフォークにも、リアサスのダンパーロッドの表面にもサスペンションオイルが付着している。

ところが、前出の中華製フロントフォーク(写真)は激しく錆びているのに対して、分解したYSS製ダンパーロッドのメッキは少しも錆びていなかった。

この差はメッキの質によるところが大きいと考えられる。

筆者は純正・(YSS以外の)社外サスペンションの両方を含めて、90台分以上のサスペンションを観察しているが、YSSのメッキ(ハードクロームメッキ)はオーリンズや、純正リアサスのメッキと比較しても、引けをとらないといえる。

車種専用で、使用用途に合ったサスペンションを正しく取り付けているかぎり、「社外品だから寿命が短い」ということはないと考えていい。

間違った情報が検索上位に表示されることがある

「社外品は寿命が短い」という情報をろくに根拠を示さず発信しているバイクサイトを観ると、「おそらくサスペンションのことを知らないWEBライターが記事を書いたのだろうなー」と思う。

インターネットは手軽に情報を発信・受信できる反面、間違った情報を信じるリスクもあります。筆者の記事も、あまり鵜呑みにしないように笑

番外編:リアサス流用が危険な理由

「自分のバイクには製品ラインナップがないから、他車種のものを流用しよう」と考えている人がいるかもしれない。

もし流用した場合、どんな隠れたリスクがあるのか?、トラブル事例を紹介。

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