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YSS日本代理店 正規品と並行輸入品のちがいと見分け方 保証が受けられるケースと受けられないケース

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yss並行輸入品

「メーカー保証が受けられなかった」

という事例をよく耳にするようになりました。

YSSサスペンションの正規品には通常、2年(または1年)のメーカー品質保証がついています。

簡単にいうと、

「もし、製造上の欠陥があれば、保証規定に基づいて無償交換 or 無償修理するよ」

という内容です。

購入したYSS正規販売店(またはYSS日本代理店)に伝えれば、対応してくれます。

ただ、これはあくまで正規品の話。

並行輸入品は、日本代理店では保証対応してくれません。そりゃそうですね。並行輸入品は、日本代理店とは無関係なのですから。

並行輸入品は自分でYSS Thailand(YSS本社)に直接、連絡して所定のレポートを提出することになります。

(タイ語 or 英語)

おそらく、二つ返事で交換してもらえるほど簡単ではないので、ハードルは高いと思います。

正規品の場合、YSS Thailandとのやりとりを、YSS日本代理店がお客さんに代わっておこないます。

よく並行輸入品を購入して、YSS日本代理店(または正規販売店)に問い合わせる人が多いですが、正規品なら保証が適用されて、無償で交換 or 修理してもらえる場合でも、並行輸入品の修理は全額、自己負担になります。

(交換の場合、さきほど説明したとおりタイ本社と直接、やりとりする事になります)

YSS正規品は、基本的にどのショップでも販売価格は同じなので正規品の購入をお勧めします。

極端に販売価格が安い場合は、並行輸入品の可能性を疑ったほうがいいです。

(なぜか、並行輸入なのに販売価格が高い製品もあります。転売だから?)

問題なのは、並行輸入品を販売しているショップが、「日本でメーカー保証が受けられない」ことを説明せずに平然と売っていることです。

ほとんどの方はこうした事情を知りませんから、並行輸入品だと知らずに購入。

いざ保証を受けようとYSS正規代理店(または正規販売店)に相談して、初めて事情を知る、というケースが増えているようです。

お客さんが悪いわけでも、日本代理店が悪いわけでもありません。

一番最悪なのは、お客さんに不利益になることをだまって(隠して?)並行輸入品を販売しているショップだと思います。

「最初から並行輸入品って書けよ!」

と思いませんか。

不審に思ってYSSに聞いてみました

筆者がオンラインサイト等を見ても、正規品と並行輸入品の見分けがむずかしかったので、バイクショップ経由で、YSS本社の方に事の次第をうかがいました。

その内容をまとめたものをレポートします。

筆者プロフィール
YSSと共同開発して、ガレージ湘南からCB125T/VT250 SPADA/CBR250RR MC22用のリアサスペンションをリリース。3車種以外を含め200名以上のお客さまに、YSSリアサスペンションを提供してきました。

NSR250R MC18用TZR50用 2024年発売

目次

正規品と並行輸入品のちがい

まず「正規輸入品」は、YSS日本正規代理店を経由して、販売されている製品をいいます。

図で表すと、こんなイメージです。

yss日本代理店

まず、YSSの日本正規代理店は2社あります。

テイショウ(株式会社逓省社中)とYSS JAPAN(株式会社PMC)です。

「YSS代理店」で検索すると、YSS JAPANが検索結果に表示されるため「YSS代理店=YSS JAPAN」と思い込んでいる方が多いです。

実際にはYSS JAPANは、日本に2社ある正規代理店のうちの1つです。

(それぞれの代理店のちがいは、のちほど解説します)

テイショウも、YSS JAPANも自社のオンラインサイトで直販をおこなっています。

それ以外に、それぞれの販売提携店(バイク用品店や、バイクショップなど)があります。

つまり、買う側の立場でいうと

1,日本のYSS正規代理店が運営するオンラインショップ

​2,日本代理店を経由して仕入れたYSS製品を販売する正規販売店(オンラインまたは店頭販売)

以上が正規品です。

逆にいうと、上記以外のルートで販売されている製品は並行輸入品です。

正規品
・本物であることが証明されている

・代理店または正規販売店でメーカー保証が受けられる


並行輸入品
・本物であることが担保されていない(ニセ物をつかまされるリスクがある)

・メーカー保証を受ける場合、タイ本社と直接やりとりが必要

本物=正規品ではない

YSSサスペンションのニセ物が存在するようです。

筆者が見た事があるのはオーリンズカラーで、ロゴがYSSという「あきらかに変」なニセ物でした。

ほかにも、有名ブランドメーカーのコピー品を製造する中国の業者がいるようです。見た目が本物そっくりで、一見すると(本物を知らなければ)見分けがつかないとか。

ただ、コピーしているのは見た目だけで、内部は本物とかけ離れているそうです。

たとえるなら、ROLEX(高級時計ブランド)の模造品みたいなイメージでしょうか。

yssサスペンションニセ物
左側がニセもの
yssサスペンション 構造

別体タンク式(左側)は、内部でつながっているからこそ意味があります。

ただの飾りではありません。

ちなみに、偽ブランド製品と知りながら販売すると商標法違反になります。

商標権を侵害した者は10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金に処するとされているので、商標権を侵害されたときには刑事責任の追及も視野に入れることができます(商標法第78条)。また、懲役と罰金を併科(両方を科すこと)することができます。

法人については、その業務に関して侵害行為を行った場合、その実行行為者の処罰に加えて、業務主体たる法人にも罰金刑が科されるとする、いわゆる両罰規定がおかれています(商標法第82条)。

特許庁 商標権侵害への救済手続

YSSの精巧なコピー品が出回っているという話はまだ聞いたことがありませんが、オーリンズのニセ物(外観は正規品そっくり)は出回っているので、注意が必要ですね。

もう一つ、混同しないよう注意しなければならないのは、本物であることと、正規品かどうかはまったく別の話です。

さきほどお伝えしたように、日本正規代理店を経由した製品が正規品で、それ以外は(たとえ本物のYSS製品でも)並行輸入品です。

並行輸入品を正規品のように表現して販売する業者もいるので、ご注意ください。

まぎらわしい表現の例

「輸入品だから保証がつかない」

正規品(同じく輸入品)は保証があるため「輸入品だから保証がつかない」という説明は意味不明です。

本来なら「並行輸入品だから保証がつかない」と表記すべきでしょう。

正規モデル」

これも首をかしげたくなる表現。「正規品」ではなく「正規モデル」? どういう意味でしょうか。

YSSサスペンションにはME302、MZ366、MR456など、様々なモデルが存在します。逆にいえば、非正規モデルなんてものは、存在しません。

メーカーが車種や、用途に応じてモデルを決めて、製造しているわけですからね。

YZF-R25の例

MR456 220,000円(本格的なレース用)
MX366 83,600円
MZ366 57,200円

価格は税込(2022.11.25時点)。3つのモデルが販売されている。

誤解されないように言っておくと、

筆者は「並行輸入品を売るな」と言いたいわけじゃなくて、売るなら

・「並行輸入品」であること

・日本代理店では保証が受けられない

以上を明確に告げないと、消費者(お客さん)が不利益を被る。

「並行輸入品であることを隠したり、正規品のように見せかけて(誤認を誘引して)販売するのは、詐欺と変わらないのでは?」

と思うわけです。

現に、保証が受けられない人が出ていますからね。

結果、YSSに対するブランドイメージが悪くなるのは、正規品をあつかっている側からすると、

大迷惑です!

ニセ物と本物、正規輸入品と並行輸入品の話とはべつに、詐欺のショッピングサイトも増えています。購入時は、販売者をよく確認したほうがいいです。

並行輸入品の問題点

ほかの記事で解説しているとおり、

日本人とタイ人は、体格がほぼ同じなので基本、サスペンションの仕様(バネレート)は共通です。

並行輸入品の場合、(たとえばヨーロッパ向けだと)日本向けと仕様が違うため、「スプリングのバネレートが合わない」ということが起こる可能性があります。

スプリング交換が可能なモデルなら、おそらく日本代理店で変更してもらえると思いますが、有償になります。

YSSのリアサスを装着したら1ヶ月でオイル漏れが発生

並行輸入品を購入した人が、ネットに写真をあげていました。

どうやら、出荷時にまったくサスペンションの調整がされておらず、お客さんがそのまま取り付けて使用。

その結果、破損したようです。

この手の事例は、けっこう目にします。文脈や写真から察するに

1,適切な調整がされないまま使用した

2,取り付けにミスがあった

3,取り付けた車体が改造されていた

だいたい、どれかです。

たまに、お客さん自身による誤った操作で破損したにもかかわらず、製品のせいにされているケースも見受けられますが、少数派です。

多いのは、取り付けた製品が並行輸入品(1)だった、というケース。

冒頭でお伝えしたとおり、適切な調整がされないままリアサスを使用すると、破損や事故につながります。

YSSのレビューや、口コミを見ていると、

並行輸入品を購入→取付後、まもなく破損→原因を知らないまま「製品が悪い」とレビューする

こうしたパターンが多く見られます。

繰り返しになりますが、並行輸入品の販売店が「未調整であること」「事前にお客さんに告知せず販売したこと」が根本的な原因です。

サスペンションの知識がある人なら、取り付ける際に気がつきますが、一般の方では、気づかないのも無理ないでしょう。本来、それを踏まえた上で、販売するのが当然だと思います。

販売しているから商品に詳しいとは限らない

数々の事例を踏まえて考えると、並行輸入品の販売者がどの程度、サスペンションを理解しているかおおいに疑問です。

(YSSにかぎらず、他メーカーのサスペンションを販売しているオンラインショップを含む)

まったく知らずに販売している、という可能性大だと思います。ちゃんとした知識があれば、こうした破損事故は予見できるからです。

どの業界でも言えますが、製品について無知な販売者はめずらしくないので、注意が必要です。

少し余談になりますが、もしサスペンションが何らかの理由で破損した場合、YSSがその製品を回収して、コンピューターで解析します。

それによって、どのように力が加わったか、などがわかるそうです。

たとえば通常、ありえない壊れ方をした場合、取り付けや、使用方法など、製品の設計以外に破損原因があることがわかります。

なので嘘の申告をして、メーカー保証を受けようとすると、100%バレます。

詐欺罪(刑法第246条 10年以下の懲役)になるので、注意してください。

YSS代理店 それぞれの違い

あつかっている製品や、サービス内容によって代理店が異なります。

同じYSS正規代理店でも別会社となるため、問い合わせる場合は注意してください。

【取扱い製品】
主にスクーター/〜250cc以下のサスペンション

株式会社逓省社中 代理店コード811

テイショウのオンラインショップ(屋号は神戸オート部品)

【備考】
YSS Thailandで製造されたサスペンションを船便で輸入・販売。

【取扱い製品・業務】
サスペンション・オーバーホール・研究開発・レーシングサポート

YSS JAPAN(株式会社PMC) 代理店コード812

YSS JAPANのオンラインショップ

【備考】
YSS JAPANは、YSS Thailandから部品を輸入して、日本でサスペンションを組み立てている。またR&D(研究開発)もおこなっているため、日本で開発された製品もある。

リアサスペンションの取扱い

YSS製品にかぎらず、一般的にリアサスペンションは、航空法第86条により、航空貨物として輸送できない「危険物」あつかいになります。(バラバラの部品の状態を除く)

これは日本国内でも、海外でも同じ。完成品は船便または陸送になります。

シリアルナンバーとYSS代理店コード

YSSサスペンションは、1本ごとにシリアルナンバーでデータ管理されています。

YSSリアサス シリアルナンバー
YSS-THAiLAND 公式より

シリアルナンバーの読み方

C=生産ライン
1=製造年(2021年)
18=2021年の18週目に製造された
00394=当時、394番目に製造された

また製品のシリアルナンバーとは別に、YSS代理店コードが刻印されています。

YSSの代理店は世界中にあって、それぞれ個別の代理店コードがあります。つまり、代理店コードを見れば、日本の正規代理店の製品(正規輸入品)かどうか判別できるわけです。

YSSリアサスペンション 代理店コード
YSS日本正規代理店コード

私たちが販売しているME302シリーズのサスペンションを確認したところ、日本正規代理店コードが刻印されていました。まぁ、正規品なので当然ですが。

YSS製品とブランドの種類

YSSの製品ラインナップは3,100車種以上、その数は8,200以上(2023年時点)あります。

50ccからリッターバイク、スクーターやオフロード、アドベンチャーやスーパースポーツ、日本メーカーはもちろん、ヨーロッパ諸国のバイクメーカー、ハーレーなど多彩なラインナップです。

そのうちの一部が、日本で販売されているYSS製品、ということになります。

で、日本で販売されているYSS製品は、おおきく3つのブランドがあります。

1,YSS(Thailand製)

2,YSS JAPAN(PMC製)

3,ショップとYSSのコラボレーションモデル

「3」のコラボモデルとは、ショップとYSSが共同開発して、販売する製品をいいます。

例:カブのサスペンションで有名な東京堂、スクーター用サスペンションを扱っているKN企画など

ちなみに、ガレージ湘南で限定販売しているCB125T ME302/CBR250RR MC22 ME302/VT250SPADA ME302/NSR250R MC18用 ME302/TZR50 3TU用は「3」に該当します。

とくにコラボを謳ってはいませんけどね。

→並行輸入品の業者と見分けがつきやすいよう、販売サイトに記載しました

そのほか(コラボ製品かどうかは不明ですが)、水野モーターがRZ250/RZ350用、株式会社アルファーオートがジャイロX用の正規品を販売しています。

ちなみに

YSSはあくまで製品モデルごとに管理しているため、上記のようなブランドの区別はありません。

あくまで、わかりやすく解説するために筆者が分類しただけなので、優劣はないです。

コラボモデルは、ブランド名にショップ名が入っている製品、入っていない製品がある。

YSS製品モデルの例

モノショック:MR/MU/MG/MS/MX/MA/MZ/MC/MK/ME/VZシリーズなど

ツインショック:SII/X/G/Z/RU/RC/Eシリーズなど

スクーター用:TG-C/TG/TZ362/G-RACING/G-SPORT/Z-SPORT/G-TOP/G-TXなど

YSS並行輸入品の見分け方

​結論を言うと、販売者(出品者)に直接、確認するのがまちがいないと思います。

それ以外だと、YSSの代理店コードや、商品説明に「メーカー保証」の記載があるかどうか。

たとえばAmazonに出品されているYSS製品で、販売者(発送元)が「Amazon」になっているものは並行輸入品です。

いっぽうで、Amazonに出品されているYSSのコラボ製品もあります。

(販売元がコラボショップ名義なので、おそらく正規品)

つまり「Amazonだから全部ダメ」というわけじゃないんですね。ややこしい話ですが。

ヤフオクや、ヤフーショッピング、楽天、ウェビックについても同様です。

個別に確認するしかなさそうです。

悲しい話ですが、私たち消費者側が賢くなって、インチキな販売者を見分けるしかありません。

メーカー保証の記載

正規品であっても販売店(販売者)によって、商品説明に書いてあったり、書いてなかったりします。

販売者に代理店コードを確認したり、「並行輸入ではなく、日本代理店経由の正規品ですか?」と聞くのが確実でしょう。

ちなみに

・CB125T用 YSSサスペンションME302

・VT250スパーダ用 YSSサスペンションME302

・CBR250RR MC22用 YSSサスペンションME302

・NSR250R MC18用 YSSサスペンションME302

・TZR50 3TU用 YSSサスペンションMB302

以上はYSSとガレージ湘南、私の三者で共同開発し、日本国内での販売窓口はガレージ湘南になっています。

公式サイト以外では販売していませんので、ほかで販売されている場合、おそらく並行輸入品です。

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