タイカワサキ レオ120SEのリアサスペンションを交換しました。
純正はもちろん、レオ用の社外品のサスペンションも当然、出ていません。まずは合いそうなリアサスペンションを探すところからスタートしました。
ダンパーの抜けきったモノサス(1本)はCB125Tで散々、経験しましたが、ツインショックはレオが初めてかもしれません。

ツインショックのダンパーが抜けると、モノサス以上に挙動が不安定に感じました。
モノサスは車体の中心にレイアウトされているので一定方向ですが、ツインだと、車体が左右にグニョグニョしているイメージ。これがコーナーリング中とか、マシンの切り返し時になんとも気持ち悪いんですね。
ただでさえ、リアタイヤのグリップ感が不足しているところに追い打ちをかけるような感じです。
流用リアサスペンション選び

筆者が計測したところ、レオの純正リアサスは取り付けピッチが275mm。
取り付けピッチは、取り付け長と同じ意味。上下、ボルトを差し込む穴の中心から長さを測った数値のこと。販売メーカーによっては「自由長」と読んだり、表現方法にバラツキがある。
「カブに似せたデザインなので、カブ用のサスペンションが流用できるかな?」
と思ったのですが、寸法が特殊なレオには合いませんでした。
いくつか候補が残ったものの、日本語の怪しいメーカーの製品や、まったく聞いたことのないメーカーの製品は(いくら安いとはいえ)買う気がおこらず。
車体のディメンションが変わる点は妥協して、YSSのスクーター用(AF27 AF28・スーパーDio・スーパーDioZX・スーパーDioSRなど)を選びました。

純正の取り付けピッチが275mm、本製品は270mm。つまりリアが5mm下がることになります。
レオはもともとフロントホイル17インチ、リア18インチという尻上がりの設計ですので、個人的にはこのほうが好都合です。これ以上、リアが高くなるのはちょっと。。。
ということで早速、注文。アマゾンからではなく、YSS販売代理店から業販で購入。
(ガレージ湘南で販売しているCB125T・VT250スパーダ・MC22用のYSSリアサスは、同じ販売代理店から仕入れていますからね)
リアサス加工
通常、YSSリアサスペンションにはメーカー保証がありますが、他車種への流用や、加工をおこなった場合は保証適用外となります。

上下を逆にしてフッティングしてみると、やはりそう簡単にポンづけできないですね。穴の大きさが合いません。

リアサスの穴は、写真ではわかりづらいですがネジの溝が入っています。

下側は問題なく取り付けできそうです。
そんなわけで、日向社長にリアサス上側の穴を14.5mmまで拡張してもらいました。

難なく取り付け完了。記事にすればあっという間ですが、リアサス探しから計算すると、結構な時間を要しました。

レビューは気が向いたら書きます。
こちらのブログに寄稿しました。
なぜ、流用は最後の手段なのか
いくつか補足しておきます。
リアサスをつくる側を経験すると、どうやってサスペンションが作られているか、流用の何がダメなのかが、分かるようになりました。
いろいろ分かった上でいうと、他車種の流用は本当に最後の手段と思ったほうがいいです。
レオのように現在のリアサスが完全に終わっていて、純正部品も、社外品も手に入らない時の非常手段ですね。
というのは、バイクによってバネの硬さが異なりますし、同じくらいの車重のリアサスであっても、ダンパーの強さはバイクによって変わります。
ダンパーの強さが合っていなければ、状況次第では、転倒するリスクが高くなります。
「寸法が合っていて、車重が近ければOK」
そんなに単純なものではないという話です。
レオのリアサス選定にあたっては、最終的に「50cc用しか合うサスがないのですが、2本使えばレオに使っても大丈夫ですか?」日向社長に相談しました。
「理論上は2本使えば、現在の抜けたサスより、悪くはならないだろう」ということで、交換に至りました。
ちなみにサスペンションは、上下を逆さまにして良いものもあれば、ダメなものもあります。
バネレートでよくある間違い
リアサス流用で多いのが、バネレート(スプリングレート)に対する誤解。
バネレートは、スプリングの硬さを示す数値で、数値が高いほど硬くなります。で、問題なのはバネレートという数値だけを見て、判断してしまうことです。
CBR250RR MC22用
バネレート:130N/mm
車両重量157kg
VT250 SPADA用
バネレート:135N/mm
車両重量153kg
※いずれもYSS ME302
どちらも250ccで、リンク式サスペンション。車両重量もほぼ同じで、バネレートも近いです。
ところが、
CB125T JC06
バネレート:200N/mm
車両重量139kg
リンク式サスペンション
より軽量なCB125Tのバネレートは、MC22やスパーダを上回っています。
(念のために言っておくと、CB125T用が特別、硬い仕様になっているわけではありません)
つまり「バネレート」という一部分だけを見て、流用の是非や、硬さを判断できないという事です。リンク式サスペンションの場合、リンク比(レバー比)を考慮する必要があります。
警告 リアサス流用の危険性
わたしは流用を推奨しているわけではないので、今回の内容を記事にするかどうか迷いましたが、レオのような非常手段しか残されていないバイク乗りの方もいるだろうと思って、記事にしました。
どうしても流用する場合、すべて自己責任となりますのでそのつもりでおこなってください。
大事なことなのでもう一度いいますが、「リアサスペンションは単純に取り付けられればいい」というものではありません。不適切な取り付け方をすると重大事故につながります。

写真は正常に取り付けられた状態。もし、これが流用や改造をおこなって、取り付け方が歪んだり、きちんと固定されていないと、ダンパー破損などにつながります。
たとえば上下の固定部分が青色の矢印の方向に動いたり、黄色の線みたいに歪んで取り付けてはいけないわけです。

もちろん、きちんと専用設計されている製品で、バイクがノーマルであれば、これらの心配はいらないでしょう。
ところが流用したり、改造されたバイクに取り付けると、わずかに歪んでいても気がつかないという事が起こり得ます。すると、たとえば大きなギャップを通過した際、ねじれた状態でダンパーに力が加わって、サスペンションが破損するおそれがあります。
アマゾンなどのレビューを見ていても、この事を知らないで流用してトラブルが起きて、製品に悪評を付けていると思われるケースが散見されます。
安易に流用すると危険だということを理解した上で、やるかどうか選択したほうがいいと思います。
(個人的にはやめたほうがいいと思う)
ガレージ湘南では製品ラインナップにない車種の場合、今回のように流用することがあります。その場合も、これらの隠れたリスクを考慮した上で検討していますし、必要に応じてYSSのエンジニアにアドバイスをもらっています。本来、それぐらい慎重にやる必要があるという事です。
お知らせ
需要があるかどうか分かりませんが、もし、LEO120SEオーナーで、同じように加工したリアサスペンションがほしいという方がいたら、ガレージ湘南に直接、メールで問い合わせてみてください。
・同社でリアサスを購入する(アマゾンより安いと思います)
・キャンセル、返品不可
・加工するにあたって、一切の保証はおこなわない
以上の条件を承諾できるなら、対応してくれると思います。
「乾さんのブログを見ました」と、ひとこと添えることも忘れずに笑





