乾ヤスタカ|コアなバイクブログ

中華製フロントフォークは危険? 5年間34,094km耐久テスト結果

中華 フロントフォーク

CB125T用の中華製フロントフォークを装着して5年間、34,094kmの耐久テストを実施。

分解して、純正フロントフォークとの比較や耐久性の検証をおこないました。

中華製フロントフォークは危険なのか?

オークションだと左右セットで5000円〜6000円ぐらい(※執筆時点)で販売されているCB125T用の中華製フロントフォークキット。

インナーチューブ、アウターチューブ、左右セットで販売されていて、しかもフォークオイルが入った状態でこの価格。もちろん、中にはフォークスプリングやオリフィスなど、フロントフォークに必要な部品が組み込まれています。

フォークキットの名前どおり「取り付けるだけ」の状態で送られてきます。

純正部品が片側で約3万円ほどする事を考えると、驚異的な価格設定です。

私が中華製フロントフォークキットを使うきっかけは純正パーツの欠品でした。忘れもしない2016年10月、純正のフロントフォークをオーバーホールした直後の出来事でした。

まさかの石飛び!

フロントフォーク(インナーチューブ)に石が飛んで傷がついてしまい、フロントフォークからオイル漏れが発生しました。純正のフロントフォークを手配しようと思ったのですが、左右のうち片方だけしか部品が出ず、傷がついた側の部品が入手できませんでした。

当時、ネット上に「中華フォークを装着した」という情報はありませんでしたが、すでに中華ボアアップも経験しているので、ダメ元で試そうと思いました。

2016年11月1日に晴れて、中華フォークデビュー。

執筆時点で34,094km走行したレポートをお届けします。

取り付けてみた

取付に加工の必要はありませんでした。

強いて言うなら、届いたフロントフォーク(インナーチューブ)に傷が付いていて、「交換する意味ないじゃん」という状態でした。もちろん、販売元に連絡するとすぐ交換してくれましたけどね。

写真は中華フォークを装着した状態。

CB125T 中華フォーク

遠目で見るといい感じです。シールもヒビがなく、心配していたオイル漏れも無し。

CB125T 中華フォークアウター

気がつきましたか?

アウターチューブの仕上がりは・・・ちょっと、うーんな感じです。見た目だけの話ではなく若干、キャリパー取り付け部分が歪んでいました。精度は微妙かもです。

中華フォークは錆びやすい?

2018年2月撮影 約20,600km走行

フロントフォーク錆び

手が届きにくい箇所が錆びています

フロントフォーク白錆び

白っぽくなったアウターチューブ

使用開始から約2年

中華製フロントフォーク
中華製フロントフォークを装着したCB125T

使用開始からおよそ2年。手入れしているものの、かなりさびが目立つようになってきました。

中華製フロントフォークのアウターチューブ

アウターチューブが白く腐蝕しています。

2018年12月撮影 約29,600km走行

cb125t中華フォーク耐久テスト

数ヶ月ぶりに乗ろうと思っていたら、フロントフォーク摺動部分にサビが発生。

極小でしたが、あえてそのまま乗ってみると左からオイル漏れするようになりました。

あとでくわしくお伝えしますが、中華製フォークは純正よりもメッキの質が劣ります。また、私が海の近くを走行することからサビが発生しやすい環境にありました。

逆をいうと、海の近くを頻繁に走らなかったり、ポイントを抑えて手入れすれば、摺動部分にサビが発生したり、シールが破れてオイル漏れすることはある程度、防げると思います。

番外編 2021年7月撮影

CB125T 中華フロントフォーク

1年5ヶ月、屋外に完全放置してこうなりました。

中華製のヘッドライトとフォークがひどい錆なのに対して、純正ホーンのメッキはきれいなままです。(正確にはホーンは化粧メッキで、フォークはハードクロームメッキですが)

CB125T 中華フロントフォーク
CB125T 中華フロントフォーク トップボルト
CB125T 中華フロントフォーク トップボルト

中華製フォークのトップボルトがすごい錆なのに対し、純正ハンドルのメッキはそれほど錆が発生していません。

あくまで完全放置した場合の結果ですが、純正と中華製ではメッキの質が雲泥の差なのは明らかです。

CB125T 中華フォークアウターチューブ

アウターチューブのクリア塗装も、純正より弱いかもしれないですね。

純正フォークと中華フォークの比較

ガレージ湘南の日向社長に協力いただいて、両者の分解・比較をおこないました。

メッキの品質

CB125T フロントフォーク
CB125T

まさに一目瞭然。新品の中華フォークと、使用品の純正フォークを比較しても、まったくメッキの輝きが違います。中華フォークのメッキは曇ったような仕上がりになっているのがわかると思います。

メッキには目的に応じて、様々な種類があります。フロントフォークや、リアサスのシャフトに使用されるのはハードクロームメッキ(硬質クロームメッキともいいます)です。また同じハードクロームメッキでも、品質に差があります。

フロントフォークのメッキについて、より詳しく知りたい方はこちらのサイトを参照ください。

CB125Tフロントフォーク

2017年2月13日 約6,800km走行の中華製フォーク

単純に見た目だけの問題ですが、摺動部分に跡が残るようになりました。

同じメッキでも

1,再メッキ処理したフォーク
2,純正フォーク
3,中華フォーク

の順にメッキのクオリティが異なります。

とくに中華製と純正フォークではメッキの品質に大きな差がありますから、錆びやすさだったり、フロントフォークが沈み込む時の抵抗に影響が出ます。

余談ですが、レース車両ではフロントフォークにチタンコーティングを施します。

再メッキ後、チタンコーティング処理を行うことによって摩擦を低減し、スムーズにフロントフォークが動くようにするんですね。(コーティング処理を行うには再メッキが必要)

2018年東京モーターサイクルショーにて撮影

ZX-10RRブレーキ
ZX-10RR
RC213Vブレーキ
RC213V

いざ分解!純正フォークとの互換性は?

写真は新品の中華フォークを分解したものです。

CB125Tフォークスプリング
フォークスプリング
中華フォーク純正比較
CB125Tオリフィス

フォークダンパー、フォークシリンダー、シートパイプ、ダンパーロッド、ダンパーシリンダーなど、呼び方はさまざまですが、同じものです。

オイルロックピース

私が想像していたよりも、中のパーツは純正と大きく異なっていました。

純正と中華フォークで共用できるのはオイルシール(インナー)ぐらいです。ダストシールはアウターチューブの形状が異なるため、流用できませんでした。

ダストシール:フロントフォークの外側にある黒いゴムパーツ。

フォークスプリングの比較

cb125t中華フォークスプリング

上が純正フロントフォークスプリング、下が中華フォークのスプリングです。

純正フロントフォークスプリング
自由長:529mm
使用限度:518.4mm
※CB125T(JC06)最終型サービスマニュアル参照

その後CB125T用のフロントフォークスプリングを製作するため、メーカーで計測してもらったところ、中華フォークのスプリングは自由長509mmで、スプリングレートは純正より少し高めに設定されている事が判明しました。

自由長:写真のようにスプリングを縮めない状態での全長のこと。

スプリングレート:スプリングの固さを現す単位。ほかの条件が同じ場合、レートが高い=固い、レートが低い=柔らかいという事になる。

フロントフォークスプリングワンオフ

左からCB125T用ワンオフ強化スプリング、純正スプリング、中華製スプリング。

中華フォークスプリングの耐久性

さきほどの比較写真の純正フォークは、約3万km走行した車両から取り外しました。

フロントフォーク寿命
約3万km走行後の純正フォークスプリング

少しわかりづらいかと思いますが、スプリングの表面がこすれて、銀色になっていました。

中華製だから・・・ではなく、純正スプリングでも起こります。スプリングが縮んだり、伸びたりする際、アウターチューブの壁面とこすれるからです。CB125T以外の車種でもよくある現象です。

そういった意味で、フォークスプリングはもちろん、アウターチューブも徐々に内側が削れるため、消耗品といえます。

CB1100R フロントフォークオイル交換
走行距離 約31000km

フロントフォークのインナーチューブ。底に鉄粉がたまっている。(過去のオイル交換歴は不明)

スプリング寿命の検証

取り外した純正スプリングをメーカーで計測してもらった結果、自由長は515mm。

メーカーの「使用限度 518.4mm」を超えていた事がわかりました。

つまりメーカーが定めるよりも「スプリングが縮んでいた」という事です。さて、気になる中華製フォークのスプリングの寿命はどうでしょうか?

中華製 フロントフォーク

34,094km走行して、取り外した中華製フロントフォーク

筆者の予想に反して、手で押した感じでは、固さは純正フォークと変わりませんでした。

左側はオイル漏れしていたので、右側と感触が変わっているかと思いましたが、手で押すレベルではほとんど、変わらないレベル。沈み側・伸び側ともに、極端に悪いという印象はありませんでした。

中華製フォークの内部パーツの耐久性は、純正とほとんど変わらないと言えるでしょう。

耐久性という点において、純正と中華製で大きく異なるのは、やはりメッキの耐久性です。

タイ製 フロントフォーク
タイカワサキ製 LEO120SE

メッキの質を比較すると日本製と、中華製、タイ製バイクのメッキでは、見た目からして質に差があります。

筆者は年間、少なくとも20から30台以上のフロントフォークをチェックしていますが、サビの状態や摩耗状態を見ていると顕著なちがいがあります。(日本製 > タイ製 > 中華製という印象)

中華フォークを長持ちさせるには?

走行後、フォークが沈む部分についてるホコリやゴミなどを柔らかい布で拭き取るようにします。

サビ対策や、点サビが発生した場合(ごく小さなものに限りますが)、メッキ専用のクリーナーで落とせます。

メッキ用の研磨剤と保護剤、ウエスがセットになった製品です。マフラーなど、あらゆるメッキに使えます。

目の粗いコンパウンドでメッキを磨くと、傷が入る事があります。とくにインナーチューブは、傷が入るとオイル漏れを誘発するので、注意が必要です。

もしインナーチューブの傷が原因でオイル漏れが発生した場合、シール交換では対応できず、再メッキまたは要交換となります。

ピカールなど、粗めの研磨剤で磨いた形跡のあるフロントフォークを見かけることがよくありますが大抵、オイル漏れを起こしています。

中華フォークで30,494km走ったインプレッション

まず、筆者は「新品の純正フロントフォーク」を装着したCB125Tで走った事がありません。

「フォークオイル、オイルシール交換」のみ実施した純正フロントフォーク装着車両との比較になります。

なお、ステムベアリングやホイルベアリング交換、タイヤ交換などを実施し、極力ほかの要因が影響しないよう良いコンディションで走行テストを行っております。

純正フォークから中華製への交換直後

出荷状態、送られてきた状態のまま装着しました。

走行後の第一印象は「純正より固い」でした。

さきほどお伝えしたように走行距離3万kmでも、フォークスプリングが使用限界を超えるケースもあるぐらいですから、当時、走行距離5万kmだった私のCBT純正スプリングは、それと同じかあるいはもっと、縮んでいたのかもしれません。

(残念ながら当時は計測していないため詳細は不明)

しばらく走行した後の感想

純正と交換する前と比較して、中華製は固いです。

ただ、実際に走る上で十分な固さなのか?と問われれば「柔らかい」といわざるを得ません。このへんは判断が難しいところです。ライダーによって走り方も好みも変わりますからね。

CB125T ブレンボキャリパー

私のCBTはディスクを大径化して、ブレンボ4POTキャリパーを入れています。

ボアアップして軽二輪登録してありますので、高速道路を走行することもあるし、100km/hからフルブレーキングすることもあります。

要は、ノーマル状態よりもフロントフォークに負荷が掛かりやすい環境にあると言う事です。

そういった意味で「もう少し踏ん張ってほしいな」というのがありました。それでもフロントフォークが縮んだ後、伸びる時に限っては純正より良くなりました。

純正はフォークが劣化していたせいか、ブレーキレバーをリリースすると「ドンッ!」という感じで一気に縮んだフォークが伸びていたからです(オーバーホール後の話)

中華フォークに交換する事で伸び側の問題は解消されました。

フロントフォークのオーバーホール時期

公道走行の場合、一般的に10,000kmから15,000km(または20,000km)走行ごと、あるいは2年に1回のオーバーホールが推奨されています。

ただ、50ccから125ccのバイクはフォークオイル量が少ないため、できれば1年に1回か、1万kmごとのオーバーホールが実情に合っていると思います。

中華フォークのデメリット・メリット

あくまでCB125T用の中華フォーク、執筆時点での話になります。

メリット
・使い捨て感覚で使える安さ、手頃さ
・たまに傷物に当たっても無償交換してもらえる

左右セットで、無加工でそのまま使えて5,6千円という安さを考えると、十分使えると思います。

できれば2倍ぐらいの金額でも良いので、もう少しクオリティを向上させてほしいところですが。。。

デメリット
・メッキが弱く錆びやすい
・付属パーツを新品に交換できない(探せばどこかにあるかも)
・インナーパイプが外れない

CB125T用の中華フォークは、インナーパイプが外れない仕様になっています。

純正みたいに外れたら、再メッキ処理を施したり、加工素材として使えたのですが・・・これが中華フォークの最も惜しい点です。

使い捨てになりますが、油面調整(フォークオイルの量)や、粘度調整(フォークオイルの硬さ)は可能ですから、うまく利用すれば使えるパーツだと思います。

サスペンション調整は一歩まちがうと、重大事故につながります。非常に多いのが、インターネットの情報を鵜呑みにして、いたずらにオイル粘度を上げてしまい、サスペンションがストロークしなくなっているケース。

乗りにくくなるだけでなく、バイクの挙動が不安定になったり、転倒リスクが高まって、逆効果を招くことがあるので注意してください。

新商品リリース!

CB125Tをはじめ、モンキーやエイプなど、フロントフォークが柔らかい仕様のバイク向け高粘度フロントフォークオイルを発売しました。

中華 フロントフォーク

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