「フランド? あー、ブレンボのパチもんね」
令和になった現在も、いまだに誤解されているFrandoキャリパーを掘り下げて解説。
ロードレース国際A級ライダーによるブレンボや、ほかの有力ブレーキメーカーとの比較もお伝えします。
フランドとブレンボの関係
「フランドはブレンボのニセ物なのか?」
答えはNO。もともとフランドはブレンボのOEM会社。
つまりブレンボの製品をつくっているブレーキメーカーです。
※2024年現在も生産しているかどうかは不明
フランドはこんな会社
台湾を本拠とするCHE LIWU CO., LTDは、1993年に設立された。
2007年に自社ブランド「FRANDO」を立ち上げて世界に展開。耐久性テスト・強度テストに合格した製品のみリリースされ、正規輸入品には2年間のメーカー保証がつけられている。
台湾、フィリピンのほか、FIA JuniorGP 世界選手権や、スペインのスーパーバイクレース ESBK、オーストラリアのASBKで採用されており、ESBKでは優勝実績がある。

ESBK スペインスーパーバイク選手権 Moto4に参戦しているFrando Racing VHC Team。

Moto4は、コーナーごとに順位が入れ替わる激しいバトルが常。もし、キャリパー性能のポテンシャルが低ければ、表彰台はおろか、優勝は夢のまた夢だ。

アプリリアのレーサー(ホンダで言うNSF250)にフランド製ブレーキシステムが採用された。


じつは、筆者がフランドの存在を知ったのは、ほんの5、6年前。
CB150Tのブレーキまわりをブレンボに交換した後、はじめて知りました。
日本だと、サスペンションといえばオーリンズが定番なように、社外品のブレーキだと、ブレンボがもっとも知名度がありますからね。
APロッキードや、ベルリンガーが高額だからブレンボにしたという理由もありました。
(150ccの公道マシンで、そこまでブレーキにこだわる必要がないので)
フランド VS ブレンボ ストリート編
まずはストリートで使用した場合の比較から。


CB150T(CB125T改)
車両重量139kg
・ブレンボ製 ブレーキキャリパー P4 30/34 40mm 汎用 型番20.5165.58
・ガレージ湘南製 ワンオフキャリパーサポート
・CB750F(FA/FB)用ディスクローター
・ブレンボ製 ラジアルマスターシリンダー 型番10.4760.80
・グッドリッジ製 ステンメッシュホース
ブレンボのレビューは、下記の記事「CB125Tの弱点とカスタム」の項でくわしく解説しています。
筆者はフランド製4ポット鍛造キャリパー&ラジアルマスターを装着したZRX400を借りて、ターンパイク箱根を走ったことがあります。
ZRX400は、車両重量が200kg以上。
シングルとダブルディスクという違いはあるものの、ブレーキタッチやコントロール性能、実際の効き具合は、ブレンボを装着したCBTとまったく遜色ありませんでした。
「なにこれ? まるっきりブレンボと同じじゃん」
という感じ。
ストリートで、一般のライダーが乗るぶんにはフランドで十分というか、おそらく、ブラインドテストすれば区別できないと思います。
ちなみにZRX400のオーナーは、筆者のCB125T改に試乗した際、「ブレンボの操作性に感銘を受けて、ブレーキを交換した」と言ってました。
ほかにもCB125T改に試乗した人がブレーキをカスタムし始めて、ちょっとしたブーム?みたいになっていました。
では次に、プロの意見をうかがうことにしましょう。
フランドで300km/h以上からフルブレーキング
「公道ではありえない速度から、フルブレーキングしたらどうなるか?」
実際にテストしたライダーがいます。

当ブログではおなじみ、有限会社ガレージ湘南の代表で国際A級ライダーの日向社長です。
MCFAJ(全日本モーターサイクルクラブ連盟)
エキスパート500クラス シリーズチャンピオン(1987年-1989年)
鈴鹿8時間耐久ロードレース 15年連続参戦(1983年-1998年)
https://ameblo.jp/garage-shonan/entry-12714681723.html
鈴鹿8耐では、ケニー・ロバーツ、エディ・ローソン、ケビン・マギー、ワイン・ガードナー、ドミニク・サロン、マイケル・ドゥーハン、平忠彦、八代俊二、宮城光、辻本聡(敬称略)などと走っていたそうです。

このGSX-R1000にフランドキャリパーを装着して、富士スピードウェイで300km/h以上からフルブレーキングテストを実施。
まったく問題なく使用できたそうです。
ちなみに日向社長が鈴鹿8耐に参戦していたころの愛用メーカーは、APロッキード(現APレーシング)。
レース用キャリパーは片側で50万円、左右2つで100万円だったそうです。
当時のAPは、ブレーキのかけ始めにカチッと利く感じ。対してブレンボは、レバーを引いた分だけ利く。
(ある意味ブレンボは、純正キャリパーに近いタッチかもしれない)
なのでブレンボに馴染めず、APのキャリパーを使うようになったとか。
このようにハイエンドキャリパーを使った経験があり、さらに高次元の速度域でプロライダーが限界テストして、フランド製品に太鼓判を押しているので、説得力があると思います。

旧モデルの6ポットながら、LEO120SE/Ninja250R/TZR50/TZM50のフロント用 純正2ポットキャリパーより断然、軽いです。
最初に持った時、軽さにおどろきました。

重さだけで比較すると、1番重いのは前出の鋳造製 ブレンボ4ポットキャリパー、次いでLEOの2ポット純正キャリパー。
なぜ、見た目や価格で選ぶと危険なのか?
年々、3Dスキャンや、CNCなど、工作技術が進歩しています。
その結果、キャリパーにかかわらず、似たようなデザインの製品が、同じような価格で流通するようになりました。
一般の人が、製品の良し悪しを見極めることが、むずかしくなっています。
とくに、見た目で判断できないのが精錬加工技術です。
精錬(せいれん、英語:refining)とは、不純物の多い金属から純度の高い金属を取り出す過程のことである。これに対して、鉱石から金属を取り出す工程を製錬といい、精錬とは別の概念としている。
Wikipedia
じつは、製錬(精錬)技術はかなり高度で、国や地域によって大きく差があるそうです。
たとえば、見た目がまったく同じでも、精錬のレベルが低いと、破損につながります。もし、キャリパーや、ブレーキディスクが走行中に割れたら、終わりですね。
実際、激安パーツ(とくに中華製)は「通常、ありえんだろ」というレベルで壊れます。
もちろん、金属パーツの話です。
いくらデザインが良くて、切削加工がきれいでも、歪んだり、割れたり、ヒビが入ったら、使いものになりません。
製錬(精錬)技術×強度設計×切削加工技術
どれか1つ欠けても、危険です。
繰り返しになりますが、見た目でわからない部分もあるので、広告宣伝を鵜呑みにせず、できるだけ客観性のある情報を参考にしたほうが、賢明だと実感しています。
経験や知識の豊富な人に直接、話を聞いたり、現在おこなわれているレースで、実績があるかどうかを調べたりですね。
(過去の実績がすばらしくても、栄枯盛衰があります)
栄えることと衰えること。栄えたり衰えたりを繰り返す人の世のはかなさをいう。▽「栄枯」は草木が茂り盛んなことと枯れしぼむこと。転じて、人や家門などの繁栄や衰退をいう。
goo辞書
ある意味、衝撃の事実
ここまで読んでいただくと、フランドが機能的にそう悪くないことが、理解いただけたと思います。
「そこまでいい製品なら、価格もブレンボに近いはず」
と思うのですが、おどろくほど安いです。
鍛造4ポットキャリパーが、2万円台から購入できます。
つまり、ブレンボキャリパーと同じ金額で、ワンランク上の製品が買えるということです。
(ブレンボキャリパーに交換した後、その事を知った筆者はショックでした)
フランドが安すぎるのか、それともブレンボが高すぎるのか・・・
筆者は後者だと感じています。

日向社長が所有するNSR250Rにも、Frandoキャリパーが装着されています。
フランドキャリパーの注意点
正規輸入品と、並行輸入品があることです。
(ニセ物も出回っています)
FRANDO日本正規輸入・販売代理店は株式会社ガルーダです。
2024年2月5日の公式フェイスブックページにて、「改めてフランド ジャパンから、ガルーダ社が日本におけるFRANDO製品の独占販売代理店契約の証明書を交付された」という投稿がありました。
正規輸入品と並行輸入品のちがい
並行輸入品
・メーカー保証が受けられない
・ニセ物、コピー品をつかまされるリスクがある
・商品説明や、適合車種が間違っていることがある(売れればいい、というスタンス)
インターネットオークションや通販サイトなどで、並行輸入品やコピー品が出回っております。このような商品を購入された場合、弊社製品保証及びサポートは一切ございません。
正規品との見分け方
・GARUDA 取扱説明書兼保証書が同梱されていない
・弊社サイト内に掲載のないカラーバリエーションが販売されている
・キャリパー背面に製造番号等の刻印がない弊社よりご購入頂いた製品は一部商品を除き、取扱説明書兼保証書を同梱しております。ご購入後のサポート時提示が必要となりますだけではなく、弊社から出荷された正規輸入品の証拠になります。
株式会社ガルーダ
正規輸入品
・日本正規代理店によるメーカー2年保証がついている
・日本語の説明書、保証書がある
ラインナップと特徴
Frando製品は、性能はもとより、デザイン面でも年々、アップグレードされている感じがします。
GPz1000や750など、1980年代、90年代の旧車はもちろん、ドゥカティや、アグスタ、GSX1300R隼などの高級車・大型バイクに装着する人が増えてる印象です。
よほどブランドにこだわりがある人でなければ、Frandoお勧めです。
・基本的にブレーキパッドは、ブレンボ4ポットキャリパーと共用です
・キャリパーは左用・右用がありますので、間違えないようにしてください
・正規輸入販売店ガルーダ社のオンラインショップは「Yahoo!ショッピング」に出店されています
基本的な選び方
1,キャリパーのタイプを知る
まず、キャリパーは昔からあるアキシャル(横置きタイプ)と、近年のスーパースポーツ車などに採用されているラジアルマウント式があります。


ご自身のバイクに合うタイプから、キャリパーを選ぶようにしてください。
2,取り付けピッチ
キャリパーには取り付けピッチがあります。
たとえば、さきほど紹介したブレンボ 鋳造4ポット キャリパーは、取り付けピッチ40mmです。つまり、ピッチがおなじ40mmのフランドキャリパーが装着できる、ということです。
ピッチが合わない場合
ピッチに合うキャリパーサポートを装着する必要があります。
比較的、売れ筋の車種なら、専用キャリパーサポートが販売されている場合があります。
筆者のCB125Tがそうでしたが、ピッチが異なっていて、キャリパーサポートがなければ、ショップでワンオフ製作してもらうことになります。
以下の記事は、実際のキャリパーサポートの製作風景。
筆者が現場に立ち会い、着手から完成までの様子をダイジェストで紹介しています。
3,マスターシリンダー&ホース
交換するキャリパーに合ったマスターシリンダーが必要です。

ブレーキレバーを入力すると、油圧でキャリパーピストンが押し出されて、ブレーキパッドが動いて、ブレーキが利きます。
この時、キャリパーに合わせて、押し出す力(マスターシリンダー)が決められています。
ブレーキレバーを握って、いきなりフロントブレーキがロックするぐらい唐突にブレーキが利いたら危険ですね。逆に、レバーを握っているのに全然、ブレーキが利かないのも恐怖です。
マスターシリンダーとキャリパーには、バランスがあるわけです。
マスターシリンダーについては、メーカーがキャリパーごとにマスター径の推奨を設定しています。
例:シングルディスクの場合は15Φ、ダブルディスクなら19Φ
特別な理由がなければ、メーカー推奨サイズを選べば問題ないと思います。
ブレーキホース
キャリパー、マスターシリンダーを交換すると若干、ホースの長さが変わります。
ブレーキホースはさまざまな製品がありますが、ステンレス、もしくはアルミ製メッシュホースが一般的。
PTFE素材を使った製品もあるようですが、筆者の周囲で使用している人がいないため、未知数です。
キャリパー、マスター、ディスク、レバーすべてに言えることですが、ブレーキは重要なパーツです。強度、耐久性が確かで、信頼性のある製品を選ぶことを推奨します。
ステンレス製か? アルミ製か?
ステンレス製よりも安価な製品として、アルミ製メッシュホースが登場した、と筆者は認識しています。
(間違っているかもしれません)
この認識が正しい前提でいうと、ステンレス製メッシュホースを推奨します。繰り返しになりますが、ブレーキは命に関わる重要部品です。
価格だけで判断して、耐久性や、品質の劣る製品をつけるなら、ノーマルブレーキのほうがいいと思います。
エントリーモデル
2万円〜
品名:FR-6 4ポット・キャリパー
材質:アルミ鍛造
ピストン径・材質:30/34mm・アルミニウム
取り付けピッチ:40mm
重量:640g
frando7NB推奨マスター径:シングルディスク車:15Φ/ダブルディスク車:19Φ
ブレーキパッド:フランド製メタルパッド標準装備
株式会社ガルーダ
ミドルグレード
3万円〜
品名:F101Racing CNC 4ポット・キャリパー
材質:CNC アルミ鍛造
ピストン径・材質:30/34mm・アルミニウム
取り付けピッチ:40mm
重量:640g
frando 7NB推奨マスター径:シングルディスク車 17 or 15Φ/ダブルディスク車 19Φ
ブレーキパッド:フランド製シンタードメタルパッド標準装備
株式会社ガルーダ
品名:FCC-682 ラジアルマウント 4ポット・キャリパー
株式会社ガルーダ
材質:アルミ鍛造
ピストン径・材質:25/25mm・アルミニウム
取り付けピッチ:82mm
重量:740g
推奨7NBマスター径:シングルディスク:14~15Φ/ダブルディスク:17Φ
刷新された新製品
4万円〜
品名:FCC-540GT CNC 4ポットキャリパー
株式会社ガルーダ
材質:CNC アルミ鍛造
ピストン径・材質:30/34mm・アルミニウム
取り付けピッチ:40mm
推奨7NBマスター径:シングルディスク:15Φ/ダブルディスク:19Φ

品名:FCC-100P CNC モノブロック・4ポットキャリパー
株式会社ガルーダ
材質:CNC アルミ鍛造
ピストン径・材質:34/34mm・アルミニウム
取り付けピッチ:100mm
推奨7NBマスター径:シングルディスク:15Φ/ダブルディスク:19Φ

デザインと性能を追求した最高峰モデル
10万円〜
アキシャル(横置きタイプ)キャリパーではめずらしい、モノブロック。
モノブロック(ひとかたまり)は、通常の2ピース製キャリパーとちがって分割されていないため、高剛性であり、よりハードな(高圧力がかかるなどの)環境においても、変形しないと言われています。
品名:FCC-640MGT CNC モノブロック・4ポットキャリパー
株式会社ガルーダ
材質:CNC アルミ鍛造
ピストン径・材質:30/34mm・アルミニウム
取り付けピッチ:40mm
推奨7NBマスター径:シングルディスク:15Φ/ダブルディスク:19Φ