バイクエンジンにカーボンクリーンは有効?
バイク業界でも少しずつ広まりつつある、カーボンクリーン。
2度、ショップでカーボンクリーンを体験し、自分でも市販の「エンジンクリーナー」を複数回使用。実際にテストした結果を包み隠さずシェアします。
テスト車両
HONDA CB125T最終型(2001年式)
空冷4サイクル OHC2気筒
走行距離19,500km(購入時)

カーボンクリーンの種類
カーボンクリーンとは、特殊な薬剤を使ってエンジン内部を清浄する方法を言います。
(エンジンクリーン、スラッジクリーンとも呼ばれています)
・プラグを取り外した穴から薬剤を注入する方法
・フューエルラインから薬剤を注入する方法
さまざまなやり方があるようです。
前提条件
カーボンクリーンをやる前、PEA100%のガソリン添加剤(エンジン内部清浄剤)を5,000kmほど使用しました。
ガソリン添加剤の効果はこちらの記事でレポートしています。

ズバリ!カーボンクリーンの効果は?
最初に施工したのはビルシュタイン社のカーボンクリーン。
結論から言うと、かなりの劇薬です。
しばらく期間を空けたにも関わらず、2度目のカーボンクリーンで圧縮が落ちて走行困難になりました。
(2度目はビルシュタイン社ではありません)
具体的には、右のシリンダーだけが極端に濃くなりました。2気筒が1気筒になってしまったようです。レース実績のあるプロショップでキャブセッティングを試みるも症状は改善せず。
結局、エンジンをオーバーホール(正確にはボアアップ)することになりました。
理由はのちほど・・・
施工から施工後の様子
初回、ビルシュタイン社のカーボンクリーンの施工はおよそ30分間。
これまでになくエンジンの回転は滑らかになり、しかも力強い!
回転数と共にしっかりタイヤから路面にパワーが伝わっているのが実感できました。
スピードの伸びも明らかに違います。
ここまで変わるなら、もっと早くやっておけばよかった。走行距離は30400kmになったCBTでしたが、購入当時(19500km)よりも遙かにエンジンが力強くなりました。
・ガソリン添加剤
・オイル添加剤
・マフラー カーボン除去
・キャブセッティング
・にんじんくんGT(点火系統の強化)いろいろやりましたがもっとも大きな効果が実感できました。
それだけカーボンの蓄積がパワーダウンにつながっているという事でしょう。
筆者 旧ブログの記事より
以上は、施工直後の感想です。
初回カーボンクリーン後、およそ400km走行。
その間、若干、アイドリングに波がありましたがしばらくすると収束。オイル交換して、ついでにプラグも新品に。
試運転するがオイル漏れも減りもない。
すこぶる快調・・・と思ったら
欲を出したのが悪かったのか、2度目のカーボンクリーンで圧縮が落ちて走行困難になりました。
カーボンクリーンのデメリット
走行不能になるリスクがあります。

筆者は自分のバイクを含め、40基以上のバイクエンジンオーバーホールに立ち会っていますが、ほとんどの場合、4サイクルエンジンの燃焼室はこのような状態です。
カーボンは、ちょっとやそっとでは取れません。
もし、バルブシート(赤丸部分)にカーボンが挟まると、バルブが密着できなくなります。
ガソリン添加剤の記事でも触れましたが、清浄効果がない(もしくはほとんどない)場合、大きな悪影響はないかと思いますが、本当に「カーボンクリーン」にカーボンが取り除けるぐらい強力な効果がある場合、エンジンが不調になる原因を引き起こすリスク(不確実性)があるわけです。
市販のエンジンクリーナーの効果は?
最初のエンジンOH後、二回目のエンジンOHをおこなう直前に、市販のエンジンクリーナーを使って、あらためて実験してみました。(どうせ分解するので、不調になっても大丈夫なので)
2種類のエンジンクリーナーをテスト。プラグホールから直接、エンジンクリーナーを注入してしばらく放置。
その後、エンジンをかけるというやり方です。
(強力な匂いと煙がすごいので、川の土手でやりました。住宅街では厳禁です)
効果のほどは・・・
やはりアイドリングが不安定になって、カーボンクリーン2回目の時と同じような症状になりました。
ガソリン添加剤と、市販のエンジンクリーナーを使用したエンジン内部。



自分のバイクながら、目を覆いたくなるような光景です。
まとめ
薬も過ぎれば毒となる
「何事もほどほどが良い、やり過ぎると仇(あだ)となる。」という意味です。
あくまでバイクエンジンで試した感想ですが、ビルシュタイン社にかぎらず、カーボンクリーンは効果が大きいです。
その反面、リスクが高くなります。
完全に薬液が無くなるまでアイドリングが不調になることもありますし、施工後、キャブセッティングが必要になることもあります。
要は強力すぎるゆえに、
吉と出るか凶と出るかわからない。運次第。
博打的な要素があります。
「壊れてもいいや。ダメ元でやってみよう」
という人には向いていると思います。
私としてはガソリン添加剤や、フラッシングオイルぐらいに留めておいた方が無難だと思います。
経験した事がある方ならわかると思いますが、エンジンを分解した状態でも、エンジン内にこびりついたカーボンは簡単に取れません。(ブレーキクリーナーや、キャブクリーナでは全く歯が立たない)
そのカーボンを取り除くほど強力な薬剤だと、エンジンに全く影響が無いわけありませんし、リスクに見合うだけの効果があるかどうかと考えると、かなり微妙だからです。
どうせお金をかけるなら、ちゃんとエンジンをオーバーホールするか、こまめにエンジンオイルを交換した方がリターンが大きいと思います。


