錆だらけのチャンバーの自家塗装をおこないました。
1998年ぐらい生産のタイカワサキ LEO120 SEのスチール製チャンバーはすっかり錆びだらけ。
このままだと、そのうちチャンバーに穴が空いてしまうので、気になっていました。ホームセンターで購入できるスプレータイプの耐熱塗料を使って、チャンバーを塗装します。
(4ストのスチール製マフラーなら、同じ方法で塗装できると思います)
耐熱塗装の下準備
冷えた状態でチャンバーを取り外したら、まずはワイヤーブラシを使って錆を落とします。
本格的にやるならグラインダーを使いますが、今回は錆の進行を止めることが目的。ワイヤーブラシを使います。
しんちゅう製ブラシのほうが柔らかいため、ひどい錆にはステンレス製ブラシがおすすめです。
(今回はしんちゅう製しかなかったので、地道に錆を落としました)
写真はワイヤーブラシでこすった後の状態。しんちゅうブラシだと、思った以上に取れませんでした。
膨張室から後ろは、比較的、錆は少なめでした。
今回は突発的な作業で準備していませんが、本格的にきれいにするなら、ちゃんと錆を落とした方がいいです。
手軽に使える錆落とし「ネジザウルス リキッド」がお勧めです。
SNSで話題になっていて最近、周囲の方々が使っているのを見かけます。
私もいろんな錆落としをテストしましたが、対費用効果や使いやすさを考えると、かなり良さげです。よく、インターネット上で見かける「サンポール」などは、錆の進行は止まらないのでお勧めしません。
綺麗に塗装するコツ
チャンバーに限らずですが、プロいわく「塗装は下地処理がすべて」です。
塗装面がデコボコだったり、錆びていると、どんな塗料を使用してもそれなりの仕上がりになります。
今回は簡易な塗装なので良しとしていますが、綺麗にしたい場合はブラスト処理をお勧めします。
エンジンのヘッドカバー塗装例
筆者が初めてブラストの機械を使用して、自分でブラスト処理したものです。
(塗料は何を使用したか忘れました)
リアキャリアの塗装例
おなじくブラスト処理して、ホームセンターのラッカーで塗装しました。(人に譲るため丁寧に作業しました)
念のため言っておくと、筆者は塗装のプロではありません。
塗装経験は上記を含めて、人生で5回未満だと思います。つまり下地をきれいに仕上げるだけで、素人が塗装してもけっこう綺麗に仕上がるという事です。
ブラスト処理のみ、おこなってくれる業者さんもいるので、興味のある方はインターネットで探してみるといいです。
塗装する
塗装する前に、しっかりチャンバーを脱脂しておきます。
塗装面に油分が残っていると、油が塗料をはじいてしまいます。
使用した耐熱塗料はこれです。
できるだけ風通しの良い場所で塗装します。
1,一度にチャンバー全体を塗ろうとせず、半分ずつぐらいに分けます。
2,厚塗りせずに、3回ぐらいに分けて塗るようにします。最初は薄く塗って、少しずつ重ね塗りして、3回目で塗り終えるイメージです。
乾燥時間は、塗料や気温によって変わると思います。今回は11月の晴天でしたので、1回塗るごとに30分ぐらい換装させていました。
(本当はもう少し待ったほうがいいのかもしれません。合間に作業したので早足です)
塗装完了後
ついでなので、フレームやヒールガードも塗りました。
錆だらけのボルトは交換しました。
シリコンガスケットをボルトに塗布して、スタッドボルトを折らないよう、注意しながらチャンバーを取り付けます。
この時、ガスケットを新品に交換します。(排気漏れの原因になります)
キック一発で始動。
どうやら、排気漏れもない様子。そのまま、前日のキャブセッティングの試乗を兼ねて、チャンバーに熱を入れるための走行に出かけました。
カウルを取り付けて、完成です。
塗装してから4ヶ月後の状態。
耐熱塗装6つのステップ
手順のまとめです。
ステップ1:チャンバー(マフラーを取り外す)
ステップ2:下地をつくる
ワイヤーブラシ、ケミカル用品などで錆を落とす
ステップ3:脱脂する
パーツクリーナー(ブレーキクリーナー)を使用して、油分を落とす
ステップ4:塗装する
ステップ5:ガスケットを交換して、チャンバーを取り付ける
ステップ6:熱を入れるためにしばらく走行する
きれいに仕上げたい場合、走行前に細かいコンパウンドで塗装面を軽く磨く。
使用したツール
今回使用した塗料など、道具の紹介です。
錆落とし
錆の度合いに応じて、必要なものをそろえてください。
比較的、錆が多い場合に最適なステンレスブラシ
軽微な錆なら、しんちゅうブラシ
耐熱塗料
ホームセンターなどで入手できる「つやあり」ブラック耐熱塗料です。
筆者はとくにこだわりがないため、これにしました。
液状ガスケット
チャンバーのガスケットに塗布するのに使用します。
エンジンオーバーホールなどで使用する耐熱性の液体パッキンです。硬化するとゴムのような弾力性があります。
本来の使い方とは違いますが、スイッチ周りや、インシュレーターのひび割れなど、ちょっとした割れをふさぐのにも使えます。
筆者のCB125T純正マフラー(サイレンサー側)の隙間から、排気漏れしていたので試しに使ってみました。バイクは屋外保管で5年ほど経ちますが、粉状になったり、剥がれる様子はありませんでした。
耐候性、耐久性は十分だと思います。
チャンバーの中をチェック
ここからは番外編です。
エンジン側から見た、チャンバーの中。
チャンバーの中は思った以上に乾いた状態でした。筆者が乗り始めた頃のサイレンサーを見ると、カーボンが溜まってると思ったのですが。
ずいぶん昔になりますが、NS-1やCRMなど、ほかの車両のチャンバーをメンテした際は、もっとウエッティというか、ねっとりした状態でした。
今回はドライだったので、ワイヤーブラシで軽くカーボンを落としました。
汚れが激しいようなら、場合によってカーボン除去を検討したほうがいいかもしれません。
シリンダーからピストンをのぞいて見たところ、目視ではまったく傷が入っていなかったので、安心しました。
(メーター走行距離19189km)
筆者はエンジンを壊さないよう、なおかつ、カーボンが溜まらないように走行しているつもりですが、ピストンを見る限り、これでいいんだと思えました。
約10,000km走行したCRM50から取り外した純正ピストンは、けっこう傷が入っていましたからね。
CRMは中古車でしたから、前オーナーの走り方が悪かったのか、私が毎日、通勤で全開走行しているのが悪かったのか・・・はっきりとは、断定できないところがあります。
今回ご紹介したのは自分でできる簡単な塗装でしたが、本格的な塗装を業者さんに依頼するなら、ガンコートや、セラコートなどもいいかも知れません。