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【初心者向け】2ストバイクのメンテナンス 見落としがちなポイントを紹介

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初心者向け 2ストバイク メンテナンス

スクーター、ミッション車とも、当たり前のように2ストが走っていたのは遠い昔。

一部を除き、2ストロークバイクの生産終了から20年以上が経ちました。

「人から2ストバイクをもらった」

「4ストしか乗ったことがない」

初めて2ストに乗る方向けに、見落としがちなチェックポイントをお伝えします。

エンジンオイルタンクのひび割れ

ご存じかもしれませんが、2ストロークのエンジンオイルは燃焼して、減っていきます。

そのためエンジンオイルのタンクに、2スト用オイルを継ぎ足す必要があります。

(モペットやベスパなど、混合仕様車を除く)

ガレージ湘南に入庫してくる2スト車(1980年〜1990年代)を見ていますと、エンジンオイルタンクにヒビが入っていることがあります。

車両の保管状態、オイルタンクの位置などによって劣化具合は異なりますが、樹脂製品のため、経年劣化で割れやすくなります。

(ノンカウル仕様のNS-1は、位置的に転倒や紫外線の影響を受けやすいです)

筆者が借りたレオ君はどこからか、オイルが垂れてくるので、この際、オイルタンクをチェックすることにしました。

オイルタンクはシート下、右サイドカバーの裏側にあります。

2スト オイルタンク

見たところ、オイルタンクにひび割れは確認できませんでした。

2スト オイルタンク注意点

赤い矢印の部分につながっているゴムホースも、経年劣化により割れたり、裂けたりすることがあります。

同時に、ホースがしっかり繋がっているかどうか、緩みがないかを確認します。

もし、ゴムホースを取り外した場合、エア抜きが必要です。エアが混入すると、エンジンが焼き付きます。

もし、オイルタンクが割れていたり、ひびが入っていた場合は、タンクを交換するか、耐油性のリペア剤で修復するといいです。

レオ君のオイルタンクは残量がわかりづらいので、赤いテープを貼って、確認しやすくしました。

エンジンオイルが古い場合の注意点

長期間、不動だったバイクを動かす場合は要注意。

1,エンジンオイルの乳化

保管状況にもよりますが、長い間放置されていると、オイルタンク内に水分が混入して、オイルが乳化することがあります。

2,エンジンオイルの変質

古くなったオイルは、場合によっては変質します。オイルが変質すると、オイルの通り道を塞いでしまうため、潤滑不良になります。エンジンの吹け上がりが悪くなったり、最悪の場合、エンジンが焼き付きます。

オイルタンクは半透明なので、なかなか外観上は気づきにくいと思います。

とくに人から譲ってもらったバイクだと、前オーナーがこれらを確認していないことが多いため、不具合などがあってもそのまま、現オーナーが乗っていることが多いです。

(個人売買でも、この手のトラブルが多い)

いちがいに「何年、経ったからエンジンオイルが古い」という明確な基準はないのですが、オイルの乳化、変質の可能性を疑いつつ、確認したほうが無難です。

筆者の場合、保管状況が良ければ(室内保管)3年ぐらいなら許容範囲。

それ以上だと、オイルの注ぎ口から古いオイルを抜いて、新しいオイルに換えてから、エンジンを始動します。

エンジンがかかっても、いきなり高回転まで回さず、吹け上がり(レスポンス)や音に注意しながら、徐々にアクセルを開けて、異常の有無を確認します。

長い間、動いていないバイクを動かす場合、それぐらい慎重にやったほうがいいのです。

駆動系

実際に修理・整備で入庫しているバイクを見た上で、よくある事例を紹介します。

フロントスプロケット摩耗限界

まずはフロントスプロケット。

通常、カバーがついているため、摩耗していても気づかない事が多いです。(2スト・4スト共通)

フロントスプロケット偏摩耗
正常なZ400FXに対し、偏摩耗しているGPz750

そう頻繁にあることではないですが、偏摩耗していることがあります。

写真はGPz750のスプロケが、くの字になっていました。(正確には「>」の形)

リアスプロケット偏摩耗
ホイル交換されていたゼファー

前出のGPz750のフロントスプロケットと同様、くの字に偏摩耗しています。

ホイル交換時の取り付け方がまずかったらしく、タイヤのセンターが出ていないことが原因でした。

タイヤ(ホイル)がセンターじゃない状態、つまり左右のいずれかに傾いてると、スプロケットが偏摩耗することがあります。とくにホイルが交換されている場合や、事故歴のある車両は要注意です

摩耗限界と交換タイミング

スプロケット摩耗限界
新旧のスプロケットを比較

リアスプロケット。明らかに山が無くなっていることがわかりますね。こうなる前に交換したほうがいいです。

バイクのドライブチェーン使用限界
スプロケはまだ使えそうです

ドライブチェーンは、矢印の方向に左右、動かして、ガタがあるようなら交換時期です。

バイクのドライブチェーンメンテナンス

ドライブチェーンの遊び(緩み)も、チェックしておきましょう。

オフロードなど、悪路を走る場合、路面の凹凸でチェーンが張った状態になることを考慮して、チェーンの遊びは若干、緩めにします。

一般公道を走る場合、バイクメーカーの指定に従います。

ドライブチェーン寿命

プレートが外れて、破断寸前だったドライブチェーン。

オーナーさんは気づかないまま乗っていたようですが、もし、走行中にチェーンが切れて飛んだら、自分だけじゃなく、周囲の人に当たって死亡事故が発生したかもしれません。

ドライブチェーン、スプロケの摩耗は、状態によっては数馬力パワーダウンすると言われています。燃費も悪くなるので、しっかり点検・メンテナンスしましょう。

交換については、ドライブチェーン、前後スプロケットをセットで交換するのが理想です。

エアークリーナー

2スト エアーフィルター洗浄
湿式(スポンジ)タイプ

社外品(と思われる)エアークリーナーエレメント。

湿式タイプの場合、洗って再利用できるというメリットがあります。

ただし、経年劣化によりスポンジがボロボロになり、キャブレター内部に詰まる事があります。

触って、くずれるようなら即、交換です。

純正エレメントが手に入らない場合

下記のような汎用シートを購入して、カットして使います。

フィルターの目が細かい(ギュッと詰まっている)ほど、吸い込む空気の量が少なくなり、キャブレターのセッティングが濃くなる傾向にあります。

逆に、粗めの場合、スカスカで空気の量が多くなるため、キャブレターのセッティングは薄くなる傾向にあります。

とくべつな理由がなければ、純正(もしくは現在装着している)エレメントに近いものを選ぶといいです。

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粗め:空気の量が増える:燃調が薄くなる(ガソリンの比率が減る)

目がこまかい:空気の量が減る:燃調が濃くなる(ガソリンの比率が増える)

エレメントを交換した場合、キャブレター調整、もしくはセッティングが必要になる事があります。

エレメントの洗浄

2スト エアーフィルター洗浄
洗浄後

エレメント(スポンジ)は灯油で洗うこともできますが、痛みやすいので、専用クリーナーを使ったほうが無難です。汚れの落ちもいいです。

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都会と田舎でおおきく差があるフィルターの汚れ

都市圏と郊外だと、エレメントの汚れ具合がおおきく異なります。

たとえば東京・大阪などは、1,000km走行ごとに確認したほうがいいでしょう。逆に郊外だと、湿式・乾式を問わず、汚れの速さはゆっくりです。

交通量の多い都市部では、幹線道路に面しているマンションのバルコニーが真っ黒になります。網戸や床とか、窓ガラスですね。

原因は(研究された竹田陽一氏いわく)タイヤのカス。

タイヤのカス(砂ぼこりのような状態)が風で舞うそうです。たしかに都市圏で、半ヘルでバイクに乗ると、顔に黒いものが付着します。

郊外に住むと、都市圏で当たり前だと思っていたこの現象がおきません。1万km走ったエアフィルターを見て「信じられない。ほとんど汚れてない」とおどろいたものです。

番外編 電装系

接点復活材 バイクハーネスの使用方法

タンクやカウルなどを外した場合、コネクターなどの端子をチェックします。

古いバイクほど、焼けていたり、錆が発生していたり、接続不良だったりするからです。

状態によっては外さないほうがいいですが、大丈夫そうなら取り外して、コンタクトスプレー(接点復活剤)を塗布します。

ちなみに数々のバイク修理を観察していると、

電装系(配線)を改造している車両は、高確率でトラブルが多いです。

基本的に作業した本人しかわからないため、プロが修理する場合でも、時間とお金がかかります。

たまに「他店(バイクショップ)で配線処理をやってもらった」というケースもありますが、どの配線がどうなっているかは、そのショップの作業者本人じゃないと、わからないです。

なのでプロの作業・アマの作業を問わず、電装系が改造されたバイクの修理は、ショップに敬遠されがちです。

状態によっては、電装系の修理作業だけで1ヶ月以上かかることはザラですからね。

実際の修理現場を目の当たりにした上でいうと「電装系が改造されたバイクは絶対に買わない」というのが、筆者の個人的な意見です。

バイクショップに修理を依頼するなら言い値を払うか、電装系を丸ごと、純正に交換するぐらいの気持ちじゃないと、手を出さないほうが吉。(自分で修理できる人以外)

私たち素人が思うほど簡単じゃないのが電装系の厄介なところです。

スパークプラグ

昔から諸説ありますが、結論だけいうと・・・

公道を走るのであれば、イリジウムプラグではなく、純正指定の標準プラグが一番です。

2ストの旧車にイリジウムプラグの仕様はデメリットが大きく、不向きだと思います。

ネジやボルト

ネジやボルトの緩み、脱落をチェックします。

「なんだ、そんなことか」と言われそうですが、かなり重要です。

新車でも、走行しているうちにだんだんとネジやボルトが緩んできます。旧車なら、なおさらチェックすべきだと実感しています。

「本来、付いているはずのボルト(ネジ)がない」

2スト・4ストを問わず、数え切れないほど、修理の現場で目の当たりにしてきました。

事故らなかったのは、運が良かったとしか、言いようがないケースもあります。

筆者自身、CB150Tで過去、長距離ツーリング先でパーツが脱落したことがありますし、レオ君のボルトが行方不明なったこともあります。

たとえば、ナンバープレートが落ちるのは、よくある話です。

各部ボルトや、ネジの緩みなどを点検するようにしましょう。

ちなみにレオ君は借りた当初、あちこち緩んでいました(笑)チェックして正解でした。

「脱落は、忘れた頃にやってくる」

いっぽう締めすぎは破損して、逆効果になることがあるため注意が必要です。

本記事で紹介した以外にも

キャブレターの洗浄、ブレーキ、スロットル/クラッチ/チョークワイヤー、タイヤ、灯火類など、点検すべきポイントは数多くあります。

(一般的な情報は、ググればすぐ見つかると思います)

その中でもとくに多い事例、見落としがちなポイントを紹介しました。

2ストは年々、部品調達が困難になっていますし、2ストお断りのバイクショップも多いです。

ぜひ、大切に乗ってください。

告知:NSR250RとTZR50

リアサスペンションを製作しました。

NSR250R ’88-’89’ MC18用 ME302

TZR50 3TU用 MB302

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