旧車・空冷バイクにおすすめのエンジンオイル|化学合成油はダメ?実走と分解で検証

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空冷 旧車 大型バイクにお勧めのエンジンオイル

結論から言うと、旧車・空冷バイクでも化学合成油は問題なく使用できます。

ただし、すべての車両や状態に適しているわけではなく、粘度やエンジンの状態によっては鉱物油の方が適しているケースもあります。

本記事では、エンジン分解と長期実走データをもとに、「本当に適したオイル選び」を解説します。

「ほとんどのレビューは参考にならない!」

自分の空冷バイクがオーバーヒートするのがきっかけで、2013年からオイルについて学んだり、教わったり、テストするようになりました。

口コミやレビューは、「だれが」「いつ」「どんな環境で」「くわしいテスト条件」「その結果(具体的な数値)」・・・肝心なことが、書かれていなかったりします。

また、エンジンオイルの広告宣伝は非科学的だったり、古い情報が多かったりします。

本記事では、ありがちな当たり障りのないオイル選びではなく、

「本当のところ、どうなの?」

多くのライダーが疑問に思うことや、インチキな?製品を見破る方法、知っておいたほうがいい話をしています。

(企業にお金をもらって記事を書いてるわけじゃないので、忖度(そんたく)抜きです)

バイク用4ストオイル比較
テストしたオイルの一例

国産の絶版車、旧車、空冷単気筒はもちろん、水冷車、ドカティ、ハーレーダビッドソンなど外車に乗っている方の参考になればと思います。

閲覧数8万突破。車種ごとに推奨オイル、推奨粘度を掲載しました。

JASO規格・API規格・SAE規格を加筆・修正しました。

純正オイルの値上がりについて

2026.7.13更新

オイル製造元である潤滑油会社に直接、聞いたところ、

戦争による攻撃で、

・石油精製工場(エンジンオイルの原料となるベースオイルを製造している)

・オイル製造工場(実際にオイルをブレンドして充填する工場)

が破壊されたそうです。

結果、世界規模でベースオイルの供給が不足しています。

また、破壊されたオイル製造工場に委託していたオイルメーカー(ブランド)は、別の製造先を探さなければなりません。

加えて、エンジンオイル製造に使う「添加剤」が毎月、値上がりしています。

結果、エンジンオイルに限らず、油脂類が軒並み、値上がりしているのです。供給能力の回復には時間がかかるため当面、値上がりが続きそうです。

2ストオイルの話はこちらの記事でご覧いただけます。

目次

エンジンオイルが宗教と言われる理由

エンジンオイルは、私たち一般のライダーにとって、良し悪しの判断基準がわかりにくいです。

なので「エンジンオイルは宗教みたいだ」という意見をよく耳にします。

実際にはエンジンオイルは、「トライボロジー」(tribology)という学問に基づいて、つくられています。

トライボロジーは造語で、「摩擦学」や「潤滑学」と訳されます。

たとえば、エンジンという機械と、オイルはそれぞれ組み合わさって機能します。つまりエンジン単体、オイル単体の理屈で考えてもダメで、両方セットでどんな働きをするのか?

それを探求する学問です。

ただ、ライダーの多くが、トライボロジーの名前すら知らなかったりします。

その結果、有名メディアなど(一見すると)信憑性のありそうな情報を鵜呑みにしたり、SNSにある根拠のない情報を信じたり、なんとなくのイメージ(思い込み)でオイルを判断しています。

ところが(真っ当な)エンジンオイルをつくっているメーカー側からすると、ちゃんとした理論、基礎的な学問の上でオイルを研究したり、開発しているわけです。

ですので、製品の良し悪しも科学的な根拠に基づいて、検証しています。

メーカーさんは決して、感覚的にオイルをつくっているわけではないんですね。

だから消費者である私たちライダーは「よくわからない」で終わらせるのではなく、ポイントを抑えた上で、判断する知識を身につければいいと思います。

そのための知識を、本記事でお伝えしていきます。

「高性能オイル」よく聞く言葉ですが、なにをもって高性能なのか?を明確に説明している人は少ないです。

なぜ、エンジンオイルは重要なのか?

基本的なことですが、エンジン寿命を左右するかなり重要なテーマなので解説します。

GSXR750 1985年エンジンのオイル経路

心臓が血液を循環させるように、オイルポンプによって、エンジンオイルが循環しています。

ただし血液とちがい、エンジンオイルは使い続けるうちに汚れて、性能が低下する。性能を回復するには、オイル交換するしかありません。

「もし、エンジンオイルが無かったら?」

エンジンオイルは潤滑することでエンジン内部の摩擦抵抗を減らし、摩擦熱をおさえたり、金属の摩耗を防いでいます。もし、エンジンオイルが無かったら、エンジンがエンジンとして機能せず、焼き付きます。

金属と金属が摩擦すると、高温の熱が発生します。その熱によって、焼き付くわけです。

実例を見てみましょう。

4ストロークエンジンで多いエンジン故障事例が、クランクシャフトの焼き付きです。

エンジンの故障事例と原因

焼き付いたクランクシャフトと新品クランクシャフトの比較
GSX400Eのクランクシャフト

黒っぽく変色し、筋が入っているのがわかるかと思います。クランクシャフトは要交換です。

クランクシャフトは、自転車で例えると、ペダルの軸の部分にあたります。いくら足(ピストン)でペダルをこいでも、ペダルが全く動かなければ、チェーンが回らず、前に進めませんよね。

クランクが焼き付くと、それと同じような状態です。がっつりロックされているので、エンジンはかかりません。

コンロッドメタルが焼き付きついたGSX400E
GSX400Eのコンロッドメタル

クランクシャフトに接しているコンロッドメタルが変形していました。下記の正常なメタルと比べて見てください。

焼き付きついたコンロッドと正常なコンロッドの比較
GSX400Eのコンロッド

左側は正常なコンロッド。メタルが焼き付いた右側のコンロッドは内側が傷だらけ。

焼き付いたクランクシャフトの中には、だ円に変形していたクランクシャフトもあります。

「なぜ、クランクが焼き付いたのか?」

さまざまなケースがありますが、

  • エンジンオイルを交換していない
  • エンジンオイル量が不適切
  • オイルポンプの故障(旧車に多い)

よく見られるのは、これらに起因するものです。

オイルポンプによってオイルがエンジンの中を循環しています。

人間の血液が、心臓によって全身を循環しているのと同じですね。旧車の場合、オイルポンプが故障して、潤滑不良でエンジンが焼き付くことがあります。

ただ、それよりもはるかに多いのは、エンジンオイル管理を怠った事による焼き付きです。

オイルが劣化すると、本来の性能が発揮できなくなります。

筆者が見ているかぎり、オーバーホールで持ち込まれた(4スト)エンジン100基のうち、焼き付きは8基。

いずれもクランクシャフト焼き付きでした。

焼き付きに至らなくても、クランクシャフト・コンロッドにダメージが見受けられるケースがほとんどです。

オイルは、潤滑することで摩擦抵抗を減らし、摩擦熱をおさえたり、金属の摩耗を防いでいます。金属と金属の間の油膜が、クッションになっているわけですね。

適切なオイルを使わなかったり、劣化したオイルを使い続けると、潤滑不良となり、徐々にエンジンにダメージが蓄積し、焼き付きに至ります。

旧車用オイルで焼き付いた事例

オイル漏れを止めようと、旧車用の「高粘度オイル」(#50以上)を使用した結果、エンジンが焼き付いた事例もあります。

プレーンベアリングのエンジン、とくに高回転型エンジンに高粘度鉱物油の使用はおすすめしません。

4ストエンジンが焼きつく4つの原因

「エンジンが焼きつく原因は何なのか?」

「どうすれば、焼き付きを防ぐことができるのか?」

ホンダ技研さんが実験したそうです。ホンダさんの研究論文では、以下のとおり判明しています。

1,金属表面の仕上げ(面粗度)

面粗度が小さいほど耐焼き付き性が向上。面粗度が粗いと焼き付きやすい。

2,メタルクリアランス

クリアランスが小さいと、焼き付きやすい。クリアランスが小さいと、オイル通路がせまくなって油量が低下、冷却不足により焼き付きが発生する。

いっぽう、メタルクリアランスが大きすぎると、クランクが振れてトラブルが発生する。最適なクリアランスで組むことが大事。

3,エンジン回転数

一般的に回転を上げると焼き付きやすい。

4,エンジンオイル

一般的に油温が高いほど・低粘度ほど、焼き付きやすい。

【初心者向け】WPC処理のメリット・デメリットと耐久性 ~ピストンコーティングの種類と効果~

「1,面粗度(めんそど)」や「2,クリアランス」は、エンジンを分解して、新たに組まないかぎり、私たちライダー側ではどうすることもできないです。

ただし、「3,バイクの扱い方」や、「4,エンジンオイル」はライダー側でコントロール可能です。

【実証】走行距離とエンジンオイルの関係

エンジンのプロ立ち会いの下、検証してみました。

同じ車種で、走行距離4.7万kmと、1.9万kmのエンジンを比較しました。

焼き付いたCB125Tのピストン
純正ピストン

オイルが入っていない状態で走行し、走行距離19,000kmでエンジン不動になったCB125Tのピストン。

1番ピストンは、焼き付いていると言っていいほどの損傷。

2番ピストンも走行距離のわりに傷が多い。

ボアアップしたCB125Tのピストン
中華製ピストン

筆者のCB125T用 142cc中華製ピストン。

走行距離は47,968km。多少の傷はあるものの、使用可能な状態。

4スト シリンダー焼き付き
純正シリンダー

さきほどの不動になったCB125Tの純正シリンダー。

2番にも傷は見られるが、とくに1番シリンダーの損傷が激しく、縦傷が入っている。

このほか、ロッカーアームやカムシャフトもおおきく損傷していた。

4.7万キロ走行したCB125T 142ccボアアップシリンダー
中華製142ccシリンダー

筆者のCB125T用142cc中華製シリンダー。

ピストン同様、走行距離は47,968km。シリンダーに目立った傷はなく、まだまだ使える状態。

(ちなみに純正カムシャフトは、走行距離85,494kmでも使用可能な状態だった)

さらに加えて言うと、エンジンオイルが目に見えて減ったり、マフラーから白煙(燃焼したオイル)が出ることもありませんでした。

・走行距離が19,000kmと短くても、エンジンオイル管理を怠れば壊れる

・走行距離が47,968km(シリンダー、ピストン以外は85,494km)でも、オイル交換・油温管理を徹底すればエンジンは長持ちする

エンジンオイルの重要性がわかると思います。

過酷な使用環境

筆者のCB125T改は、高速道路で10,000rpm以上の連続運転(5時間〜8時間以上)を繰り返しています。(真夏を含む)

通常、公道を走る場合と比較にならないほど、過酷な環境で使用したことを付け加えておきます。

空冷エンジンに鉱物油は逆効果?

筆者の考え方、前提条件を共有しておきたいので、あえてタブー?に触れておきます。

よく「空冷エンジンには鉱物油がいい。化学合成油はダメ」と言われています。

ところが具体的な根拠を尋ねると、明確な回答がかえってきません。

「空冷エンジンには鉱物油がいい。化学合成油はダメ」という考え方は、エンジンオイル製造メーカーの方いわく、大昔の考え方だそうです。

なぜ、平成時代の考え方が、令和になった現在も、まるで真実のように語られているのか?

筆者が調べたところ、

20年以上も前(2000年ごろ)のまちがった情報がインターネット(2ちゃんねる掲示板)によって拡散されてしまい、令和になった現在も、それを鵜呑みにしている人が多いことが判明しました。

1,あるバイク雑誌を読んだ一般の読者が、記事の解説をまちがって解釈。

2,その内容をインターネットの掲示板に投稿し、広まった。

伝言ゲームの要領と同じです。

実際には、エンジンの製造年や設計、材質など、諸条件によって異なるため、いちがいに「空冷エンジンはクリアランスが大きい」とは言えない。

ちょっとした言葉のちがい、解釈のちがいで全然、意味がちがってきます。

「なぜなのか?」

「どういう原理や理論で、そういう結論に至ったのか?」

きちんとした背景や、前提条件をおさえておかないと、情報に振り回されます。

2022年、ついにYAMAHAさんも公式に「旧車や空冷に100%化学合成油」を推奨するようになりました。

さかのぼると、SR400 公式製品カタログ(2018年発行)に「ヤマハ純正 ヤマルーブプレミアムシンセティック SAE: 10W-40 JASO:MA 化学合成油」が推奨オイルとして掲載されています。

都市伝説「空冷エンジンには鉱物油がいい」

「空冷エンジンに化学合成油を使用すると、エンジンオイルが漏れたり、にじんだりする。だから鉱物油がいい」

という意見があります。

筆者自身、ライダーですからエンジンオイルが漏れたり、にじんだりすると感情的に嫌なのは理解できます。

ただ、オイルメーカーや、エンジンのプロに意見をうかがうと、全くちがった考え方になってきます。

オイルがにじむから鉱物油がいい、という理屈だと

「そもそも、エンジンオイルの目的ってなに?」

「にじまないオイルが良いオイル? にじまなければエンジンが壊れてもいいの?」

という話になってくるんですね。

というのは鉱物油の優位性って、コストが安い以外にほぼ、無いからです。

ステムシールなどの材質

例外として、1970年〜1980年代以前に製造された車両は、化学合成油の使用によって、シールが膨潤・収縮して、オイル滲みすることがあります。

オイルシールの材質が、化学合成油に対応していないためです。

ただし、車種ごとに異なるため、年代で一括りには出来ません。オーバーホール済みエンジンは、化学合成油に対応した材質のシールに交換されていることがあります。

エンジン保護、つまり「できるだけ長くバイクを持たせたい」と考えた場合、必然的に化学合成油になります。

「オイルメーカーが空冷用エンジンオイルとして、鉱物油を売ってますよ」

という反論があるかもしれないので言いますが、では、どうして鉱物油を売ってると思います?

答えは「売れるから」です。

「空冷用エンジンオイル」というコンセプトの高粘度 鉱物油オイルは売れ筋商品です。売れるから販売する。

(慈善事業ではなく、あくまでビジネスですからね)

じゃあ、性能的にどうなのかというと・・・大手潤滑油メーカーさんの立場からすると、声を大にして言えないそうですが、「どう考えても化学合成油でしょ」というのが本音だそうです。

つまり何が言いたいかというと、それだけエンジンオイルがにじむ事が悪であり、オイルが悪いと信じ切っている人、オイル漏れを敵視しているライダーが多いという事です。

ところが事実をよく見ていくと、実際はちがうわけです。

たしかに古い年式の空冷エンジンに化学合成油を使用すると、分子が細かく浸透性が高いため、オイルが滴り落ちたり、オイルがにじんだりすることがあります。

だから「化学合成油が悪い」ではなく、オイルが漏れるのは、エンジンが熱で歪(ひず)んでいたり、ガスケットが減っていることが根本的な原因です。

つまり、本来はエンジンを修理すべきで、オイルに責任転嫁したり、鉱物油でごまかすのは、本質ではないですね。

なぜ、8.5万km走ってもオイルが漏れないのか?

ちなみに筆者は、空冷エンジンに化学合成油を入れ続けて、6.5万kmテスト走行しました。

オイルが原因による「オイル漏れ」「オイルにじみ」は皆無。

それどころか、メーター走行距離8.5万kmでもオイルの減りや、マフラーからの白煙はありませんでした。

「空冷エンジンはクリアランスが大きい。だから100%化学合成油を使うとオイルが漏れる」

本当にこの理屈が正しければ、100%化学合成油を使ったすべての空冷エンジンで、オイル漏れが発生するはずですよね。

エンジンオーバーホール実績1,100基以上の専門店「有限会社ガレージ湘南」でも、現行車・旧車を問わず、空冷エンジンに100%化学合成油を使用されています。

「愛車にできるだけ長く乗り続けたい」「好調な状態を維持したい」という目的からすると、化学合成油・鉱物油それぞれのメリット・デメリットを考慮しても、化学合成油の使用をお勧めします。

有限会社ガレージ湘南 コラム:エンジンオイルの常識は非常識

同ショップでの実際の使用例(筆者の知るかぎり)

CB750F/CB750/CB900F/CB1100R/CB1100/CBX400F/CBR400F/FTR223/CBR1000RR/CBR250RR MC22/VT250 SPADA/CB125T/CB1300SF/CBR650F/XR250

Z1000R/Z1/Z2/GPz1100/GPz750/GPZ900R/ゼファー750/ゼファー550/ゼファー400/Z750FX/Z550FX/Z550GP/Z1000MKⅡ/ZZ-R1100/ZX-10R/ZX-10/ZXR1200/ZXR1100/ZXR400

GSX-R1000/GSX1300R隼/GSX1100Sカタナ/GSX400Sカタナ/GSX400F/GSX400E/XJ750E/XJ400/XJR400R/WR250/FZR750/GS750E

上記のほか、ハーレーやドゥカティ、BMWなど

ベリティ オイル(三和化成工業)の信頼度とインプレッション

エンジンを長く持たせることを優先する場合、筆者もこの考え方に賛成です。

誤解のないように言っておきますが、鉱物油にもメリットはあります。

主にコスト面です。

世界的に見ると、発展途上国とか、日本よりも所得基準が低い国もあります。100%化学合成油だけだと、定期的にオイル交換できなくなってしまうかもしれません。

「オイルが高いから交換サイクルを守らない」

それでエンジンが故障したら、本末転倒ですね。

そういった背景もあって、バイクメーカーは純正オイルを販売していたのだと思われます。

ただし、近年は筆者の知る限り、ベースオイルに鉱物油を使っている純正オイルは消滅したようです。全合成油(高精度精製鉱物油)や、部分合成油、あるいは半化学合成油と呼ばれるものに切り替わっています。

鉱物油を選ぶ場合、いわゆる社外オイルから選ぶことになります。

・・・

「どうしても鉱物油がいい!」という人はそれでいいと思います。

鉱物油が良い場合

前提条件:粘度選びや、オイル交換頻度を厳守し、冬場の油温管理など、オイルマネジメントを徹底する。

オーバーホールしていないエンジンで、オイルシールが化学合成油に対応していない材質の車両。

(1970年〜1980年代以前。車種ごとに異なるため、年代だけで判断できません)

なおかつ、とくにオイル漏れを避けたい場合。

使用するなら、鉱物油ならではの性質を知っておきたいところです(粘度指数。くわしくは後述)。

エンジンオイル6つの基本性能

おおまかに「こういう指標があるんだな」ぐらいに理解しておけばOKです。

1,潤滑

流体潤滑作用・弾性潤滑作用・境界潤滑作用によって、金属同士の摩擦を軽減して、エンジン内部を潤滑する。

たとえば、油が手に付いた状態で物を持つと、ツルツル滑りますね。これが潤滑です。

金属の表面は拡大すると、平面ではなくデコボコになっています。(くわしくは後ほど)

2,冷却

エンジンオイルがエンジン内部を循環する際、発生した熱を奪って、エンジンを冷却しています。

オイルは、オイルクーラーや、オイルパン(オイルが溜まるところ)などで冷却されます。

オイルパンで冷却されたオイルは、オイルポンプで吸い上げられ、エンジン各部に送られます。

CB750F RC04エンジンオイル
CB750F RC04

イメージでたとえると、オイルポンプは心臓、エンジンオイルは血液です。人間の体は、心臓が血液を循環させています。

人間とちがうのは、エンジンオイルは汚れて、劣化するいっぽうなので交換が必要と言うことです。

3,気密

シリンダーとピストンリングの間には、適度なクリアランス(すき間)があります。

エンジンオイルの油膜がクリアランスに入り込むことで、気密性を高めています。

ピストンとピストンリングの種類

ピストンリングは、シリンダー壁に向かって張力(テンション)がかかっています。

ピストンリングや、シリンダーの摩耗が進むと、気密性が保てなくなります。すると、エンジンのパワーロスや、燃焼ガス漏れにつながります。

(くわしくは後ほど)

4,清浄分散(せいじょうぶんさん)

燃料の燃焼過程でカーボンや、スラッジなどの汚れが発生します。

汚れがエンジンにたまると、故障の原因になったり、エンジン寿命を短くする引き金になります。それらを防ぐため、エンジン内で発生した汚れをオイルに取り込んだり、オイルの酸化を中和したりします。

ちなみに、エンジンオイルが使用とともに汚れていくのは、エンジン内の汚れをオイルに取り込んでいるため。

オイルが黒っぽくなるのは、燃焼で発生したカーボンを取り込むからです。

なので「オイルの色が黒くなるほど劣化している」というのは誤解です。「オイルが汚れている」→「オイル性能も低下している」とはかぎらないんですね。

誤解しやすいポイント

一般的なオイルから清浄分散性の高いオイルに切り替えると、オイル交換時、いままで以上にオイルが汚れていることがあるのはこれが理由です。

ちなみに「洗浄」(汚れを取り除く)ではなく、「清浄」(清潔なこと)です。

洗剤のような洗浄力とはニュアンスが異なりますので、誤解しないように。

5,応力分散

一部分に強い力がかかる際、エンジンオイルがクッションの役割をして、ショックを吸収し、力を分散します。

例:トランスミッション

関連用語:極圧(きょくあつ)

摩擦面の焼き付きを防止する性能。

6,防錆(ぼうせい)

オイルが金属表面に付着して、錆(さび)の発生を防ぎます。

以上、

6つの性能ができるだけ持続するオイルが良いオイルという事になります。

逆に考えると、エンジンオイルが本来の性能を発揮できなくなる時は、これら6つの性能が損なわれた時です。

金属同士の摩擦を減らし、少しでも金属部品が減っていくのを抑えることが、結果的にエンジンを長持ちさせることにつながるわけです。

このように考えると、けっこうエンジンオイルは重要な役割を占めることが、わかると思います。

7つめの要素

実際には「価格」が加わります。

いくら6つの性能が高くても、あまりに高額すぎたり、供給が不安定で買えなければ、意味ないですからね。

例:1リットル/100万円

製品品質が安定していること、安定供給されていることも大事(経営状態など)です。

一般的に利益を減らして、価格をおさえれば消費者には歓迎されます。ただ、経営が長続きしないので、安定供給できなかったり、品質が安定しなくなります。

良すぎると、製品や会社そのものがなくなることは、どの業界にもあることです。

エンジンオイル表示のウソ?

ちょっとエンジンオイル業界の闇というか、私たちライダーが知っておいた方がいい話をシェアします。

おそらく、この話を知らないと、まちがった情報に振り回されることになると思います。

エンジンオイルの表示方法は(今のところ)日本では、統一された定義もなければ、法的な規制もない状態。

実際、こんな事例があります。

完全にアウトな事例

エンジンオイルを販売している超有名ネットショップで、合成油(鉱物油 or 部分合成油)を「100%化学合成油」と商品説明に記載しているのを発見しました。

レビューを見ると、購入したお客さんも100%化学合成油と信じています。

おそらく、販売事業者がオイルを理解しないまま売っていて、間違いに気づいてないのでしょう。

2スト・4ストの両方で複数、こうしたケースがありました。

故意に大げさに表示したり、ウソを表示するのはもちろんNGですが、うっかりミスでも法的にアウトです。

優良誤認とは

景品表示法第5条第1号は、事業者が、自己の供給する商品・サービスの取引において、その品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、

(1)実際のものよりも著しく優良であると示すもの

(2)事実に相違して競争関係にある事業者に係るものよりも著しく優良であると示すもの

であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示を禁止しています(優良誤認表示の禁止)。

具体的には、商品・サービスの品質を、実際よりも優れていると偽って宣伝したり、競争業者が販売する商品・サービスよりも特に優れているわけではないのに、あたかも優れているかのように偽って宣伝する行為が優良誤認表示に該当します。

消費者庁 優良誤認とは

芸能人や、インフルエンサーなどの「ステルスマーケティング」が、たまにメディアで取り沙汰されますが、販売事業者(バイク用品店)がまちがってることも多々ある、という話です。

ステルスマーケティング(英語: stealth marketing)

消費者に広告であると明記せずに隠した販促・宣伝行為。

非営利の好評価の口コミを装うなどすることで、消費者を欺いてバンドワゴン効果・ウィンザー効果を狙っている。 「ステマ」の略語で知られる。 やらせやサクラなどもこの一例に分類される。

事業者自らが第三者のフリをする「なりすまし型」と、宣伝対価の利益供与が秘匿されている「利益提供秘匿型」の2種がある。

Wikipediaより

これ以外にも、有名オイルメーカーが、グレーな表示をしていることがあります。

(のちほど、くわしく解説します)

エンジンオイルの種類と表示の見方

「エンジンオイルはどうやって、つくられているか?」

を知ると、理解しやすくなります。

結論からいうと、

エンジンオイル=ベースオイル+添加剤です。

ベースオイル80%〜90%に対して、添加剤10%〜20%を加えたものがエンジンオイルです。

(配分に幅があるのは、エンジンオイルによって異なるため)

先に添加剤について、簡単に解説します。

オイル添加剤の種類

  • 摩擦調整剤
  • 極圧剤
  • 粘度指数向上剤
  • 清浄分散剤
  • 酸化防止剤
  • 消泡剤
  • 防錆剤
  • 着色剤

以上が主要なエンジンオイル添加剤です。

ここでいう「エンジンオイル添加剤」は、バイク用品店などで販売されている後入れの添加剤ではありません。

エンジンオイルをつくる際、ベースオイルに添加するものをいいます。

添加剤にも鉱物油ベース、化学合成油ベースがあり、グレードも様々です。相性の良いもの、悪いものがあります。

また「○○剤」と書いていますが、実際には1つの添加剤で複数の効果がある添加剤もあります。

ですので、「8種類の添加剤をベースオイルに混ぜれば、だれでもエンジンオイルがつくれる」というほど、簡単ではありません。

「エンジンオイルにどのような機能を持たせるか?」

「添加剤をいかに効果的にブレンドするか?」

オイルメーカー各社の腕の見せどころです。

またベースオイル同様、クオリティの高い添加剤は価格も高価です。当然、エンジンオイル(製品)の販売価格も高くなります。(安いオイルはそれなりです)

ベースオイルとは?

文字通り、エンジンオイルのベースとなるオイル(基油)のことを言います。

アメリカ石油協会では、ベースオイルを5つのグループで明確に定義しています。

アメリカ石油協会:通称API(American Petroleum Institute)

  • 鉱物油
  • 合成油
  • 100%化学合成油

エンジンオイルの容器や、バイク用品店で目にした事があると思います。

これは販売上の表記であり、上記のAPI基油グループのような、明確な定義はありません。

API基油グループ

API基油グループは、エンジンオイルなどに使用する基油(厳密にはベースストックと言います)を分類する制度です。

ネット上で多く見られる間違いや、勘違いしやすいポイントを解説しています。

API基油グループを分ける3つの指標

先にグループ定義で登場する用語を解説します。

  • 粘度指数(Viscosity Index)
  • 飽和分(Saturates)
  • 硫黄分(Sulfur)

これらの数値基準(境界線)をAPIが決めて、グループ Ⅰ〜Ⅳに振り分けられています。

実際にどうやって測定・計算するかについては、主にASTM International(国際的な規格団体)の試験方法が使われています。

APIが「合格ライン」を決める
ASTMが「測り方」を決める

粘度指数とは

一言で言うと、温度が変化したときに、オイルの粘度がどれだけ変わりにくいかを示す指数です。

オイルは、冷えると硬く(粘度が高く)なり、温まると柔らかく(粘度が低く)なります。この「温度によるオイルの硬さの変わりやすさ」を数値化したものが粘度指数です。

英語ではViscosity Index、略してVIと呼ばれます。

具体的には、基油の40℃と100℃における粘度を測定し、ASTM D2270という計算方法で数値を求めます。

単位はありません。

VIが高いオイル:温度上昇に伴う粘度低下が比較的小さい

VIが低いオイル:温度上昇に伴う粘度低下が比較的大きい

とされています。

API基油グループでは、次のように使われます。

  • Group I:80以上、120未満
  • Group II:80以上、120未満
  • Group III:120以上

ここで注目したいのは、Group IIとGroup IIIです。実はこの2つ、飽和分と硫黄分の条件は同じです。

両者を分けている境界線は、この「粘度指数120」だけです。

粘度指数が高い基油を使うメリット

  • 低温時から高温時まで、粘度を保ちやすいエンジンオイルが設計しやすくなる
  • 同じ粘度範囲(SAE 10W-40)のオイルを作る場合、粘度指数向上剤(ポリマー。添加剤の一種)への依存を抑えやすい。

ただし、注意点もあります。

粘度指数だけを見ても、次のような性能は判断できません。

・耐摩耗性
・せん断安定性(粘度が落ちにくいか)
・蒸発しにくさ
・清浄性
・酸化安定性
・湿式クラッチへの適合性(クラッチの滑りやすさなど)

また、「粘度指数」と「SAE粘度(10W-40などの表記)」は、まったく別の指標です。

10W-40のようなSAE粘度は、低温時・高温時における「完成したエンジンオイル」の粘度区分を表します。

一方の粘度指数は、あくまで「温度が変わったときの、粘度の変化しやすさの傾向」を表すものです。

VIと粘度指数向上剤

粘度指数向上剤は、温度による粘度変化を調整するという機能上の分類です。

英語ではVI improver、VII、viscosity modifierなどと呼ばれます。

代表例には次のような油溶性ポリマーがあります。

  • OCP:オレフィンコポリマー
  • PMA:ポリメタクリレート
  • スチレン系共重合体

マルチグレード油(10W-40など)では、温度上昇による粘度低下を抑えるため、粘度指数向上剤と呼ばれる高分子添加剤を使用することがあります。

これは鉱物油だけに使われるものではなく、合成油を含むさまざまな処方に使用されます。

一方、高い粘度指数を持つ基油を使用すれば、同じ粘度グレードでも、粘度指数向上剤への依存を抑えられる場合があります。

ただし、製品の粘度指数やSAE粘度表示だけから、粘度指数向上剤の有無・種類・配合量を判断することはできません。

ポリマー・粘度指数向上剤 不使用製品

オイルメーカーが粘度指数向上剤を使用しない、または使用量を抑えるのは、高温・高せん断環境で高分子型粘度指数向上剤が一時的にせん断変形したり、分子鎖が切断されて、永久的な粘度低下を起こしたりする可能性を抑えるためです。

反面、高品質な基油が必要になるため、コストが上がるデメリットもあります。

飽和分とは

一言で言うと、

「基油の中に、化学的に安定した成分(飽和炭化水素)がどれくらい含まれているか」

を表す割合です。

ここでいう飽和分は、単純に分子の構造を数えて出した数値ではありません。所定の分析試験によって、基油を「飽和分」「芳香族分」「極性成分」などのグループに分け、その中で「飽和分」として測定された成分が、全体の何%を占めるかを質量%で表したものです。

測定には、主に次のASTM試験法が使われます。

  • ASTM D2007
  • ASTM D7419

API基油グループでは、飽和分90%が境界線になります。

  • Group I:90%未満、または硫黄分が0.03%を超える
  • Group II:90%以上
  • Group III:90%以上

飽和炭化水素は、一般的に、芳香族成分などに比べて化学的に反応しにくい性質を持っています。

そのため、飽和分が高い基油は、酸化に対して安定した基油を設計しやすい傾向がある、と言われています。

エンジンオイルを高温で長時間使用した際の、粘度の増加やスラッジ・ワニス(油の劣化物)の発生を抑えるうえで、基油の酸化安定性は重要なポイントです。

注意点もあります。

芳香族成分には、添加剤や汚れを溶け込ませる「溶解性」や、一部のゴムシール材を適度に膨らませる性質があります。そのため、「飽和分は高ければ高いほど良い」というわけではありません。

溶解性やシール適合性については、他の基油や添加剤も含めた「完成オイル全体」で調整されているものです。

つまり、飽和分は、基油の精製度や化学的な安定性を判断するための一つの指標ですが、それだけで完成エンジンオイル全体の品質が決まるわけではない、という事です。

硫黄分とは

「基油の中に、どれくらい硫黄が残っているか」を表す数値です。

原油には、もともとさまざまな硫黄化合物が含まれています。基油を精製する過程で、これらの硫黄化合物は取り除かれますが、完全になくなるわけではありません。

硫黄分は、精製後の基油にどれくらいの硫黄が残っているかを、質量%で表したものです。

API 1509では、硫黄分の測定方法として、次のASTM試験法が指定されています。

  • ASTM D1552
  • ASTM D2622
  • ASTM D3120
  • ASTM D4294
  • ASTM D4927

API基油グループでは、硫黄分0.03%が境界線になります。

  • Group I:0.03%を超える場合がある
  • Group II:0.03%以下
  • Group III:0.03%以下

原油由来の硫黄化合物の中には、酸化・腐食・堆積物(スラッジなど)の発生に影響を与えるものがあります。

そのため、基油中の硫黄分を少なくすることは、一般的に、酸化安定性や高温安定性を確保するうえで有利だと言われています。

ここで、大事な注意点があります。

この「硫黄分」は、あくまで基油に含まれる硫黄分の話です。完成したエンジンオイルには、耐摩耗剤・極圧剤・酸化防止剤などとして、硫黄を含む添加剤がわざと配合されていることがあります。

つまり、

「Group IIやGroup IIIは硫黄分が少ない」
    ↓
「完成したエンジンオイルにも硫黄がまったく含まれていない」

というわけでは、ありません。

完成オイルの硫黄量を測定しても、そこには添加剤由来の硫黄も含まれてしまうため、その数値だけを見て「どの基油グループが使われているか」を判定することはできません。

完成オイルの飽和分・硫黄分・粘度指数には、添加剤や複数の基油をブレンドした影響も加わるため、API基油グループの分類基準を、そのまま完成オイルに当てはめることはできないのです。

API基油グループの定義

以下、American Petroleum Institute(米国石油協会)の公式資料をもとに作成しています。

製造プロセスは、API基油グループの分類定義に含まれていません。

違いを認識しやすくするため、製造方法について記載しましたが、「製造方法だけではグループを特定できない」という点に注意が必要です。

グループⅠ

主な基油: 原油を精製して作られる鉱物系基油
粘度指数: 80以上120未満
飽和分・硫黄分: 飽和分90%未満、または硫黄分0.03%超
一般的な特徴: 主に溶剤精製(ソルベント精製プロセス)などによって作られる基油です。一般にはGroup IIやGroup IIIより精製度が低く、比較的、低コストな傾向があります。

飽和分と硫黄分は「または」の関係です。以下のようにどちらか一方、または両方の条件に該当すればGroup Iになります。

A. 不飽和分90%未満、硫黄分0.03%超
B. 硫黄分0.03%超(不飽和分90%以上でもグループ Ⅰ)
C. 不飽和分90%未満(硫黄分0.03%未満でもグループ Ⅰ)

飽和分 (saturates):多いと、高温・高負荷のエンジン内で熱や酸素と反応しやすい(劣化やスラッジの原因になりやすい)。

グループⅡ

主な基油: 高度に精製された鉱物系基油
粘度指数: 80以上120未満
飽和分: 90%以上
硫黄分: 0.03%以下
一般的な特徴: Group Iより飽和分が多く、硫黄分が少ない基油です。一般には水素化精製などによって不純物が減らされ、酸化安定性などが改善されています。

粘度指数80以上120未満、飽和分90%以上、硫黄分0.03%以下という、すべての条件を満たしている必要があります。

グループⅢ

主な基油: 高粘度指数の高度精製炭化水素系基油
粘度指数: 120以上
飽和分: 90%以上
硫黄分: 0.03%以下
一般的な特徴: 一般には高度な水素化分解や、蒸留、溶剤精製、オリゴマー化、エステル化、再精製などの様々なプロセスで製造される、粘度指数の高い基油です。

粘度指数、飽和分、硫黄分は、3つすべての条件を満たしている必要があります。

VHVIでよくある間違い

「Very High Viscosity Index」の略で、APIで定義された正式なグループ名ではありません。

基油メーカーやオイルメーカーが、高粘度指数の基油を説明するために使う非公式な業界・商品用語です。

市場ではグループⅢ製品に使われる例が多いものの、VHVIという表記だけではAPIグループⅢの全条件を満たしているとは限らないのです。

グループⅣ

基油: PAO(ポリ・アルファ・オレフィン)
粘度指数: APIによる一律の数値条件なし
飽和分: APIによる一律の数値条件なし
硫黄分: APIによる一律の数値条件なし
一般的な特徴: PAOは、原料から化学的に合成して作られる合成炭化水素基油です。一般に低温流動性、揮発しにくさ、酸化安定性などに優れた性質を持ちます。

APIのグループIVは、ポリアルファオレフィン(PAO)専用のカテゴリーです。

PAOのルール

グループⅠ〜Ⅲの鉱物系基油には、「粘度指数〇以上」「飽和分90%以上」といったAPIが定めた全社共通の数値ルールがあります。

しかしグループⅣ(PAO)は、「化学合成されたポリα-オレフィン(PAO)であること」がカテゴリーの定義となっており、APIとしての一律の数値要件がありません。

ですが、同じPAOであってもメーカー(製法や原料)によって品質や特性に微妙な違いが存在します。

そのためAPIは、以下のルールを設けています。

「別のPAO(他社製など)に切り替える際、高額なエンジンテストの再試験を免除してほしいなら、切り替え後のPAOは『合格時に使っていた元のPAOの品質仕様(規格スペック)』を最低限クリアしていなければならない」

PAOの代替品が、元のメーカーと同等の主要な物理的・化学的性質(100°C、40°C、-40°Cにおける運動粘度、粘度指数、NOACK揮発性、流動点、不飽和分)を満たしていれば、追加の認定試験を行うことなく置き換え(インターチェンジ)が認められるわけです。

つまり、APIによる共通ルールがない代わりに、「API認証試験 合格時のオリジナルPAOスペック」がそのまま独自の合格基準(ベンチマーク)になるということです。

グループⅤ

基油: グループⅠ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳのいずれにも分類されない、その他すべての基油
代表例:API公式資料に具体的な基油名称は例示されていない
粘度指数: APIによる一律の数値条件なし
飽和分: APIによる一律の数値条件なし
硫黄分: APIによる一律の数値条件なし
一般的な特徴: グループⅠ〜Ⅳに属さない、その他すべての多様な基油がすべてここに割り振られます。また、グループの番号(Ⅰ〜Ⅴ)は分類を目的としたものであり、その数字の順序が性能や品質の格付け(優劣)を示すものではありません。

「グループⅤ=必ずエステル」という意味ではない

API公式資料には、基油名称は記載されていません。

エステル系基油、PAG(ポリアルキレングリコール)、アルキルナフタレンなど、エステル系基油はグループⅤの代表例です。

ただし、グループⅤには個別の推奨や除外などの特記はなく、「(グループ Ⅰ〜Ⅳに属さない)その他のすべて」という条件のみで定義されています。

ここまでのまとめ

  • API基油グループは、基油(ベースオイル)の種類や物性を分類するもの。
  • 完成したエンジンオイル(ベースオイル+添加剤)をグループ分けしたり、性能のランキングではない。
  • 同じグループの基油でも、品質や性質には幅がある。
  • 完成油の性能は、基油の組み合わせ、添加剤、粘度設計、エンジンへの適合などによって決まる。

広告表示を巡る争い

2026.8.3:加筆修正しました

モービル VS カストロール

1997年、米国でモービルがカストロールを訴えました。

モービル

「Castrol Syntec(エンジンオイルの名称)が、基油をPAO(グループIV)から高度水素化精製鉱物油(グループIII)に変更したにもかかわらず、100%化学合成油(Full Synthetic)と表示するのは不当だ」

広告表示審理(Case #3526)

といっても裁判ではなく、米国の民間の広告自主規制機関である全米広告審査局(NAD)に訴えました。

NADは司法や行政機関ではなく、ただの民間組織です。

日本のウェブサイトでは、「裁判」と勘違いして、「カストロールが勝訴した」などと書かれている事がありますが、誤りです。

勝訴=裁判(訴訟)で主張が認められること。

Wikipediaにも間違って記載されています。

海外のSNSでも、勘違いしている人が多いようなので、伝言ゲームみたいに拡散されてしまったのでしょう。

(「空冷はクリアランスが広い」と同じパターンですね)

広告審査でモービル、カストロール双方の言い分を踏まえた結果、

全米広告審査局(NAD)

「Castrolが提示した試験データ等に基づき、分子構造が人工的に改質され優れた性能を発揮するグループIIIオイルを化学合成油(Synthetic)と呼ぶ合理的根拠がある」

1999年

全米広告審査局の判断によって、モービルは主張を撤回。

結局のところ、モービルも自社の製品にグループIIIを部分的に採用するようになりました。

これは米国での話なので、日本でも同様の表現をおこなっても良い、という意味ではありません。

ドイツの最高裁判所

ドイツで、エンジンオイルの「(vollsynthetisch)」表示を巡る訴訟が争われました。

vollsynthetisch

日本語だと、「全合成」または「100%化学合成」、「完全合成」と訳します。

この訴訟は2013年に始まり、2015年のケルン地方裁判所、2016年のケルン高等地方裁判所を経て、2018年にドイツ連邦通常裁判所(BGH:民事・刑事事件の最高裁判所)で最終判断が示されました。

争点は、ドイツの消費者が「vollsynthetisch」を従来のPAO(グループⅣ)/エステル系完全合成油(グループⅤ)のカテゴリー表示として、認識するかどうかでした。

BGHは

「グループIIIのハイドロクラッキング基油(水素化精製された鉱物油)を相当割合含んだエンジンオイルを、詳しい説明なしに「100%化学合成(vollsynthetisch)」と表示することは誤認に当たる」

とした控訴審の判断を支持し、被告の上告を棄却しました。

これにより、当該表示の差止めについて被告敗訴が確定しました。

注意点として、この判決が確定させたのは「当該製品の具体的な表示」に対する差止めであり、「グループIIIを含む製品は、ドイツでは例外なく100%化学合成と表示してはならない」という一律の法定基準ではない点です。

また、グループIIIの性能がPAOより劣ると判断した判決でもありません。

詳しい説明なく、消費者の勘違いを招きかねない表示に対して、「誤認させる表示だ」と判断したのです。

判決の直接的な既判力は当事者間に及びますが、BGHはドイツの民事・刑事通常裁判の最高裁判所です。

そのため、ドイツの下級裁判所や広告実務では非常に強い先例として扱われます。

さらに、この判決が示した「実際の性能差がなくても、価値を伴う商品カテゴリーへの誤った所属表示は誤認になり得る」という原則は、その後の別分野のBGH判決でも引用されています。

個人的な意見

グループⅢは、グループⅣ・Ⅴに匹敵する性能を持つと言われているものの、全く同じではないため、個人的にはドイツの判決が良心的(消費者保護)だと思います。

日本はアメリカ同様、「合成油」「化学合成油」「100%化学合成油」など、広告表示に関する規制はありません。

「化学合成油」と表示されていても、それがベースオイルのことを指すのか、完成品としての状態を指すのか?

化学合成油がどの程度、配合されているのか、その比率は?

といった事は、私たち消費者側にはわかりません。

製造・販売者の良心に頼っているとも、無法地帯とも言えます。

ただし、たとえば「不当景品類及び不当表示防止法」など、優良誤認を取り締まる法律はあります。

優良誤認とは

景品表示法第5条第1号は、事業者が、自己の供給する商品・サービスの取引において、その品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、

  1. (1)実際のものよりも著しく優良であると示すもの
  2. (2)事実に相違して競争関係にある事業者に係るものよりも著しく優良であると示すもの

であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示を禁止しています(優良誤認表示の禁止)。

消費者庁

混同されやすいAPI規格

API規格は、目的に応じてほかにも種類があります。

代表的なものがAPI エンジンオイル サービスカテゴリーのSシリーズ(ガソリンエンジン用)です。

自動車用エンジンオイルのラベルで、「SJ、SL、SM、SN、SP、SQ」などの表記を見たことがある方もいるかもしれませんね。

先ほどの「API基油グループ」は、どのようなベースオイル(基油)なのか?という分類でした。

Sシリーズは、完成したエンジンオイル性能に対する分類です。

(ほかにもディーゼル用エンジン、ライセンス制度など、複数のAPI規格が存在しますが割愛)

SAから始まり、現在の最新規格はSQ(2025年)です。

オートバイ専用の規格ではない

ここが大事なところです。

API SPやSQなどのSカテゴリーは、主に「乗用車」「商用車」「小型トラック」など、ガソリンエンジン用オイルを対象に発展してきたものです。

  • 摩耗
  • 酸化
  • デポジット
  • スラッジ
  • LSPI(低速早期着火)
  • タイミングチェーン摩耗

などを評価します。

ただし、オートバイのトランスミッション・クラッチ摩擦特性への適合については、APIカテゴリーでは判断できないのです。

のちほど、くわしく解説しますが、オートバイ用エンジンオイルへの適性は「JASO規格」(MA/MB)になります。

バイク専用オイルにAPIが少ない3つの理由

筆者はAPI認証されたバイク用エンジンオイルを見たことがありません。

1. 技術的な要因

・摩擦低減剤(FM成分)
自動車は排ガス規制や、省燃費化の要求に応じて規格を更新し、摩擦低減剤(FM成分)の添加が推奨されるようになった。エンジンとトランスミッションを同一のオイルで潤滑するバイク(湿式クラッチ)に使用した場合、クラッチ板が滑り動力伝達不能に陥るリスクが生じる。

・耐摩耗添加剤(リン・硫黄)の制限
自動車の排ガス触媒を保護するため、最新のAPI規格ではZDDP(ジアルキルジチオリン酸亜鉛)に代表されるリン系耐摩耗剤の配合上限が厳しく規制されている。

一方、バイク用オイルには、高回転エンジンやトランスミッションの極圧ギアを保護するための高い極圧性・耐摩耗性が求められるため、最新API規格の成分制限枠内では、バイクに必要な油膜強度・歯車保護性能を維持しにくいという問題がある。

2. APIライセンス取得の不合理的コスト

APIの正式認証(ドーナツマークやスターバーストマークの表示)を得るには、API(米国石油協会)のEOLCS(Engine Oil Licensing and Certification System)に加盟し、指定された四輪用エンジン試験を通過した上で、多額のライセンス料を支払う必要がある。

・不要な試験項目の存在
APIの試験には、直噴ターボ用のLSPI(低速前倒点火)抑止試験や四輪用の省燃費試験など、二輪車には関係のない高額なテストが含まれている。

・「API相当」という実務的判断
バイク用オイルメーカーは、高額な費用を払って四輪用基準のAPI認証を通すメリットがない。そのため、自社実験で基本性能(酸化安定性や清浄性など)を満たしていることを確認した上で、正式認証表記(マーク)は取らず「API SL相当」といった自己宣言表示(表記のみ)に留めるケースが一般的。

3. JASO T 903規格の世界的普及

日本自動車規格組織(JASO)が二輪車専用の4サイクルエンジンオイル規格「JASO T 903」を制定した。これにより業界の評価軸が明確に分離された。

JASO T 903の中に、すでにAPI性能カテゴリーが組み込まれている

1,エンジン油としての基本性能
→ API SJ、SL、SM、SN、SN PLUS、SPの所定カテゴリー

2,二輪用の物理化学的要求
→ HTHS、せん断後粘度、リン、蒸発損失など

3,クラッチ摩擦特性
→ MA、MA1、MA2、MB

JASO規格の登場により、二輪メーカーや潤滑油メーカーは「API規格」(相当)をメインにアピールする必要性が無くなった。

ユーザーにとっても、クラッチ滑りを防ぐためには「API SP」といった表示よりも「JASO MA2」といった表示を確認する方が、重要かつ安全な優先事項となった。

オイル粘度表示の読み方とえらび方

SAE粘度規格

米国自動車技術者協会(SAE International)が定めた粘度規格。

規格名:SAE J300(Engine Oil Viscosity Classification)

自動車やエンジンの普及に伴い、エンジンメーカー、オイルメーカー、整備事業者、ユーザーが、必要なオイル粘度を共通の方法で指定・確認できる分類体系が必要になりました。

そのためSAE J300では、エンジンオイルの低温始動性、低温ポンピング性、100℃動粘度、高温高せん断粘度などについて、グレードごとの数値条件を定めたのです。

SAE J300はエンジンオイルの粘度分類規格です。

清浄性、耐摩耗性、酸化安定性、湿式クラッチ適合性、変速機耐久性など、オイル全体の品質や性能を評価する規格ではありません。

現在の4ストローク用エンジンオイルでは、低温側と高温側の両方の条件を満たすマルチグレードオイルが広く使用されています。

例:10W-40

10W
低温側グレード(寒いときの始動性)
始動性・ポンピング

40
高温側グレード(温まったときの粘度)
100℃動粘度・HTHS

10W-40とは、オイルが次の両方を満たしていることを意味します。

  • SAE 10Wに定められた低温側の条件
  • SAE 40に定められた高温側の条件

「低温ではSAE 10のオイルになり、高温ではSAE 40のオイルになる」という意味ではありません。

10Wと40は、それぞれ異なる温度・異なる試験方法で決められた分類です。

低温側粘度グレード

Wは「Winter」の略で、対応する外気温を示す数字です。

Wの前の数字が小さいほど、より低い温度でもオイルが硬くなりにくく、エンジンを始動しやすい条件を満たしています。

例:
0W → 5W → 10W → 15W → 20W → 25W
低温に強い             低温では硬くなりやすい

10Wの場合、主に次の試験条件を満たす必要があります。

  • −25℃で、エンジン始動時の回転抵抗に相当する粘度が規定値以下
  • −30℃で、オイルポンプによる循環のしやすさに相当する粘度が規定値以下

つまり10Wは、寒い場所でもスターターがエンジンを回しやすく、始動後にオイルが循環しやすいことを確認する分類です。

ただし、これらの試験温度は、SAE J300の規格試験温度です。

「10Wなら外気温 −25℃まで必ず使用できる」という車両の使用可能温度を直接、示すものではありません。

実際に使用できる外気温は、バイクの取扱説明書に記載された粘度・外気温表で判断します。

SAE試験項目主な試験法・装置測定内容誤解しやすい点
低温クランキング粘度・CCSASTM D5293/Cold-Cranking Simulator低温時の見かけ粘度を測定し、エンジンのクランキング抵抗との相関を評価する。10Wは−25℃で測定実際のエンジンやクランクシャフトを回す試験ではない
低温ポンピング粘度・MRVASTM D4684/Mini-Rotary Viscometer規定の冷却工程後に、低温での見かけ粘度と降伏応力を測定する。10Wは−30℃で測定実物のオイルポンプで吸い上げる試験ではない
100℃動粘度ASTM D445を代表とする規定試験法100℃におけるオイルの動粘度をmm²/sで測定する油膜の厚さや耐摩耗性能を直接測定する試験ではない
150℃HTHS粘度ASTM D4683、D4741、D5481150℃・高せん断速度での動的・見かけ粘度をmPa·sで測定する油膜が切れるか、エンジンが焼き付くかを直接判定する試験ではない

高温側粘度グレード

ハイフン後ろの数字が大きいほど、エンジンが温まったとき(100℃)に、より粘度が高いオイルであることを示します。

例:20 → 30 → 40 → 50 → 60

正確には、以下の2項目で決まります。

  • 100℃における動粘度(流体の流れやすさ)の範囲
  • 150℃ 高せん断条件におけるHTHS粘度の最低値

HTHS粘度は、150℃の高温でオイルに強い力が加わったときに、どの程度の粘度を保っているかを示す数値です。

  • 測定温度:150℃
  • 単位:mPa·s(ミリパスカル秒)
  • 数値が大きいほど(その試験条件では)オイルがより流れにくく、粘度が高い

HTHSは High Temperature High Shear viscosity の略で、日本語では高温高せん断粘度と呼びます。

エンジン内部では、軸受などの狭いすき間をオイルが高速で通過します。

そのときオイルは強く引き伸ばされ、通常より粘度が下がりやすくなります。HTHS粘度は、そのような厳しい条件でも、オイルがどの程度の粘度を保っているかを測定した値です。

誤解しやすいポイント:油膜強度

HTHS粘度は次のものを直接、示す数値ではないことに注意が必要です。

・油膜の実際の厚さ
・オイルの耐久寿命
・耐摩耗性能そのもの
・エンジン保護性能の総合点


高温時の粘度は油膜形成に関係しますが、実際の油膜の厚さは、荷重、回転速度、部品のクリアランス、油温などによっても変わります。

誤解しやすいポイント:SAE粘度とオイル粘度

ラベルに「10W-40」と書かれている製品同士でも、実際のオイル粘度が同じとはかぎりません。

例:10W-40の条件

  • 100℃ 動粘度:12.5 mm²/s以上、16.3 mm²/s未満
  • 150℃ HTHS粘度:3.5 mPa·s以上

たとえば

2つとも10W-40のオイル

製品A 100℃動粘度:12.5 mm²/s

製品B 100℃動粘度:16.0 mm²/s

このように、B製品のほうがオイル粘度が高い、という事があります。

150℃ HTHS粘度に関しては、最低条件以上であれば良いため、実際の値は製品ごとに異なる、ということが起こり得ます。

  • 0W-40、5W-40、10W-40:3.5 mPa·s以上
  • 15W-40、20W-40、25W-40、単級SAE 40:3.7 mPa·s以上

2つとも10W-40のオイル

製品A:3.5 mPa·s

製品B:3.8 mPa·s

そのため、「40ならすべて同じ高温粘度特性」とは限らないわけです。

JASO規格| MA・MA1・MA2・MB

かんたんに説明します。

JASO T 903は、日本の自動車メーカー各社などの技術者が参加する公益社団法人 自動車技術会(JSAE)が制定した、4サイクル二輪車用エンジンオイルの規格です。

公益社団法人 自動車技術会(JSAE)

戦後の日本の自動車技術を発展させるため1947年に設立された学術・技術団体。そのJSAEが標準化活動の一環としてJASO(Japanese Automotive Standards)を制定しています。

四輪車用エンジンオイルは、省燃費化のために低粘度化・低摩擦化が進んできました。

しかし、多くのオートバイでは、エンジンオイルがエンジンだけでなく、湿式クラッチやトランスミッションの潤滑も担います。そのため、四輪車向けに低粘度・低摩擦化されたオイルを使用すると、構造によっては次のような問題が起こることが懸念されました。

  • 湿式クラッチの滑り
  • ギヤのピッチングなど、トランスミッションの耐久性低下

そこで、二輪車用4サイクルオイルの品質を適切に評価する試験方法と、その試験結果に基づく性能分類を定めたのがJASO T 903です。

公式資料では、この規格の性能分類を活用することで、消費者が二輪車用4サイクルオイルを選ぶ際の基準を明確にし、不適切なオイルの使用によるトラブルを減らすことが期待されています。

JASO T 903はクラッチ摩擦特性だけを評価する規格ではなく、エンジン油としての基本性能や、せん断安定性・HTHS粘度などの物理化学的な要求も定めています。

現行の「JASO T 903:2023」では、クラッチ摩擦特性によって次の4つに分類されます。

性能分類(摩擦特性分類)

MA・MA1・MA2・MB

性能分類|MA/MA1/MA2

湿式クラッチに対応。クラッチ摩擦特性指数の範囲がそれぞれ異なる。性能差ではない。

JASO T 903:2023 規格利用マニュアル

分類DFISFISTI
MA1.30以上、2.60未満1.40以上、2.55未満1.25以上、2.65未満
MA11.30以上、1.45未満1.40以上、1.60未満1.25以上、1.50未満
MA21.45以上、2.60未満1.60以上、2.55未満1.50以上、2.65未満

MA:MA1・MA2を含む広い高摩擦側範囲

MA1:MA範囲の低い側

MA2:MA範囲の高い側

役割の違いであり、どれが良い悪いではありません。

単純にご使用の車種のオーナーズマニュアルを確認して、適合する規格を選べばいいです。

MB

MAシリーズと比較して、低摩擦側に分類されます。

低品質という位置づけではなく、用途が異なるものとして分類されています。

一般には、エンジンオイルが湿式クラッチの動力伝達を担わないスクーターなどで、低摩擦による燃費・出力損失低減を狙う製品にMBが多く見られます。

ただし、「スクーターだからMB規格」とは限らない点に注意が必要です。

例えばスタータークラッチがオイルに浸かっているスクーターは、MA指定の車種があります。

DCTや湿式遠心クラッチなど潤滑構造だけで判断せず、取扱説明書の指定規格を確認するのが無難です。

MA指定車にMBオイルを使用しないこと

JASOでは低摩擦化したオイルを共用潤滑式の二輪車に使用すると、湿式クラッチ滑りが懸念されると説明されています。

そのため、取扱説明書がMA・MA1・MA2を指定する湿式クラッチ車に対して、MB規格のオイルをを代用するのは止めたほうがいいでしょう。

JASO規格の無いオイル

JASO規格は、製品をJASO T 903に適合させ、メーカー・販売者が自己責任でオンファイル届出を行う制度です。

オンファイル届出:たとえばエンジンオイル規格適合を証明するため、日本潤滑油協会などに製品データや性能分類を登録・申請する制度のこと。

JASO側が製品を承認・認証したり、性能を保証したりする制度ではありません。

ですから、JASO表示がない=湿式クラッチで滑る、低品質、バイクに使用できない、という意味ではありません。

潤滑油メーカーさんに聞いた話では、1回の試験で約20万円。

不合格なら再度、お金を払って試験を受けるそうです。

そのため、あえてJASOの規格を取得していないエンジンオイルもあります。

あえてJASO届け出しない理由

  • 競技専用で公道使用を想定しない
  • 短時間・短距離で交換することを前提とする
  • 特定のエンジン、クラッチ、トランスミッション専用
  • 乾式クラッチや、エンジンと変速機が別潤滑の車両向け
  • JASOのリン量などの数値範囲とは異なる処方
  • MA・MB表示による一般消費者向け分類を必要としない
  • APIエンジン試験やJASO届出に必要な試験を実施していない

JASO規格未取得のオイルでも、「MA(またはMB)相当品です」という表示が製品説明にあるはずですので、それを参考にしましょう。

変化するエンジンオイルの常識 油膜と粘度

1970年代、ベースオイルが鉱物油全盛だった時代は

「粘度の高いオイルのほうが油膜が強い。高い油温でも潤滑性能が維持できる」

というのが一般的な考え方でした。

・粘度が高い=油膜が厚い=抵抗が増える=レスポンスは鈍くなる、燃費は落ちる

・粘度が低い=油膜が薄い=抵抗が減る=レスポンスが良くなる、燃費は向上する

時代の流れとして、エンジンは空冷から水冷になり、性能が上がるにつれて、油温が上昇していきました。

(自動車だとターボ化、高出力化が進んでいった)

鉱物油は油温が一定以上まで上がると、エンジンオイルに含まれるポリマーが劣化して、オイル自体が劣化。

高温時のオイル粘度が低下

油膜の強度が低下

シフトフィーリングが劣化する

という問題がありました。

とくにレースの場合、少しでもフリクションロス(エンジンパワーの損失)を減らすため、できるだけオイル粘度を低くしたいわけですが、そうすると潤滑不良や、油膜切れの心配があったわけです。

そこでノンポリマーの鉱物油や、植物油を試すなど試行錯誤が繰り返されたのち、航空機エンジンで使用されている化学合成油へと、時代はシフトしていきました。

エンジンオイルの製造工程

残油の不純物を取り除いて精製したものが鉱物油。上部の赤枠がガソリンや、石油製品の基礎原料になる。

技術が進歩して、重油は船舶用燃料のほか、バイオディーゼルの生成など、さまざまな活用がされています。

石油精製にあたっては上に行くほど、より高度な設備が必要になるそうです。(生産コストがかかる)

時代は変わり、ベースオイルに化学合成油が使われるようになって、粘度を上げることなく油膜が保持できるようになっていきました。

環境に配慮した低燃費化、エンジン性能の進歩、オイルの進歩など、いろんな要因があると思います。

600℃に耐えるエンジンオイル

一般的に「エンジンオイルの油温は120℃ぐらいが上限」とされています。

ところがオイルメーカーのエンジニアいわく、現在は技術の進歩によって200℃どころか、600℃に耐えるオイル(100%化学合成油)をつくることも可能だそうです。

ただ、現実的な話、600℃になるとエンジンのほうが先に音を上げてしまいます。

エンジンを含めて考えると、120℃ぐらいが現実的なようです。

オイル粘度を上げると油温が上がる

同じエンジンで異なる粘度のオイルを比較した場合、

粘度を高くすると、摩擦抵抗が増える事によって熱が出るため、油温が上昇する

ことがわかっています。

つまり、オーバーヒートを避けるためにオイル粘度を上げて、逆に油温が上昇するわけです。本末転倒ですね。

現代の鈴鹿8時間耐久ロードレースオイル

鈴鹿8耐は、数ある二輪耐久レースの中でも世界一、過酷と言われています。

オイル交換することなく、真夏の炎天下を、エンジンを高回転まで回して、8時間ぶっ通して走行します。

油膜切れを防ぐため、むかしはSAE粘度 #50など、いわゆる「硬め」のオイルを使用するのが通常でした。

しかしオイルや、エンジンの進歩とともに、10W-40など、一般公道で広く使われる粘度が主流になりました。

2026年鈴鹿8耐で、#50を使用しているのは、(筆者がオイルメーカーさんに聞いた限りでは)BMWです。

オイルの耐久性

「レース用オイルは粘度が高い」「オイル寿命が短い」というのは遠い過去の話。

現在は鈴鹿8耐終了後でも、ほとんど性能低下しないオイルが作られています。(レース用のスペシャルオイルではなく、市販オイルの話)

のちほど、メーカーのテスト結果を紹介します。

粘度と油膜の関係性

同一製品で10W-40と、5W-30を比較した場合、「相対的に10W-40のほうが粘度が高い」といえます。

SAEオイル粘度で解説したとおり、10W-40と、5W-30を比較する場合、40と30の部分(高温粘度)を比較します。

勘違いしてる人をよく目撃しますが、低温粘度(10W、5W)ではありません。

一般的に低粘度オイルほどエンジン停止後、シリンダー(壁面)に付着したオイルが下に落ちやすくなります。

そりゃそうですよね、柔らかいわけですから。

月に1回だけとか、あまりバイクに乗らない人の場合、低粘度オイルを使用していると、エンジン始動(コールドスタート)の際、エンジンを痛めることも起こりうるわけです。

ただ、これはあくまで一般論。

実際は、こまかく見ていくとエンジンオイルごとに油膜の強度は異なります。

「10W-40だから、どのオイルも油膜の強度は同じ」ではないという事です。

同じ粘度でもエンジンフィーリングが異なる

同じ10W-40の化学合成油でも、オイルによってエンジンフィーリングや、シフトタッチが異なります。

実際のオイル粘度の違いや、使用されている添加剤の種類やグレード、配分などが異なるからでしょう。

筆者はたまたま2ストのギアオイルで、複数の4スト用エンジンオイル(10W-40)をテストし、シフトタッチの明らかな違いを体感しました。

一番、シフトフィーリングがよかった非売品オイルを現在も使用しています。

オイル粘度えらびの基本と失敗例

オイル粘度は、バイクメーカーの推奨規格・粘度を選ぶことが基本です。

比較的、最近のバイクは高温粘度が#30で、#50といった高粘度オイルは、真夏にかぎって使用するなど、ある意味、特殊な使い方になります。

(冬場に#50を使用すると、クラッチが切れなくなったり、暖機運転の時間が長くなります)

例外としてハーレーダビッドソンの場合、もともと推奨粘度が#50以上と高めだったりします。

が、オイルによっては、#40でも平気だったりします。

よくある失敗事例としては、極端に硬すぎたり、柔らかすぎる粘度のオイルの使用があげられます。

プレーンベアリングの高回転型エンジンに、#50などの高粘度鉱物油を使用するのも避けたほうがいいです。(エンジン焼き付きの事例あり)

旧車・過走行バイクのエンジンオイル粘度

ここからは例外。

さきほどお伝えしたように本来、バイクメーカー推奨のオイル粘度が基本です。

ただ、メーカー指定粘度は、あくまで「新車」(もしくは新車から1年以内)の話。

走行距離を重ねると、エンジン内部のパーツがすり減ってきます。

たとえば新車の時と比較して、シリンダーとピストンのクリアランス(すき間)が広くなるわけです。

熱膨張によるピストンクリアランスの変化

エンジンオイルには、油膜ですき間を埋める「気密性」という役割があります。

(前出:オイル6つの基本性能のうちの3)

すると、「新車の時は10W-40でよかったけど、走行距離が伸びてしまい、#40だと密閉できなくなった」ということが発生するんですね。

使用環境、車種や排気量にもよりますが、30,000km〜50,000km以上走行しているバイクだと

「オイル粘度を下げる? 粘度を上げる? 」

そうですね。一般的にはオイル粘度を高くします。

たとえば、前出のエンジンオーバーホールの専門店 ガレージ湘南では

・1970年〜1980年代の空冷Z系・GPzエンジン、空冷CBシリーズ、XJ、GS、GSX

・ゼファーやZRXなど1990年-2000年のバイク

・リッタースーパースポーツ

などのバイクに、Verity(ベリティ)の100%化学合成油 BIKE FS HR VER3(10W-40)を使用しています。

ある時、同社のお客さんが(過走行車の)空冷Z系エンジンに低粘度オイルを使い、「エンジンの音が大きくなった」と言ってきたことがありました。

わざわざ気密性を下げるようなことをしているわけですから、音が大きくなるのは当然ですね。

あらためて理由説明して、指定粘度オイルを入れてもらったところ、音がしなくなったというエピソードがあります。

低粘度でシール性能が高いオイルもある

ここからは一般論ではなく、最新テクノロジーの話。

じつは、オイル粘度を変えなくても気密性(シール性)を高くして、オイルを漏れにくくしたり、油膜強度を上げたり、オーバーヒートを抑制することができます。

低粘度でシール性能が高いニューテックオイルの技術解説
NUTEC

左は一般的なエンジンオイル。右側はニューテック社のエンジンオイル。

オイル粘度は、オイル選びの重要な指標ではあるものの、粘度指数やSAE粘度など、数字だけでエンジンオイルを判断できるほど単純ではないです。

テスト車両のエンジンを分解して検証

ニューテックオイルを使い続けて、29,298km走行した筆者CB125T改のエンジン(空冷)を分解しました。

ニューテックオイルを使用したバイクエンジンのシリンダー
29,298km走行

シリンダー、ピストン、ピストンリング、ピストンピン、ピストンクリップはすべて中華製(キットで約6,000円)。

エンジンのオーバーホールを1,100基以上、手がけてきたメカニックから「走行距離のわりに綺麗な状態」との評価をもらいました。

記事の最初で紹介したとおり、その後ピストンリングすら交換しないまま、47,968kmを突破。

最後まで白煙を吹くことなく走行できました。(オイルの減りもなし)

4.7万キロ走行したCB125T 142ccボアアップシリンダー
47,968km走行

さらにトータル走行距離85,494kmのエンジンパーツを計測。

カムシャフトなど多くのパーツが再利用可能な状態でした。

筆者はオーバーホールに持ち込まれるバイクエンジンを100基以上、さらにCB125Tのエンジンを4基見ています。

(自分で言うのもなんですが)数字が示すとおり、筆者のエンジンの摩耗状態は比較的、良いほうだったと思います。

旧車 空冷エンジンにお勧めなエンジンオイル
筆者の体験です

100%化学合成油を使用したエンジンを分解

エンジンオーバーホール専門店 ガレージ湘南のお客さまのCB125T JC06(空冷二気筒)。

ピストンクラウンのカーボン
2025年

中古車で購入後、三和化成工業 Verity(ベリティ)「BIKE FS HR VER3」(100%化学合成油)を使用し、3000km走行毎にオイル交換。

通勤で毎日、乗っていらっしゃいます。

歴代CB125Tや、走行距離が同等のほかの車種のエンジンと比較しても、トップクラスで状態の良いエンジンでした。

NUTEC(ニューテック)とは?

ニューテックはLONDON ENGLANDに本社を持つ潤滑油メーカー。

フランスのオイルメーカーelf(エルフ)のレース部門ゼネラルマネージャーと、数人のエンジニアが独立して創設。

日本で販売されているオイルは、日本で生産されているようです。(製品パッケージに記載があります)

4輪ではF-1や、フォーミュラニッポン、GT。

バイクでは

・WSBK(スーパーバイク世界選手権)

・WGP(2ストローク時代のロードレース世界選手権)

・鈴鹿8耐、ル・マン24時間など、世界耐久ロードレース選手権(EWC)

・全日本ロードレース選手権(JSB1000/ST1000/ST600ほか)

など、数多くの供給実績があります。

・2006年 FIM世界耐久ロードレース選手権シリーズ(EWC)鈴鹿8耐 優勝 TSRホンダ

・2011-2012年 FIM世界耐久ロードレース選手権シリーズ(EWC)鈴鹿8耐 優勝 TSRホンダ

・2017-2018年 FIM世界耐久ロードレース選手権シリーズ(EWC)シリーズチャンピオン TSRホンダ
(オッシャースレーベン8時間耐久 優勝/ル・マン24時間耐久 優勝)

そのほか、将来のGPライダーを育てるオランダのMolenaar NSF100カップをサポートしています。

ニューテックがスポンサーを務めるnsf100のレース
NUTEC

じつは最近、知ったのですが、MotoGPテレビ中継の解説者をされている上田 昇さんお勧めのオイルメーカーでもあるようです。

上田 昇(うえだ のぼる)

ノビーの愛称で知られる元ロードレース世界選手権125ccライダー(1991-2002)。出場160戦、優勝13回、表彰台39回、年間最高ポイントランキング2位。現役引退後は、自らのチーム「Team NOBBY」の代表を務め、後進を育成している。

坂田和人さん(1994年、1998年ロードレース世界選手権125ccチャンピオン )のブログによると、ニューテックオイルが坂田さんの愛車で使用されていました。

一般的な潤滑油メーカーとNUTEC(ニューテック)の違い

NUTEC Japanの代表 鳩谷(はとや)氏が、トヨタワークスの元レーシングエンジニアで、エンジンチューナーであること。

カローラや、ツーリングカーなど市販車から、世界スポーツカー選手権、世界ラリー選手権シリーズ(WRC)、アメリカIMSAシリーズなどを手がけた、生粋のエンジン屋さん。

「エンジンオイルは、エンジンオイルの一部である」

という考えのもと、エンジンパフォーマンスをアップするオイルをコンセプトに開発されています。

(以下、鳩谷氏の経歴の一部)

市販車エンジンのチューニングから始め、競技用のエンジンではトヨタ1600GTの<9R>のチューニングに携わったのが最初だった。

年間に100基以上のペースでチューニングし、カム、ピストン、ポートの形状に至るまで独自のアイデアを盛り込み性能を向上させ、経験を積んだ。

1970年代にモータースポーツで世界的に名機となった2T-Gの競技用コードネーム100Eの開発に参加。

そのトヨタ自工とヤマハ発動機の共同開発グループに加わった鳩谷のアイデアがカムやピストン、その他の部品にも採用された。この頃にはエンジンのみならず、車両の開発にも携わることとなる。やがて鳩谷のもとに出向辞令が出た。

それは、トヨタが世界選手権ラリーシリーズに挑戦した初代セリカ1600GTの開発メンバーとしてトヨタ自工技術部へというものだった。

用意されていたのは<技術員>のポジション。汚れるのも厭わず、若きメカニックの時代と同じように自ら手を下すこともあったが、競技車両開発を統轄する<エンジニア>としてのキャリアがこの時スタートした。

その頃、機械的に性能向上させるだけでなく、それを補い、なおかつそれ自体の性能を最大限に引き出すことが出来るオイルの存在、性能が鳩谷には気になり始めていた。

ニューテック公式

「オイルメーカーは自前の研究設備や自動車メーカーとの協同作業で、エンジンにマッチした製品を開発しているが、必ずしもオイルメーカー側がエンジンに精通しているわけではないのが現状」

ニューテックオイル開発にあたっては、鳩谷氏の豊富なノウハウがフィードバックされています。

じつは、他メーカーの元レーシングエンジニアも、鳩谷氏とまったく同じことを言ってました。

「エンジン屋はオイルを知らない。オイルメーカーはエンジンを知らない」

理論と実地の両方を知らないと、本当の意味で良いオイルはつくれない、と言う事だと思います。

NUTEC(ニューテック)と他のオイルの違い

オイル分子が一般的な化学合成油の1/10以下と、とても小さいのが特徴。

ニューテックオイルの超微粒子がもたらすメリットの解説
NUTEC

一般的な化学合成油の分子(茶色)が大粒であるのに対し、ニューテックオイルの分子はひじょうに細かいです。

ニューテックオイルと従来のオイルの油膜保持性能の比較解説
NUTEC

メリットとしては、せん断破壊しにくく、熱や攪拌(かくはん)にも強い分子構造。

フリクションロスの軽減、油膜切れの抑制、油膜保持による密閉性(圧縮)の向上につながっています。

ほかにもあると思いますが、具体的な中身については企業秘密なので明らかにされていません。

NUTEC(ニューテック)がお勧めな理由

筆者が4万キロ以上、走行テストした上でいうと、油温が下がりやすいこと。

オイル寿命が長く、なによりエンジンが長持ちすることです。

ほかには、オイル粘度を自分で調整できることですね。ニューテック社には、複数のエンジンオイルがラインナップされていますが、ことなる銘柄同士をブレンドしても、問題なく使用できます。

メーカーの方いわく「ベースオイルが共通のため、ブレンドしても大丈夫」とのことです。

ただ「より性能を引き出すためには同じ銘柄のオイルをブレンドする方が望ましい」というお話でした。

例:
☆☆☆ インターセプター ZZシリーズ同士のブレンド

☆☆ インターセプター ZZシリーズとEster Racing(NC-50/NC-51)のブレンド

ベースオイルの表示も、消費者をごまかすような小細工を使わず、明確な表示をしている点が良心的だと思います。

メーカーのテストでは、以下の結果となっています。

証拠:NUTEC(ニューテック)の耐久性

2リッター ディーゼル ターボエンジン

約15,000km走行したオイル(NC-51)の粘度指数を計測

ニューテックエンジンオイル寿命
下記動画より抜粋

NUTEC(ニューテック)のデメリット

強いて言うなら、バイク用品店(量販店)に置いてないので入手しづらいこと。

というのは

「理解不足によって、持てる性能を最大限に引き出さないと無駄になってしまう。結果、ユーザーが快適にクルマやバイクを走らせることが出来ない=ユーザーにとって不利益になる」

という鳩谷氏のこだわりから、ニューテック製品を取り扱う販売会社の営業担当者には講習、トレーニングをおこなっているそうです。

つまり「ウチのオイルを販売してくれるならどんなショップでもいい」という考え方ではないんですね。

補足:2026年現在、2016年当時と比較して、取り扱うバイクショップや、オンラインショップが年々増えて、入手しやすくなっています。

やたらと宣伝広告を出さないことも同社のこだわり。

そのせいか、筆者が旧ブログで紹介した2016年当時、ネット上にあったニューテックオイルの情報は、クルマがほとんど。

バイクでのアマゾンレビューは、わずか2,3つだけでした。

(信じられない方は、ご自分でレビューの日付を調べてみてください)

その後、年々、取扱い販売店が増えたり、オンラインショップで購入可能になったり、わたしの周囲でも、バイクにニューテックオイルを使う人が増えてきました。

ちなみに筆者はニューテックオイルについて、前情報なしで使用。

良い製品にも関わらず、2輪での知名度は高くなかったので、ブログで紹介するようになりました。(販売し続けてほしいですからね)

NUTEC(ニューテック)のメリット

まとめると、

  • 柔らかいオイルのわりに油膜が強力
  • オイル分子が通常のエンジンオイルの10分の1と細かいため、高い油膜保持性能、高シール性によりオイルが燃焼しにくい
  • 高性能オイルの中で価格が手ごろなのに違いが体感できる
  • 冬など低い油温でも比較的、レスポンスがいい
  • 真夏で100℃を超えてもオーバーヒートしない(空冷エンジン)
  • バイクメーカー指定サイクル3,000km毎に交換しているが、距離が伸びても大きな劣化を感じない
  • オイル寿命が長い。走行距離を重ねても、油温が高くても、ギアのシフトフィーリングが良い
  • 比較的、走行時の油温が下がりやすい(真夏の高速で100℃以下)

いろいろ挙げましたが、

基本的にゴムシール、樹脂に対する膨張性などの心配がなく使える点、オイル粘度をこまかく調整できる点が、旧車ユーザーにとってうれしいオイルだと思います。

車種・粘度別 筆者お勧めエンジンオイル

本記事では「オーバーヒート対策」をメインに取り上げていますが、あくまで「春夏秋冬を通して、エンジンを長持ちさせる」ことをメインテーマとしてます。

そのため、ここで紹介しているオイルは当然、冬場での使用にも適しています。

わかる範囲で、オイルメーカー推奨車種と推奨オイル・粘度を記載しておきます。

注意事項とポイント

1,オイルメーカー推奨はあくまで一例です。「ほかは絶対にダメ」という意味ではありません。

2,ブレンド比率は、公道メインで走行する場合の基本的な粘度。基本はバイクメーカー推奨粘度にして、夏場など油温が上昇しやすい車種や、過走行車でオイル消費量が多い場合は粘度を上げます。

(油温上昇で粘度を上げた場合、冬場は粘度を下げます)

3,エンジンオイルの適正油温は80℃から100℃(MAXで120℃)が目安です。オーバーするなら粘度を上げるか、上位グレードのオイルを試すといいです。

4,オイル交換は、基本的にバイクメーカー指定サイクルと同じです。ただし、初めてニューテックオイルを使用する場合、オイルが汚れやすくなることがあります。

できれば初回は1,000kmから1,500kmぐらいで交換して、以降は通常のサイクルで交換するといいです。

インターセプター ZZシリーズ

インターセプターZZシリーズは、ニューテックエンジンオイルの中で、入門的な価格帯のオイル。

にも関わらず、高性能かつ高耐久性。

純正オイルから変えると比較的、ちがいが実感しやすいと思います。

ストリートやライトチューニング用に開発されたエンジンオイルで、強靭な極薄の油膜がエンジン性能の高効率化を実現します。ワイドレンジをカバーする粘度を新たに設定し、手軽に幅広くニューテックテクノロジーを感じていただける製品に仕上げました。

ニューテック公式

化学合成油ベース ZZ-01/ZZ-02

エステルが含まれた化学合成油(95%エステル系+5%ミネラル)。ゴム・シール類の防潤性(膨張をふせぐ)に優れたオイルです。

筆者のCB125T改では、夏以外のふだん使いとしてZZ-01/ZZ-02を使用していました。

ちなみにZZ-01は、クラシックミニ(ローバーミニ)の推奨オイルです。

ZZ-01/ZZ-02の個人的なお勧め度
総合評価
( 3.5 )

ZZ-01,02はエステル系の化学合成油をベースオイルに使用して性能を確保し極力、ポリマーや添加剤を使用せず、厳選した高性能鉱物油をブレンドして高性能且つリーゾナブルな価格を実現したオイルです。

ニューテック公式

ZZ-01 5W-35 化学合成(エステル系)

メーカー推奨車種:SRX600、セロー250、CBR125R、旧型・新型レブル250


ZZ-02 10W-45 化学合成(エステル系)

メーカー推奨車種:スポーツスター1200s、CB1100R・CBX400F・CB400SF・CB400SF VTEC SPEC2・CB1300SF、VTR1000SP-2、XLR125R、FJ1200、XJR1200、GSX1100S、GSX1400、グース250(ブレンド比率 ZZ-01 60%+ZZ-02 40%)

筆者推奨

CB125T(JC06)
冬場ZZ-01、春・夏はZZ-02がお勧め。ブレンドする場合、ZZ-01 40~50%+ZZ-02 50%-60%の範囲で調整するといいです。NC-50シリーズを使用する場合も同様です。

CBR400F(エンデュランス)
CBX400FとおなじくZZ-02(10W-45)がお勧めです。

GB250クラブマン/GB400(500)
冬場ZZ-01(5W-35)、ZZ-02(10W-45)、夏に油温が上がるようならNC-50(10W-50)


鉱物油ベース ZZ-03/ZZ-04

耐熱性や耐劣化性に優れた高精度精製鉱物油をベースに、エステル成分を配合したオイル。

(API分類上はグループⅢ 鉱物油)

とくに1980年中盤以前の旧車で、純正バルブステムシールが化学合成油に適合していない(または適合が不明な)場合に推奨しているオイルです。

もちろん水冷バイクにも使えます。

ちなみにZZ-03は、純正指定オイル粘度10W-40のヨーロッパ車や、クラシックミニ(ローバーミニ)の推奨オイルです。

ZZ-03 10W-40

水素化精製ミネラル(グループⅢ 鉱物油)

ZZ-03は厳選した添加剤やフリクションモディファイアーを採用した高性能鉱物油です。
一般向けの4輪&2輪共用オイルで、2輪用にギアの極圧性にも対応出来るように設定しています。

ニューテック公式

メーカー推奨車種:CB1300SF、CB1100R、CBX400F、KZ1000、Z1000R、GPz1100(空冷)、FJ1200、GSX1100S


ZZ-04 5W-30

水素化精製ミネラル(グループⅢ 鉱物油)

筆者推奨 カワサキ FXシリーズ

「Z400FX/Z400LTD-Ⅱ/Z550FX/Z550LTD」ステムシール材の懸念があればZZ-03(10W-40)、問題がなければNC50(10W-50)が妥当かと思われます。

筆者推奨

CB250RS/CB250RS-Z/CT250S
ステムシール材の懸念があればZZ-04(5W-30)、問題がなければZZ-03(10W-40)が妥当かと思われます。

GB250クラブマン/GB400(500)
ZZ-01(5W-35)冬場、ZZ-02(10W-45)、夏に油温が上がりすぎるならNC-50(10W-50)

ヤマハXJ750
冬ZZ-04(5W-30)、夏ZZ-03(10W-40)


Ester Racing NC-50/NC-51

一般走行から高負荷走行、競技用までレース・ストリートを問わず、守備範囲の広いオイル。

(NA・ターボ車を問わず4輪にも使用可能)

ニューテックオイルの中で、もっともベーシックなグレード。価格と性能のバランスがいいと思います。

旧車はもちろん、現行モデルのほか、ノーマル、チューニングエンジンに使用可能。油温135℃という高油温でも油膜切れが発生せず、全日本ロードレース選手権などで使用されています。

ZZシリーズとの大きな違いは、エステル成分の含有量。

インターセプターよりも、NC−50/51の方がエステルが多く含まれています。

(このオイルもニューテックオイル同士ならブレンドしてOK)

筆者のCB125T改では、真夏や、高速道路を使った長距離ツーリング時にNC−50/NC−51を使用していました。

NC-50/NC-51の個人的なお勧め度
総合評価
( 4.5 )

効果・特徴

・エステルを主成分にした全合成処方のエンジン油

・摩擦係数はテフロンと同等の性能を有し、耐熱性はより高い性能を確保

・超微細な分子結合で生成されたオイルが極薄で強靭な油膜を形成。シリンダーピストンリング、メタル、タペット等の摩擦摺動面を保護し、フリクションの低減及びシール性の向上に著しい効果を発揮

・シール性向上により、オイル上がり、オイル下がりを極少に留め、燃焼室内のスラッジ発生やブローバイガスの発生を抑制して圧縮圧力が上昇し、燃焼効率及び燃費効率の向上が図れる

・超微細化された成分は非常に安定しており耐熱、耐圧性に優れシリンダー内の燃焼温度、圧力にも充分耐え、極薄の油膜はフリクションを低下させエンジンの発熱を抑えると共に熱伝導性を高めエンジン油温の上昇を抑制

・空冷エンジンやディ-ゼルエンジンにも有効で出力向上と排気ガスのクリーン化を実現

・超微細化成分はオイル汚れが少ないためオイルエレメントやオイルシールのロングライフ化が図れる

・スペースシャトルや軍需用の潤滑剤成分を使用しているため、高温安定性.酸化安定性.極圧性.油膜保持性等の耐久性能に優れている

NC50シリーズとZZシリーズとの違い

実際に走っていると、レスポンスの違いはあまり分からないです。

逆に言えば、それだけZZシリーズが高性能なのかもしれません。

オイル寿命は、NC50/NC51のほうが優れています。NC50シリーズを使用中、意図的に油温120℃を超えさせた事がありますが、体感できるレベルでは性能低下は見られませんでした。

コスパは極めて高いオイルだと思います。

Ester Racing NC-50/NC-51 オイル寿命

ニューテックエンジンオイル寿命
NC51 メーカーテスト結果より

「証拠:ニューテックオイルの耐久性」でお伝えしたとおり、オイル寿命が長いことが証明されています。

NC-50 10W-50 化学合成(エステル系)

上位グレードNC-41と同様、低温粘度は10Wです。

実際は5Wに近い粘度になっていて、高温粘度は40に近い粘度だそうです。つまり燃費やエンジン性能ふくめ、#40相当の性能を発揮するので、指定粘度10W-40の車種にも使用できるとのこと。


メーカー推奨車種:Buell XB12Ss、スポーツスター1200s、XR1200、ハイパーモタード1100S、TL1000S(冬場)、ZRX1100(夏場)、GPZ900R、VTR1000SP-2、RVF750(夏場の街乗りなど油温が上がる場合)、SR400

ゼファーシリーズ(カワサキ指定粘度10W-40)にはNC-50がお勧めです。


NC-51 0W-30 化学合成(エステル系)

メーカー推奨車種:エイプ100、CBX1000(冬場)


上記以外の推奨車種と粘度

高温粘度#40相当(NC-50 50%+NC-51 50%)

カワサキ
ZRX1100、Ninja400

スズキ
GSX1300R隼、水冷GSX-R750、GSX-R600、GSX1100S、TL1000S(夏場)

ホンダ
CBR600F、CB1100XX、CB1000SF、CBR250RR MC22、CBR400RR NC23、ホーネット250(CB250F MC31)、VT250SPADA、RVF750、XLR125R

ヤマハ
SXR400、YZF-R1、YZF-R6

バルブステムシールが化学合成オイル対応の場合
KZ1000、Z1000R、GPz1100などの旧車に推奨(NC-50 50%+NC-51 50%)


車種ごとの粘度とブレンド比率

CB750 RC42:
NC-50 20%+NC-51 80%(冬場)
NC-50 40%+NC-51 60%(夏場)

CB400SF NC31/CB400SF Revo:NC-50 30%+NC-51 70%

CB400SF VTEC SPEC2:NC-50 60%+NC-51 40%

CB400SS:NC-50 60%+NC-51 40%

CBR1000RR:
NC-50 50%+NC-51 50%(国内仕様)
NC-50 70%+NC-51 30%(国内仕様フルパワー化)、NC-50 30%+NC-51 70%(冬場)

CBR600RR:
NC-51 75%+NC-50 25%
NC-50 50%+NC-51 50%(夏場)

CBR400R NC47:NC-50 40%+NC-51 60%

CBR250R MC19:NC-50 30%+NC-51 70%

CBX1000:NC-50 30%+NC-51 70%

CB125T JC06:NC-50 40%+NC-51 60%からNC-50 50%+NC-51 50%

セロー225:NC50 30%+NC51 70%からNC-50 50%+NC-51 50%

GSX-R1000:
NC-50 30%+NC-51 70%(冬場)
NC-50 50%+NC-51 50%(夏場)

GSX250カタナ:
NC-50 50%+NC-51 50%(夏場)
NC-50 20%+NC-51 80%(冬場)

グース250:NC-51 70%+NC-50 30%

モンスター1100EVO:
NC-50 70%+NC-51 30%(夏場)
NC-50 30%+NC-51 70%(冬場)

モンスターS4:NC-50 50%+NC-51 50%からNC-50 40%+NC-51 60%


筆者推奨 ホンダ

CB-1/ジェイド250/VT250F/VTZ250/ゼルビス/VTR250(キャブ)/XR230
高温粘度#40相当(NC-50 50%+NC-51 50%)

VTR250(インジェクション)
NC-51(0W-30)または高温粘度#40相当(NC-50 50%+NC-51 50%)


コツが分かればブレンドはむずかしくない

バイクメーカー指定粘度が#40の場合、基本は

「NC-50(10W-50)50%から60% + NC-51(0W-30)40から50%」

の範囲で粘度を調整します。

つまり、どのバイクにも基本の粘度があって、油温が上がる・走行距離が多いエンジンなど、必要があれば基本粘度からプラス、#5から#10ぐらい上げるなどして、微調整するイメージです。

バイクメーカー指定粘度(下限)より低くしたり、極端に粘度を上げすぎないことがポイント。

逆に「粘度を変えたほうがいいのか?」というと、過走行車など、よほど特別な理由がないかぎり、一般公道ではあまり気にしなくていいと思います。

(エンジンチューニングなど、改造車を除く)

筆者は以下のようにしています。

粘度とオイル銘柄のアドバイス

オイル銘柄と粘度を一度に変えると、なにがどう影響して変化したのか、わかりづらくなります。

おすすめのアプローチ

ステップ1:粘度はそのままで、オイル銘柄を換える

オイル粘度はバイクメーカー推奨(例:10W-40)のままにして、オイル銘柄だけを換えます。

(もし迷ったらEster Racing NC-50/NC-51がお勧め)

ステップ2:油温をモニタリングしながら走る

油温計がついていない場合、いつもどおりの環境で走って検証します。

ステップ3:それでも改善されない場合

ワンランク上の銘柄を試すか、粘度を上げます。ただ、現実には、まったく改善しないようなら、おそらくオイルではなく、バイク自体のトラブルが原因だと思われます。

(オイル以外に起因する機械的トラブル)

世界最高のエンジンオイル

テクニカルスポーツレーシング率いる「F.C.C. TSR Honda France」は、2017-2018年 FIM 世界耐久ロードレース選手権シリーズで、年間チャンピオンに輝きました。

(通算優勝回数:鈴鹿8耐4回、ルマン24時間1回、オッシャースレーベン8耐2回)

鈴鹿8耐など、耐久レースで実際に使用されているオイルがNC-40/NC-41(100%化学合成油)です。

「市販オイルと、レースで使用されているオイルは別物」

というのがオイル業界の通例。しかしニューテックは市販オイルをそのまま、レースで使用しています。

それだけ基本性能が高い、という事です。

世界一になったオイルが誰でも購入できるわけですから、良心的だと思います。(レース用スペシャルオイルって、通常は入手できませんからね)

もちろんストリートでの使用も可能です。

ニューテック社ではNC-40/NC-41が、ドカティの推奨オイル銘柄になっています。

ニューテックは空冷・水冷でオイルの種類を分けていないそうですが、油温が高くて困っている場合や、空冷ドカティはNC-41を試してみるのもありだと思います。

NC-40シリーズの特徴

湿式はもちろん、乾式クラッチにも適合。耐熱性・耐久性に優れ、エンジンの摺動部位や燃焼等、良いコンディションを維持するのが特徴。

高性能エンジンオイル(ベースオイル改質剤)NC-80が配合されています。

NC-40/NC-41 オイル寿命

ニューテックによると、ストリート、サーキット走行メインの場合、走行距離3000km〜5000kmほど。

エンジンオイルNC-40/NC-41について

レース用として開発しました!

通常レース用エンジンオイルは寿命が短いが、NUTEC OILはロングライフ化を図りチューニング車両一般車両用としても使用出来るよう開発しました。

ロングライフテストを実施(チューニング車両 12台)全車1万km走行オイルの耐久性はクリアーしています。オイル交換時期は5000Kmを目安として下さい。

NCシリーズオイルは、外気温25度程度であればエンジン始動後EXパイプより水分が出てきます。これはエンジンの燃焼状態が良好なことをあらわしています。

本来のオイル性能が発揮されるのは下記を目安にして下さい。

実車走行 100Km程度
ベンチテスト 2,500~3000rpm/1時間 5%負荷程度

ベンチテスト・シャシダイナモテストの結果、車種・仕様によって出力に変化のないことがあります。これはオイルの効果によって圧縮圧力・吸入空気量等に変化があり要求A/Fが変化することがあります。

ニューテック公式

NC-40 5W-30 100%化学合成(エステル系)

メーカー推奨車種:NC700X、エイプ100、CB400SS


NC-41 10W-50 100%化学合成(エステル系)

NC-50と同様、低温粘度は10Wですが、5Wに近い粘度になっていて、高温粘度は40に近い粘度だそうです。

つまり燃費やエンジン性能ふくめ、#40相当の性能を発揮するので、指定粘度10W-40の車種にも使用できるとのこと。

メーカー推奨車種:ハイパーモタード1100S、油冷GSX-R750、XR1200、SR400

上記以外の推奨車種と粘度

NC-40 50%+NC-41 50%:ムルティストラーダ、モンスターS2R、ZX-10R、CB1000SF、YZF-R1

NC-40 60%+NC-41 40%:CBR400R NC47

NC-40 70%+NC-41 30%:CBR600RR

オイルブレンド比率 一覧

ニューテックオイル用です。

高粘度を#40にする場合の目安

ZZ-01(5W-35)40から50%:ZZ-02(10W-45)50%から60%

NC-50(10W-50) 50%から60%:NC-51(0W-30)40%から50%

NC-40(5W-30) 40から50%:NC-41(10W-50)50%から60%

ドゥカティ 車種別 推奨オイルまとめ

・ハイパーモタード1100S
高温粘度#50相当
NC-50 10W-50 または NC-41 10W-50

・ムルティストラーダ/モンスターS2R
高温粘度#40相当
NC-50(50%)+NC-51(50%) または NC-40(50%)+NC-41(50%)

・モンスター1100EVO
夏場 NC-50(70%)+NC-51(30%)
冬場 NC-50(30%)+NC-51(70%)

・モンスターS4
NC-50(50%)+NC-51(50%)からNC-50(40%)+NC-51(60%)

空冷ハーレーにお勧め

ニューテック社が、XR1200などビッグボアエンジン、旧車に推奨しているこだわりのエンジンオイルです。

特徴

エンジンの設計に合わせたオイル特性
旧型車両や欧州車にありがちな、ピストンクリアランス過大によるオイル上がりやベアリング(メタル)クリアランス過大にによる油圧低下などを抑制します。

差の出る温度特性

温度特性を高め、高油温時のオイル粘度低下を抑制します。サーキット走行や高負荷走行に適した性能を有しています。

高粘度ゆえの重さを軽減

低フリクション特性によって低回転から高回転域まで安定した性能を発揮します。

コンディションを良好に保つ

高い潤滑性能を発揮してドライスタートに強く、エンジン摺動部の金属摩擦を抑制し、オイル漏れや滲みを抑制する性能を併せ持ったエンジンオイルです。

ミネラル油(鉱物油)特有の優れた潤滑性能、オイル消費抑制性能、シールなどゴム類への攻撃性を抑制する耐膨潤性能に加え、化学合成油(PAO)の持つ耐熱性能、耐酸化性能などの耐劣化性能、さらにエステル油の持つ潤滑性能(ドライスタート保護を含む)などをバランス良く設計しています。

弊社製品のNC-81plus oil seallingの特性も併せ持っており、低フリクション・高性能を確保します。化学合成油だけでは及ばない鉱物油の優れた性能を、最新の技術でさらに伸ばす「ミネラル・シンセティック」という新しいコンセプトのエンジンオイルです。

ニューテック公式

エンジンオイル選び まとめ

1、目的や用途、なにを重要視するかによって、良いオイルの基準は変わる

どこでどういう走り方をするか、マシンとの相性、予算など。

2、適切な粘度のオイルを選ぶ

原則はバイクメーカー指定の規格(JASO)・粘度範囲のオイルを選ぶこと。極端に粘度を高くしたり、低い粘度のオイルを使わない。

3、空冷エンジンにこそ化学合成油を使う

「空冷エンジンはクリアランスが広いから鉱物油がいい」は都市伝説。

4、バイク対応オイルを選ぶ

バイクにも使えるオイルがありますが、一般的な4輪用オイルはクラッチがすべる事があります。

5、メーカー指定のオイル交換サイクルを守る

6、継続的に自分が購入できるオイルを選ぶ

新しい銘柄のオイルに変えた場合、エンジン内に古いオイルが残っています。継続的に良質なエンジンオイルを使用することで、エンジンの延命につながります。

7、日頃からオイル量や、オイルの状態を確認する

ものすごく重要!

こうした基本は守ったほうがいいですね。

オイルメーカーは、目的に応じたオイル(製品)を開発します。

エンジンを改造していたり、特別な走り方をしないのであれば、予算の許す限り、用途に合ったオイルを選べば、大きな失敗はないと思います。

数々の故障事例を観ていると、適合しないオイルを使用したり、オイル交換を怠った結果、エンジンが焼き付いていることが多いです。

安いオイル VS 高性能オイル コスパがいいのは?

「安いオイルでも頻繁に交換すればいい」

よくある意見です。

結論からいうと、バイクメーカー指定オイルが高いからと言って、低価格なオイルを使うのは、やめたほうがいいです。

粗悪なオイルを使い続けると、エンジンへのダメージが通常より大きくなるからです。

今日明日、エンジンが壊れることはないかもしれませんが、ダメージは蓄積します。

実際の例:
50,000〜60,000kmはオーバーホールなしで持つエンジンが、30,000km以下で壊れる

とあるスクーターショップのオーナーがおっしゃっていました。

逆に10万km以上走行しているシグナスも、筆者は実際に目の当たりにしています。(使用オイルは#30、オーナーさんの走り方、扱い方もよく知っています)

目先のことだけを考えた場合、安いオイルを頻繁に交換したほうがコスパが良いように思いがちです。ところがエンジン寿命を考慮すると、逆効果。

コスパが良いどころか、かえって高い代償を払うことになります。

価格が高い=良いオイルとはかぎりませんが、少なくとも、安いオイルに過度な期待は持たないほうがいいでしょう。

例:
清浄性能が低くエンジン内部が汚れやすい、耐摩耗性や、焼きつき防止性能が劣る、酸化しやすいなど、安いだけのデメリットがあります。

さまざまなエンジンを見た上で、筆者はそう実感しています。

日頃から定期的にオイル交換したり、せめて月に1回はオイル量や、汚れ具合をチェックすることも大事です。

100基以上のエンジンオーバーホール現場を見ていると、「乗りっぱなし」「エンジンオイルを交換していない」ことが原因で、エンジンが焼き付いた事例がいくつもあります。

長期間、エンジンオイルを交換せずに乗っていたと思われるエンジン内部のパーツは、ヤスリがけしたように摩耗しています。

エンジン寿命を延命したり、焼き付きを防ぐトライボロジー(摩擦潤滑学)については、表面処理の記事で解説しています。

エンジンオイルの重要性がよくわります。

オイル交換の便利グッズ

あると便利な廃油パック

廃油処理の注意点

本記事の読者さんの中にはいないと思いますが、もし、廃油を下水や、自宅の排水溝に流すと、不法投棄になります。(5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金)
廃油はお住まいの地域で定められた方法で処分するようにしてください。

樹脂製のメスシリンダー

フタが付いているので便利です。オイルフィルターの交換も忘れずに。

エンジンオイルを交換する際、よく振ってからオイルを注ぐようにしてください。オイル成分が、分離して、底に沈殿(ちんでん)していることがあります。

オイル交換時、抜けきれないオイルと混ざっても大丈夫?

公道を通常走行する場合、基本的に大丈夫です。

ただし、記事中でお伝えしたとおり、エンジンオイルは基礎となるベースオイルと、さまざまな添加剤によって構成されている化学製品です。

メーカーがエンジンオイルを設計する上で、他社オイルとブレンドして使用する事を想定していません。

むやみに混ぜてしまうと、変質したり、性能低下を招く可能性があります。

とは言っても、入っているオイルを完全に抜くのは手間がかかります。

通常走行する場合は、抜けきれないオイルと混ざる程度なら、許容範囲だと思います。

筆者の場合

フラッシングオイルも値上がりしてきたので、「交換時のオイルを余分に購入してフラッシング」しています。

たとえば、オイル量が3リットル程度で、残存オイルが30%だと、通常のオイル交換では、完全に入れ替えしきれません。

・新油 70%(2100ml)
・古いオイル 30%(900ml)

ガソリン添加剤を使用した後や、清浄成分の高いオイルを使用して、汚れがひどい時は、上記の方法でフラッシングしています。

オイル容量の少ない車種や、エンジン保護重視の方向け、といったところです。

もし、気になるようなら、交換時のオイルを余分に購入してフラッシングするか、専用のフラッシングオイルを使うのも手です。

くわしい方法は以下の記事で解説しています。

オイルに関する質疑応答

エンジンオイルと添加剤の相性はありますか?

エステル系と、塩素系またはフッ素樹脂(テフロン)系は混ぜない方がいいです。

例:
エステル系エンジンオイル+塩素系またはフッ素樹脂(テフロン)系オイル添加剤

エステル系オイル添加剤+塩素系またはフッ素樹脂(テフロン)系エンジンオイル

場合によってはオイルがゼリー状に固まってしまい、エンジンが焼き付くことがあります。

オイル添加剤の詳しい話

表面処理が施されたエンジンとオイルの相性はありますか?

一般的にエンジンがDLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)コーティングされている場合、エステル系エンジンオイルの使用が推奨されています。

DLCの特性として「コーティング部分はオイルが食いつきにくい」と言われているためです。

ただし、DLC自体、さまざまな種類があるため、ケース・バイ・ケースです。

エンジンの汚れを防ぐには? レギュラーガソリン or ハイオク

学者さんが2ストエンジンでテストしたところ、

レギュラーガソリンとハイオクでは、エンジンの汚れに大きな差はなく、使用するエンジンオイルが、エンジン内のカーボン蓄積の決定要因になるようです。

(「2ストローク機関の燃焼室デポジット堆積及ばす潤滑油清浄分散剤の影響」)

ハイオクガソリンや、ガソリン添加剤についてはこちらの記事で検証済みです。

レース用エンジンオイルは寿命が短い?

そうとは言い切れません。

「レースでは、レースの間だけオイルが持てばいい。だからレース用オイルは、ストリート用オイルより寿命が短い」と連想する人もいるようですが、現代では、レース終了後もほとんど性能の低下が見られないオイルはめずらしくありません。

公道走行を想定した、良質なオイルであれば、まったく気にする必要性はないと思います。

(レース専用エンジンオイルを除く)

バイク用品店で販売するオイルはどうやって決めていますか?

仕入れする(店頭に並ぶ)オイルの銘柄は、各店舗の担当者の好みだったり、本社の判断で決められています。

鈴鹿8耐 VS ル・マン24時間耐久 エンジンに厳しいのはどっち?

オイルメーカーの方いわく、よりエンジン(オイル)に厳しいコンディションは、鈴鹿8耐だそうです。

理由は、真夏の灼熱地獄でおこなわれる鈴鹿8耐に対して、ル・マンは気温が低いから。

(高くても30℃ぐらい)

レースでは後入れの添加剤を使用してるのでしょうか?

ニューテック社の場合、レース後にデータ収集するため、(後から入れるタイプの)オイル添加剤を使わないようチームに要請しているようです。

ちなみに同社はNC-82というオイル添加剤を販売していますが、すでに自社製エンジンオイルに含まれているため、改めて使用するメリットは少ないようです。

あえてオイル添加剤を販売せず、用途に応じた複数の製品をラインナップしているメーカーもあります。

パラフィン系基油とナフテン系基油のちがいは?

おなじ鉱物油でも「パラフィン系基油」と「ナフテン系基油」に区別されます。

広告宣伝上ではよく「パラフィン系は高級品で良質。ナフテン系は安価」と言われています。ところが・・

・芳香族系炭化水素(CA)
・ナフテン系炭化水素(CN)
・パラフィン系炭化水素(CP)

実際にはパラフィン系基油、ナフテン系基油のいずれにも、それぞれ上記3つの成分が入っていて、便宜上、成分の割合によって区別されているだけです。

少しでも油温を下げてエンジン寿命を延ばすには?

バイクに問題がない前提で言うと、基本的に乗り方(走り方)の工夫と、良質なエンジンオイル使用・交換で十分だと思います。

プラスαするなら、オイル添加剤の使用を検討するのも場合によっては良いと思います。

いずれにしても、頻繁にオイル銘柄を変えたり、複数のオイル添加剤を重ねて使用するのは避けたほうがいいです。

粘度指数向上剤=ポリマーですか?

一般的に粘度指数向上剤の多くはポリマーですが、エンジンオイル中のポリマーがすべて粘度指数向上剤とは限りません。

ポリマーは、分子の基本単位が多数つながった高分子化合物という化学的な分類です。

エンジンオイルでは、ポリマー性の物質が複数の目的で使われることがあります。

  • 粘度指数向上剤
  • 流動点降下剤
  • 高分子型分散剤
  • 消泡剤の一部
  • 摩擦調整や清浄分散機能を併せ持つ多機能添加剤

摩擦によって、どれだけエンジンパワーが失われているか、エンジン焼き付きのメカニズムや防止策は、科学的データをもとに以下の記事で解説しています。

バイクメーカーがどんな研究をしているか、結果と事例を知る事ができます。

本記事や、ほかの記事で紹介している方法やオイルを使用し、筆者自身が実践したテスト結果をレポートしています。

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